風水は、人がこの世に生を受けて命を全うするまで、いかに苦しみから逃れ幸せに生きていくかを追求した中国発祥の学問でもあります。
私たちが生きていくうえで、食べることと排出することは欠かせません。昔からトイレには神様がいると言われてきましたが、風水でいえば神様は気のエネルギーとも言えます。
トイレの気のエネルギーを上げることで、健康運や金運を手中に収めることも可能です。トイレの色やトイレの方角などについて知ることで、トイレに関する考え方も変わってきます。よりよい環境のトイレで、運気のアップを計り幸せな人生を歩みましょう。
風水に良いトイレの色とは
風水では、トイレに関しては吉方位はないというのが通論です。
トイレの場所は、昔から家相において重要視されてきました。特にトイレの設備が完備されていなかった時代には、トイレの設置場所によって風や湿気の影響を受けて、臭いが充満することがあったからです。昔は汲み取り式のトイレであったため、トイレの場所がどの方角にあっても、トイレにとって吉相という方位はなかったようです。また、よほどのお金持ちでない限りは凝った色のトイレを作ることはありませんでした。
明治時代の家相書によると「清潔にさえしていれば、大凶も吉となる」と書かれており、トイレは美しく磨かれ、トイレにも季節の一輪の花を活け、その花がトイレの色だったそうです。
現代では様々なカラーのトイレが出ていますが、尿や便は健康のバロメーターとも言われています。風水で、赤や緑や黄色がよくても、本来便器の色は白が一番健康状態が把握しやすい色です。血尿や血便は重大な病気の前触れでもあります。尿や便が便器の色に反応して分かり辛いと、せっかく風水を取り入れても本末転倒となってしまいます。
風水を取り入れながらも最低限、便器の内側は便や尿の色が分かるカラーがよいでしょう。
トイレの方角の意味と方角別おすすめのカラー
どの家相書においてもトイレの位置に「差しさわりなし」とされる方位はあっても、吉相となる方位はありません。差しさわりがないとされている方位は、八掛に準じています。
■八掛(はっか)とは?
風水は、古代の哲学的思想ともいえる陰陽五行説に基づいています。
陰陽説とは陰は日陰、陽は日当たりを意味しており、さらに陰は太陰と小陰に、陽は太陽と小陽に別れます。
そしてさらに太陽は乾(けん)と兌(だ)に、小陽は離(り)と震(しん)に、太陰は巽(そん)と坎(かん)に、小陰は艮(ごん)と坤(こん)の八つに分かれます。
この八つを八掛といいます。
五行説とは自然は、木、火、土、金、水、の五つの要素で成り立っていると考えます。
この五つの関わり方について、ふたつの考え方があります。
ひとつは五行相生説(ごぎょうそうじょうせつ)と、もう一つは五行相剋説(ごぎょうそうこくせつ)です。
五行相生説は、木は燃えて火となり、火は灰となって土にかえり、土は石を作って金を生じ、金は水を溜め、水は気を潤すというようにお互いがそれぞれ並列に関係しあいます。
一方、五行相剋説は、木は土に剋し、火は金を溶かし、土は水を吸い取り、水は火を消すというようにお互いが対立する関係にあります。
この陰陽五行説により方位が八つに分けられ、それぞれの方位によって言葉の意味があります。
■八掛の表す意味と方位について
乾(けん)は北西で、天、父、夫を表し、言葉の意味は、天の働きが健やかでかすみがないことをいいます。
兌(だ)は西で、沢、秋、少女を表し、二つの沢が連なって互いに潤し合うことです。
離(り)は南で、中女、日を表し、日は天に草木は地にあることを意味します。
震(しん)は東で、雷、長男、木、土を表し、震とは、雷が鳴る様のことを言い、恐れ慎むことで福を招くという意味です。
巽(そん)とは東南で、風、長女を表し、風が前から後ろへ吹くことを意味し、人に従っていれば無難ということです。
坎(かん)とは北のことで、水、中男、月、隠れる、悩むを表し、谷や川に神をまつるために掘った穴のことで、信念を変えないことを意味します。
艮(ごん)とは北東のことで、少男を表し、艮とは止まることで、重なり合い静止し安定した山の姿を意味します。
坤(こん)とは南西のことで、地、母を表し、坤とは地のことを言い、従順な態度を意味します。
■八掛に基づくトイレのおすすめカラー【方角別】
風水では、悪い気はトイレから出ていくと言われています。
