貧乏ゆすりをしている人が近くにいると、そちらに意識が向いてしまい集中力が削がれますよね。貧乏ゆすりしている人はイライラしているように見えて、妙に気を使ったり、自分までイライラしたりと良いことがありません。
しかし、貧乏ゆすりの原因はさまざまで、中には不可抗力なケースもあります。しかも、貧乏ゆすりには意外な効能もあるんですよ。
そこで今回は、貧乏ゆすりの原因や心理を解説!貧乏ゆすりの効果とやめさせる方法も教えます。
貧乏ゆすりの意味とは?正式名称・語源・由来は?
貧乏ゆすりとは、体の一部を動かす動作で、主に膝下をカタカタとビートを踏むような様子を意味します。
貧乏ゆすりは日本独特の語源で、英語ではそのような行為に付ける正式名称がありません。貧乏ゆすりの語源・由来は「貧乏人が寒くて震える様子」「貧乏人がセカセカ動く様子」「貧乏人が寒さに震える様子」からつけられたという説があります。
名称からもわかるように、貧乏ゆすりは周囲に喜ばれる行動ではありません。多くの国では、貧乏ゆすりは落ち着きのない下品な行為で、マナー違反とされています。
また、貧乏ゆすりによって発生する音が過剰に気になったり、不安や不快感を持ったりする人にとっては、ハラスメントに近い行為になります。
貧乏ゆすりが迷惑・うざい…視界に入ると集中できない…
貧乏ゆすりの捉え方は人には個人差がありますが、多くの人が「気になって集中できないから迷惑」と感じるものですよね。視界に入らないように気を付けても、貧乏ゆすりは音も伴うので、どうしたって気になってしまいます。職場などでは、場所を移動できないケースも多く、「うざい…」と思いながらも耐えるしかありません。
周囲を見渡すとみんな落ち着いているように見えて、「こんなにイライラするのは自分だけ?」と感じ、愚痴をこぼしてストレス発散もできず、ますますつらい状態になります。
しかし、貧乏ゆすりをしている人に「動かないで!」「音を立てないで!」と面と向かって注意できる人は少なく、実はあなた以外の人も気になってイライラしている可能性は高いです。
少なくとも「皆が貧乏ゆすりしている人に何も言わない」という理由で、イライラする自分を責める必要はありません。
貧乏ゆすりの原因5個!病気?癖?
貧乏ゆすりをしてしまう原因はどこにあるのでしょうか。原因を知れば、対処法が見えたり、相手への印象が変わったりして、あなたも楽になれるかもしれません。貧乏ゆすりの原因について解説します。
■1. 緊張や不安を感じている
緊張や不安は筋肉を収縮させてしまい、体全体がこわばった状態になります。それをほぐすために、ほぼ無意識に貧乏ゆすりが起こります。
貧乏ゆすりは極度の緊張や不安から、正常な精神を守るための防衛行動でもあるのです。
■2. ストレスが溜まっている
強いストレスも貧乏ゆすりの原因になります。ストレス解消法の中には運動が含まれます。体を適度に動かすとストレスが解消され、適度な疲労感が睡眠の質を高めます。体を動かしている間は、ストレスの元について思考を切り離すこともできます。
貧乏ゆすりも同様です。体の一部を動かすことで、ストレスを発散させようとしているのです。無意識に行っているケースも多く、貧乏ゆすりをしている本人は、自分が貧乏ゆすりをしていると気付いていないこともあります。
■3. クセになっている
特に緊張やストレスがなくても、貧乏ゆすりをする人もいます。とあるきっかけから、貧乏ゆすりがクセになっているのです。例えば、以下のようなケースがあります。
・一時的に強いストレス状況にあり、そのときから貧乏ゆすりが始まりクセになった
・子供のころからのクセで、特に指摘されずに大人になった
・貧乏ゆすりにジンクスのようなものがあり、ルーティン化している
