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医療現場で行われるスピリチュアルケアとは?[カウンセリング&ヒーリング]

医療現場で行われるスピリチュアルケアとは?[カウンセリング&ヒーリング]

スピリチュアルケアとは、その人らしく生き、人生の質を高めるために重要なことです。医療現場で使われる「スピリチュアルケア」をすることで、人間として何が大切か、考えるきっかけになります。今回は、そんなスピリチュアルケアについてご紹介いたします。


「スピリチュアル」と聞くと、パワーストーンのような石のことや天使と交信できるとか、人には見えない何かが見えることや何かが聴こえることなど、人生や恋愛の悩みにアドバイスできるような不思議なチカラのことを思い浮かべる人が多いかと思います。

本来のスピリチュアルとは人間の霊性、神性のことを指し、「精神的な」「聖霊の」「霊的な」といった意味の英単語です。

その「スピリチュアル」のケアをする「スピリチュアルケア」とはどのようなものなのでしょうか。

一般的な「スピリチュアル」とは違い、医療現場で使われる「スピリチュアルケア」と向き合うことは、人間としての大切な何かを考えることになるでしょう。今回はそんなスピリチュアルケアについてお伝えします。

スピリチュアルとは

一昔前は「スピリチュアル」というと、ある種の偏見に満ちた目で見られていたように感じます。スピリチュアルなことに接している人のことを、どこかオカルトのように捉えられ、気味の悪いものだったり、接する時に変わり者のように扱われたりしたかもしれません。

しかし、この数年で以前に比べ、多くの人に「スピリチュアル」が受け入れられるようになったことと思います。

それは恐らく、これまで「世迷いごと」として、ないことのように扱われていた、科学的では証明できないことが、私たちの存在するこの世界には、沢山あるということに多くの人が気付き始めたからでしょう。

遥か遠い時代、現在「スピリチュアル」と呼ばれるものは、「どこかの見えない世界」「特定の人しか触れられない世界」ではなく、常にあらゆる人の「傍らにある日常」だったように思うのです。

なぜ、古の人々にとって「スピリチュアル」は特別ではなく、日常であったのか・・・。それは、自然を敬うことを忘れず、自然と共存していたからではないかと思うのです。

「自然」というと、多くの人が緑豊かな森や山、美しい川や海、様々な動物たちを想像するかと思います。しかし、それらだけではなく、「自然」というものの中には、私達人間も含まれているのです。美しい自然を尊ぶと同時に、自分の隣にいる人にも敬意を払い、慈愛と感謝の心を持つ・・・そのような精神性が、「スピリチュアル」の本質であると思うのです。

スピリチュアルケアとは

スピリチュアルケアとは、人生においての様々な物事や事柄に対して、感謝すべき価値を見出せるように導くことです。

対象の人にとっての生きがいを持てるように促すことや、そういった人生観を持つことによって、その人の魂の健やかさを守ることや保つことを目的としています。対象となる人が自分自身の力によって、心の自己治癒力や心の免疫力を高めていくよう導くことであると言われています。

人間を形づくる三要素と言われている、Body、Mind、Spiritですが、このSpiritとは、生命の根源と考えられており、私たち人間の存在を根底から支えるものとされています。

つまり、Spiritは人間というものを考える際に無視することができない、目に見えることはなくても、その人の生きる意味や生きる目的に関して、とても重要な要素だと考えられます。

特に、人は人生の終末に、他者との和解や他者や自分を許すこと、自分自身も含めた様々な価値観等と向き合うことが多く、その答えの一つとしてスピリチュアルケアが有効とされています。

「自分への許し」に関しては、特に日本人は苦手とする人が多いのではないでしょうか。日本人はどこか因果応報的な考えが根付いていて、病気や痛みは過去の行いの結果であると考える傾向があり、そのことによって、「病気になったのは自分のせいだ。」とか、「このような苦しい状態になったのは自分が悪かったからだ。」と自分を責めてしまいがちです。

そうすることで、どんどん苦しみの渦から抜け出すことが出来ず、事態は深刻化してしまいます。

スピリチュアルケアはそうした苦しみから、対象者を解放し、自ら生きる喜びを見出すことができるようになることから、「魂のケア」や「霊的ケア」とも呼ばれ、身体的なケア、精神的なケア、心理的なケアに勝るとも言われる、人間に対しての究極的なケアとされています。

スピリチュアルとスピリチュアルケアの違い

先にお伝えした通り、「スピリチュアル」と「スピリチュアルケア」は全く別のものになります。
スピリチュアルケアは医療のテーマの一つとなっており、死期が目前に迫った人の魂に寄り添うケアです。死期が迫った人たちへのカウンセリングやヒーリングの意味合いもあります。

死期が近い人たちは、痛みなどの身体や不安などの心の苦しみだけではなく、その胸には様々な思いが押し寄せます。

「こんなことで死に迫られるなど、自分の人生とは何だったのだろうか?」、「なぜ自分はこんな目に遭い、死んでいかなければならないのだろうか?」、「自分は死んだら一体どうなるのだろうか?」というような、これまでの人生では考えてこなかったような、そして、答えを得るのが難しいような魂の苦しみ、魂の痛みを自覚するようになります。

