普段の生活の中で関わることはあまりないかもしれませんが、興信所や探偵事務所は、いざという時にはとても頼りになる存在です。身近な困りごとや、他人に知られたくないこと、警察には動いてもらえないような個人的なトラブルの解決に力を貸してくれるのが興信所や探偵事務所です。
ただし、興信所や探偵事務所に調査などを依頼した場合の調査費用は決して安くはありません。専門的な知識や技術を必要とする特殊なサービスなので、どうしても高額な費用がかかってしまうのです。そのため、調査費用に関する問題が起きてしまうこともあるようです。
トラブルを解決するために興信所や探偵事務所を利用するのに、その調査費用のことでさらにトラブルになるような事態になっては困りますね。
興信所や探偵事務所に調査を依頼する場合の、おおよその調査費用の相場についてご紹介します。また、一般的な興信所・探偵事務所の料金体系、調査項目ごとの費用などについても具体例をご紹介しますので、ぜひ、興信所・探偵事務所を選ぶ際の参考にしてみてください。
※興信所と探偵事務所の違いを知りたい人はこちらを参考にして下さい。
本文内では「興信所&探偵事務所」を「興信所」という言葉で説明していきます。
興信所の料金費用はトラブルが起きやすい?
「興信所に調査を頼みたいけど…」と、ためらっている方の多くは、料金に関する不安を抱えていることが多いのではないでしょうか。興信所のサービスに対する料金には明確な決まりがなく、費用が比較的高額であるという点が、大きな不安要素になっているようです。また、興信所を利用した際に料金費用に関するトラブルがあったというような話を聞くと、ますます依頼をためらってしまいますね。
実際、どういった問題が起きているのか、興信所でありがちなトラブルについてご紹介します。
■興信所の料金費用についてありがちなトラブルの例
興信所の料金費用についてのトラブルといえば、最も多いのが「料金が高い!」というケース。そのほかにも、このようなトラブルがあるようです。
▼ 予想外の料金を請求された
▼ 高額な追加料金が発生した
▼ 他店よりも高かった
▼ 同じ浮気調査なのに料金が違う
▼ 調査が早く終わっても、差額を返してもらえなかった
▼ 納得のいく調査結果でなかったのに、お金を返してもらえなかった
興信所の料金費用がトラブルになりやすい理由5つ
興信所の料金費用がトラブルになってしまう背景には、一つだけではなくいくつかの理由が複合的に関係していることが多いようです。その理由を、項目ごとにご紹介します。
■1) 興信所の調査料金費用には決まりがない
例えば興信所で夫の浮気調査をしてもらう場合、どれくらいの費用がかかるのかという明確なデータは、ありません。
興信所での調査費用については決まりがないので、業者ごとに料金体系が異なっており、調査員1人あたりの1時間の料金が1万円のところもあれば、1人7000円、または、2人で1万5000円というところもあります。車での移動が必要な場合に、別料金だったり諸費用に含まれていたり、追加料金なしのパック料金を設定しているところもあります。
そのため、依頼した店舗によって請求される金額が異なり、一般的な相場とかけはなれた金額を請求された場合にはトラブルになってしまうこともあるようです。
■2) 前払いか、後払いかによる違い
興信所の調査費用は、店舗によって前払いと後払いのケースがあります。
前払いの場合は、調査終了後に清算し差額があれば返してもらえるのかどうか、また、調査終了後に追加料金が発生することがあるかどうかを事前に確認しておくことが大切です。後払いの場合は、見積り金額以上の費用を請求されることがないかどうかを、事前にしっかり確認しておきましょう。口頭での確認だけでなく、文書にしてもらっておくと安心です。
■3) 状況によって調査費用は大きく変わる
夫の浮気調査を依頼したら、Aさんは3日間の調査費用が50万円だったのに、Bさんは同じ業者で100万円も請求された。なんていうことが、実際にありえます。
