「居場所がない…」と感じるのは、とても孤独で辛いですよね。人がたくさんいて、皆楽しそうなのに、自分だけ身の置き場がないと思うと、自分がここに存在してはいけないような気持にさえなってしまいます。
この苦しみから何とかして抜け出すには、自分を客観的に見た上で行動を起こさなければなりません。
そこで今回は、居場所がない人の心理と理由を解説し、対処方法を教えます。
この世の中に自分の居場所がない…孤独・助けて…
家にいても、外にいても、自分の居場所がないと感じるのは、とても孤独で苦しいですよね。1人きりのときの孤独より、人に囲まれた中での孤独の方が、より孤独感が増して消えたくなるほど辛く感じるものです。
自分の居場所がないと感じると、どこへ行っても本当の自分を見せられず、理解されない、相手にされない苦しさに精神を疲弊させていきます。
孤独感がどんどん強まり、「自分なんかいてもいなくても同じ」と感じることもあるでしょう。助けてほしくても、まるで周囲の目には自分が移っていないような錯覚に陥り、SOSも発信できないまま、死を想像してしまうことも…。
具体的に人から危害や迫害を受けていなくても、居場所がないと感じるときに迫ってくる孤独感は人の精神を傷つけ、時には鬱状態に追い込みます。だからこそ、孤独で誰かに助けてほしいとき、どうすれば良いのかを知識として身に付けることが、自分を救う未来につながります。
居場所がないの意味とは?
「居場所がない」の意味は、言葉の通り自分の居場所がない状態ですが、主観であることが特徴です。実は周囲から求められていても、本人が「居場所がない」と感じれば、それが全てになります。
文字通り、周囲から無視をされて「居場所がない」と感じる人もいれば、逆に期待をかけられ努力を強いられ「本当の自分を知る人いない」という思いから「居場所がない」と感じる人もいるのです。
また、周囲から「あいつ浮いてる」と思われていても、本人が全く気にしていなければ「居場所がない」とは思いません。
そのため、「居場所がない」は自分に対してのみ表現する言葉になります。第三者が「あの人、居場所ないよねー」と言うのは間違いです。自己評価における自分の気持ちを説明する言葉として「居場所がない」という表現があるのです。
居場所がないと感じる人の心理
居場所がないと感じる人の心理状態は、とても孤独で寂しい気持ちでいっぱいです。本当のところは別として、自分では「周囲から必要とされていない」「自分は存在価値がない」「いてもいなくても同じ」と、非常にネガティブな思考に陥っています。
そのため、「自分が何を訴えても周囲は協力してくれない」と思い込み、自らSOSを出せなくなってしまうのです。
居場所がないと感じる人ほど、「人から求められたい」「価値ある人になりたい」という思いが強いです。周囲からの評価の上に自分が成り立つと考えています。だからこそ、居場所がない状態は精神的に大きな苦痛を伴い、身動きが取れなくなってしまいます。
一方、マイペースでマイワールド全開、周囲の目を気にせず自由に行動できる人は、周囲から煙たがられても「居場所がない」とは感じません。自分と他者、どちらに中心をおくかによって、「居場所がない」と感じるかどうかが分かれます。
居場所がない人の原因・理由5個
居場所がないと感じてしまうのは、環境やその人の心理状態など、色々な要因があります。まずは居場所がない人の原因と理由について解説します。「なぜ自分は居場所がないと思うのか」と、自分の心に問いかけながら読んでくださいね。
■1. 家庭環境が悪い
家庭は自我を作る基盤になります。そのため、子供のころから家庭環境が悪いと、家に居場所を見出せず、自分は価値がないのだと思い込んでしまいます。
自己肯定感が下がり自信が持てないので、外でも自分を出せず、どこに行っても本当の自分ではいられなくなって「居場所がない」と感じてしまいます。
■2. 人間関係が上手く築けない
人間関係の躓きも、居場所がないと感じる原因になります。今までは周囲の人と上手くやっていたのに、何かがきっかけで仲間外れになったり、責任を感じて自分に負い目を持つようになったりすると、人間関係の築き方がわからなくなってしまいます。
この時、トラブルを乗り越えて人間関係を再度良好に築ければ自信になるのですが、上手くいかないままの状態が続くと、トラウマに近い状態に陥ります。
