※動物看護師資格を持ち、ペットに詳しいライターが書いています。
動物は好きだけど、犬猫を飼うには毎日のお世話が大変…そんな人におすすめなペットが、ハムスターです。小さくても学習能力が高く、人にも慣れるので、飼いやすいペットとして長年人気があります。
そこで今回は、ハムスターの生態や種類、飼い方や臭いについて解説します。
ハムスターとはどんな動物?特徴は?
ハムスターは、ネズミ目ネズミ科キヌゲネズミ亜科に属する齧歯類です。胴が太く手足が短く、食料を巣穴に持ち帰るために頬袋を持つことが特徴です。ネズミの仲間ではありますが、生態は異なります。
ペットとしてのイメージが強いハムスターですが、野生ではヨーロッパやアジアの乾燥地帯に生息しています。地面に巣穴をつくって生活する習性があるため、穴掘りが得意です。夜行性で、主に夕方から明け方にかけて活動します。
ハムスターは飼いやすいペットとして人気があり、犬猫に次いでポピュラーなペットです。ほとんど鳴かず、鳴き声も小さいため、集合住宅でも飼えることが人気の理由となっています。
なわばり争いにより致命傷を負ってしまうことがあります。またハムスターは繁殖力が強く、一度に6〜10匹ほど出産するため、基本的には単独飼育が推奨されています。
ハムスターの平均寿命・大きさ・体重
ハムスターの平均寿命は2〜3年と、短い命です。種類によっても多少異なり、ゴールデンハムスターは3年ほど、ジャンガリアンハムスターは2年ほどといわれています。
体の大きさも種類により異なります。
ゴールデンハムスター:体長13〜18cm、体重80〜150g
ジャンガリアンハムスター:体長8cm、体重30g
ロボロフスキーハムスター:体長7cm、体重15〜20g
個体差はありますが、どの種類でもオスに比べてメスの方が体が大きい傾向にあります。
ハムスターの中では大きめのゴールデンハムスターでも手のひらサイズのため、他の小動物に比べても扱いやすい大きさと言えるでしょう。
ハムスターの種類
※ゴールデンハムスター
ペットとして流通しているハムスターは次の5種類です。それぞれの特徴や飼いやすさを解説します。
①ゴールデンハムスター
顔や背面は茶色やこげ茶色の毛が混じり、口周りやお腹まわりは白い毛が生えているのがノーマルカラーです。全身クリーム色のカラーはキンクマと呼ばれます。おっとりしていて落ち着いており、人にも慣れやすい性格のため一番人気のハムスターです。
②ジャンガリアンハムスター
ジャンガリアンハムスターは、ゴールデンハムスターに次いで人気のある種類です。グレーがかった毛色に、背中に一本黒い線の模様が入っているのがノーマルカラー。性格は明るく活発で、人にもよく慣れます。カラーバリエーションも豊富で、ブルーサファイア、パールホワイト、プディングジャンガリアンなどのカラーがあります。
③ロボロフスキーハムスター
ロボロフスキーハムスターは世界最小のハムスターです。薄い茶色の毛色で、目の上に白い毛が生えているのが特徴です。とても臆病なため、人に慣れづらい性格をしています。動きがすばしっこく、初心者向けではありませんが、小さい見た目の愛らしさから人気があります。
④キャンベルハムスター
ジャンガリアンハムスターの種に近く、外見もほとんど同じです。性格は臆病で攻撃的になることもあります。野性味が強い性格のため、飼育環境を整えて他のハムスターとは違う生活を観察できる楽しみもあり、一部の人に人気がある種類です。
⑤チャイニーズハムスター
チャイニーズハムスターは、外見はジャンガリアンハムスターに似ていますが、胴が長く、尻尾が長いのが特徴です。性格は大人しく、学習能力が高いため人にも慣れやすいため人気があります。
ハムスターの性格
ハムスターの種類によって性格の差がありますが、基本的には人に慣れる動物です。特に、ゴールデンハムスター、ジャンガリアンハムスター、チャイニーズハムスターは人に懐くことが多く、ペットとして飼いやすい種類とされていますが、臆病で気難しい性格の種類でも、優しくコミュニケーションを取り続けることで多少は慣れてくれます。
オスに比べてメスの方が気が強いですが、メスは環境の変化などに動じにくいという面もあります。種類によって性格の傾向はありますが個体差も大きいため、飼育しながらハムスターの性格を見極める必要があります。
ハムスターは色盲といわれており、視力が良くありません。そのため、急に触ったり驚かせることをすると、恐怖心から噛んでしまうことがあります。性格や生態を知り、ハムスターのことを理解した上で信頼関係を築いていくことが大切です。
ハムスターの飼い方・育て方
ハムスターは、1日1回、餌や水の交換、汚れた床材やトイレの掃除のお世話が必要です。衛生環境が悪いとハムスターが皮膚病になることがあるので、こまめな掃除は必須です。週に1回はケージを熱湯消毒し、設置している備品も隅々まで掃除しましょう。
