あなたの周りにおせっかいを通り越して正義を押し付ける人はいませんか?その人はもしかしたら正義マンかもしれません。周囲マンはなぜ周囲からうざがられ迷惑がられても尚、自分の正義を貫こうとするのでしょうか。
今回は正義マンの意味や心理を解説し、正義マンが起こす事例を紹介します。
正義マンの意味とは?
正義マンとは、自分の正義に反する行為を見逃せず、自分の正義を貫くために行動を起こす人を意味します。
社会は複雑であいまいな部分も多く、柔軟な対応が求められます。時には事を上手く収めるために、あえて目を瞑ることもあるでしょう。しかし、正義マンは自分の正義に反していれば、決して見逃さずに修正しようと行動を起こします。
ポイントは「自分の正義」である点です。正義マンは1つの指針、例えば法律や社則などを基準とし、「それを守るのが正義」と考え、臨機応変な行動ができません。その場にいる当事者たちが問題にしていなくても、正義マンの中にある自分の正義に反していれば「是正すべきだ!」と行動を起こします。
ちなみに、正義マンは2chから発生したネットスラングが由来・語源と言われています。ネットで正義を振りかざし、皆に疎まれたのが正義マンの始まりです。
正義マンはクズ?うざい?迷惑?
正義マンと聞くと、正義のヒーローをイメージするかもしれません。しかし、正義マンは決して皆に好かれる正義のヒーローではありません。むしろ、「うざい」「迷惑」と思われる存在です。なぜならば、正義マンは自分の正義を振りかざし、粗を探して誰も望んでいないような指摘をするからです。
SNSやインターネットでは相手の顔が見えないため、特に正義マンの言動が極端になります。強気で正論を振りかざし、楽しい流れをぶっ壊して殺伐な雰囲気にしてしまいます。指摘されても「自分は正しい」で押し通し、相手を言い負かすことに命をかけているのですから、嫌われるのは必然です。
もちろん、リアル社会でも正義マンは迷惑がられます。誰も求めていないのに、自分の正義を誇示しては悦に入ります。中には周囲が迷惑がっていることに気付いていながら、「自分間違ってないし」と引き下がらず、嫌がらせのように主義主張をし続ける悪質な正義マンもいます。
正義マンの心理
正義マンはなぜ、疎まれてまで自分の正義を貫こうとするのでしょうか。その理由は承認欲求の高さにあります。正義マンは周囲に自分を認めさせたい気持ちが人一倍強いのです。
「正しいと立証できること」「決められたルール」を主張すれば、少なくとも「それは間違い」という指摘はされません。それどころか、自分の主張は正論なので、押し通すことができます。
周囲は面倒に思いながらも、「あなたの言う通り」と認めるしかありません。こうして、正義マンは自分の正義を貫き、相手にウザがられながらも承認欲求を満たしていくのです。
また、正義マンの心理は集団で暮らす人間の本能にも深く関係しています。輪を乱す行為は集団生活を滞らせるため、誰もが「ルールに沿って行動しよう」という思考が備わっており、ルールを破る人を排除する心理があるのです。正義マンは輪を守る本能が人よりも強く、極端にルール違反を排除する行動に出てしまうのでしょう。
正義マンの特徴5つ
正義マンは普段の行動や思考にどんな特徴があるのかを解説します。正義マンの特徴に当てはまる項目が多いなら、あなたも正義マンになりやすい要素を持っているので注意しましょう。
■1. 基本暇人
正義マンに忙しい人はいません。基本暇人です。暇だから、人の粗を探す時間が大量にあります。他人のことばかりに目が行き、自分を棚に上げて正義を振りかざす正義マンは、人から必要とされない可哀そうな暇人なのです。
■2. 頑固で柔軟性がない
「これがルールだ」「決まりは守るのが当然だ!」と、例外を認めず正義を貫き通すのが正義マンの特徴です。自分の正義において非常に頑固で、全く柔軟性がありません。臨機応変とは最も遠い位置にいるのが正義マンなのです。
■3. べき思考
正義マンは「〇〇するべき」のべき思考。自分にも他人にも義務を果たし、ルール死守を求めます。「〇〇するべきだからやる」が正義マンの行動原理。正義マンは暇人なのに、常に何かに追い立てられています。
■4. 正論大好き
正義マンは正論大好き。正しい論理と書いて正論。「それは違う!」と反論されるリスクがないため、胸を張って正論を訴えます。