人とのコミュニケーションに自信がなくなり、自分から行動できず周囲の目を気にしてしまい、常に落ち着かず疎外感を感じて、居場所がないと感じるようになってしまうのです。
■3. 周囲の人に共感できない
周囲の人、すなわち多数派に共感できないというのも辛いものです。日本は協調性を重んじるため、普通を過度に求め、個性的で独創性の強い言動は敬遠されやすいです。そのため、皆が「そうだね」と思っていることに共感できないと、「あれ?自分は人と違うのかな…」と不安を感じてしまいます。
価値観の違う集団に自分1人が入るのは、とても苦しいことです。自分にとっての常識が周囲の非常識となるので、言動にとても気を遣うようになります。外から見て馴染んでいても、本人は苦しみながら必死に合わせている状態で、「ここは自分の居場所じゃない…」と感じるようになります。
■4. 承認欲求が強く理想が高い
承認欲求が強く「誰からも好かれたい」という思いが強いと、相手の小さな反応に感情を大きく揺さぶられます。
良い環境ならば自分を大いに出せますが、自分が求めているような反応が返ってこなかったり、周囲が忙しくてあっさりとした対応しかされなかったりすると、「自分は相手にされていない…」と、必要以上に落胆してしまいます。
周囲はごく普通のコミュニケーションをとっているつもりなのに、当人は「冷たくされた」「自分は浮いてる」と、どんどんネガティブになり、決して環境は悪くないのに「居場所がない…」と辛くなってしまうことがあります。
■5. 自意識過剰で認知がゆがんでいる
「居場所がない」というのは、前述した通り主観的な感情です。いじめや無視をされているなら話は別ですが、実はあなたが思っている程、周囲はあなたに注目していないだけで、それはあなたに対してだけではなく、他の皆も同じというのは良くあるケースです。
それなのに、「居場所がない」と感じるのは、自意識過剰が原因で認知がゆがんでいるからです。「自分はこう見られたい」という意識が強すぎると、相手の反応に対して期待が過剰になります。
少しでも期待が外れると、「冷たくされた」「自分は相手にされていない」と、歪んだ認知をしてしまい、周囲の気持ちとはかけ離れた解釈をして、勝手に居場所がないと感じるようになってしまいます。
居場所がないと感じる人の対処方法7個
原因がわかっても、「居場所がない」と感じる気持ちがすぐに払しょくできるわけではありません。居心地の良い空間を作るには、自発的に行動を起こしたり、物の受け取り方を変えたりする必要があります。そこで、居場所がないと感じる人の対処方法を伝授します。
■1. 基本マナーを徹底する
居場所がないと感じると、どうしても委縮してしまい、人と関わろうという気持ちが折れてしまいます。すると、挨拶もできなくなり、それがきっかけで益々身動きが取れなくなる負のスパイラルに陥ります。
居場所がないと感じたときこそ、基本マナーの徹底が大切です。「相手にどう思われようが、挨拶はマナー」「わからないことは確認」「話しかけられたら誠意を持って答える」など、一般常識の範囲でマナーを徹底していきましょう。これで、最低限の人との関りが持てて、周囲から礼儀正しい人と思われている安心感が持てます。
■2. やるべきことはしっかり行う
「自分なんか相手にされない」「存在価値がないから動かない方がいい」と、悲観的になると、居場所がない辛さは更に大きくなっていきます。
人間関係の基盤は信頼関係にありますから、今の場所でやるべきことがあるならば、それだけはしっかり行いましょう。義務を果たせば「自分はやるべきことをやっている。自分はここにいて良い」という自信につながります。
■3. 周囲への期待を良い意味で捨てる
「人から話しかけられたい」「自分に優しくしてほしい」「評価してほしい」と、周囲への期待が高すぎると、落胆は大きくなります。ごく普通の対応なのに「居場所がない」と感じることを回避するために、周囲への期待を良い意味で捨てましょう。
「別にいじめられているわけじゃない」「仕事(勉強)するのに支障はない」「教えてほしいことを聞けば答えてくれる」など、周囲へのハードルを下げると、それだけで気持ちが楽になります。思いのほか親切にされたときに、「居場所がないなんて勘違いだったのかも」と、ポジティブに受け取れるようになります。
■4. 自分のやりたいことに注力する