ハムスターは夜行性のため、日中は落ち着いて休めるように静かな場所にケージを置く必要があります。
ケージに回し車を設置していれば運動不足になることはありませんが、慣れているハムスターならたまにケージから出してコミュニケーションを取ると良いですね。ケージから出す際はハムスターから目を離さず、電気コードや書類や木製の家具などを齧られないようにしてください。
お迎え後は新しい環境に慣らすためにそっとしておき、巣箱から出てくるようになったら、名前を呼びながら手から餌を与えると少しずつ飼い主を認識してくれます。
ハムスターを飼う時の注意点
ハムスターは飼いやすいペットですが、注意点もあります。
一つ目が「脱走」です。ケージをかじったり登ったりすることが得意なので、扉をこじあけて知らない間に脱走してしまうことがあります。
無事に発見できれば良いですが、電気コードをかじってショックをおこしたり、不慮の事故によって怪我や命を落とすケースがあるので、扉の閉じ忘れや脱走防止の対策は必須です。
二つ目は「温度調節」です。暑すぎても熱中症になりますし、寒すぎるとハムスターの種類によっては冬眠状態に入ってしまうことがあります。
冬眠は体に大きな負担がかかって、最悪そのまま死んでしまうことがあるため、冬場は特に室温が10℃以下になるときはペットヒーターで温める必要があります。寒さに弱い種類は、ゴールデンハムスター、ロボロフスキーです。
なるべく長生きしてもらうためにも、お迎えするハムスターの生態は理解しておきましょう。
ハムスターの値段相場
ハムスターの値段は、種類によって異なりますが1,000〜3,000円ほどで購入できるショップが多いです。
ゴールデンハムスターは1,500〜2,000円、ジャンガリアンハムスターは1,000円ほど、ロボロフスキーは2,000〜3,000円です。カラーによっても差があり、珍しいカラーの場合は更に値段が高くなります。
一般的なペットショップで販売されていないことが多いキャンベルハムスターでは2,000〜4,000円が相場となっており、チャイニーズハムスターは3,000〜4,000円ほどです。
ハムスターの餌の量・食べ物
ハムスターは雑食性のため、穀物、野菜、果物、昆虫などなんでも食べますが、ペットとして飼育する際は、栄養バランスを考えてつくられたハムスター用のペレットを主食にしましょう。
ハムスターの餌といえばひまわりの種を思い浮かべる人が多いですが、種子はカロリーが高いので、食べすぎると肥満や病気の原因になってしまいます。もちろんハムスターにとっては好物なので、副食としてひまわりの種やドライフルーツを与えると喜んで食べますが、与えすぎには注意しましょう。
野菜や果物も食べるので、手からおやつを与える際にキャベツやりんごなど普段与えないものを使うとより興味を持ってくれますよ。
ハムスターの前歯は一生伸び続けるため硬いものを齧って削る必要があります。なんでも食べるからと柔らかいものばかり与えていると前歯が伸びすぎ、餌を食べることができなくなってしまうので、主食は硬い餌を選ぶことも重要です。
ハムスターの鳴き声
ハムスターは普段あまり鳴くことはありませんが、怒ったときや驚いたときに「キーッ」「ジージー」「キュッ」など鳴くことがあります。
人に懐いているハムスターは甘えているときに「キュッキュッ」と鳴くこともありますが、多くの場合は威嚇や攻撃といった意味で鳴き声を出します。鳴き声は小さいので、ハムスターの鳴き声が近所迷惑になることはないでしょう。
ハムスターがストレスなく暮らせているなら、日常的に鳴き声を聞くことは少ないはずです。よく鳴くようなら、ハムスターの警戒心が強くなっている可能性があるので、噛まれて怪我をしないように注意しましょう。
ハムスターを飼う時に必要なもの
ハムスターを飼育する際に用意するものとして、ハムスター用のケージ、おがくずやウッドチップなどの床材、巣箱、餌入れ、給水機、回し車、齧り木、トイレがあります。また、移動用や掃除の際に一時的にハムスターを入れておくためのキャリーがあると便利です。
ハムスターは、おしっこを決まったところでする習性があるので、トイレを設置しておくと毎日の掃除が楽になります。また、ケージのしたに敷く床材はなるべくクッション性のあるものを用意します。木材の香りでハムスターの体臭を軽減させることが可能です。ペットシーツや新聞紙は誤食のリスクがあるのでやめましょう。
ハムスターは砂浴びも大好きです。野生では臭いや汚れを除去するために行うため、砂浴び用の砂と容器を用意してあげるとストレス解消にもなります。また、慣れてきたら、ケージの外で遊べるアスレチックなど、ハムスター用のおもちゃを用意してあげても良いでしょう。
ハムスターはなつく?
