日本でもたまに大型犬が公園などを散歩している光景を見ることがありますが、大型犬は背も高く勇壮でたくましく堂々としています。恐い顔をしている犬種もあれば、ふわふわした毛で覆われている犬種もあります。
海外では超大型の犬種に人気があります。日本犬は、世界の超大型の犬種に比べると大きくありませんが、独特の特徴を持ち世界の人々に愛されています。
世界にはどのような超大型犬が存在するのでしょうか。本記事では、海外の超大型犬と日本の大型の犬種を紹介します。
ギネスの世界一大きい犬は?
現在のギネスの記録では、世界一背の高い犬は、2016年に登録されたグレート・デーンという犬種です。
イギリスのノーフォーク州エセックスに住むクレア・ストーンさん所有のグレート・デーンのフレディが、世界一背の高い犬として認められています。
公式記録によると、フレディは、4本の足で立つと、3フィート4インチ(1.02メートル)、後ろ足で立つと7フィート(2.13メートル)を超えます。体重は95キログラムです。
毎月の食費は、約650ドル(約7万円)かかると言われています。フレディは2020年5月17日に8歳となりましたが、これも生存しているグレート・デーン犬の最高齢となっています。グレート・デーンなどの大型犬の寿命は短く5~6年と言われています。フレディは8歳なので、とても長生きです。
世界の超大型犬の種類25個
世界の超大型犬の代表的なものを紹介します。体重や体高は、個体によって違いますが、平均的な数値で示してあります。
■1. グレート・デーン
原産地はドイツ(但し、デーンのDaneはデンマークの意味です。歴史的には、最初デンマークの犬として分類されましたが、第2次大戦中にドイツ原産と直されたとなっていますが、明確な理由はありません)。
<体重>
雄:54~90キログラム
雌:45~59キログラム
<体高>
雄:80~90センチメートル
雌:70~80センチメートル
グレート・デーンは、別名「ジャーマン・マスティフ」ともよばれています。雄の体高は、大きいもので90センチメートルぐらいになります。
グレート・デーンのルーツは、「アラウント」という犬種と闘犬の「マスティフ」、狩猟犬の「グレイハウンド」を掛け合わせて作り出された犬と言われています。そのため、狩猟犬や軍用犬として使われました。しかし、性格は非常に人懐っこく繊細で温厚なので、「優しい巨人」と言われています。
■2. イングリッシュ・マスティフ
原産地はイギリスです。
<体重>
雄:80~85キログラム
雌:75~80キログラム
<体高>
雄:75~80センチメートル
雌:70~75センチメートル
マスティフは種類が多いのですが、イングリッシュ・マスティフはその中でも有名な犬種です。大きな特徴は、体重です。記録では、一番重い体重で113キログラムにもなります。
イングリッシュ・マスティフは、イギリスで最も古い犬種ですが、闘犬や番犬、ペットなど活用の巾の広い犬種です。性格は従順ですが、見知らぬ人には警戒心が強い犬です。
■3. ナポリタン・マスティフ
原産地はイタリアです。
<体重>
雄:60~70キログラム
雌:50~60キログラム
<体高>
雄:65~75センチメートル
雌:60~68センチメートル
ナポリタン・マスティフは、主に軍用犬として飼われていました。闘犬としても有名な犬種です。気性が荒いので一般向きではありません。しっかり躾ければ、主人に対する忠誠心が強い犬です。マイペースで頑固な面があり、あまり運動を好みません。体重が重いので股関節の病気になりやすいところがあります。
■4. チベタン・マスティフ
原産地はチベットです。
<体重>
雄:65~85キログラム
雌:60~75キログラム
<体高>
雄:66~70センチメートル
雌:61~65センチメートル
チベタン・マスティフは名前の通り、チベット原産です。毛の質がもしゃもしゃしているので、ライオンのようにも見えます。中国の富裕層に人気の犬種です。それだけに値段も高く1頭100万円から、1億円の値段がつくと言われています。
古くから愛されている犬種で、チンギス・ハーンが軍用犬として使っていたと言われています。家畜を守る仕事も忠実に行うので牧羊犬としても使われていました。
■5. アイリッシュ・ウルフハウンド
原産地はアイルランドです。
<体重>
雄:48~55キログラム
雌:40~45キログラム
<体高>
雄:76~86センチメートル
雌:71~76センチメートル
