東京都文京区にある「印刷博物館」へ取材を⾏ってきました。「ホームページの情報だけではよく分からない」「インターネット上の⼝コミや評判だけではよく分からない」という⽅は、ぜひ参考にしてください。
取材先の美術館名:印刷博物館
Q. 施設の概要を教えてください。
当館は、東京都文京区水道の「トッパン小石川本社ビル」内に位置します。オープンは2000年10月、経営母体は凸版(とっぱん)印刷株式会社で、会社の創業100周年を記念して設立されました。企業ミュージアムではあるのですが、社史や商材の紹介などのコーナーは設けず、幅広く印刷産業の歴史を紹介する博物館としているのが特徴です。
Q. 展示物の構成を教えてください。
地階のメインの展示室では、常設展と年1回、大型展覧会を開催しています。2021年は「和書ルネサンス 江戸・明治初期の本に見る伝統と革新」と題して、印刷がどのように文学の発展に貢献してきたかについての展示を行いました。来年は地図をテーマに展覧会を開催する予定です。
常設展は「印刷の日本史」「印刷の世界史」「印刷×技術」と題して、印刷をテーマとしたさまざまな展示を行っています。紙とインキ(墨)と版、圧(印刷機)を駆使することで、一気に複製を作ることができる「印刷」が、社会や文化におよぼした影響を体系的に読み解きます。
こちらには制作年代がはっきり分かっている世界最古の印刷物、770年頃に印刷された経典「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとうだらに)」を展示しています。また、西洋式活版印刷の祖であるグーテンベルクが出版した「グーテンベルク42行聖書」の原葉も。世界的に重要な資料をはじめ、歴史的資料がたくさん展示されています。
いっぽう1階入口付近の「P&Pギャラリー」では、年に3~4回、現代の印刷表現や技術をテーマにした企画展を行っています。また、「VRシアター」では、土曜、日曜、土日に続く祝日に、20分程度の高品質なVR(バーチャルリアリティ)作品を上映しています。半径8メートル、高さ4メートル、水平方向の視野角が120度もある巨大スクリーンで、まるでその場にいるかのように、普段は見ることができない遺跡や空間を再現した作品を鑑賞することができます。2021年は9月26日まで「日光東照宮 国宝 陽明門」を上映。時期により上映プログラムは異なります。
印刷工房は、実際に活字を組んで印刷の体験をしたり、活版印刷の道具を間近で見ていただいたりできるコーナーです。500年以上続く長い活版印刷の歴史に、実際に触れることができます。
Q. デートスポットとしての見どころを教えて下さい。
印刷工房では活字の棚を、壁一面に保存しています。とてもたくさんありますが、これでもまだ一部なんです。ぎっしりと並んだ活字は圧巻ですよ。館内は写真撮影ができないのですが、こちらは写真撮影OKなスポットですので、シャッターを押される方が多いですね。ご来館の際にはぜひ写真を撮ってみてください。
また、徳川家康の命により作られ重要文化財にも指定されている「駿河版銅活字」や『解体新書』など、歴史上の有名な人物の関わった作品や、歴史的に重要な印刷物の実物を実際に見ることができ、そこでお話が盛り上がる方も多いようです。
Q. 人気の企画やイベントはどんなものがありますか?
印刷工房の活版印刷体験でしょうか。自分で活字を拾ってセットし、卓上型の印刷機で印刷工程まで体験することができます。コースターやメッセージカードなどを作っていただけるので、カップルでお互いにメッセージカードを贈り合うのも素敵です。
印刷工房では見学ツアーも行っています。工房内をインストラクターがご案内します。また、「大人のための活版ワークショップ」では、紙で作る版画や和紙で作る名刺など、大人が楽しめる企画を行っていますので、日時が合えばお好きな講座に申し込んでチャレンジしてみてください。
Q. 併設施設について教えて下さい。
ライブラリーには印刷関連分野を中心に7万冊の蔵書があります。司書が在籍しており、事前にお問合せいただければレファレンスのサービスも行っています。
ミュージアムショップでは今までの展覧会の図録をはじめ、印刷やデザインに関連する書籍やグッズを販売。ここでしか手に入らないおしゃれなオリジナルグッズもたくさんあります。なかでも人気なのは、「駿河版活字シュガー」。その名のとおり重要文化財の「駿河版銅活字」の字面と薬研彫を再現した角砂糖です。沖縄産のさとうきびのみを原材料に使っているこだわりの一品なんですよ。ほかにも、収蔵品をモチーフにしたポストカードやマスキングテープ、「グーテンベルク42行聖書」デザインのTシャツやトートバッグなどが揃うので、楽しくお土産を選んでいただけると思います。
Q. 利用者さまについて
幅広い年代層の方がご来館くださいます。お一人さまからカップル、団体さままでさまざまです。とくにデザインを勉強されている方、また本や歴史がお好きな方が多いように見受けられます。
Q. 料金・予約について
料金は展覧会開催時に変わります。ホームページでご確認いただければと思います。展覧会開催期間中は、価格に常設展の入場料金も含みます。
常設展の入場料は下記のとおりです。
一般:400円
学生:200円
高校生:100円
中学生以下および70歳以上の方:無料
活版印刷体験、工房見学ツアーはホームページから事前予約が必要です。
また、2021年7月現在、入館は事前予約制となっております。ホームページから入館予約をして来ていただけますとスムーズです。事前予約をされずご来館の場合でも、入館の人数枠を超えていない場合には、連絡先の記入などの手続きをされたうえでご入場いただけます。
Q. 付近のおすすめ観光スポットを教えて下さい。
神楽坂方面に足を伸ばしていただくと、美味しいお食事処やレストラン、カフェ、またこだわりの雑貨屋さんなどがたくさんあります。縁結びの神社「東京大神宮」もカップルにはいいのではないでしょうか。一歩路地裏に入ると、落ち着いた街並みがあり、散策するのにとても楽しい街でおすすめです。
また、歩いて10分ほどのところに東京ドームがあります。東京ドームシティで便利にショッピングを楽しむのもいいですね。小石川後楽園で静かな庭園をゆっくり散策するのも素敵な過ごし方だと思います。
博物館、庭園、ショッピング、街歩き…と、立ちっぱなしで疲れたら、東京ドームシティの「ラクーア」のスパで疲れを癒すといいのではないでしょうか。
Q. これから利用したい方へひとことメッセージをお願いします。
印刷の歴史というとちょっとかたい印象を受けるかもしれませんが、印刷は意外と身近な技術です。こんなところに印刷技術の影響が!という驚きを体験してほしいですね。はるか昔の8世紀の印刷物から、レトロな雰囲気の近代日本のポスターまで、きっと好奇心や感性を刺激するものがあると思います。
ぜひご来館お待ちしております。
印刷博物館の基本情報・営業時間・定休日
事業者名:印刷博物館
住所 :〒112-8531 東京都文京区水道1丁目3番3号トッパン小石川本社ビル
電話番号:03-5840-2300
営業時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
定休日 :毎週月曜日(ただし祝日・振替休日の場合は翌日)年末年始、展示替え期間
URL :https://www.printing-museum.org/