特にインターネットの掲示板では、正論という刃で傷ついた人を更に追い詰める正義マンたちが続出。耐えかねて掲示板の主が逃亡すると、「アドバイスを求めておきながら〆ないなんてマナー違反だ!」と怒り狂います。
■5. SNSをパトロール
正論大好きな正義マンは、自分の論理を披露できる場を求めてSNSをパトロールするのが特徴です。ちょっとした言い間違いや誤字脱字を、まるで鬼の首を取ったように指摘します。
また、引用を引っ張ってきて、「あなたは間違っている!」「これが正解だ!」と、正義を振りかざします。ブロックされると新しいアカウントで別人の振りをして、再度攻撃を始めます。やっていることはネットストーカーとあまり変わりません。
マスク転売ヤーへの正義マンの特徴と行動
新型コロナウイルスの影響により、マスクはとても手に入りづらいものになりました。それを逆手にとって、マスクを買い占めて法外な価格で、フリマサイト等で転売を行う転売ヤーが多数発生。マスクの転売が禁止されるまで、実は正義マンとマスク転売ヤーは熾烈な戦いを繰り広げていたのです。
転売ヤーに対する正義マンの攻撃はいくつかのパターンがあります。
・フリマサイトやオークションサイトに載っている高額マスクをSNSにアップしてディスる
・SNSにマスク転売ヤーのツイートを晒す
・ネットオークションに出品されたマスクを超高額で落札して支払わない
いくら間違った行為とは言え、SNSに晒すのはいかがなものでしょうか。ネットオークションに至っては、「落札しながら支払わない」というルール違反を正義マン自ら犯しています。しかし、これらの行為は悪の転売ヤーを成敗するため。正義マンたちは必要な人にマスクを届けるための正当防衛だと思っているのです。
イートイン脱税への正義マンの特徴と行動
消費税が10%に増税された際、「イートインは10%、テイクアウトは8%」と、同じ店舗でもどこで食べるかによって税率が変わるようになりました。すると、購入時にテイクアウトと伝えて消費税8%で購入し、そのまま店舗の中で飲食するセコイ人たちが現れました。
ここに目を付けたのが正義マン。「店内で飲食するなら消費税は10%だ!」「これはイートイン脱税だ!」と、店内でテイクアウト用の袋から出して食べている人たちに目を付けたのです。
イートイン脱税と思われる人を発見すると、すかさず店員に報告し、注意をするよう促します。どんなに忙しそうでも、店員をイートイン脱税している人の元へ向かわせようとするのです。
中には直接自分で指摘し、店内で小競り合いになる正義マンまで出てきました。これでは、イートイン脱税を指摘する正義マンの方が、店舗にとってよっぽど迷惑です。それでも、正義マンは自分の正義を決して曲げません。
電車内の正義マンの特徴と行動
電車内では優先席付近に正義マンが多発しています。一見優先席対象ではない人が座っていると、正義マンは「なぜ優先席に座るのか。立つべきだ」と直接注意してしまうのです。
しかし、優先席対象の人の中には、妊娠初期や心疾患など、外見ではわからない人もいます。正義マンが注意した人が、実は初期の妊婦だったケースもあるのです。
この時、「妊娠中なんですけど…」と正義マンに伝えると、自分の間違いを謝罪せず、憮然とした表情で立ち去ったり、逆ギレしたりします。承認欲求が強い正義マンは、間違いを指摘されるのが大嫌いなのです。
また、正義マンはベビーカーにも目を光らせています。混んでいる車内でベビーカーを畳まずに乗ってくる親子に「迷惑だ」「危険だ」「ベビーカーを畳め」と意見するのです。しかし、国土交通省では社内でベビーカーを畳まず安全に乗る指針を平成26年に示しています。正義マンは知らないのでしょう。
ネットクレーマーの正義マンの特徴と対応
正義マンはしばしばネットクレーマーになりがちです。なぜならば、メール対応なので入念にクレームを作成することができ、確実に反応が返ってくるからです。
正義マンのネットクレーマーは、説明書などを熟読することから始めます。「クレームに感じたからクレームを出す」のではなく「クレームになる部分がないか」を入念にチェックするのが、ネットクレーマー正義マンの特徴です。文章や表現におかしな点はないか、矛盾はないかをチェックし、発見すると嬉々としてネットクレームを出します。