クセには自覚、無自覚の両方がありますが、どちらにしてもクセを行う具体的な理由はありません。「クセだからついやってしまう」の一言に尽きます。
■4. 発達障害による特性
本人も貧乏ゆすりを止めたいと思っているのに、やらずにはいられない場合もあります。発達障害による特性からきていると、じっとしているのが辛く、貧乏ゆすりをしてしまうのです。
発達障害の原因は定かではありませんが、生まれながらの脳機能の偏りからきていると言われています。
この場合、「止まっているなんて楽じゃん」と言われても、人と感覚が違うため、本人には苦痛で困難なのです。適切な環境整備や薬による調整など、本人に合わせた対処法が必要です。
■5. 病気が原因のケースもある
病気が原因で貧乏ゆすりをするケースもあります。体の一部が動く神経性の病気、あるいは、病気が原因で起こる体の不快感を紛らわせるために、貧乏ゆすりをしているのかもしれません。
例えば、足がムズムズしたり、動かしたい衝動にかられたりする病気に、レストレスレッグス症候群があります。
貧乏ゆすりする人の心理状態
貧乏ゆすりする人の心理状態の多くは、緊張や不安、ストレスなど情緒が不安定な状態です。心の動揺が体の一部に表れているのです。ほぼ無意識に、自分の精神を落ち着かせようとして、貧乏ゆすりをしているのです。貧乏ゆすりで体を小さく動かして、大きな衝動を抑えています。
情緒不安定は一時的なものとは限りません。常に貧乏ゆすりをしている人は、仕事やプライベートでの悩みを抱えていて、常に落ち着かない状態になります。不眠を伴ったり、自律神経が乱れたりするケースもあります。一見穏やかでも、絶えず貧乏ゆすりをしているのは、心晴れない原因が隠れているのかもしれません。
一方、集中力を高めるために貧乏ゆすりをする人も一部存在します。精神統一の一種と言えるでしょう。
どちらにしても、体の揺れを抑えられない病気などが原因の貧乏ゆすりを除き、この行為によって自分を保っているのです。
貧乏ゆすりの効果・メリット4個
「マナー違反」「気になってウザイ」など、周囲から嫌がられることが多い貧乏ゆすりですが、実はさまざまなメリットがあります。貧乏ゆすりの効果、メリットについて解説していきましょう。
■1. 血行が良くなる
貧乏ゆすりは足を細かく動かす運動です。下半身、特にふくらはぎ以下は長く座っていたり、じっとしていたりすると血行が悪くなりがちです。しかし、貧乏ゆすりをすると運動効果が得られ、血行が良くなるメリットがあるのです。
血行が良くなると、血糖値や血圧も安定します。その効果はとても高く、エコノミー症候群を防ぐ効果もあると言われています。
■2. 体の冷えを解消する
急に寒くなると、ガタガタと体全体が震えて、しばらくすると体温が上昇しますよね。貧乏ゆすりにも同様の効果が見られます。体の一部でも継続的に細かく動かすと、体が温まって冷え性が改善するメリットがあるのです。
冷え性は血行の悪さも原因の1つです。貧乏ゆすりは血行を良くすると同時に筋肉を鍛えて体温を上昇させるので、冷え性にはとても良い運動と言えます。
■3. ストレス発散効果がありリラックスできる
貧乏ゆすりは緊張や不安を紛らわせるための行動でもありますが、それだけストレス発散効果があるということです。
貧乏ゆすりをすると、幸福ホルモンと言われるセロトニンの分泌量が増えます。このホルモンは、心身をリラックスさせ、睡眠の質を高める効果があるのです。
■4. 股関節症への効果が期待できる
貧乏ゆすりは医療の現場で治療法としても使われています。「貧乏ゆすり健康法」「ジグリング」という名称で、主に変形性股関節症の治療法として、用いられているのです。
医師の指導の元、正しく貧乏ゆすりをすることで、痛みを軽くしたり、股関節を柔らかくしたりなど、改善効果が期待できます。
貧乏ゆすりはダイエットにいい?消費カロリーは?
