※動物看護師資格を持ち、ペットに詳しいライターが書いています。
ペットとして人気が高まっているチンチラ、ペットショップでもよく見かけるようになった小動物です。大きな耳につぶらな瞳、まんまるの身体は、見ているだけで癒されますよね。
お迎えしたいけど、チンチラの生態や飼いやすさが気になる人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、チンチラの性格や特徴、種類や飼い方などをご紹介します。
チンチラとはどんな動物?特徴は?
チンチラは、ネズミ目チンチラ科チンチラ属に分類される齧歯類です。丸い体つきで柔らかい被毛、大きな耳、長い尻尾が特徴的です。チンチラは固いものを齧る習性があり、上顎・下顎の両方に伸び続ける2つの門歯をもち、犬歯がありません。
チンチラは元々チリ中部の山間部に生息する固有種で、標高400〜1650メートルの岩場で群れをつくって生活しています。主食は牧草を中心に、コケや木の根などを齧って食べます。
ジャンプ力があり運動を好むため、1日1回はケージから出して室内で遊ばせる必要があります。機敏な動きで活発ですが警戒心は強く、環境の変化に弱くデリケートな面もあります。汗腺が耳にしかなく体温調節が苦手なので、飼育の際は湿度、温度管理に注意が必要です。
比較的病気に強い動物といわれていますが、チンチラを診察できる獣医師は多くないため、いざという時のためにチンチラの診察をしてくれる動物病院を探しておくと安心です。
チンチラの平均寿命・大きさ・体重
チンチラの寿命は、飼育下では平均10〜15年といわれています。個体差が大きいため、20年以上生きるケースも存在します。最長では27歳まで生きた記録も残っています。
体長は22〜35センチメートルで、長い尻尾の長さは約18センチほど。体重は420〜600グラムで、オスに比べてメスの方が体が大きくなる傾向にあります。
チンチラの種類
チンチラには、オナガチンチラ、タンビチンチラ、コスチナチンチラの3種類がいますが、ペットとして流通しているのはオナガチンチラという種類です。被毛のカラーバリエーションがあるので、カラーごとに種類分けをされています。
①グレー
ノーマルカラーはグレーです。背面は銀灰色で、腹部や手足がクリーム色の被毛が生えています。ペットショップでは最もよく見かけるカラーで、スタンダードグレーとも呼ばれていますが、色の濃さは個体差があります。
②シナモン
背面が薄い茶色になっており、腹部や手足はクリーム色のシナモン。赤い目が特徴的のカラーです。
③ベージュ
シナモン同様、全身薄い茶色の被毛に覆われています。ベージュは目が黒いのが特徴です。
④アルビノ
アルビノは目が赤く、全身真っ白な被毛をもっています。耳も血管が透けているためピンク色をしています。
⑤ホワイト
ホワイトは全身白い被毛で、まだらにグレーの被毛が混じっています。一見アルビノと似ていますが、目が黒いことで判別できます。
⑥ブラックエボニー
ブラックエボニーは、全身が黒色の被毛で目も黒く、密集した毛がきれいに映えるカラーです。
⑦パイド
パイドは、白やグレーのベースカラーに対してまだらに黒色が入るカラーです。模様の入り方には個体差があり、唯一無二の個性的なカラーです。
⑧バイオレット
グレーに似ていますが、紫がかった艶のあるカラーがバイオレットです。腹部は白色で、人気の高いカラーです。
チンチラの性格
チンチラは頭が良く、人にも慣れやすい小動物です。名前を覚えたり、人のそばで遊び回ったりと明るい性格をしています。ジャンプが得意で動きも機敏なので、見ていて飽きない可愛らしさがあります。
大きな音や環境の変化にはストレスを受けやすい繊細な面もあるため、ケージの中では落ち着いて過ごせるようにしてあげるといいでしょう。
撫でられたり抱っこされたりすることを好むチンチラも多いので、飼い主に対しては特に甘えん坊になることも珍しくありません。自分から飼い主のそばに寄ってきて眠ってしまうなど、積極的にペットとコミュニケーションがとりたい人に向いています。
基本的に穏やかな性格をしているチンチラですが、特にオスはおっとりした個体が多い傾向にあります。元気に動き回り明るい性格にも思えますが、驚かせてしまうと臆病になってしまうので注意が必要です。
チンチラの飼い方・育て方