「居場所がない」は、他者の評価が自分の希望に達していないときに感じます。周囲の感情に、自分の喜怒哀楽を託している状態です。これを克服するには、関心のベクトルを周囲ではなく、自分に向ける必要があります。
あなたはもっと自分を優先させましょう。「自分は何をしたいのか」「自分は何が好きなのか」をじっくり考えて、自分で自分の希望をかなえてあげるのです。自分のやりたいことに注力して、自分を楽しませられる人を目指しましょう。そうすれば、他者の評価が過剰に気にならなくなります。
■5. 自分へのハードルを思いきり低くする
抱いている自分の理想像が「誰からも好かれる人気者」だと、理想と現実のギャップがダメージになり、思考がネガティブになります。居場所がないと感じる人は、もっと自分へのハードルを思いっきり低くするべきです。
「人生で楽しく話せる人が1人でもいれば御の字」程度のハードルの低さがおすすめです。生きていくために働く場所があり、とりあえず食べるのに苦労せず、実害のあるいじめを受けているわけではないなら良しとしましょう。ハードルを下げれば下げるほど、小さな幸せを感じられるようになり、幸福感が高まります。
■6. 想像力を働かせる
「居場所がない」と感じる人は、向上心が高い長所があります。しかし、せっかくの長所が今は「なぜ皆は楽しそうなのに、自分には居場所がないのか」と、他人との比較につながり、短所に転じています。
「なぜ?」と思ったときは、次のように想像力を働かせてみましょう。
・楽しそうに見えて、実は皆悩みを抱えているかもしれない
・本当は、とても気を遣っているのかもしれない
・見えない努力を積み重ねて人間関係を築いているのかもしれない
どんな人でもふとした瞬間孤独を感じるときがあるのではないでしょうか。「こんなに孤独なのは自分だけ」と思うと辛くなる一方なので、居場所がないと感じたときは、他の人の寂しさや苦労をちょっとだけ想像すると良いでしょう。
■7. 自己分析して自分のポジションを確立する
人の役割は十人十色。人付き合いや集団の中のポジションも人それぞれです。「居場所がない」と感じるときは、「この場で自分はどのような立ち位置になるべきか」を改めて考えてみましょう。周囲との相性によって立ち位置は変化します。自己分析し、この場所であるべき姿を考え、時には演じることも視野に入れましょう。
一番楽なポジションを1つ紹介します。「自分はボッチ立ち位置だけど、そんな自分を見てホッとする人がいるから役に立っているのだ」という立ち位置です。
最低限その場でやることをこなし、少なくとも迷惑をかけない存在をキープしながら、「同じような人を自分だけがボッチじゃないと励ましている」と思うのです。
職場・仕事で居場所がない人の対処方法
職場や仕事をしているとき「居場所がない…」と感じた場合は、人間関係ではなく仕事の完成度、達成度に目を向けることが大切です。和気あいあいとした職場で自分だけ雑談に参加していないと、疎外感を感じて「居場所がない」と気になりますが、「職場では責任を持って仕事を行い、報酬を得られれば充分」と、あえて割り切るのです。
仕事に集中すると、その分周囲に意識を向ける余裕がなくなるので、誰と誰が親しく会話しているかなどが気にならなくなります。また、仕事に集中する分良い結果を出せるので、職場での自分に自信を持てるようになります。
仕事の評価が高まれば、周囲もあなたを一目置くようになります。真剣に取り組む分、自然と疑問や改善点が浮かんでくるので、仕事を通して職場の人とのコミュニケーションが増え、人間関係も良くなります。
職場で友達ができれば楽しいですが、それは副産物に過ぎないのだと考えましょう。重要なのは成果です。
主婦・母親で家に居場所がない人の対処方法
主婦、特に育児に専念している母親は、子供がいないときのように身軽に動けず、社会参加に制限が出るため、どうしても孤独を感じやすくなります。行動が制限される中、家に居場所がないと感じる主婦、母親が孤独から脱出するには、工夫をしながら如何に自分を楽しませる時間を作るかがカギになります。
・SNSを通じて仲間とつながる
・時間とお金が許す範囲でできる趣味を見つける
・ママ友や昔からの友達とおしゃべりで発散する
家族と絆を強める努力も大切ですが、応えてもらえなかったときの落胆は大きいです。家族との接し方は、期待をかけるのではなく、「自分がご機嫌でいられればOK」と、自分中心に考えるくらいが丁度良いでしょう。
