ここ数年「人気犬種ランキング」には、小型犬の名前ばかりがずらり。しかし日本最大規模の血統書発行団体「ジャパンケネルクラブ(JKC)」の犬籍登録頭数をながめてみると、ちゃんと中型犬や大型犬が日本国内で誕生しているとわかります。
それでは、この記事では中型犬にスポットをあてて、ランキングを見ていきましょう。
中型犬の定義や基準とは?
実は、サイズに関する分類に正式な取り決めはありません。ジャパンケネルクラブの犬種基準も、サイズに関しては大中小では区切られていないのです。
つまり、「小型犬」「中型犬」「大型犬」という区分は便宜的なものであり、その境目はかなり曖昧。とは言え、ある程度の共通認識で考えると、以下のような数値になるはずです。
●体重10~20kg
●体高40cm~60cm未満
このあたりが、一般的に中型犬と呼ばれるサイズ。体重に関しては25kg程度まで中型犬とされることも多く、20~25kgの犬に関しては、かなり主観的な分類がされていると考えるべきでしょう。
1位:フレンチ・ブルドッグ
原産地:フランス
体重 :オス9~14kg、メス8~13kg
体高 :オス27~35cm、メス24~32cm
コロンとした筋肉質の体と鼻ペチャの顔、コウモリのような耳が特徴です。近年はブサカワの代名詞ともなり、人気犬種ランキングのトップ10入りを果たしました。
ユーモラスでかわいい外見もさることながら、無駄吠えの少ない性質やフレンドリーな性格も人気を押し上げています。
2位:柴犬
原産地:日本
体重 :10kg前後
体高 :33~43cm
ピンと立った三角形の耳と、凛々しい顔つきが特徴の日本犬です。小型犬と中型犬の境目ぐらいのサイズ感で、人気犬種ランキングの中では唯一の日本犬として健闘しています。
勇敢で気が強く、独立心が旺盛。その反面飼い主には深い愛情を示す、ツンデレなところが根強い人気の秘密です。
3位:ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
原産地:イギリス
体重 :9~12kg
体高 :25~30cm
ガッチリとした筋肉質のボディと短い足、ぴんと立った耳に笑っているような口もとが特徴です。牧羊犬らしくスタミナは抜群。元気いっぱいで性格は明るく、とても賢い犬です。
若いうちは少々落ち着きのないところもありますが、きちんとしつければ最高の家庭犬になるでしょう。
4位:ビーグル
原産地:イギリス
体重 :10kg前後
体高 :33~40cm
スヌーピーのような垂れ耳と顔立ちが特徴で、かつては集団で獲物を追っていた猟犬。さほど大きくない体格のわりに鳴き声は太く大きめ。
争いを好まない性格で、他の犬と仲良くするのは得意です。食欲がかなり旺盛なため、飼いやすい性格のわりに、盗み食いで飼い主を困らせることがあります。
5位:ボーダー・コリー
原産地:イギリス
体重 :16~23kg
体高 :50~55cm
均整のとれた体つきを包むのはロングまたはスムースのダブルコート。牧羊犬らしく驚くほどのスタミナがあります。
犬の知能テストで1位を獲得する賢さと、飼い主の目を真っ直ぐに見て判断を仰ぐ性質。そのため飼い主がしっかりコマンドを出せないと、この犬の良さを引き出せません。
6位:アメリカン・コッカー・スパニエル
原産地:アメリカ
体重 :8~14kg
体高 :35~40cm
豊かな被毛とゴージャスな垂れ耳が特徴で、ディズニー『わんわん物語』の主人公。かわいい容姿の犬ですが、元は猟犬です。
おおらかで神経質なところの少ない優しい性格は、家庭犬にぴったり。小さな子どもや他の動物とも仲良くできます。ただし警戒心が少なめで、番犬にはあまり向きません。
7位:シェットランド・シープドッグ
原産地:イギリス
体重 :7kg前後
体高 :35~41cm
小型のコリーのような容姿と、フサフサのロングコートが特徴です。特に首回りから胸にかけての被毛がゴージャス。
飼いやすい犬ですが、少し繊細なところがあるので、叱り方には注意が必要です。とても賢く物覚えの良い犬ですが、警戒心が強くよく吠えるため、番犬にも向いています。
8位:日本スピッツ
原産地:日本
体重 :10kg前後
体高 :30~38cm
純白のフサフサした被毛と三角の尖った耳、黒い色素がしっかり乗った鼻と唇が特徴。サモエドを小さくしたような容姿で、笑っているような顔立ちが魅力的です。
キャンキャンうるさいイメージがありますが、それは昭和~平成中期までの話し。現代の日本スピッツは穏やかな性格に改良されています。
9位:イングリッシュ・コッカー・スパニエル
原産地:イギリス
体重 :12~15kg
体高 :38~41cm
ロングコートと垂れ耳が特徴的な、骨太でガッチリした体つき。しかし見た目はすっきりとして、バランスの良いボディの持ち主です。
猟犬としての性質が強く獲物のにおいに敏感で、時には茂みなどに飛び込んでしまうことも。基本的には明るく遊び好きですが、少し神経質な面もあります。
10位:ウィペット
原産地:イギリス
体重 :10~14kg
体高 :45~55cm