チンチラは野生ではオスを中心とした群れを作って生活していますが、同じケージ内で複数飼育をすると激しい喧嘩をすることがあるので、必ず1匹ずつケージを用意しましょう。
お世話は、1日1回ケージの底とトイレを掃除し、いつでも食べられるように餌を補充します。水や牧草も新鮮なものと交換しましょう。
また、チンチラは暑さや湿度に弱いため、直射日光の当たらない、風通しの良い場所にケージを置いてくださいね。
チンチラは夜行性ですが、日中も起きて活動します。1日1回はケージから出して室内を散歩させ、手からおやつを与えたり、抱っこしたりコミュニケーションを取ることで少しずつ人に懐くようになります。
お迎えして最初のうちはあまり構わず見守ってあげると良いでしょう。チンチラは齧る習性があるため、ケージから出す際は遊ばせる場所をサークルで囲うなどの工夫をし、電気コードなど危ないものを齧られないように気をつけましょう。
チンチラの値段相場
チンチラの値段は、カラーによって差がありますが、ペットショップでおおよそ3〜8万円ほどです。
スタンダードカラーのグレーは3〜4万円ほどのことが多く、バイオレットやシナモンなど人気のカラーでは高めの値段になっています。特に珍しいカラーでは10万円ほどで販売されていることもあります。カラーだけでなく、模様の入り方によっても値段は変わります。
一般的なカラーを希望する場合は、おおよそ5〜6万円でチンチラを購入できます。
チンチラのベビーを迎えるときはペットショップやブリーダーからお迎えするのが一般的です。どんなチンチラがいるか、ホームページで値段と一緒にチェックすることができます。大人のチンチラを迎えたいといった方は、里親募集サイトなどで引き取る方法もあります。
チンチラの餌の量・食べ物
チンチラの餌は、高繊維・低脂質のものを選びましょう。繊維が多い餌は、一生伸び続ける歯を削ることができますし、チンチラは高脂質の食事を消化しにくい体質のため、健康を保つためにこの2つがポイントになります。
主食として牧草を、副食としてチンチラ専用フードも与えましょう。
牧草はアルファルファ、チモシーが手に入りやすくおすすめです。1日50グラムほどが目安です。アルファルファは高繊維質で栄養価が高いため、成長期や健康なチンチラに与えると良いでしょう。
チモシーはアルファルファに比べると低タンパク、低カルシウムのため、泌尿器系の予防や肥満、内臓疾患の治療時に用いられるため、高齢のチンチラに向いています。
チンチラ専用用のフードはペットショップやインターネットで購入することができます。チンチラの身体に合わせた栄養がバランスよく配合されているので、牧草に対して2〜3割ほどの割合で与えましょう。
チンチラの鳴き声
チンチラはほとんど鳴かず、鳴くことがあっても鼻を鳴らすような音で大きい声ではありません。独特の鳴き声で、「プウプウ」「グウグウ」「ピーピー」など、気持ちによって鳴き声が変わります。
餌を要求しているときや、嫌がっているとき、興奮しているとき、甘えているときなどで鳴き方が変わります。一緒に生活していく中で気持ちが伝わるようになりますよ。
ペット可の賃貸住宅でも近所迷惑になるような鳴き声ではないので、犬や猫は鳴き声の大きさが心配という方にもぴったりです。扉を閉めれば室内でのチンチラの鳴き声はほとんど部屋の外には漏れません。
チンチラを飼う時に必要なもの
チンチラは活動を好む動物のため、ケージは広めのサイズ(幅60センチ×奥行き45センチ×高さ68センチ以上)を用意してあげましょう。
ウサギなどの小動物用でも飼育は可能ですが、チンチラはケージの中でもジャンプをしたりとよく動き回るので、高さも確保し登り降りのできるステップを設置すると良いでしょう。
ケージの中には、身を隠すことができるハウス、餌入れ、牧草入れ、給水機、砂浴び容器、トイレ、齧ることができる木製のおもちゃなどを設置します。スペースに余裕があれば、ケージ内でも運動できるように回し車を入れても良いですね。他の小動物のケージより多くの備品が必要です。
その他、動物病院に連れていくためのキャリーや、砂浴び用の砂、ケージの床に敷くペットシーツやウッドチップなども用意しておきましょう。冬は温度調節用のペットヒーター、夏はひんやり冷たい大理石プレートなどで快適に過ごせるようにしてあげたいですね。
チンチラはなつく?
