キビヤックという食べ物を知っていますか。その名前くらいは聞いたことがあるという人も多いでしょう。キビヤックといえば、世界でも有数の臭い食べ物として有名です。
そこでこの記事は、キビヤックの特徴やキビヤックの作り方などについて解説していきます。
キビヤックとは?漬物料理?
キビヤックとは、カナダのイヌイット族が食べる保存食です。アザラシのお腹の中にアパリアスという海鳥を詰め込み、地中に数ヶ月埋めて発酵させた食べ物となります。イヌイット族にとっては伝統のある保存食となりますが、世界でも有数の臭い食べ物として有名です。
発酵食品ですので漬物と同じようなジャンルではありますが、実際にはまったく違う食べ物です。アザラシのお腹の中で発酵させたアパリアスは、内臓がドロドロになっています。その肛門に口をつけ、すすって食べるのです。さらに肉はもちろん、脳味噌まで食べます。
キビヤックの特徴12個
(1)イヌイット族に伝わる伝統的な保存食
(2)アザラシのお腹の中にアパリアスという鳥を詰め込む
(3)アパリアスを詰めたアザラシを地中に埋めて発酵させる
(4)18ヶ月ほど発酵させることもある
(5)とてつもなく臭い
(6)ビタミンなどの栄養が豊富
(7)内臓や脳味噌も食べられる
(8)味は美味しい
(9)アパリアスの肛門から溶けた内臓をすすり出して食べる
(10)日本で食べるのは難しい
(11)加熱せずに生のまま食べる
(12)誕生日やクリスマスなどの特別な日に食べることも多い
キビヤックの特徴としては、やはりその臭さです。キビヤックは世界で4番目に臭い食べ物とも言われています。ちなみに日本の食べ物として有名な「くさや」は世界で5番目に臭い食べ物です。キビヤックは納豆の3倍の臭いがすると言われています。
また、意外にも味は美味しく、ビタミンなどの栄養素も豊富という特徴もあります。アラスカに住む人々はフルーツなどを食べることができないため、キビヤックは貴重なビタミンを摂取できる食べ物です。だからこそ、イヌイット族にとっては伝統的で命にも関わる重要な食べ物なのです。
キビヤックを食べてみた結果!味はうまい?
キビヤックはどんな味がするのか、気になりますよね。キビヤックを食べたことがある日本人の冒険家は、「意外にもおいしかった」という感想を残しています。臭いはかなりきついそうですが、アパリアス自体にはそこまで臭みはなく、濃厚な鶏肉の味がするそうです。
また、アパリアスの内臓は塩辛に似た味がするようです。どちらも美味しくいただくことができたと感想を残しているため、旅行に行かれる方で興味のある方は食べてみると良いでしょう。
キビヤックの起源や歴史
キビヤックはカナダのイヌイット族が生み出した、発酵食品です。起源はハッキリとわかっていませんが、イヌイット族に古くから伝わる民族料理でもあります。
アザラシのお腹の中で発酵させたものをなぜ食べるのかと疑問に思うかもしれませんが、それは病気を防ぐためです。イヌイット族が住む場所は極寒の地で、日照時間も少なければ、果物などもありません。
それによりビタミンをほとんど摂取できない状態なのですが、キビヤックにはビタミンが含まれています。そしてビタミンは加熱すると失われてしまうため、生のままその肉を食べるのです。
つまり、キビヤックはイヌイット族が生きていくために、先祖が生み出した大切な食べ物なのです。
キビヤックの栄養
キビヤックには豊富なビタミンとミネラルが含まれています。イヌイット族が住む地方では、野菜や果物が育たないため、昔からキビヤックは貴重なビタミンを摂取できる食べ物として重宝されてきたのです。
ビタミンは加熱すると失われてしまうため、イヌイット族はキビヤックを生で食べます。また、たんぱく質やトリプトファンのような必須アミノ酸も含まれています。
キビヤックの作り方4ステップ
キビヤックはどうやって作るのでしょうか。ここからはその4つのステップを紹介していきます。
ステップ①:アパリアスを捕まえ冷やす
まずはアパリアスを捕まえ、涼しい場所に一日放置しておきましょう。内臓を傷つけないようにこのやり方で、アパリアスを冷やしてください。
ステップ②:アザラシの処理をする
次は捕獲したアザラシを処理していきます。お腹を開いていき、皮下脂肪だけは残して、内臓や肉を全て取り除いてください。アザラシが袋状になったら完成です。
ステップ③:アパリアスをアザラシに詰めていく
次は冷やしたアパリアスを、アザラシのお腹の中に詰めていきます。アパリアスのサイズによっては100羽以上入れることもあります。詰め込み終わったら、アザラシのお腹を縫い合わせていきます。
ステップ④:脂を塗って地中に埋める
お腹を閉じたアザラシは、虫よけのために、表面にアザラシ脂を日干ししたものを塗ります。そしてそれを塗り終えたら地中に埋め、3ヶ月から18ヶ月発酵させたら完成です。
キビヤックの食べ方
キビヤックの食べ方は、アザラシの中から取り出したアパリアスの羽根をすべてむしりとって、アパリアスの肛門に口をつけて内臓を吸いだすようにして食べます。かなりグロい感じがしますが、内臓は塩辛に似た味がするそうです。
また、アパリアスの皮や肉を引き裂きながら食べます。そして頭蓋骨を割って、中の脳味噌も食べます。基本的に全て生で食べることになります。
キビヤックは寄生虫で食中毒になる?
キビヤックは寄生虫が湧かないように、アザラシの表面に脂を塗りますが、やはりそれでもまったく寄生虫が出ないことはないでしょう。日本人が食べれば、食中毒になる可能性は高いです。
イヌイットの人たちは、このようなものを食べ慣れているため、体に耐性がついています。そのため、イヌイットの人たちと同じ感覚で食べてしまうと、痛い目に合うかもしれません。
キビヤックともやしもん
もやしもんとは漫画雑誌イブニングなどで連載されていた漫画のことです。アニメ化や実写化もされた漫画で、かなり人気があります。実はこのもやしもんの中でキビヤックが登場したことで、キビヤックは日本で有名になりました。
漫画の中では実際に、アパリアスの肛門に口をつけて、内臓を吸いだす描写もあります。そのような衝撃的なシーンにより、キビヤックという食べ物があることが日本中に知られていったのです。
キビヤックを日本で食べるには?通販缶詰は?
Amazon、楽天、Yahooショッピングなどの日本の通販では販売されていませんでした。
まとめ
キビヤックの特徴などについて紹介してきましたが、キビヤックは日本では信じられないような衝撃的な食べ物です。
なかなか日本で食べることはできませんが、アラスカなどに旅行に行けば食べられるかもしれません。どうしても食べてみたいという人は、アラスカなどに旅行に行った際にチャレンジしてみてください。