貧乏ゆすりは、ダイエットにも良いと言えます。じっとしているよりも、貧乏ゆすりをしている時の方が、当然ですが消費カロリーは大きくなるのです。
ひざ下を揺らす一般的な貧乏ゆすりの場合、1時間当たり50キロカロリー前後のカロリーを消費すると言われています。継続的な貧乏ゆすりは、有酸素運動に近い効果が期待できるのです。
また、下半身の血行が促され、代謝が良くなるのでダイエット効果を高めます。基礎代謝が上がるだけで、何もしなくても消費カロリーが増えますし、同じ運動でも多くのカロリーを消費できるのです。
周囲に人がいる場合、貧乏ゆすりは相手に不快感を与える可能性があるため控えた方が良いでしょう。しかし、1人のときは、テレビ観ながら、パソコンしながらなど、ながらダイエットとして貧乏ゆすりはおすすめです。
貧乏ゆすりのやり方
病気などの予防や治療効果があり、ダイエットにも良い貧乏ゆすりは、すぐにできる健康法と言えます。しかし、日頃貧乏ゆすりをしていない人には、やり方が良くわからないかもしれません。そこで、健康効果の高い貧乏ゆすりのやり方を紹介します。
(1)膝が直角になるような椅子に座る
(2)1秒3~4回ペースでかかとを浮かせてひざを上下に動かす
最初は片足5分ずつから、徐々に時間を長くしていきましょう。慣れたら両足同時に貧乏ゆすりをすると、更に運動効果が高くなります。貧乏ゆすりは意外と足の筋肉を使うため、無理をしないことが大切です。
貧乏ゆすりをやめさせる方法3個
「貧乏ゆすりをやめさせたい!」と思うなら、相手への思いやりと根気が必要です。その上で、貧乏ゆすりをやめさせる方法を紹介します。
■1. 別のことに気を逸らしてあげる
貧乏ゆすりをしてしまう人の多くは無意識で、特に手持無沙汰なときにしてしまいがちです。どこか動いていないと落ち着かないのでしょう。ですので、「貧乏ゆすりしてるよ。やめて」と言うだけでは、相手を辛い状況にしてしまいます。大切なのは、貧乏ゆすりをしなくても良いように、あなたが別のことに気を逸らせてあげることです。
そこで、別のことに気を逸らせてあげるよう誘導しましょう。手を動かす作業に誘うのが良いでしょう。特に作業がないなら、一度席を立って少し体を動かすだけでも、本人の気が紛れて貧乏ゆすりが軽減されます。
■2. リフレッシュに付き合う
貧乏ゆすりが緊張や不安、心配事からきている場合、リフレッシュに付き合うのが良いでしょう。一時的な貧乏ゆすりのケースも考えられるので、まずは楽しい話題を提供したり、一緒に美味しいものを食べたり遊んだりして、相手のストレスを軽減させてあげるのです。
貧乏ゆすりが精神的な原因で起こっているなら、安心してリラックスできれば、自然と治まります。
■3. 優しく指摘する
環境調整でも貧乏ゆすりが治まらないようなら、クセになっている可能性が高いです。貧乏ゆすりを治すには、自覚が必要になりますので、いよいよ指摘しなければなりません。しかし、指摘の仕方を間違うと、相手との関係が悪化してしまいます。信頼関係がなければ、改善も難しいです。
貧乏ゆすりを指摘する際は、優しい言葉を選びましょう。「実は、足を動かすの、気になってたんだ。できれば、動かさないでほしいな」と、まずは「貧乏ゆすり」という言葉を使わずに、遠回しに指摘します。これで、相手が無自覚かどうかがわかります。後は、状況に合わせて優しく協力する姿勢を見せながら指摘を続けましょう。
ただし、貧乏ゆすりの原因の中には、本人の努力だけではどうにもならないものもあるので注意が必要です。本人に治す意志があるのに上手くいかない場合は、指摘を続けると追い詰めてしまうかもしれません。指摘を続ける際は、相手の精神状態を見ながら、臨機応変に対応しましょう。
