キビヤックという食べ物を知っていますか?キビヤックといえば、世界でも有数の臭い食べ物として有名です。日本ではあまり馴染みがないため、キビヤックをよく知らない方も多いですよね。
この記事では、キビヤックの味や特徴、キビヤックの作り方などについて解説します。
キビヤックとは?
キビヤックとは、寒冷地で暮らす人々が食べる伝統的な保存食です。カナダのイヌイット民族、アラスカ州のエスキモー民族、グリーンランドのカラーリット民族などにキビヤックを食べる習慣があります。
キビヤックは、アザラシのお腹の中にアパリアス(ヒメウミスズメ)という海鳥を詰め込み、地中に数ヶ月埋めて発酵させたものです。発酵食品の一種で、世界でも有数の臭い食べ物として有名になります。
キビヤックの起源や歴史
キビヤックの起源はハッキリとわかっていませんが、寒冷地の民族間に古くから伝わる民族料理です。
アザラシのお腹の中で発酵させたものを食べるのは、病気を防ぐためでもあります。イヌイット族などが住む場所は極寒の地で、日照時間も少なければ果物などもなく、ビタミンをほとんど摂取できません。
キビヤックにはビタミンが豊富に含まれるため、貴重な栄養を摂取できる食べ物として重宝されてきました。ビタミンは加熱すると失われてしまうため、生のままその肉を食べるのです。
つまり、キビヤックは極寒地で生きていくために、先祖が生み出した大切な食べ物になります。
キビヤックは臭い!
キビヤックは、かなり独特の臭いがあるのが特徴です。臭さのレベルは人によって感じ方が異なりますが、一説では世界で4番目に臭い食べ物とも言われています。
ちなみに、日本の食べ物として有名な「くさや」は世界で5番目に臭い食べ物です。キビヤックは、納豆の3倍の臭いがすると言われています。身近な食べ物の臭いと比べると、想像が付くかもしれません。
キビヤックの味は?
キビヤックの臭いはかなりキツいですが、アパリアス自体にそこまで臭みはなく、濃厚な鶏肉の味がするそうです。
キビヤックを食べてみたことがある日本人の冒険家は、「意外にもおいしかった」という感想を残しています。
また、アパリアスの内臓は塩辛に似た味がするようです。どちらも美味しくいただくことができたと感想を残しているため、興味のある方は旅行先などで食べてみると良いでしょう。
キビヤックの作り方
キビヤックはどうやって作るのでしょうか。ここからはその4つのステップを紹介していきます。
ステップ①:アパリアスを捕まえ冷やす
まずはアパリアスを捕まえ、涼しい場所に一日放置しておきましょう。内臓を傷つけないようにアパリアスを冷やしてください。
ステップ②:アザラシの処理をする
次は捕獲したアザラシを処理していきます。お腹を開いていき、皮下脂肪だけは残して内臓や肉を全て取り除いてください。アザラシが袋状になったら完成です。
ステップ③:アパリアスをアザラシに詰めていく
次は冷やしたアパリアスを、アザラシのお腹の中に詰めていきます。アパリアスのサイズによっては100羽以上入れることもあります。詰め込み終わったら、アザラシのお腹を縫い合わせましょう。
ステップ④:脂を塗って地中に埋める
お腹を閉じたアザラシは、虫よけのために表面にアザラシ脂を日干ししたものを塗ります。それを塗り終えたら地中に埋め、3ヶ月から18ヶ月発酵させたら完成です。
キビヤックの食べ方
キビヤックを食べる際は、アザラシの中から取り出したアパリアスの羽根をすべてむしり取ります。
そして、アパリアスの肛門に口をつけ、内臓を吸いだすようにすすって食べるのが一般的な食べ方です。
内臓だけでなく、アパリアスの肉も皮を引き裂きながら食べ、頭蓋骨は歯で割って中の脳味噌も食べます。
キビヤックは寄生虫で食中毒になる?
キビヤックは寄生虫が湧かないようにアザラシの表面に脂を塗りますが、やはりそれでもまったく寄生虫が出ないことはないでしょう。日本人が食べれば、食中毒になる可能性は高いです。
キビヤックを食べる寒冷地の民族は、このようなものを食べ慣れているため体に耐性がついています。日本人が同じ感覚で食べてしまうと、痛い目に合うかもしれません。
キビヤックを日本で食べるには?
キビヤックは、日本で取り扱っている業者がなく、通販などでも販売されていません。キビヤックが食べたい場合は、カナダやアラスカなど現地に赴いて食べる必要があります。
旅行などで機会がある方は、現地でしか体験できないキビヤックを味わってみるのもおすすめです。
まとめ
キビヤックの特徴などについて紹介してきました。
キビヤックは、日本では信じられないような衝撃的な食べ物です。なかなか日本で食べることはできませんが、アラスカなどに旅行に行けば食べられるかもしれません。
どうしても食べてみたいという人は、アラスカなどに旅行に行った際にチャレンジしてみてください。