それは、ケースごとに調査内容や調査に必要な人員、手間、時間が異なるからです。例えばこの2つのケースで、Aさんの場合は浮気相手が職場の同僚の女性と特定されており、名前もわかっていました。夫の行動パターンも把握していたので、会社帰りに2人のあとを追うだけで簡単に成果が得られました。ところが、Bさんは夫が浮気をしているらしいという漠然とした情報しかありませんでした。そのため、Bさんの夫の身辺調査にはかなりの日数を要し、そのために調査費用も高額になってしまったのです。
このように、同じ業者、似たような調査内容であっても興信所の調査費用は必ずしも一定ではないので、思っていた金額と違うということはよくあるようです。
■4) 興信所の調査費用は高額なので、差額も大きい
予想していたより多かった金額が数千円ぐらいの違いであれば仕方ないとあきらめるかもしれませんが、興信所の調査料金は決して安くはありません。想定していた金額が実際の調査費用と異なっていた場合、何万円も、ときには10数万円以上も多く請求されることもありえます。
そのため、料金費用に関するトラブルが多くなってしまうのです。
■5) 悪質な対応をする興信所もある
稀なケースですが、あきらかに高すぎる金額を請求してくる業者や、十分な調査を行っていないにもかかわらず料金を請求したり、予定よりも早く調査を終えていても差額を返金しないような業者も存在するようです。
調査を依頼する前に、信頼できる業者なのかどうかをしっかりとみきわめることが大切です。
興信所の料金体系と料金内訳
一般的な興信所に調査を依頼した場合に、どのように調査費用の計算が行われているかを知っておくと、業者を選ぶときに安心です。
興信所の調査費用の計算方法は業者によって異なるので、必ずしもこの方法がとられるわけではないのですが、一般的な調査におけるおよその料金体系と具体例をご紹介しますので、参考にしてみてください。
■調査費用の料金体系とは
興信所の調査費用について知るためには、料金体系について理解する必要があります。
興信所の料金体系にはいくつかの方法があり、人件費を時間で計算してかかった経費を請求する従来の方法に加え、人件費や諸経費込みの一括料金(パック料金)、後払いで調査完了後に成功報酬を支払う方法をとる業者も近年増えてきています。
料金体系別に詳細やメリット・デメリットを説明します。
①料金体系:人件費で計算
<詳細>調査員1人1時間あたりの人件費+実費+諸経費で計算
<ポイント>
・計算方法が明確
・短時間の調査に向いている
・割高になる場合がある
②料金体系:一括(パック)料金
<詳細>定額で一定の時間内の調査を行う
<ポイント>
・諸経費も全て込みなので安心
・調査が早く終わっても余った人件費は返してもらえないことも
③料金体系:成功報酬
<詳細>調査がうまくいった場合に、報酬を支払う
<ポイント>
・興信所にとってはリスクが高いため、割高になる傾向がある
④料金体系:基本料金+成功報酬
<詳細>事前に基本料金を支払い、調査がうまくいったら成功報酬を支払う
<ポイント>
・興信所にとってはリスクが高いため、割高になる傾向がある
・調査が失敗した場合、基本料金は返してもらえない
■調査費用における人件費の計算方法
興信所の調査費用の中で一番大きなウエイトを占めるのは、何といっても人件費です。人件費は通常、調査員1人あたりの1時間の経費で計算されます。調査員1人が1時間調査を行う場合の人件費は、安いところで7000円程度から1万円以上かかる業者もあります。また、調査を行う際には2人一組で行動することが多いので、実際の調査費用は2人分の人件費が計上されることになるので、注意が必要です。
例えば、調査員1人1時間7,500円の業者に依頼し、5時間調査を行った場合、人件費は75,000円になります。それに実費や諸経費、場合によっては成功報酬などが加算されるので、調査費用の請求額は10万円程度になります。
■成功報酬は、調査が上手くいったときだけ払えばよい?
