「自分の気持ちが分からない……」
「いつも他人にどう見られるかを優先している……」
そう感じている人は、心の境界線(バウンダリー)を健全に引いていないのかもしれません。バウンダリーが健全に機能しないと、自分自身を大切にできなかったり、居心地の良い人間関係を築くのが難しくなったりします。
この記事では、自分と他人との境界線がない人の特徴を具体的に掘り下げ、バウンダリーの意味や、健全な境界線を引くための方法などについて詳しく解説します。
心の境界線(バウンダリー)の意味とは?

まず、心の境界線、バウンダリーの意味とはなんなのでしょうか。
これは、 自分自身と他人を区別するための、目に見えない線のことを指します。具体的には、物理的な空間、感情、思考、価値観、時間、エネルギーなど、さまざまな領域における「ここまでが自分、ここからは他人」という区別のことです。
健全なバウンダリーがある人は、自分の感情やニーズを理解し、それを表現することができます。同時に、他人の感情やニーズも尊重し、適切に対応することができます。バウンダリーが健全に引けていると、お互いに自立した個人として尊重し合い、対等でフェアな関係を築くことができるようになります。
しかし、このバウンダリーが曖昧だったり、存在しなかったりすると、他人の感情や問題を背負い込みすぎてしまい、自分の価値観やニーズを無視してしまうという問題が出てきます。
自分と他人との境界線(バウンダリー)がない人の特徴
自分と他人との境界線がない人には、いくつかの共通する特徴があります。大きく分けて「過剰に自分<他人優先」なタイプと「過剰に自分優先>他人」なタイプに分けられます。

■⚫︎過剰に自分<他人優先
このタイプの自分と他人との境界線がない人の特徴は、自分を犠牲にして他者に合わせたり、衝突を避けるために自分の意見を抑え込んだりする傾向があるということです。
・他人のニーズを優先しすぎる
・他人の感情に過度に影響される
・自分を犠牲にして我慢する
・周りに助けを求められない
・他人に嫌われることを極度に恐れる
・自分の価値観や意見が曖昧
自分の存在価値を他人に肯定してもらうために他人に優しくするのは、 優しさではなく自己犠牲です。これは、単なる優しさではなく相手の境界線内を領空侵犯して支配することに繋がります。
■⚫︎過剰に自分優先>他人
一方で、自分と他人との境界線がない人の特徴には、過剰に他人よりも自分を優先して支配的になるパターンもあります。
・相手に過度な期待や要求をする
・見返りを求める
・他者の自由や選択を尊重しない
・自分の不満を他者のせいにする
どちらにも足りないのは、自分や他人を尊重する気持ちかもしれません。
健全な境界線(バウンダリー)がある人の特徴

一方で、健全に自他の境界線を引けている人の特徴はこちらです。
・Win-Winの関係
・助けが必要なときに頼ることができる
・自分の人生の責任者は自分、他人の人生の責任者は他人だと理解している
・自分ができる範囲と、相手が負うべき範囲の区別がついている
・自分の価値を大切にできない場所は避ける
・お互いのニーズを尊重し合える
・自分にとって負担となるような要求は断り、相手にも過度な期待はしない
境界線(バウンダリー)を引くのが難しくなったきっかけ4選
では、なぜ心の境界線(バウンダリー)を引くのが難しくなったのでしょうか。理由は多岐にわたりますが、多くの場合、幼少期の経験が大きく影響しています。

■1. 幼少期の環境の影響
子どもの頃に「これがしたい!」と親に言った時、「ダメ!」と抑圧されたり、反対に何でもかんでもやりたいことをやらせてくれたりすると、自分の気持ちをどのように言えば良いのか分からなくなってしまいます。
例えば、
・欲しいものを「欲しい!」と言ったら、いつも怒られた。
・嫌なことを「したくない!」と言ったら、「わがまま言わないの!」と言われた。
・何でも「いいよ」と言ってもらえたから、自分のしたいことだけすればいいと思った。
このようなことが続くと、大人になった時に、自分の気持ちを相手に伝えるのが難しくなったり、過剰に「みんなに合わせておこう」と思ったりするようになるのです。
■2. 家庭内で起きていたことが「普通」のことだと勘違いしているから
家庭内とは、不思議な鏡のようなものです。親や兄弟の人との関わり方を、幼少期のあなたは知らぬ間に潜在意識下にインプットしています。
・親があなたの部屋に勝手に入ってくる。
・誰か一人が悲しいと、みんなが悲しい気持ちになって、一人の気持ちがなくなるみたいに感じる。
・みんなの気持ちがごちゃごちゃになって、誰の気持ちが誰のものか分からなくなる。
このようなことが当たり前になっていると、大人になっても、他者との関わりの中で同じようなことになってしまうのです。それが普通のことだと覚えてしまっているからです。
■3. 日本の文化によるもの
日本には、和を重んじる文化があります。これは、本来であれば人との調和を大切にできる素敵な考え方です。
しかし、もし、自分の考えや気持ちがあっても、過剰に周りに合わせなければと思うと、言わない方がいいのかと感じるようになります。一人で違う意見を言うのは恥ずかしいと感じたり、嫌われないか心配になります。
このようなことが続くと、自分の本当の気持ちがだんだん分からなくなってしまうことがあります。
■4. 自己価値を自分で認めるのが苦手だから
もし、自分のことをあまり好きではなかったり、「自分なんて大したことない」と思っていたりすると、こんな気持ちになることがあります。
「私が我慢すれば、みんながハッピーになるならいいや」
「みんなに嫌われたくないから、自分の言いたいことは我慢しよう」
そうすると、本当はやりたくないことにも「YES」と言ったり、本当は「違う」と思っていても黙ったりしてしまいます。それは、自分の気持ちを大切にすることよりも、みんなに好かれることを優先してしまうからなのです。
健全な境界線(バウンダリー)を引くと起こる良いこと
心の境界線(バウンダリー)を健全に引けると、特に人間関係で良いことがたくさん起こります。