そのような痛みは「スピリチュアルペイン」と言われ、この痛みに対応するケアがスピリチュアルケアなのです。

スピリチュアルケアはなぜ必要なのか

人は元気な時であっても、何かしらのスピリチュアルケアを必要としていると言われています。
誰しも、人生の深遠な問いかけへの答えを欲しているということです。

まして、病気になった時や、自分だけではどうにもできない困難に立ち向かわなければならない時、死に直面している時などは、通常の時よりもずっと、適切なスピリチュアルケアが施されることは、その人にとって大きな救いとなります。

ところが、現在の一般的な病院で行われている現代西洋医学は、ハイテクノロジー重視の医療へと変化したことにより、現代西洋医学の医療従事者の多くは、病んでいる人の魂からの叫びとも受け取れるスピリチュアルなニーズや、その切迫した切実な叫びを理解できなくなってしまっていると言われています。

さらに、現代世界の大多数の人が、若くあることや力強くあること、美しくあること(本来の美しさとは離れていたとしても)などに高い価値を見出し、苦しみや病気や死、また、宗教的なことなどは、日常の中で意識したり考えたり、特定の人意外とは話さない傾向にあります。

病気は突然にやってくることもあり、そのような場合には、病気を意識していた場合よりも衝撃が強まります。

その上、若さや美は価値が高く、その対極にあるとも言える病や苦しみは見ないフリをするような社会では、病気に襲われた人の心の苦しみなど救うことはできません。

死を意識した人はスピリチュアルな痛みを胸に抱き、「自分が生まれた意味はなんなのか」「自分は何の為に今を生きているのか」「自分が死んだあとは、自分の魂はどうなるのか」と自問自答します。また、苦しみに襲われている本人だけでなく、その人を支える周囲の人にとっても、スピリチュアルな痛みは生まれます。

そんな孤独な痛みに対して一筋の光となれるのがスピリチュアルケアなのです。

スピリチュアルケアの4つの手法

スピリチュアルケアがどのようなものなのかを理解してくると、スピリチュアルケアというものが何か特別なことではないことに気付きます。それは、苦しみを抱えている人の魂に寄り添うという、愛から生まれる言動そのものだからです。

現在、「スピリチュアルケア」という言葉は医療の現場で使われている言葉ではありますが、先にもお伝えした通り、元気な人でもスピリチュアルケアを必要としているのですから、それは日常にもあるべきものなのです。

そこで、スピリチュアルケアの手法について、いくつか簡単にご紹介します。

①宗教の教えを用いた手法

宗教を信仰し、その教えを他者に伝えられるような人が、その思想や教義を対象者に伝えることによって、救おうとする手法。

何かしらの宗教を信仰していて、さらに信仰心が強い人に対してはとても有効。
ケアの方法や伝える内容は、対象者の信仰する宗教宗派に応じて変える必要がある。

②科学的な手法

対象者に対して、科学的、論理的な情報や思考を伝えることによって救おうとする手法。

特定の宗教を信仰しておらず、スピリチュアルな考え方に疑問を抱いたり否定する人に対して、場合によってはとても有効。

対象者の思考の仕方や価値観に応じて、伝達の方法や伝えるべき内容、ケアの方法を変える必要がある。全てを否定しかねないので、慎重に行わなければならない。

③自分自身を用いる手法

スピリチュアルケアを必要とする人に対して、一人の人間として対象者としっかりと向き合い、その苦しみや痛みに共感し、対象者の心の鏡として魂のケアをする。

これは生半可なことでは成されず、ケアをする側にも相当の訓練とサポートを要する。ケアをする側にとっても、人生観や死や苦しみへの再考を迫られるので、苦しみ悩む場面が出てくる。

その際に周囲の人との交流や支えが絶対に必要になる。
対象者の孤独感を癒すことに対してとても有効。

④人生を振り返るという手法

対象者本人が自分の人生を振り返り、自分でそこに意味を見出すということは、死への準備の一環とも考えられる。

その際、その聞き手や振り返る内容の引き出し役を家族が担うと、家族と対象者が共に語り合う場となり、家族の心の中に思い出を残すことができるだけでなく、その「自分の思い出を家族に残すことができる」という対象者の満足感を高めることができる。

人は誰しも忘れられるということに対して寂しさを感じるので、魂の充足という点でとても有効。
また、家族間において人間関係の確執があった場合に、共に死を見つめるという作業を通して、「許し」が起きる可能性がある。

まとめ

人は生きているだけで尊く素晴らしい存在で、この世に生を受けるということは、この上ない幸せです。しかし、それは「その人らしく生きる」ということの上に成り立っているのではないかと感じます。

人が生を全うするということは、その人の存在全てを持ってしての役割を全うすることではないかと思うのです。

それはつまり、「その人らしく生きること」。その人らしく生きること、人生の質を考えることをQOLと言い、医療現場においてもとても重要視されています。

スピリチュアルケアとは、そのQOLの精神的な部分の支えであるのです。日本ではまだまだ馴染みのないこの言葉が、この思想がもっと広がり、魂のケアが行われる世界になればいいと心から願っています。

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