近年、「成功報酬」という料金体系を取り入れる業者が増えてきているようです。
成功報酬は、文字通り、調査が成功に終わったときに調査費用を支払うという方法で、後払いになります。調査を行っても成果がでなければ料金を請求できないので、業者にとってはリスクの大きい料金システムになります。そのため、若干高めの料金設定になっていることが多いようです。
また、数万円の基本料金が設定されており、基本料金だけは前払いで支払い、調査がうまく言った場合に調査終了後に成功報酬が請求されるケースもあります。この場合、調査がうまくいかなかったとしても、基本料金は返金されません。
■調査費用の一般的な項目
調査費用として請求される項目には、人件費や、車を利用した場合の車両代、撮影料、報告書作成費用などがあります。業者によっては、いくつかの項目がセット料金に含まれている場合もありますし、別途請求される場合もあります。
ガソリン代などの諸経費は、別途計算して実費を請求されることが多いようです。
【料金の項目と詳細】
人件費:調査にあたった人員一人あたりの金額
車両代:車での移動などが必要となった場合、1台あたりの金額
撮影料:写真撮影、動画撮影が別料金の場合もある
機材代:カメラ、ビデオほか特別な撮影機材などが必要な場合
報告書作成費用:調査報告書の作成にかかる費用
深夜割増料金:調査が深夜に及ぶ場合に請求されることがある
<諸経費>
ガソリン代:実費
駐車場代:有料駐車場が必要となった場合、実費
宿泊費:出張が必要となった場合、実費
通信費:実費
交通費:電車やタクシーを利用した場合、実費
入場料:実費
消耗品代:カメラのフィルムほか、実費
全体的な興信所の料金費用相場
興信所は公的な機関ではないので、サービス内容に決まりはなく、料金についての規定もありません。そのため、調査を依頼した場合にどれくらいの費用がかかるのかわかりにくいという問題点があります。
■興信所の調査費用はとにかく高額
まず、理解しておいていただきたいのは、興信所の調査費用はとても高額であるということです。「数万円ぐらい?」と軽く考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的に、十数万から百万円を超える金額が、興信所の調査費用の相場になります。
調査費用の最も多くを占めるのは人件費ですが、人件費の相場は、1人1時間あたり1万円です。安いところでは、1人1時間あたり7,000円ぐらいのところもありますし、もっと高額になることもあります。また、調査は2人人組で行うことが多いので、人件費は調査にかかった時間かける2人分で計算する必要があります。
■調査に必要な日数により、料金費用が異なる
興信所の料金費用は、調査に要した時間、日数によって大幅に異なります。
1日で調査が終わってしまえばかなりの調査費用の節約になるので、自分でもできるだけ下調べをして、わかっている限りの情報を事前に提出しておくと、調査費用を安く済ませることができます。
案件別!興信所の案件内容と費用目安例
興信所に調査が依頼される案件には、どのようなものがあるのでしょうか。
真っ先に思い浮かぶのは浮気調査、やはりこの案件が圧倒的に多いようです。そのほか、人探しや身辺調査など。そのほか、素行調査、盗聴器への対応、ストーカー対策といった依頼。最近では、いじめの調査といった案件もあるようです。
■興信所に依頼される案件と費用の目安
興信所に依頼される案件の一例と、その費用の一般的な金額をご紹介します。あくまでも目安ですので、実際に調査を依頼したときに必ずしもこの金額になるわけではありません。
◯調査案件:浮気調査
<内容>夫が妻の浮気調査を依頼、平日の夜、2人体制で3日間調査。
<調査費用>7,500円×2人×3時間×3日間+80,000(諸経費)= 215,000円
◯調査案件:浮気調査2
<内容>妻が単身赴任中の夫の浮気調査を依頼、2人体制で10日間夫の身辺調査を行う。
<調査費用>7,500円×2人×5時間×10日間+150,000(諸経費)= 900,000円
◯調査案件:人探し
<内容>遺産相続の手続きのため、行方のわからない親戚を探すことを依頼。出張あり、2人体制で1週間調査を行う。
<調査費用>7,500円×2人×8時間×7日間+250,000(諸経費)= 1,090,000円
◯調査案件:身辺調査
<内容>息子の結婚相手の身辺調査を依頼、2人体制で相手の地元に行き、聞き込み調査を行う。
<調査費用>7,500円×1人×8時間×2日間+50,000(諸経費)= 170,000円
◯調査案件:ストーカー対策
<内容>ストーカーを特定し、ストーカー行為の証拠を押さえるよう依頼、2人体制で半日ずつ1週間調査。
<調査費用>7,500円×2人×4時間×7日間+80,000(諸経費)= 500,000円
◯調査案件:盗聴器の調査
<内容>一人暮らしの部屋に盗聴器がないかどうか調査を依頼、1人体制で、3時間ほどの調査で解決。
<調査費用>7,500円×1人×3時間×1日間+10,000(諸経費)= 32,500円
良質な興信所は料金で分かる?