大型犬の全ての種類の中でも、最も大きな超大型犬です。体高は1メートルを超えるものもあります。後ろ足で立つと2メートルを超えるものもあります。アイリッシュ・ウルフハウンドは、その名の通りオオカミを狩るための狩猟犬です。しかし、性格が人懐っこく大人しいので、ペットとしても人気が高い犬です。
■6. スコティッシュ・ディアハウンド
原産地はスコットランドです。
<体重>
雄:45~50キログラム
雌:40~45キログラム
<体高>
雄:77~80センチメートル
雌:70~75センチメートル
スコティッシュ・ディアハウンドは、その名の通りスコットランド原産で、鹿狩りなどに使われる猟犬です。もともとはオオカミを狩るための猟犬でしたが、オオカミが絶滅してしまったので、スコティッシュ・ディアハウンドも絶滅寸前でした。愛好家によって、別の犬種との掛け合わせを行い、鹿狩りの猟犬になりました。
■7. セントバーナード
原産地はスイスです。
<体重>
雄:70~130キログラム
雌:65~75キログラム
<体高>
雄:80~95センチメートル
雌:70~85センチメートル
あらゆる犬種の中で最大の体格を持っています。雄の平均体高は90センチメートルぐらい、平均体重も90キログラムぐらいになります。今までの記録では、「ベネディティン・シュヴァルト」と言う名前のもので体高が99センチメートル、体重138キログラムとなっています。
山岳救助犬として、古くから活躍しています。別名を「アルパイン・マスティフ」とも呼ばれています。毛の質がふわふわして、見るからに暖かい感じの犬種です。
■8. ニューファンドランド
原産地はカナダです。
<体重>
雄:68~72キログラム
雌:54~57キログラム
<体高>
雄:68~71センチメートル
雌:66~69センチメートル
この犬は名前の通り、カナダのニューファンドランド島の原産です。指の間に水かき用の膜があり、とても泳ぎが上手な犬です。漁師の手伝いをして、網を引いたり、船をけん引したりする犬種でしたが、水難救助犬としても活躍しています。
■9. レオンベルガー
原産地はドイツです。
<体重>
雄:50~70キログラム
雌:40~60キログラム
<体高>
雄:72~80センチメートル
雌:65~70センチメートル
レオンベルガーは、ニューファンドランドとセントバーナード、グレートピレネーズを掛け合わせて作られました。大きくたくましい風貌で人気の高い犬種です。
■10. ドーベルマン
原産地はドイツです。
<体重>
雄:40~45キログラム
雌:32~35キログラム
<体高>
雄:68~72センチメートル
雌:63~68センチメートル
賢さは超大型犬の中でも一番です。そのため警察犬や軍用犬として使われてきました。黒い色の艶やかな毛並みと精悍な体が魅力です。
■11. ボルゾイ
原産地はロシアです。
<体重>
雄:34~47キログラム
雌:25~40キログラム
<体高>
雄:75~85センチメートル
雌:68~78センチメートル
背の高い犬です。2本足で立つと人間と同じくらいになりますが、体重は巨大犬の中では重い方ではありません。スリムな体が魅力的です。そのため足が速く、古くから猟犬として育てられました。
■12. ロットワイラー
原産地はドイツです。
<体重>
雄:50~55キログラム
雌:40~43キログラム
<体高>
雄:61~65センチメートル
雌:56~60センチメートル
筋肉量が多く、見た目より重い犬です。短く艶やかな毛が特徴です。
■13. コモンドール
原産地は、ハンガリーです。
<体重>
雄:40~60キログラム
雌:35~40キログラム
<体高>
雄:65~80センチメートル
雌:60~75センチメートル
ハンガリアンシーブルドッグとも呼ばれています。「コード」と呼ばれるひも状の毛が特徴的です。牧羊犬として育てられたので、羊の中に紛れ込んでも恐怖感を与えることもありません。またオオカミなどの襲撃にあっても勇敢に戦える勇気のある犬です。
■14. グレート・ピレニーズ
原産地はフランスです。
<体重>
雄:36~54キログラム
雌:30~40キログラム
<体高>
雄:65~82センチメートル
雌:60~65センチメートル
忠実で縄張り意識が強いので、羊や牛、鶏などの家畜を守るための犬として飼われています。また家庭でも番犬として飼うにも適しています。
■15. ブラック・ロシアン・テリア
原産地はロシアです。
<体重>
雄:36~68キログラム
雌:30~50キログラム
<体高>
雄:64~72センチメートル
雌:60~65センチメートル
家庭での飼育用として飼う人が増えてきた犬です。警戒心が強く、吠えるので躾が大切です。
■16. バーニーズ・マウンテン・ドッグ
