まん丸の顔、短い手足にしなやかで柔らかい体を持つフェレットは、小動物の中でも人気が高いペットです。
鳴き声も小さく、一日のほとんどを眠って過ごすため、騒音で近所迷惑になることもほとんどありません。飼うからには一緒に遊びたいけど、フェレットはなつくの?と疑問を持つ人も多いかもしれませんね。
そこで今回は、フェレットになついてもらうための方法、飼い主が取るべき行動についてご紹介します。
フェレットはなつく?なかなかなつかない?
フェレットはなつきにくい、と言われることもありますが、人になつく動物です。好奇心旺盛で活発に活動する反面、警戒心が強く臆病な一面もあるため、信頼関係を築くまでに時間がかかることもあります。
フェレットは野生のヨーロッパケナガイタチを家畜化した動物のため、野生のフェレットは存在しません。
30年ほど前から日本で「鳴かないペット」としてブームとなり、他の人気ペットに比べると歴史は浅いですが、エジプトでは3000年ほど前から飼育されていたという記録があります。
人懐っこく遊び好きの性格のため、人に対して基本的に交友的な動物です。愛情をかけてお世話をし、遊んだりスキンシップをとることで徐々に飼い主を認識し、なついてくれるでしょう。
フェレットが人間になつく方法・行動10個
「フェレットと仲良くなりたい」と思うあまり、人の都合でフェレットとの距離を詰めようとすることがあります。しかし、フェレットの習性や性格を考えて、ストレスを与えないことを最優先にする必要があります。
フェレットと早く仲良くなるためにも、焦りは禁物。なついてもらうためには、信頼関係を結ぶ必要があります。以下のようなポイントに注意しましょう。
■1. お迎え直後はあまり構わない
フェレットを迎えてからしばらくは構いすぎず、環境に馴れてもらうことを優先しましょう。念願のフェレットが家にやってきたという気持ちから、すぐ遊びたくなったり、コミュニケーションを取りたくなったりしまいがちですが、環境の変化はフェレットにストレスがかかります。
そのため、まずは安心出来る場所だということを理解してもらう必要があります。快適な住まい(ケージ)を用意し、環境に慣れてもらうことから始めましょう。
トイレの掃除やごはんや水を替えるときには優しく声をかけてから行います。なるべくフェレットが眠っているときは起こさないようにし、生活音も大きくしないように気をつけましょう。安全な場所であることがわかれば、その先の信頼関係も築きやすくなります。
■2. 噛み癖のしつけは根気よく。体罰は絶対にNG
フェレットが環境に慣れてきたら、ケージから出してコミュニケーションを取ってみましょう。最初は少しの時間に留めます。
赤ちゃんフェレットは、噛む強さの加減がわかりません。噛む理由も、歯の生え変わりによるむず痒さや好奇心のほか、怖くて噛むこともあります。
フェレットは肉食動物のため歯が鋭く尖っているので、ガブッと噛まれるとかなり痛いですし出血することもありますが、理由があって噛んでいるということを忘れないでくださいね。
噛まれたときは「ダメ!」と大きめの声で言い、いけないことだということを根気よく教え続けましょう。
しつけは噛まれた直後のみで、いつまでも怒り続けないこともポイントです。何度も教えることで、次第に噛まなくなっていったり、甘噛みになっていきます。
しつけと称して体罰は絶対にしないでください。懐かなくなってしまうだけでなく、フェレットを余計に怖がらせてしまいます。
■3. 優しく名前を呼ぶ
フェレットに名前をつけたら、優しい声で、なるべく同じトーンで何度も呼びかけましょう。名前を呼んで反応したら、優しく撫でたり、おやつをあげたりすることで「いいことがある」と認識させることが重要です。
フェレットは動くものに対しての反応は強いですが、視力そのものはあまり良くないとされています。そのため、トイレの掃除などお世話のときに名前を呼ぶことで、フェレットをびっくりさせないメリットがあります。
名前を覚えてくれると、呼ぶとそばに寄ってくるようにもなります。
■4. 自分から寄ってきたタイミングでスキンシップ
最初のうちは、ケージの外に出しても構いすぎず、見守りながらフェレットには好きに探索してもらいましょう。自分から寄ってきたタイミングで身体を撫でたり、少しずつスキンシップを取っていきます。
構いすぎると嫌がられたり、敵とみなして噛んでくることもあるため、最初は特にフェレットのペースに合わせて、ゆっくりと信頼関係を築いていきましょう。
■5. 抱っこに慣れさせる
自分から寄ってくるようになったら、抱っこしたり膝の上で遊ばせてみましょう。フェレットは警戒心が強い面がありますが、一度心を許してもらえれば、フェレットの方から積極的に寄ってくるようになります。
抱っこに慣れさせておくと、動物病院に連れていくときや、なかなか入りたがらないケージに戻すときなど、フェレットを扱う上で楽になります。
身体を撫でたりマッサージしてあげると気持ち良くなり、抱っこされたまま眠ってしまうこともあります。フェレットが飼い主に身体を委ねてくれたら、充分な信頼関係が築けていると言えるでしょう。
■6. こわがらず堂々と接する
フェレットは基本的に人に対してフレンドリーな動物です。しかし、しつけが出来ていない段階では噛むことがよくあるので、一度噛まれて怪我をした飼い主さんは、噛まれないようにと慎重にフェレットを扱おうをするのではないでしょうか。
怖がっていたり、構えていることはフェレットに伝わり、余計にフェレットを警戒させてしまいます。
そのため、怖がらずに安定感のある対応を心がけましょう。抱っこをするときもフェレットを安定させてください。ビクビクしているとフェレットも「落とされるかも」と不安を感じて悪循環になってしまうので、安心感を与えるような対応が必須です。