■1. 本当の自分のことを好きになり始める
自分の気持ちや、欲しいものを「欲しい」とちゃんと言えるようになると、本当の自分のことを少しずつ好きになれるようになります。
無理をせず、自然に少しずつ自分との距離が近づいていく感じです。「そのままの自分でよかったんだ」と、地に足をつけた自信が持てるようになります。
■2. 心が楽になる
他人のニーズにいつも合わせる必要がなくなったり、一人で抱え込みすぎていた責任が軽くなったりします。そうなることで、心がとても楽になります。心配事も自然と減っていくでしょう。
■3. 対等な人間関係が築ける
自分と他人の間に健全な境界線があると分かっていると、お互いが「一人の大切な人」として認め合えるようになります。
誰かだけが偉いとか、誰かだけが我慢するとかではなく、公平な関係を築けるようになります。
■4. 正直に話せるようになる
自分の思ったことを正直に話せるようになるので、他人との間に誤解が減って、もっと仲良くなれます。言いたいことを我慢しないようになるので、気持ちもスッキリするでしょう。
■5. 自分の人生を自分で決められる
他人に頼りすぎたり言いなりになったりするのではなく、「自分のことは自分で決められる」と、自分で自分の人生を進んでいけるようになります。そうすると、毎日がもっと楽しくて、充実したものになるでしょう。
健全な境界線(バウンダリー)を引くための具体的な方法
では、どのようにすれば健全な心の境界線を引き、それを維持することができるのでしょうか。具体的な方法を解説します。

■1. 自分の気持ちに気づくことから始める
まず、自分で自分に「何を感じているのか」「何をしたいのか」を聞いてあげましょう。
何がいやで、どこまでなら大丈夫なのか、はっきりさせることが最初の一歩です。紙に書き出してみたり、静かに目を閉じて考えてみたりするのもいい方法です。
「NO」は「NO」です。嫌なことを無理している自分に気づいてあげてください。それに気づいてあげられるのは、自分だけです。
■2. 「NO」と言う練習をする
もし、頼まれごとを断るのが苦手なら、小さいことから「いやだ」と言う練習をしてみましょう。「NO」を言うことは、誰かを傷つけるのではなく、自分の大切な時間や力、スペースを守るためです。
本当にあなたを思ってくれているのであれば、あなたの「NO」を尊重してくれるはずです。あなたの「NO」を尊重できない人は、あなたを利用している人です。きつい言い方かもしれませんが、搾取されたくなければ縁を切りましょう。
いきなり強く言わなくても、「ごめんね、今はちょっと無理かも」「少し考えさせてくれる?」というふうに、やわらかく伝えても大丈夫です。
■3. 大切なことを先に決める
自分の時間やエネルギー、気持ちを何に一番使いたいかを、先に決めておきましょう。
例えば、遊ぶ時間や好きなことをする時間を優先したり、学校と家での時間をしっかり分けたり。そうすると、他の人に頼まれても、流されにくくなります。
■4. 誰かの問題は、その人のものだと割り切る
他の人が悲しんでいたり、困っていたりしても、その人の気持ちや問題は、その人自身がどうにかするものです。あなたがその人の気分を良くしたり、問題を解決したりする必要はないのです。
誰かの不満や怒りを向けられても、全部受け止める必要はありません。落ち着いて対応しましょう。
■5. 自分の存在価値は自分で認める
あなたの価値は、他の人に「すごいね!」と言われたり、何かを達成したりしなくても、自分自身で決めることができます。
他人と比べたり、誰かに褒めてほしくて頑張ることは、確かに成長に繋がります。しかし、その闘いのループは優越のリングの中にいる限りずっと続きます。
自分の心の中にある良いところを自分で見つけて、自分で自分の存在を認めてあげましょう。
■6. やわらかなコミュニケーションを心がける
自分の境界線がどこから侵入されたら嫌なラインなのかを相手に伝える際は、相手を責めずに、正直に、やさしく伝えることが大切です。
「○○してくれると嬉しいな」
「○○されると私は困るんだ」
という風にやわらかい話し方をすると、相手も受け入れやすくなります。
■7. 時には距離を置くことも大切
もし、あなたの心の壁を何度も壊そうとしてくる人がいたら、その人とは少し距離を置くことも必要です。
全ての人と無理に仲良くしようとするのではなく、あなたが気持ちよく過ごせる人との関係を大切にしましょう。
■8. 自分を許してあげる
バウンダリーを引こうとすると、もちろん、うまくいかないこともあるかもしれません。過去の自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
でも、大丈夫です。これは、初めて補助輪のない自転車に乗るのと同じで、すぐに完璧にはできないものです。うまくできない自分を許して、焦らずに、少しずつ前に進んでいきましょう。
まとめ
心の境界線(バウンダリー)は、自分自身を大切にし、健全で対等な人間関係を築くために必要不可欠なものです。境界線が曖昧な人は、他人に振り回されたり、逆に他人をコントロールしようとしたりするといった特徴が見られます。
境界線を引くことは、わがままになることではありません。
自分の価値を自分で認め、自分のニーズを尊重すると同時に、相手の価値やニーズも尊重することです。
この記事が、健全な境界線を引くための手立てになることを祈っています!
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タロット占い師。占いの館でプロデビュー後、対面鑑定やオンライン鑑定で実績を積む。その後、渋谷パルコ、西武池袋本店など、人気カルチャーイベントにも占い師として多数出展。衣食住と占いを繋ぐライターとしても活動中。