原産地は、スイスです。
<体重>
雄:36~50キログラム
雌:30~40キログラム
<体高>
雄:58~70センチメートル
雌:50~60センチメートル
古くから牧羊犬、護衛犬として活躍してきました。寒さに強く人と触れ合うことを喜びます。寂しがり屋ですので、飼育中は孤独感を感じさせないように気を付ける必要があります。
■17. ボーアボール
原産地は南アフリカです。
<体重>
雄:60~80キログラム
雌:50~60キログラム
<体高>
雄:60~70センチメートル
雌:55~65センチメートル
警戒心が強く、飼育が非常に難しい犬です。農場を守る仕事が得意です。警察犬としても活躍しています。
■18. ドゴ・アルヘンティーノ
原産地は、アルゼンチンです。
<体重>
雄:35~45キログラム
雌:30~40キログラム
<体高>
雄:60~68センチメートル
雌:55~65センチメートル
自尊心が高く攻撃的な犬です。初心者には難しい犬種です。
■19. シンド・マスティフ
原産地はインドです。
<体重>
雄:55~85キログラム
雌:50~70キログラム
<体高>
雄:56~90センチメートル
雌:50~70センチメートル
非常に貴重な犬種です。インドの砂漠地帯に生息していたと言われています。狩猟犬や警察犬として活躍しています。原産地以外では見ることができません。自尊心が強く、広い場所を好みます。
■20. カンガール・ドッグ
原産地はトルコです。
<体重>
雄:41~66キログラム
雌:35~50キログラム
<体高>
雄:72~86センチメートル
雌:65~70センチメートル
家畜を守る役目や警察犬、軍用犬としても活躍しています。トルコでは国宝とされ貴重な犬種です。
■21. アナトリアン・シェパード・ドッグ
原産地はトルコです。
<体重>
雄:40~65キログラム
雌:30~45キログラム
<体高>
雄:71~81センチメートル
雌:65~70センチメートル
防衛本能が強く、家畜の警護などが得意な犬種です。警戒心が強いので人を襲う可能性もあるので、しっかりした躾が必要です。
■22. コーカシアン・シェパード・ドッグ
原産地はロシアです。
<体重>
雄:45~70キログラム
雌:30~45キログラム
<体高>
雄:64~72センチメートル
雌:50~60センチメートル
コーカシアン・シェパード・ドッグは、ロシアのコーカサス地方が原産で、家畜の警護をします。寒さに強く、頑丈な犬種です。警戒心が強いので、しっかりした躾が必要です。そして、幼い子どもといっしょに遊ばせるのは危険です。
■23. グレーター・スイス・マウンテン・ドッグ
原産地はスイスです。
<体重>
雄:40~65キログラム
雌:30~45キログラム
<体高>
雄:60~72センチメートル
雌:55~65センチメートル
牧畜犬として多く用いられています。力も強く荷物の運搬もします。性格は温和で、家族に対する愛情が豊かです。子どもを守ろうとするので家庭犬としても適した犬種です。
■24. ボルドー・マスティフ
原産地はフランスです。
<体重>
雄:54~65キログラム
雌:30~45キログラム
<体高>
雄:57~67センチメートル
雌:50~60センチメートル
闘犬や狩猟犬として用いられています。警戒心の強い犬種なので警察犬としても活躍しています。攻撃的な犬種なので、しっかりした躾が必要です。
■25. ピレニアン・マスティフ
原産地はスペインです。
<体重>
雄:55~75キログラム
雌:45~55キログラム
<体高>
雄:70~80センチメートル
雌:55~65センチメートル
家畜の護衛や警護が得意です。温和な性格で家族に対しては甘えん坊です。穏やかな犬種なので家庭犬にも適しています。
日本の超大型犬の種類7個
日本の犬種は、大人しく素直です。風格もあり堂々として気品があります。闘犬として育てられたものは、闘志満々で気性が荒いですが、ふだんは可愛い子犬のように甘えたりします。
■1. 土佐犬(とさけん)
原産地は日本です。
<体重>
雄:50~80キログラム
雌:40~70キログラム
<体高>
雄:60~65センチメートル
雌:55~60センチメートル
闘犬として有名です。頭が大きく勇壮で精悍な顔つきをしています。四国犬とマスティフなどの西洋犬との掛け合わせによって作り出された闘犬です。忍耐強く大胆で精力的な闘志はどの犬にも負けません。
■2. 秋田犬(あきたいぬ)
原産地は日本の秋田県です。国の天然記念物に指定されています。
<体重>
雄:36~68キログラム
雌:30~50キログラム
<体高>
雄:64~72センチメートル