チンチラは人に懐くことが多いです。持って生まれた性格にもよりますが、特に小さいうちから人の手でお世話をすることで懐きやすい傾向があります。
名前を呼びながら手からおやつを与えたり、撫でてコミュニケーションをとることで、少しずつ飼い主を認識するようになります。一定のトーンで声をかけると、チンチラは名前を覚えやすくなります。遊び好きでもあるので、ケージから出すときに飼い主に飛び乗ってくることもありますよ。
ある程度成長したチンチラや大人になったチンチラの場合は、ベビーから飼育するよりは懐きにくいかもしれません。しかし、愛情を持って根気よく接することで、飼い主を覚えてくれるようになることがほとんどです。
もちろん、驚かせたり、嫌がっているのに構いすぎたりするとチンチラに嫌われてしまうので、その子の性格に合わせてゆっくり距離を縮めていってくださいね。
チンチラは臭い?
チンチラは草食動物のため、体臭や糞の臭いはほとんどありません。尿は糞に比べて臭いがありますが、毎日掃除をしていれば気にならないことがほとんどです。
まったく臭いがしないわけではありませんが、ハムスターやモルモットなど他の齧歯類に比べて臭いは少ないでしょう。
チンチラにシャンプーは不要ですが、毛穴から分泌されるラノリンと呼ばれる油分を砂浴びで除去させる必要があります。砂浴びができていればブラッシングも不要、チンチラ自身でグルーミングを行います。
身体に汚れがつき部分的に臭いなどが気になるときは、硬く絞ったタオルでやさしく拭いてあげてください。
チンチラの病気・健康管理
チンチラは比較的病気に強い動物といわれていますが、まったく病気にならないわけではありません。
チンチラは汗腺が耳にしかなく、密集した被毛が生えていて体温調節が苦手です。そのため暑さに弱く熱中症になりやすいので、夏場は特に注意が必要です。
また、チンチラの消化管はデリケートで、餌の変化やストレス、環境の変化があると便秘になったり下痢になることもあります。
高齢になると、オスは尿路結石など泌尿器系にトラブルが出てくることもあるので、定期的に動物病院で健康診断をしてもらうことをおすすめします。
チンチラは体調が悪くても元気なフリをします。異変に飼い主が気づくことが、病気の早期発見に繋がります。毎日の掃除のときに、糞の状態や尿が出ているかチェックしたり、身体に脱毛やできものなどがないかチェックすることも日課にしましょう。
まとめ
チンチラは身体が丈夫で鳴き声も小さいため、ペットとして飼いやすい動物です。スキンシップを通して人にも懐くので、ペットとコミュニケーションをとりたい人にもピッタリです。
用意するケージの大きさは、他の小動物に比べて大きめサイズが必要になるので、チンチラが静かに過ごすためのスペースや多くの備品は確保しておく必要があります。
活発な動きや愛らしい仕草が魅力のチンチラ、せひ家族に迎えてみてください。