長い四肢と筋肉質のかっこいいボディが特徴です。見た目はグレイハウンドやイタリアン・グレイハウンドとそっくりですが、サイズはその中間程度。
素晴らしい身体能力の持ち主ですが、基本的にはグータラしたいタイプです。穏やかで無駄吠えも少なく、飼いやすい性格といえるでしょう。
11位:ダルメシアン
原産地:クロアチア
体重 :24~32kg
体高 :55~62cm
白地に黒または茶の斑点が散る、独特の模様と垂れ耳が特徴です。なめらかなスムースコートに覆われた筋肉質のボディと、すらりとした四肢が優美。
長い距離を走れるスタミナ抜群の犬で、家族に対しては懐っこく活発に振る舞いますが、知らない人には強い警戒心をみせることもあります。
12位:ミディアム・プードル
原産地:フランス
体重 :10~15kg
体高 :35~45cm
スタンダードの次に大きいサイズで、プードル4種の中では最も数が少ない希少なタイプといえるでしょう。
無理に小さくしないブリーディングで生まれてくるため、均整のとれた体型や毛吹きの良い巻き毛が特徴。身体能力と知能に優れ、穏やかで飼いやすい性質は家庭犬に最適です。
13位:ボクサー
原産地:ドイツ
体重 :25~30kg
体高 :53~63cm
ブルドッグのようなアンダーショットの顔立ちと、引き締まった体つきが特徴。中型犬としては最大級で、大型犬に分類されることもあります。
見た目はいかついですが、性格的には愛情深く優しい犬。小さな子どもに優しく接する穏やかな気質ですが、時折頑固な面を見せることもあります。
14位:オーストラリアン・シェパード
原産地:アメリカ
体重 :20~30kg
体高 :46~58cm
シェパードという名前ですが、見た目は大きめのボーダー・コリーのよう。ダブルコートの被毛はマールカラーが多く、目の色も茶・青・黒とバリエーション豊かです。
牧羊犬だけあって身体能力・スタミナ・知能のいずれも抜群。訓練性能の良さと落ち着いた性格は、家庭犬にも最適です。
15位:バセット・ハウンド
原産地:イギリス
体重 :20~30kg
体高 :33~38cm
胴長短足に長い垂れ耳と、全身垂れ下がった皮膚のユーモラスな容姿です。嗅覚を使って獲物を追う猟犬で、地面を嗅ぎながらゆっくり歩く足取りが特徴。
見た目より体重が重いのは骨量がしっかりしているから。穏やかで優しい性格ですが、基本的にはかなりマイペースで頑固です。
16位:ミニチュア・ブル・テリア
原産地:イギリス
体重 :10~15kg
体高 :25~35cm
しっかりした骨格のガッチリボディと、面長で大きな口の個性的な顔立ちが特徴的です。闘犬に使われていた時代の名残で勇敢ですが、理由もなくケンカをしかけるような、見境のない性質ではありません。
愛情深く家庭犬としても優秀。しかし頑固な面があるため、根気強いしつけが必要です。
17位:イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
原産地:イギリス
体重 :23kg前後
体高 :50cm前後
イギリス原産のスパニエルの中では最も足が長く、均整の取れた力強い体つきが特徴。少しウェーブのあるロングコートと耳飾りのついた垂れ耳がエレガントです。
訓練性能に優れ、何かを覚えるのが大好きですが、熱中しすぎるところも。人は好きでも他の犬はあまり好きではありません。
18位:コーイケルホンディエ
原産地:オランダ
体重 :10kg前後
体高 :35~42cm
長すぎず短すぎずのマズルを持つ、垂れ耳でかわいい顔立ちの犬。長めの被毛はなめらかで、シッポにはゴージャスな飾り毛があります。
飼い主によく従う性質で、温厚な性格。攻撃性はほぼなく、家庭犬としてとてもふさわしい気質の持ち主ですが、日本ではまだまだマイナーな犬種です。
19位:スタンダード・ダックスフンド
原産地:ドイツ
体重 :10kg前後
体高 :オス27~32cm、メス25~30cm
ダックスフンドの中では、最も猟犬らしい筋肉質のボディが特徴です。性質的には臆病なところがなく、とても活動的。
ミニチュアやカニンヘンより、おおらかな性格をした犬が多く見られます。他の犬とも仲良くできますが、負けず嫌いなところがあるので注意が必要です。
20位:サルーキ
原産地:中東
体重 :22~25kg
体高 :58~71cm
いかにも足の速そうな体躯と、飾り毛のついた垂れ耳が凛々しい、かっこいい容姿の犬です。穏やかで落ち着いていますが、独立心旺盛で媚びたがりません。
飼い主に甘えるより、自分で考えて行動することを好みます。視力が良く、獲物をロックオンすると一直線に走り出すことも。散歩時の油断は禁物です。
まとめ
1位のフレンチ・ブルドッグは辛うじて登録数1万を超えていますが、2位の柴犬は9千匹台。3位のコーギーはすでに5千匹を切っているので、中型犬の総数そのものがあまり多くないことがわかります。
犬は体格が大きくなると、気質が穏やかになる傾向。となると、犬初心者は体格だけで極小犬を飼うより、穏やかな中型犬を選んだほうが、むしろ飼いやすいのかもしれません。