トイレの方角に合わせた適切なカラーとその意味を知ったうえで上手に取り入れて、気の流れをよくしましょう。
◯北に位置するトイレの色
北は水や月を表し白、アイボリーなどがよいとされています。
白は雪のようなスノーホワイトや真珠のようなやや黄色っぽいパールホワイトなどがモダンで素敵です。
◯北東に位置するトイレの色
北東は白やグリーンなど安定した色がおすすめです。
オフホワイトや、ミントグリーンなど抑えめのカラーが適しています。
◯東に位置するトイレの色
東は自然を表す青や緑が適していますが、スカイブルーやアップルグリーンといった薄めのカラーがおすすめです。
◯南東に位置するトイレの色
南東は風を表しますが、光を感じる薄いオレンジや黄緑がおすすめです。
アプリコットオレンジと呼ばれるアンズのような柔らかい黄橙色や、灰色がかった黄緑色のオリーブグリーンなどがよいでしょう。
◯南に位置するトイレの色
南の方角は黄色がおすすめですが、草木を表す麦わらのようなストローイエローが適しています。
◯南西に位置するトイレの色
南西は地面を表す意味があり、落ち着いた黄土色や茶色系の色が適していますが、あまり濃い色よりもやや薄目でナチュラルなアースカラーを選ぶようにしましょう。
◯西に位置するトイレの色
西は白、黄色、ピンクなどがおすすめです。
西は秋を意味するので、オフホワイトやクリームイエローまたは、西の方位は少女を表すためベビーピンクもおすすめのカラーです。
◯北西に位置するトイレの色
北西には白やベージュが適しています。
白は神聖なものに多く用いられる色ですが、白に近い色は「汚してはいけない」という心理が働き、いつも清潔に保ちたくなります。北西は家の中でもクスミをなくしておくべき方角なので、明るくクリアなカラーを選びましょう。
家のトイレの位置について
トイレは水洗トイレが普及してからは昔のような陰気でじめじめしたイメージからは遠ざかりましたが、不浄施設には変わりありません。家の中心にトイレが位置すると、家全体の気が乱れると言われています。
また、東の中心線上にトイレがあると、家庭に活気がなくなるともいいます。
陰陽の気が入れ替わる表鬼門の東北、裏鬼門の南西もよくありません。
不浄施設であるトイレの位置は、できるかぎりリスクが少ない位置に設置することが望ましいと言えます。
しかし、トイレは家の中心にあるとよくないと言っても、マンションなどではありがちなことで、リフォームのしようがありません。一戸建てでも建売住宅を購入した場合に、好ましくない位置にトイレが設置されていたとしても、水回りはそう簡単に動かすわけにもいきません。
トイレは元々不浄な場所とされ、どの方位にトイレを設置すると良いといった明確な答えを出すことができません。風水の研究をしている人の多くが、「トイレの方位をあまり気にすることよりも、とにかく清潔に保つことが一番」と結論づけています。
■避けたいトイレの位置
・当然のことながら神棚や仏壇の近くのトイレはよくありません。
・トイレの向かいにキッチンがあるのも臭いが気になるうえ、不衛生です。
・玄関を開けると真正面にトイレがあるのも、玄関先で家人が来客中に尿意をもよおしたりすると困りものなので、やはり避けたいところです。
・寝室の扉とトイレの扉が向かい合っているのもよくありません。
・窓のない暗いトイレも空気の流れが滞ってしまいます。
トイレの位置を変えずに邪鬼を避けるには、例えばトイレの扉が廊下を隔てて寝室やリビングと向き合っている場合などは、トイレの扉は開け放さないようにして常に扉を閉めておきましょう。気休めともいえますが、遮断するという意味合いで、扉にのれんをかける方法もひとつの手段です。
また、トイレの中に窓がついている場合は窓を常に開けておいたり、トイレのドアを開けると換気扇がつくシステムや、トイレ用の空気清浄機なども利用するとよいでしょう。
玄関を開けて真正面にトイレがある場合は、衝立などでトイレが玄関から見えないように工夫しましょう。
キッチンとトイレが隣り合わせにある間取りもよくありませんが、トイレ側に浄化作用のある観葉植物を置き、常に清潔にすることで邪鬼を寄せ付けないようにしましょう。
※トイレの浄化に役立つ観葉植物とは、空気を清浄化するサンスベリアや水に挿しておくだけでも根が出るほど強いアイビーやポトスなどです。
しかし、これらの植物に浄化作用があるとはいえ、ほこりをあびていては逆効果です。葉の汚れはシャワーをかけたり拭くなどして、清潔感のある元気な状態のものを置きましょう。
