あなたは、夢をよく見ますか?もちろん寝ている時に見る夢です。 「私は夢など見ない!」そんな人も多いかもしれません。
ですが、かの精神分析の権威・ジグモンド・フロイドから始まった夢分析の研究によると、誰もが「毎晩、夢を見る」ことが明らかとなっています。
夢を見る頻度や種類は?
それを裏付けするために行われた実験はこの様なものでした。
①被験者達の睡眠中の鼓動、脳波、眼球や体の動き、呼吸などを測定
②測定中、ある種の身体的反応が示された時に、その被験者を起こして、以下のことを質問する 。「夢を見ていましたか?」
すると、どの被験者も「はい」という返事がかえってきたそうです。実験前には、決して「夢を見ない」と主張した人も含めてです。
また、人は一晩に一つだけ夢を見るのではなく、実際には10種類近く夢を見ることもあり、少なくとも3種類は夢を見ているとする説もあります。
一般的には、人は眠りについてから約1時間ほどで夢を見始め、夢と夢の間には約90分の休憩(レム睡眠とノンレム睡眠のインターバル)が挟まれます。
1回の夢の長さは、10秒から30秒程で、夜が更けるにつれて長くなるとされます。この説通りなら、人は誰しも毎晩、夢を見ていることになります。それでも夢を見ていないと言う人がいるのは、夢が余りに短いので、起きた際に忘れてしまうのでしょう。
怖い夢を覚えている理由
但し、怖い夢なら別格です。具体的には覚えてなくても、怖い夢は目が覚めても強い印象を残すでしょう。うなされる様な悪夢ならば、最悪ノイローゼにかかる可能性もあるので避けたい所ですが、怖い夢=悪夢と決めつけるのは早急と言えるでしょう。
怖い夢は、度を越えた言動や生活習慣を直すために、潜在意識が発した警告かもしれません。もしくは、はっきりと自覚していない不安が夢となって表れたのかもしれません。はたまた、日常世界では満たされない願望が夢となって投影されたのかもしれません。いずれにせよ、朝の快適な目覚めを、怖い夢で遮られるのは不快なもの。
前置きが長くなりましたが、この記事では怖い夢を見る原因を、そしてそんな夢を見ないための対処方法を説明します。
原因1:日頃の精神的ストレスや負担
一般的には、大人より子どもの方が、怖い夢をよく見るとされます。
それは何故か?
一つは、大人より子どもの方が感覚的に敏感で刺激を受けやすいので、それが夢として投影されやすいとする考えから。もう一つの理由として、子どもがレム睡眠の割合が高いからだと、考えられています。
レム睡眠とはざっくり言えば、浅い睡眠状態のコト。この状態の時に、人は夢を見やすくなります。子どもはレム睡眠の時間が長い分、怖い夢を見る機会も多くなると、解釈出来るでしょう。逆に、深い睡眠状態のコトをノンレム睡眠と言います。誤解されている所もありますが、ノンレム睡眠の状態でも、夢は見ます。只、その回数はレム睡眠より少なくなると言う話です。
では、大人になるにつれて、深い眠りであるノンレム睡眠が増えている筈なのに、それでも怖い夢を見るのは何故か?
その第一の理由として、子どもの頃には感じてなかった、日常のストレスや負担が考えられます。仕事に対するプレッシャー、上司からの圧力、職場や家庭での人間関係の険悪さや不満等々…。現実世界で起きる様々なストレスが、怖い夢として反映されている可能性があるでしょう。
レム睡眠中は、寝ているとしても脳の活動自体は行われています。その為、上記した数々のストレスを、脳は無意識の内に、夢を通じて解消しようとしているのでしょう。逆に言えば、ストレスの要因がハッキリとしていれば、怖い夢を見るコトも少なくなる筈です。その為にも、ストレスの不安や原因を明らかにするコトが大切でしょう。
ですが、人がストレスゼロで生活するコトは、基本的不可能です。襲ってくるストレスや不安要素に対し、どれだけ免疫力をつけるか、そちらも大切となるでしょう。適度にストレスを発散させる為にも、身体を鍛える、趣味に没頭する、美味しいモノを食べると言った気分転換は必要不可欠と言えます。但し、心的外傷後ストレス障害(PTSD) の様な、命の危険がさらされる出来事、虐待と強い精神的障害が引き金となって、怖い夢を見ている可能性も。その場合は、心療内科の様な専門家に相談してみるのも必要でしょう。
原因2:就寝時の姿勢や寝具・寝室環境
我々が睡眠中、夢を見せてくれる脳の機能は、現実状態で起きているコトを、夢に変える力があります。例えば…眠っている際、寝具や胸の上に組んだ腕が重たく感じる→胸の上に、幽霊が乗っている夢として現れる。うつ伏せで寝ていて、息苦しくなる→海やプールで溺れ苦しむ夢として現れる。寝室が暑い→火山の噴火や、火災の炎に巻き込まれる夢として現れる。等々、夢の世界と現実世界は、それぞれ距離がある様に見えて、実は意外な程シンクロしています。
裏を返せば、怖い夢を見る原因として、寝る時の姿勢や寝具状態、寝室環境などに問題がある可能性が考えられます。
寝具が厚くて重くなってたり、寝室自体が暑くなってませんか?