メールの本文作成は、ネットクレーマー正義マンの最も楽しい作業です。何度も自分の文章を読み返し、クレーム先が言い逃れや反論できないよう理論武装します。クレーム先から謝罪の言葉を引き出すのが生き甲斐なのです。
もちろん、本人はネットクレーマーになっている自覚はありません。自分の行為は消費者を守る正義の好意だと信じて疑いません。
エスカレーターの正義マンの特徴と行動
エスカレーターは2人並んで立てるスペースがありますが、急いでいる人のためになんとなく片側1列になる傾向が強いです。しかし、エスカレーターを製造している企業では、「エスカレーターの階段を歩いたり走ったりするのは危険」というガイドラインを示しています。
これに目を付けたのがエスカレーターの正義マンです。「エスカレーターは2人で横に並んだ方が運送能力は高い。歩いたり走ったりは危険でルール違反なのだから、並んで乗るべきだ」と主張。誰かと一緒にエスカレーターに乗る際は同じ弾に並んで、後ろからくる人には頑なに前を譲りません。文句を言われれば、「あなたの方がルール違反ですよ」と反論します。
どんな時も例外を認めないのが正義マンの特徴です。1人のときはあえて真ん中に立ち、後ろから追い越しにくくして周囲をイラつかせます。正義マンは「自分のお陰で事故も減るだろう」という思考です。
スマホ自転車への正義マンの特徴と行動
スマホの普及により「ながらスマホ」が問題視されていますが、正義マンはここにも登場します。ながらスマホの自転車運転は道路交通法では禁止行為です。
スマホをしながら自転車を運転している人に声をかけ、強引に停めさせた挙句に「違反だ」と訴え、警察を呼んだ正義マンがいたのです。しかも、それだけではなく違反者を動画撮影し、ネットに投稿してしまいました。
スマホをしながらの自転車は危険行為ですから、注意をするのは正しい行為と言えます。しかし、わざわざ警察を呼んだ上に、ネットに晒すのは明らかに行き過ぎ行為です。勝手に人の顔をネットに投稿するのは、プライバシーの侵害であり、名誉棄損に問われるケースもあります。
しかし、正義マンは自分の行動が正義と信じて疑いません。「違反した奴が悪い」の一点張りで、自分の行為を顧みないのです。
パチンコ店への正義マンの特徴と行動
コロナ渦で緊急事態宣言が発令され、パチンコ店には自粛要請が出ました。しかし、それに応じず営業を続けるパチンコ店が続出。これに正義マンが反応しないはずがありません。あちこちのパチンコ店で正義マンが出没し、さまざまな方法で自分の正義を貫きました。
・パチンコ店の客をSNSで盛大にディスる
・パチンコ店の駐車場で「営業を止めろ」とマイクを使って大声で抗議を続ける
・役所に「パチンコ店が営業している」と何度も通報
正義マンの矛先はパチンコ店を通り越して役所までに到達しました。「ちゃんと自粛させろ」と、何度もクレームを入れたのです。
自分の行為が役所やパチンコ店近くの住人にとって、迷惑行為になっているなど夢にも思わない正義マン。「パチンコ店は悪」とばかりに、声を張り上げ徹底的に攻撃したのでした。
正義マンの末路
自分の正義をどこまでも貫く正義マン。例外を許さず、規律を死守することに命を懸ける正義マンと接するのは息苦しく、周囲の人たちは徐々に距離を取り始めます。あるいは、表面上のお付き合いで、正義マンの前では猫をかぶり、いつでも逃げられる体制を整えます。
正義マンは「彼らも自分が正しいとついに理解したのだ」と、自分が距離を取られているとは気付きません。益々自信を持って、自分の正義を振りかざし悦に入ります。そして、気付いた時には、周囲に人がいなくなっているのです。
自分から正義の刃で人を傷つけまくった正義マンを、いざという時に助けてくれる人はいません。ここぞとばかりに「自分の責任は自分でとるのが当然でしょう」とカウンターを受け、孤独な末路を歩む羽目になります。自分が他人に厳しくしていたのですから、他人から厳しくされても自業自得でしょう。
まとめ
正義マンという言葉の響きとは違い、実態は正義の名のもとに周囲を混乱させる迷惑な人です。正義マンを見ていると、「自分は間違っていない」と主張する人ほど面倒で厄介だと痛感するでしょう。
身近に正義マンがいたら、そっと距離をとるのが得策です。そして、正義マンを反面教師にして、自分の行動に気を付けましょう。