貧乏ゆすりの改善対策
「いつの間にか貧乏ゆすりをしてしまう…」という場合、貧乏ゆすりをやらないように意識するだけでは改善が難しいかもしれません。無意識に貧乏ゆすりをしてしまう原因を取り除くことを同時に進めましょう。
貧乏ゆすりの原因の多くは、緊張や不安などのストレスや、体をじっとさせることへの反動です。家でも職場でも、リフレッシュの時間を取り入るようにしましょう。少なくとも、1時間に1回は軽いストレッチをしたり、小休憩を挟んだりして、気分転換を兼ねた心身のリフレッシュをすると良いでしょう。
また、日常的な運動不足も貧乏ゆすりの原因になりますので、1日5分でも運動に集中する時間を作りましょう。運動はストレス発散効果もあり、睡眠の質も高めるので一石二鳥です。
「不安や緊張を感じると、つい貧乏ゆすりが出てしまう」という人は、自分を落ち着かせる別の方法を探しましょう。スピンドルやスクイーズなど、癒しアイテムがおすすめです。
子供の貧乏ゆすりをやめさせるには?
子供の貧乏ゆすりは、しつけで無理に止めさせるのではなく、まずは原因をしっかり究明することが重要です。日頃貧乏ゆすりしない子供がするなら、精神的な不安や緊張、イライラを感じている可能性が高くなります。貧乏ゆすりが子供からのSOSというケースは少なくありません。それなのに、一方的に「マナー違反」と叱れば、子供の負荷が増大し、かえって悪化してしまいます。
また、子供のタイプによっては、体の一部を動かすことで集中したり、辛い状況をまぎらわせたりしています。特に、多動と呼ばれるタイプの子供は、体の動きがまったくないじっとした状態が苦手で、貧乏ゆすりで調整しているかもしれません。
このように、子供によって貧乏ゆすりの原因は違うため、それに合わせた対応が必要になります。貧乏ゆすりを決して責めず、精神的なケアや、代替法を一緒に考えるなど、寄り添った対応をしましょう。
貧乏ゆすりをやると貧乏になる?
重要な商談中などに貧乏ゆすりを止められなければ、相手の心象を悪くして破断する可能性はあるでしょう。お金を稼ぐ上で、コントロール不能な貧乏ゆすりにはデメリットがあることは確かです。
しかし、「貧乏」という名称がついている貧乏ゆすりですが、やると貧乏になるわけではありません。そもそも、海外では同じ動作でも「貧乏」という表現は使われていません。日本独特の言い回しであり、行動と結果をつなげる言葉ではないのです。
むしろ、前述した通り貧乏ゆすりにはメリットもあります。アメリカでは、貧乏ゆすりをする女性は死亡リスクが低くなるという研究報告もあります。時と場合を選んで貧乏ゆすりをするならば、貧乏どころか自分に多くの得をもたらします。
まとめ
貧乏ゆすりをしている人には悪気がない、それどころか自覚がない、不可抗力のケースもあるとわかると、少しだけ寛大な気持ちになれるものです。しかし、中には人によっては「貧乏ゆすりがストレスでたまらない」という人もいるでしょう。この場合は、回避不能ならば、お互い歩み寄って協力しながら改善する努力が必要になります。
わかっていても貧乏ゆすりがやめられない人もいれば、「気にするな」と言われたってどうしても気になってストレスという人もいます。世の中にはいろいろなタイプが存在するので、仕方のないことです。敵対関係になると、更にストレスは大きくなるので、上手に譲ったり譲られたりして、お互いの妥協点を見つけられるよう模索していきましょう。