また、テレビやスマホをいじったまま、眠りに落ちてませんか?
更には、うつ伏せや胸に手を組んで、眠ってませんか?
心当たりがあれば、寝具を軽いモノに代える、眠る前にテレビやスマホをいじらない、腕に負担を掛けないなど、寝室環境を整えてみて下さい。
原因3:ホルモンバランスの変化
思春期の頃や、妊娠中は怖い夢を見やすいとする説があります。
それは何故か?
ホルモンのバランスによって、体調は急速に変化します。その違和感が生じた結果、怖い夢を見やすくると考えられます。つまり、成人した大人よりも、思春期で体も心も変化していく子供の方が怖い夢を見やすい。そして男よりも、妊娠などホルモンバランスが崩れやすい女性の方が、怖い夢を見やすいコトになります。
不安の理由が分からなかったり、誤解していると原因①のストレスに繋がっていく怖れも。只、裏を返せば原因を知っておけば、ストレスも解消しやすくなるでしょう。
ホルモンバランスの乱れが原因の場合、もちろん自分の手で調節する訳にはいきませんが、『ホルモンが乱れているが、そんな時期なのだ』と、心の中で受け入れるコトで、怖い夢を見る回数は少なくなっていくでしょう。
原因4:体調不良によるだるさや症状
原因①で取り上げた、精神的な不調・ストレスの他、体の不調も、怖い夢を引き起こす可能性を高めます。
例えば…
・熱がある→火事で炎に包まれる、砂漠を延々と歩き回る夢など。
・風邪を引いて息苦しい→宇宙空間に飛ばされ、呼吸が出来なくなる、大蛇に首を締め付けられる夢。
・足がだるい→地縛霊に足を捕まれ歩けない、足に鉄球をかせられ歩けなくなる夢等々。
先に述べた通り、体のコンディション不調が、怖い夢として反映されるコトも珍しくありません。これらの症状を改善すれば、怖い夢を見るコトもなくなるでしょう。体を休ませる方法として、例えばマッサージや整体、エステなどに通うなどしてケアを行い、体を労うコトが大切でしょう。
原因5:深夜の飲酒
ぐっすり眠るため、ビールやワインなどを寝る前に飲酒するコトがありませんか?日本では不眠症対策のトップとして、この寝酒が挙がっているコトが多いそうです。アルコールには、不安を減らしたり気持ちを落ち着かせる作用がある為、この習慣を行っている人が多いのでしょう。只、ご存知の方も多いでしょうが、寝酒は心地よい眠りを得られる為、そして怖い夢を避ける為には、NGな行為です。なぜか?
飲酒により、確かに眠気を誘う状態が起こりますが、これはレム睡眠状態の浅い眠り。疲れを取る深い睡眠たるノンレム睡眠の状態には、入りにくくなります。それだけ眠りが浅く、結構寝ても、疲れが取れにくくなるでしょう。 つまり、寝酒でレム睡眠が増える分、怖い夢を見る確率も増えてくると言うコト。体の為、また怖い夢を引き寄せにくくする為にも、寝酒の習慣は避けるのが賢明と言えます。
寝酒を改善していく為には、飲酒を眠る前ではなく、夕食時に飲む様にしていく。また、週に少なくとも一日は、休肝日を設ける必要があるでしょう。また、夜中に衝動的な飲酒予防として、お酒を買い置きは避け、冷蔵庫にストックして置かないコトも大切と言えます。アルコール依存は、ある意味怖い夢を見るよりも恐ろしい状態と言えますので、くれぐれもご注意を。
原因6:生活習慣の乱れ
初めにも取りあげたように、不規則な生活習慣も、怖い夢を見る要素になることがあります。例えば、昼夜逆転の生活。寝る時間、起きる時間が一定していない。朝食抜き、もしくは栄養バランスが乱れた食生活、夜中のスマホいじり等々…。
これらの要素が一つ、もしくはいくつも合わさって、眠りの浅さを、そして怖い夢を見る背景を生み出している可能性があります。
もちろん、仕事や勉強など多忙な生活を送る現代人にとって、365日を規則正しい生活を送るなど、ほぼ不可能に近いでしょう。
ですが、自分なりに規則正しい健康ペースを保つこと、例えば、寝る時間起きる時間を一定にする、朝ご飯はキチンと食べる、深夜にスマホやPCは扱わないなどで、生活習慣の乱れを防ぎ、しいては怖い夢を見る予防につながると言えます。
原因7:食後すぐの睡眠
原因5や6にも関連しますが、食べてすぐの睡眠も、怖い夢を見る要素を呼び込む可能性があります。それはなぜか?