笑顔は伝染しますから、あなたが自分の時間を充実させて笑顔が増えれば、家族の笑顔も増えて、家庭が明るくなる可能性は高いです。
夫・父親で家に居場所がない人の対処方法
夫や父親の立場なのに家に居場所がないと感じるのは、夫婦仲が良くないのが大きな原因です。離婚を切り出されるわけでもなく、食事や身の回りの世話を最低限してくれ、どうやら離婚する気がないけどいつも不機嫌な妻は、言葉にできないあなたへの不安を抱えています。夫婦仲を改善して家に居場所を作るには、仕事や趣味に逃げず、妻ときちんと話をしなければなりません。
この時、いきなり本題に入るのはNGです。不満がいっぱいの妻は、夫が改善を急ぐと「自分のことばかり!」と余計に機嫌を悪くします。
まずは、控え目な質問上手・聞き上手になって、妻の日常に耳を傾けましょう。1人の時間を作って適度にストレス発散しながら、ゆっくり妻に歩み寄って少しずつ関係を修復することが大切です。
しかし、妻から明らかなモラハラやDVがある場合は、然るべき機関に相談したり、離婚を視野に入れたりなど別の対処が必要です。
家族のいる家庭で居場所がない子供の対処方法
親が自分に無関心、兄弟と比べられるなど、家族がいるのに家庭で居場所がないと感じるのは、子供にとってとても辛いことです。子供にとって家庭は身を守るための場所であり、唯一のより所ですから、孤独でどうしたら良いのかわからなくて、ただ我慢するしかないと思うでしょう。
そんな子供が相談できる場所があります。家の電話からでもできる相談機関を紹介します。
・チャイルドライン
・24時間子供SOSダイヤル
・子供の人権110番
・よりそいホットライン
家族に冷たくされると、「自分に悪いところがあるからいけないんだ」と、自分を責めてしまうかもしれません。だけど、あなたは悪くありません。あなたの家族は今、とても余裕がないのかもしれません。決して自分を責めず、友達や先生、身近にいる大人を頼ってくださいね。
家に居場所がない中学生・高校生の対処方法
今まで感じたことがなかったのに、中高生になって急に「家に居場所がない」と思うようになったのならば、あなたは今親からの自立に向けて、心と体が成長している途中なのでしょう。
今あなたの体の中は、大人になるためにいろいろな変化が起こっています。その変化の過程で、今までとは違う苛立ちや孤独を感じることがあります。
多くは一過性で、成長とともに落ち着きます。親がうるさく、家に居場所がないと感じるならば、なるべく接点を減らして自分の空間を大事にしましょう。
今後あなたは大人になり、家庭を巣立つときがきますから、自立の準備をするのです。自分の好きなことや将来の夢につながることに力を入れて、あなたの世界を広げましょう。
ただし、親からモラハラや暴力を受けているなら、前項にある相談機関に速やかに電話をしてください。親の横暴に耐える義務はあなたにはないのですから。
大学やサークルに居場所がない大学生の対処方法
大学やサークルに居場所がないと、キャンパスライフを楽しむ学生を見るだけで、胸が苦しくなるほど孤独を感じるかもしれません。しかし、大学第一の目的は勉学です。身に付けるべき学びができているなら、無理に大学やサークルに居場所を作る必要はありません。
大学生になると一気に行動範囲が広がりますから、別の世界に自分の居場所を見出すのも1つの方法です。バイトをしながらお金を貯めて、自分の好きなことに費やすのも良いでしょう。友達付き合いがない分余暇が増えるので、今しかできない贅沢な時間の使い方をするチャンスだとポジティブに捉えましょう。
人によっては「学校より職場の方が、居心地が良い」「自分は働いて居場所を作るタイプだ」と、就職後に本当の自分らしさを実感するケースもあります。今が一番自由にできる時期だと自覚し、無理矢理順応するのではなく、もっと発想を豊かに自由に過ごせば良いのです。
まとめ
居場所がないと感じる人は、控え目で奥ゆかしく、それでいて高い理想を持っています。しかし、自分に自信を失っていて自己評価が低くなり、周囲を信頼できない状態に陥っているのです。
周囲を変えるには、創造を絶する大きな力が必要です。それよりも、あなたの考え方、受け取り方を変えていきましょう。
視点を変えて発想を転換するだけで、気持ちが軽くなる可能性は高いです。その上で、楽観的に人を信頼し、図々しい人をお手本にして、自分らしさを出していきましょう。あなたが思う以上に、世間は意外と優しいのだと実感できるでしょう。