トイレの位置のために簡単に引っ越したり、リホームするわけにもいかないので、便器や床は毎日掃除をするとともにタオルは毎日交換し、盛り塩をしたり浄化作用のある草花やハーブを活けたり、観葉植物を置くなどして、運気を下げないようにしましょう。
トイレマットの色や素材の決め方
トイレマットの色や素材も、八掛からみる方角別に色選びをすると、邪気を払い運気を上げることができます。素材はどの方位にも共通で天然素材の木綿が適しており、まめに洗うようにしましょう。
◯北西に位置するトイレマット
北西は父や夫の方位でもあるので、出世運や仕事運に関係してきます。
ベージュやアイボリー系の落ち着いた色の高級感があるマットがおすすめです。タオルやトイレグッズは、同色系のベージュなどやポイントカラーとしてグリーンやオレンジを差し色に用いるとよいでしょう。フレグランスを用いるなら、柑橘系のレモンやシトロネアなどがリフレッシュ効果があるのでおすすめですが、なるだけライトな香りにしておくことが大事です。
◯西に位置するトイレマット
西は秋を表すため、実りの色の黄色がおすすめです。
金運にも関係する方位なので、トイレマットは、明るめの黄色が適しています。また、タオルやスリッパなどは、オフホワイトなどの落ち着いた色を選ぶと気の流れがよくなります。ローズマリーはリラクゼーション効果があるので、一枝活けておくとよいでしょう。
◯南に位置するトイレマット
南は草木の気を取り入れたグリーンやベージュやオフホワイトのマットが適しています。
トイレグッズもマットと同色の濃淡でまとめると落ち着けます。
りんごのような香りがするカモミールのアロマオイルなどを用いると、癒し効果が得られます。
◯東に位置するトイレマット
東は木や土を表す方位なので、薄い緑や空色などナチュラルカラーのマットがおすすめです。ポイント的に赤やピンクを使うのもよいですが、色彩の反乱は疲れるので花を一輪ぐらい活けておくようにしておきましょう。生花の浄化作用は強いので、たった一輪でも邪鬼を祓ってくれます。
◯南東に位置するトイレマット
南東は風を表す方位なので、オレンジ色やグリーンのマットがおすすめです。タオルやスリッパなどの小物を選ぶ際には、オレンジ色のマットならグリーンの小物を、グリーンのマットならオレンジ色の小物を選ぶと相乗効果で、運気がよくなります。
◯北に位置するトイレマット
北は水を表し、邪気を流し去る意味がありますが、冷えも意味しており、気の流れが停滞する恐れがあります。そのためトイレマットには、ナチュラル系のベージュなどに暖色系のポイントが入ったものやピンク系など暖かみがあるものがよいでしょう。
小物もピンク系が適しており、フレグランスを用いるなら、気品のある香りのローズ系がよいでしょう。
◯北東に位置するトイレマット
北東は山や土を表しますが、この方角は新しい気を生み出す重要な方位なので清潔感のあるオフホワイトやブラウンなどが適しています。
こちらもトイレマットをオフホワイトにした場合はスリッパなどの小物はブラウン系に、ブラウン系のマットにした場合はオフホワイトの小物にすると、清潔感と重厚感が得られます。
サンダルウッドやフランキンセンスといったアロマは、充実感や安定感をもたらす香りなので、おすすめです。
◯南西に位置するトイレマット
南西は地面や土を表すため、安定感のある落ち着いた色のマットが適しており、黄色系やベージュなど自然な色に明るめのさし色が入ったものを選ぶとよいでしょう。
黄色にオレンジのラインやポイント柄、ベージュにグリーンのラインやポイント柄のが入ったマットを選び、そのポイントとなる色でタオルやスリッパををそろえると多色使いのマットも上品にコーディネートできます。
運気を上げるトイレのポイント8つ
トイレにこもる陰の気を浄化するように努めれば、健康運や金運がアップします。まめに掃除をして、トイレに陽の気を招き入れましょう。
また、風水では水や植物の持つパワーで、マイナスをプラスに変えることができると言われ、水や植物のインテリアが好まれます。
運気を上げるには、自然の気をトイレに取り入れることも大切なようです。その他にも次のような事に気を付けましょう。
①トイレの照明は常に明るく
薄暗いと、寒々しい感じがして幸運もやってきません。
②窓のないトイレは換気扇を回す