■7. フェレットと一緒に遊ぶ
フェレットは猫じゃらしやおもちゃでよく遊びます。一人でも遊びますが、飼い主と一緒に遊ぶことも大好きなので、慣れてきたら一緒に遊びましょう。
フェレットは狭いところに入る習性があるため、ズボンや服の袖の中に誘うと、興味津々で潜り込んでいきます。脱走しないように見守りながら、探検できる環境を作ってあげてもいいですね。
また、フェレットが小さく「クックック」と鳴くようなら、それは楽しい証拠。遊びに誘っているようなら、なるべく応えてあげたいですね。ジャンプしながら体当たりしてきたり、飼い主の後を追うようになってきますよ。
■8. フェレットが嫌がることはしない
フェレットの性格によりますが、中には特定の部分を触られることを苦手とする個体もいます。
耳や顔周り、手足やしっぽなど、神経が多く通っているデリケートな場所は、急にさわられたりすると嫌がることもあります。
反応が見たいからと気持ち良く寝ているところを起こしたり、大きな声や音でびっくりさせてしまうことがないようにしましょう。信頼関係を壊すようなコミュニケーションはNGです。
可愛がっているときにフェレットが嫌がる素振りを見せたらすぐにやめ、フェレットが喜ぶことを見つけていくことが大切です。
■9. 芸を教える
フェレットの中には、芸を覚えてくれる個体もいます。おやつなどご褒美をあげながら、コミュニケーションとして芸を覚えさせてみるといいかもしれません。
「芸」というフェレットとの共通言語があれば、より信頼関係が築けるようになります。
フェレットは知能も高く、物覚えも良い動物ですが、犬のような従順さはありません。うまく覚えなければ無理強いはせず、遊びや抱っこなどのスキンシップで愛情表現をしてあげてください。
■10. 毎日遊ぶ時間を作る
環境にも慣れたら、1日1回はケージから出してたっぷりと遊ぶ時間を作りましょう。毎日スキンシップを取ることで、ストレス解消になったり、楽しい時間を一緒に過ごすことができます。
特に若いときは体力も余っていますし、新しい言葉を覚えやすいので、毎日遊ぶ時間を作ってあげると良いですね。
ケージに入れっぱなしの時間が長くなるとストレスが溜まるため、病気にもなりやすくなります。毎日触れ合うことでフェレットの体調に異変はないかも観察することができるので、なるべく毎日の触れ合いを心がけましょう。
フェレットがなつくまでの期間
フェレットを迎えてからなつくまでの期間は個体差がありますが、大体1〜2ヶ月くらい時間をかけましょう。
赤ちゃんやその個体の性格によっては、数日ですぐに慣れてくれる子もいますが、すぐに慣れないこともよくあるので、フェレットのペースに合わせてあげることが一番の近道です。
新しい環境や人に慣れることは比較的早い動物ですが、人になつくまでは少し時間がかかる傾向にあるようです。一度なつくと飼い主にべったり甘えたり、移動するたびについて回ってくることも。
同じ育て方をしていても、なつき方は性格によってかなり差がでる部分なので、焦らずゆっくりコミュニケーションを取っていきましょう。
フェレットがなつかない時の理由
フェレットがなかなかなつかない場合、いくつかの理由が考えられます。
例えば、フェレットが嫌がることを無意識にしているケース。知らず知らずのうちにフェレットをびっくりさせていたり、遊んでいるつもりがフェレットの遊びの邪魔をしていたり、安心できない相手と見なされている場合があります。
フェレットの性格が臆病だったり、反対に気性が荒く我が強いタイプの性格をしている場合は、なつくまで時間がかかったり、元々なつきにくい性格という可能性もあるかもしれません。
また、赤ちゃんの頃にあまり人と関わることがなく大人になったフェレットは、人になつかせるのが難しいケースもあります。
フェレットにとってのストレスをなるべく排除し、人と一緒にいることが「楽しい」と認識してもらえるような時間を増やすようにしましょう。
なつくフェレットの種類はある?
なつきやすいフェレットの種類として、マーシャルフェレット・ホールデンフェレットが挙げられます。
どちらも体つきは他のフェレットより小さめで、性格も温和な傾向にあります。おっとりしている分、怒ったり噛んだりすることも少ないので、時間とともに自然と人になついてくることが多いです。
穏やかな性格のフェレットは、些細なことでビクビクすることも少なく、初心者でも飼いやすいためおすすめです。
また、パスバレーフェレットも人になつきやすい種類です。
体つきはがっしりしていて、性格はやんちゃで活発。マーシャルフェレットほど温厚さはないものの、好奇心が強く元気なだけに、飼い主と一緒に遊んでくれるようになりやすいです。
遊び疲れたタイミングで体を撫でたりしてあげれば、膝の上などで眠ってくれることがあるので、やんちゃな子もなつきやすいですよ。しかし、やんちゃでも気性が荒い場合はなつきにくいことがあるので、人が好きそうかも見極めるポイントになります。
まとめ
フェレットはなつきにくいと言われることがありますが、好奇心旺盛でフレンドリーな生き物なので、適切に関わっていけば最終的に人になつくことが多いです。そのためには、飼い主との関わりを「楽しい」「心地良い」と思ってもらう必要があります。
もちろん、元の性格によってはなつきにくい個体もいるので、人のペースでコミュニケーションを取るのではなく、フェレットの性格や反応に合わせてあげることが大切。
必ずしもスムーズになつくとは限らないので、時間と愛情をたっぷりかけながら、ゆっくり信頼関係を築いていってくださいね。