食べた直後は、胃腸器官が食べ物の消化のためにフル稼働して脳やその他の箇所へ、血液の流れが届きにくくなります。これはつまり、体が休む状態に至ってないと言うコト。当然、眠りが浅くなりますので、怖い夢を見る確率も高まって来ます。また、睡眠中は寝汗を大量にかきますが、食事すぐの眠りによって、それが過剰に反応して汗の量が増す可能性も。例えば…胃がもたれたままの睡眠→怪獣の様な巨大な生物に押し潰されている夢、寝汗を多量にかく→怖い存在に追われる夢、溺れる夢などに、現れていく可能性があるでしょう。
これは、食べてすぐの睡眠を控えることで解決します。少なくとも、食事をとって3時間は起きておきましょう(但し、昼食後10分ほどの睡眠は、脳を休める意味で効率的な面があります)。
原因8:怖い話を聞いた
この原因は、非常に分かりやすいでしょう。テレビや映画、ネットなどの怖い映像を見た、もしくは怪談話や小説などで、怖い話を聞いた為、それを消化する意味で、怖い夢として現れた可能性です。これは、人によって中々消化しきれない面がある為、一番いいのは夜中に、怖い類の話や映像には、近づかないコトが肝心です。
ただ、どうしても見た、聞いてしまった場合は、面白い映像や話を聞いて、怖い話にフタをしてしまうのがいいでしょう。
原因9:誰かを憎み恨んでいる
夢は、その人の精神状態が反映されてきます。怖い夢を見た際には、潜在意識が非常に攻撃的、ともすれば憎しみを帯びている可能性も。それはなぜか?
怖い夢を見る背景に、誰かに対する強い憎しみが伴っている場合、潜在意識がそれを中和・解消する意味で、怖い夢を映すコトがあります。次の項でも記しますが、これはそんな闇に堕ちそうな気持ちに屈しない様に現れる警告の夢。人を呪わば穴二つの言葉通り、呪いのダメージは、自分にも返ってくるコトを教えてくれるのでしょう。
眠る前はリラックスして、腹の立つ相手に関しては、極力思い出さない様に、気をつけて下さい。どんな嫌な出来事が起きてたとしても、熟睡すれば忘れていきますから。
原因10:未来に関する警告
これまで、怖い夢を見る原因を書き綴って来ましたが、どうも自分にも心当たりがない…そんな方もいらっしゃるでしょう。 それでも怖い夢を頻繁に見る場合、その夢は、これから起きる出来事に対しての警告夢かも知れません。例えば…追いかけられる夢、仕事に何か重要な問題が差し迫っている。
・溺れて苦しむ夢→状況がより深刻になる。
・寝たきりになる→今の状態だと、心身共に疲れはてていく未来を示す。
等々、怖い夢は多分に警告の意味合いを持っている場合もあります。
枕元にノートを置き、目覚めたら見た夢を書き残して置くといいでしょう。怖い夢で、警告の意味合いを持つなら、内容の分析次第で、危機は未然に防げる筈です。また、怖い夢の中には、いわゆる逆夢もあります。それはこれからの幸福を暗示する意味かも知れません。
まとめ
各項目を参照にして、怖い夢を取り除かれ、睡眠ライフが快適になることを願ってやみません。最後に、怖い夢を忘れるおまじないをお伝えしておきましょう。
怖い夢を見た時、『バクバクバク』と3回口ずさんでください(伝説の生物バクは、悪い夢を食べると言い伝えられるため)。何かの際には、使って下さいね。