種類によって人への懐きやすさは異なりますが、ゴールデンハムスターやジャンガリアンハムスター、チャイニーズハムスターは特に人に懐きやすいです。赤ちゃんの頃から育てると、特に懐きやすくなります。
お迎え後、ケージの中に慣れるまではそっとしておきます。優しく名前を呼び、手から餌やおやつを与えるところから始めましょう。人の声や手の匂いを認識してくれるようになったら、名前を呼ぶと近づいてくるようになります。
手が怖くないことを認識してもらってから、次は手の上で餌をあげます。そうしているうちに、ハムスターは人の手の上は危なくないことを理解し、ケージの中に手を入れると自ら乗ってくるようになりますよ。人慣れしたハムスターは、ケージから出して欲しいとアピールしたり、飼い主の手の中で眠ってしまう子もいます。
種類による性格の傾向はあっても個体差があるので、焦らずゆっくり信頼関係を築くことがポイントです。
ハムスターは臭い?
ハムスターには独特の体臭があります。体臭自体は消せませんが、気になる場合は木の香りが強い床材を使ったり、牧草を入れると和らぎます。
ケージの周りが臭くなるもとになるのは、ハムスターおしっこです。臭いが強いおしっこをするので、こまめに掃除をしないとすぐ臭いが部屋中に充満してしまいます。
稀にトイレを設置してもそこでしてくれない子もいますが、おしっこをする場所は決まっているのでその場所を重点的に掃除しましょう。
ハムスターは元々乾燥地帯に生息していたので、水を浴びるのが苦手です。そのため、体が汚れた場合は部分的に絞ったタオルで拭いたり、水を使わないドライシャンプーを使うのもおすすめです。
ハムスターの温度管理
ハムスター飼育時の適温は15〜25℃前後です。ジャンガリアンハムスターは比較的寒さに強いですが、ほとんどのハムスターは暑さより寒さに弱い傾向にあります。
ゴールデンハムスターやロボロフスキーは、室温が10℃以下になると活動が弱まり、更に寒くなると冬眠してしまうことがあるため、冬場の温度調整は必須です。ペットヒーターを設置して、寒くなりすぎないようにしましょう。気温差があると体に負担がかかるので体調も崩しやすくなります。
もちろん、夏場の締め切った室内で室温が上がると熱中症になる恐れもあります。ハムスターは体が小さく、気づいたときには手遅れになってしまうことがあるので、外出時もその日の気温をチェックして適宜温度調整してあげてくださいね。
ハムスターの病気・健康管理
ハムスターがかかりやすい病気として皮膚病があります。不衛生な飼育環境やストレスなどで毛が抜けてしまったり、皮膚が赤くなったり、痒みがおこることもあります。
こまめな掃除をすることはもちろん、ケージのそばが騒がしい環境だったり、一日何時間もケージの外から出して触ったりするとストレスがかかってしまうので注意が必要です。
不正咬合も多く、先天的に噛みあわせが悪いケースもありますが、ケージの金網やプラスチックを齧ったり、柔らかいものばかり食べて噛みあわせが悪くなることもあります。
また、高齢のハムスターには腫瘍ができることも多いです。体の表面だけでなく、体内にもできることがあるので、発見しずらい病気のひとつです。
ハムスターは寿命が短いこともあり、1歳を超えたあたりから免疫の低下が始まり病気にかかりやすくなります。異変に気づいたらすぐに動物病院に連れていきましょう。
まとめ
ハムスターは少しのスペースで飼える人気のペットです。種類によって性格が異なり、カラーバリエーションも豊富なので、自分に合った子を選べるのも嬉しいですね。
お世話も簡単で、小さくても人に慣れる動物なので、一人暮らしや初めてペットを飼う人にもピッタリです。臭い対策や温度調節は必須なので、きちんと対策をし大切に育ててあげてくださいね。