北海道沙流郡にある「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」へ取材を⾏ってきました。「ホームページの情報だけではよく分からない」「インターネット上の⼝コミや評判だけではよく分からない」という⽅は、ぜひ参考にしてください。
取材先の博物館名:「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」
Q. 施設の概要を教えてください。
アイヌの伝統文化を、生活に使われている様々な展示品を通して学べる「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」。平取町を流れる沙流川(さるがわ)流域に暮らすアイヌの人たちは「サルンクㇽ(沙流の人)」と呼ばれ、ここ二風谷は北海道内のアイヌ民族のなかでも1つの有力な文化圏が形成された土地です。
1992年(平成4年)4月にオープンし、広さは1258平方メートル、資料は約1000点を展示しています。隣接する「二風谷コタン」には、9棟のチセ(住居)が復元・展示されています。
急傾斜となだらかな面との緩急をつけた扇状の大屋根が特徴的な建築は、北海道の建築設計事務所「アトリエブンク」の手によるもの。無機質な鉄筋コンクリートの建築と手仕事のぬくもり溢れるアイヌ民具との対照も見どころです。
Q. 展示物の構成を教えてください。
アイヌ文化の保存運動に尽力し、アイヌ民族初の国会議員となった故・萱野(かやの)茂氏が、長年かけて収集したアイヌ民具の品々を展示しています。萱野氏は、当館の前身となった「二風谷アイヌ文化資料館」の設立に貢献し、後に館長も務められました。
展示物は、二風谷とその周辺地域のアイヌ生活用具コレクションです。当館と「萱野茂二風谷アイヌ資料館」の資料のうち1121点が、2002年(平成14年)に国の重要有形民俗文化財の指定を受けています。
展示室は4つのゾーンに分かれています。
アイヌゾーンは、衣食住を中心とした生活用具類を展示しています。彫り物や縫い物に見られるアイヌの伝統的な技工や文様のセンスにぜひ注目してください。
カムイゾーンは、祈りや信仰、伝説、物語などアイヌ民族の精神文化に触れるゾーンです。ビデオブースで、ユカㇻ(叙事詩)・カムイユカㇻ(神謡)・ウウェペケㇾ(昔話)などを実際に聞いてその豊かな響きを感じてください。アイヌ語がわからなくても、独自のメロディとフレーズを楽しめると思います。
モシリゾーンは、農耕や狩猟、葬送などに関する資料を紹介。チㇷ゚(丸木舟)は日本一の大きさを誇ります。二風谷で現在活躍中の工芸家が腕をふるった作品も見られます。
モレウゾーンは、アイヌの技巧と造形美を紹介しています。男女それぞれの手仕事に宿る伝統美、モレウ(静かに・曲がる:アイヌ文様)による装飾と造形を堪能できます。
Q. デートスポットとしての見どころを教えてください。
前出のチㇷ゚は全長8メートル。実際に見ると圧倒されるでしょう。体験用のチㇷ゚に乗って、人気マンガ「ゴールデンカムイ」の気分で写真を撮ってみてくださいね。
また、アットゥㇱのはた織りはアイヌ文化の代表的なものです。アットゥㇱとは、オヒョウなどの樹皮の内皮から作った糸を用いて機織りされた樹皮衣で、糸によりをかけることで独特な風合いを出します。水に強く通気性に優れ丈夫なので、着物、半纏、帯、小物などに使用されています。
展示物は、近距離で鑑賞できる工夫をしていますので、おおらかかつ繊細な工芸のわざをぜひじっくりとご覧ください。
Q. 人気の企画やイベントはどんなものがありますか?
毎年10月から2カ月間は、テーマを決めて特別展を開催しており、関連講座も行っています。
また、木彫の体験学習もあります。10名から受け付けをしており、2週間前までに予約をお願いしています。
Q. 併設施設について教えて下さい。
館内にミュージアムショップはありませんが、博物館の前にある「平取町アイヌ文化情報センター(二風谷工芸館)」でイタ(お盆)やアットゥㇱをはじめとする地域のアイヌ工芸品を販売しています。夏期には木彫体験を行っていますので、興味のある人はお問い合わせください。
また、二風谷コタンにはカフェもありますので、ご利用ください。
Q. どんな利用者が多いですか?
普段は、全国各地から修学旅行生が訪れます。土日のお休みや連休は、家族連れも多く来館されますね。幅広い年代層の方々に楽しく学んでいただいています。
Q. 料金・予約について教えて下さい。
大人400円、小中学生150円です。20名以上の団体さまは、大人350円、小中学生100円です。そのほか、「萱野茂二風谷アイヌ資料館」「びらとり温泉ゆから」との2館、3館共通券も販売していますので、ぜひご利用ください。
予約は特に必要ありません。土日や連休は、お昼前後に混み合うことがあります。
Q. 付近のおすすめ観光スポットを教えてください。
すぐ近くには沙流川の自然や歴史を紹介する「沙流川歴史館」があります。二風谷地区の国道237号線の反対側には、萱野氏の収集物を展示する、私立の「萱野茂二風谷アイヌ資料館」、クラフト制作など体験型の観光が楽しめる「アイヌ工芸伝承館ウレㇱパ」などがあり、すべて徒歩圏内なので、ぜひ足を運んでください。また、国の登録有形文化財に指定されている「旧マンロー邸」は、森の中を散策しながら徒歩10分くらいで行けますよ。
ドライブがてら足を伸ばすなら、日帰り入浴のできる「びらとり温泉ゆから」、源義経をご祭神とする「義経神社」なども楽しめるでしょう。平取町には見どころがいっぱいです。
デートなら、まずは当館を見学して、その後数棟のチセが並ぶ「二風谷コタン」を散策するのんびりコースはいかがでしょうか。コタン内には軽食を楽しめるカフェもあります。また、各チセではアイヌ工芸師が木彫りや刺繍などを行い、交流の場にもなっています。ぜひゆっくりとした時間を過ごしてください。
Q. このインタビューを見た人への特典はありますか?
受付にてSpicomiを見たとお申し出いただくと、博物館オリジナルポストカードを1枚プレゼントいたします。
Q. これから利用したい方へメッセージをお願いします。
当館は、札幌から車で約1時間50分、新千歳空港からは車で約1時間と、気軽に訪れていただくことができます。自然豊かな平取町で、アイヌ文化をじっくり堪能してください!
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の基本情報・営業時間・定休日
事業者名:平取町立二風谷アイヌ文化博物館
住所 :〒055-0101 北海道沙流郡平取町二風谷55
電話番号:01457-2-2892
営業時間:9:00〜16:30
定休日 :4月16日~11月15日無休
12月16日~1月15日館内整備のため休館
11月16日~4月15日毎週月曜日
URL :http://www.town.biratori.hokkaido.jp/biratori/nibutani/