調査を依頼するなら、しっかりとした調査を行ってくれる、できるだけ確実な業者を選びたいですね。では、どのようにして選べばよいのでしょうか。
■口コミ情報や、利用した人から話を聞くことは実際難しい
興信所を利用した人から紹介してもらう方法が一番確実ですが、興信所を実際に利用したことがあるという人を身近で見つけるのはちょっと難しいかもしれません。そもそも、あまり人に話すようなことではないので、もし身近にいたとしても詳しい話を聞くことはおそらくできないでしょう。また、ネットなどで口コミ情報を集める方法もありますが、信頼のできる十分なデータを集めるのは簡単ではありません。そうなると、信頼できる業者かどうかを自分で見きわめる必要があります。
■信頼できる興信所かどうかを見きわめるポイントは、「お金」
誠実な調査を行ってくれる良質な興信所かどうかを判断するには、お金に関する部分をチェックする方法がおすすめです。
決して安くはない金額をやり取りするわけですから、見積りや請求書、領収書などお金に関する手続きを間違いなく、丁寧に行ってくれる業者なら、安心して調査を任せることができます。逆に、いい加減な手続きをする業者や、お金の扱いがずさんな業者に調査を依頼するのはためらってしまいますね。
■良質な興信所をみきわめるポイント
興信所に調査を依頼するときは、必ず見積りを作ってもらいましょう。また、業者のホームページで確認するか直接問い合わせて、料金体系などについて事前に把握するようにしましょう。
その際に、次のような対応をしてくれる業者なら調査を依頼しても大丈夫そうです。
▼ 見積り書を丁寧に作成してくれる
▼ 料金についての問い合わせにきちんと対応してくれる
▼ 一つひとつの項目について金額が明示されている
▼ パック料金の場合には、内訳が明示されている
▼ 請求書には明細がついている
▼ 追加請求について文書で明示されている
▼ 前払いの場合、清算方法について文書で明示されている
▼ 解約についてきちんと説明されている
■こんな興信所には要注意!
次のような対応をする業者には注意が必要です。調査を依頼しても大丈夫かどうか、しっかりと確認するようにしましょう。
▼ 見積りを作成してくれない
▼ 料金について問い合わせをしてもきちんと答えてくれない
▼ 請求書に明細がない
▼ 追加請求や清算方法についての説明がない
▼ 解約の希望に応じてもらえない
失敗しない興信所の選び方のポイント3つ
興信所選びで失敗しないために、正式な依頼をするまえにやっておくこと、確認しておくべきポイントについてご紹介します。
契約を交わしてしまったあとでは、場合によっては解約が難しく、支払ったお金を返してもらえないなんていう事態にもなりかねません。すぐにでも調査を始めてほしい場合でも、まずは信頼できる興信所選びをすることが大切です。
■①依頼をする前に、必ずホームページなどを確認すること!
もし、知り合いなどの紹介で依頼する興信所を決めている場合でも、事前にホームページなどを確認しておくことをおすすめします。
ほとんどの業者がホームページやツイッター、フェイスブックなどでネット上に情報を発信しています。ネット上で情報を確認できない業者については電話などで直接問い合わせをして、必ず調査費用などの情報を確認するようにしましょう。興信所のホームページを見比べてみると、調査費用についての情報を一切載せていない業者と、できる限り調査費用に関する情報を明確にしている業者があることがわかります。情報を明示していない業者は要注意です。
■②ネット上の口コミ情報には要注意!
興信所を実際に利用した人の体験談や口コミ情報はとても貴重な情報源ですが、ネット上の匿名の口コミ情報には注意が必要です。
興信所に調査を依頼する人の多くは他人に知られたくない事情を抱えているので、依頼内容の詳細を不特定多数の人に向けて事細かに報告するようなことはまずあり得ません。あまりにも詳しく体験談を載せている口コミ情報や、成功例ばかりを載せている口コミ情報は、業者の自作自演の可能性があるので、鵜呑みにしないようにしましょう。
■③複数の業者について検討することが大事
ほとんどの業者が見積りを作成してくれるので、少し面倒ですが、できるだけ複数の業者から見積りを取るようにしましょう。
同じ調査内容でも業者によって料金体系が異なるので、請求金額にかなりばらつきが出ます。どれくらいの日数、どこまで踏み込んだ調査を行うのかということについても事前に相談することができるので、自分が求める調査のイメージにできるだけ近い対応をしてくれる業者を選ぶと、「思っていたのと違う」というトラブルを避けることができます。
まとめ
興信所に調査を依頼するときに、一番気になる調査費用についてご紹介しました。
利用する業者や、調査内容、状況によって費用はまちまちなので、必ずしも予想した金額通りになるわけではありませんが、調査費用の一般的な料金体系や料金相場を知っておくと、業者を選ぶときに有利です。よい業者を選ぶことは、よりよい成果を得ることへの第一歩です。