雌:60~65センチメートル
主人に忠実で、日本人の間で最も愛されている犬種です。明治時代に西洋犬との交配で大型化しています。2018年2月、平昌(ピョンチャン)冬季五輪の女子フィギュアスケート金メダルを獲得したアリーナ・サギトワ選手は、日本で合宿した際に、秋田犬に魅せられました。
それを知った秋田犬保存会は、サギトワ選手に秋田犬を贈呈することを決め、同年5月26日にモスクワで贈呈式が行われました。名前は「マサル」と名付けられましたが、メス犬です。
■3. グレートジャパニーズドッグ(アメリカンアキタ)
原産地は日本です。
<体重>
雄:40~50キログラム
雌:30~40キログラム
<体高>
雄:66~72センチメートル
雌:60~65センチメートル
グレートジャパニーズドッグは、秋田犬がアメリカで他の犬との掛け合わせで作られたものです。かつて、ヘレンケラーが日本に訪れた時に、秋田県を訪問し、その時、2頭の秋田犬の子犬が寄贈されました。
ヘレンケラーは、子犬をアメリカに持って帰りました。それがアメリカで飼われた最初の秋田犬です。第2次大戦中、軍用犬としても使用され、アメリカに合うように改良されました。
■4. 北海道犬(ほっかいどういぬ)
原産地は日本の北海道です。アイヌ犬とも呼ばれています。
<体重>
雄:20~30キログラム
雌:15~20キログラム
<体高>
雄:47~53センチメートル
雌:42~48センチメートル
北海道犬は、国の天然記念物として指定されています。聴覚や嗅覚が優れており、狩猟犬として有能な犬種です。主人に対しては従順な犬種です。胸郭が大きく筋肉がしっかりしています。毛色は、白い色、黒い色、赤い色、虎、胡麻などの種類があります。
■5. 甲斐犬(かいけん)
原産地は日本の山梨県です。
<体重>
雄:20~30キログラム
雌:15~20キログラム
<体高>
雄:47~53センチメートル
雌:42~48センチメートル
昭和4年(1929年)に甲府地方検察庁に赴任した安達太助が、甲斐犬を発見し、昭和6年(1931年)に「甲斐日本犬愛護会」を創立しました。毛色は、黒虎毛と赤虎毛、また、赤の色素のない褐色の縞の黒虎毛もあります。
現存している甲斐犬の体型は、「鹿犬型」(鹿型犬)という細身で長い体型をしているものです。イノシシやカモシカを追っていたとされ、岩場に適応して垂直に飛びあがる力に優れています。
■6. 紀州犬(きしゅういぬ)
原産地は日本の紀伊の国(三重県から和歌山県)です。
<体重>
雄:20~30キログラム
雌:15~25キログラム
<体高>
雄:49~55センチメートル
雌:46~52センチメートル
昔から紀伊山地のあたりで、イノシシやシカの狩猟などに使われていました。家庭犬としても人気の犬種です。毛の色は白い犬が多く、虎毛や胡麻毛もあります。気性が荒く野放しにすると危険なので、飼う場合は躾をしっかりとする必要があります。
■7. 四国犬(しこくいぬ)
原産地は日本の四国地方です。
<体重>
雄:20~30キログラム
雌:15~20キログラム
<体高>
雄:47~53センチメートル
雌:42~48センチメートル
「土佐犬」(とさいぬ)と呼ばれていますが、闘犬の土佐犬とは別の品種です。「土佐犬」の名前で天然記念物に指定されています。但し、土佐闘犬と混同を避けるため、四国犬と改称されました。
超大型犬の寿命・年齢は短い?
超大型犬の寿命はあまり長くはありません。グレート・デーンで、5~6歳です。セントバーナードでも8~10歳ぐらいです。日本犬の多くが14歳ぐらいまで生きるのに比べると短命です。
原因は、拡張型心筋症、胃捻転などの病気を起こしやすいことです。拡張型心筋症というのは、原因不明の心臓病です。胃捻転は、胸の深い大型犬などに起こしやすい病気です。胃捻転の治療は、緊急の外科手術になります。処置が遅れると死亡する危険性があるので、早期治療が必要です。
その他にも、超大型犬は、悪性腫瘍の中でも骨肉腫にかかりやすいので、定期検診をして早期発見することが必要です。
まとめ
犬は人間といっしょに暮すようになって狩猟犬、牧畜犬など人間にとって重要な役割を果たしてきました。最近は、心のケアなどの「癒し」の効果を求めて、犬カフェに行く人も増えてきました。従順で大きい犬種ほど、癒しの効果は大きく、超大型犬の人気が高い理由もそこにあります。
超大型犬は、今後日本でも人気が高くなる犬種となるでしょう。大型犬は、危険性もあるので、しっかりした躾が必要です。小型犬や中型犬で経験を積んで、将来は超大型犬にチャレンジするライフプランを立ててみてはいかがでしょうか。