窓のないトイレは換気扇を回すようにして、臭いがこもらないようにしましょう。また、トイレのドアや便器のふたはしっかり閉めることで、陰の気が封印されます。ふたのない便器は財運がないとも言われるので、ふたつきの便器にしましょう。
③トイレの臭いに注意
トイレの悪臭は邪鬼を呼ぶと言われます。芳香剤を使用する前に掃除を怠らず、根本的に清潔にしておきましょう。香りはできるだけ天然のポプリやアロマオイル、お香などを用いましょう。また、トイレに竹炭を置くと消臭効果と浄化作用が得られます。
④トイレに植物を置いて空気を浄化
トイレに観葉植物を置くと空気が浄化されます。植物の持つ浄化作用は予想以上に大きく、陰の気を吸って枯れることもありますが、それは気づきを与えてくれている証拠です。植物が枯れたら、さらにトイレを清潔にし、換気をし、植物に時々シャワーをして大切にしていると元気良く育ってくれます。すると健康運や金運も上昇してきます。
⑤トイレはシンプルに
トイレはシンプルにすることで、悪い気がスムーズに出ていき健康運に恵まれます。雑貨をあれこれと並べるのは、それらが放つ気が混じり合って相殺する恐れがあり、マイナスの要素が体に影響することがあります。カレンダーやポスターを貼るのも余計な気が体調を損なう原因になりかねないので控えましょう。
⑥トイレ空間の色は明るく
トイレの空間は、個室として考えると一番狭いスペースです。狭いスペースに黒や紺などダークな色調を持ってくると重苦しく、圧迫感を感じます。できるだけ広く感じられるように淡いナチュラルカラーでまとめ、同系色の濃淡の小物などをポイント的使うと運気の上昇が期待できます。また、色によってさまざまな効果がありますがイエローやオレンジ系は代謝を促進する効果があり、便秘対策によいといわれています。
⑦トイレの気を浄化
風水では陰の気がトイレに充満しないように、水晶のさざれを置くことがありますが、浄化作用が期待できます。球体は陰の気をため込みやすいといわれるので置かないようにしましょう。
⑧トイレの陰の気が漏れるのを防ぐ
風水で使われる吊り下げ羅盤をトイレのドアの外側に吊るしておくと陰の気がトイレから漏れないと言われています。
トイレの運気を下げる行為8つ
①香りの強い芳香剤を使う
香りの強すぎる芳香剤はタブーです。ドアを開けるときついニオイと感じるような芳香剤は、リラックス効果どころか、体にもよくありません。
②ドライフラワーを飾る
ドライフラワーはいわば命を終えた花なので、そこにほこりが溜まると邪鬼を発します。
③モノを持ち込む・長居する
スマホを持ち込んだり、雑誌や新聞を持ち込むのはNGです。体から毒素を出すのは、大事な仕事でもあります。何かをしながら排泄行為をするのは行儀の悪いことだけでなく、スマホや雑誌なども陰の気を吸ってしまいます。
また、長い間便座に座り続けることは、便秘や痔の原因になりかねないので、健康的にもよいとは言えません。
④トイレットペーパーを大量にストックする
大量のトイレットペーパーをストックしておくのはよくありません。トイレットペーパーが不浄な気を吸い込んでしまうことからです。
⑤倉庫代わりにする
倉庫代わりに不要なものを置くのは止めましょう。トイレにスペースがあるからといって、古雑誌や古新聞置き場などに使うのは気の通りが悪くなるので、好ましくありません。
⑥ぬいぐるみや人形を置く
ぬいぐるみや人形などを置くのはNGです。ぬいぐるみや人形には魂が宿るとも言われています。可愛いからとトイレに飾るのは、ぬいぐるみや人形が邪鬼を吸い込むことになるので、その家の住人の健康も害する恐れがあります。
⑦トイレ用のスリッパを用意しない
トイレ用のスリッパがない、または共通のスリッパを用いるのは止めましょう。トイレのスリッパと廊下やリビング用のスリッパを分けておくことは、気の切り替えという点でも大切です。
いくらきれいに掃除していても、トイレは風水上では不浄の場とされています。きっちり使い分けることで悪い気が遮断されます。
⑧トイレの床をキレイに保たない
トイレットペーパーを床に直置きしたり、床のすみにほこりが溜まった状態はNGです。
まとめ
トイレはどんなにきれいにしても便器には絶えず水が溜まり、臭いは目には見えないものの、何かに付着します。
不浄の気が発するところだからこそ常に掃除を心がけ、整理整頓し、清潔に保つことで、健康運がアップし金運にも恵まれます。