日本語はとても美しい言語です。また世界中で使われている言語の中でも非常に難しいといわれている言語でもあります。
日本語は若者言葉・死語など、各世代によって使う言葉が大きく異なる特徴を持つ言葉。
世代が異なる人と話をした場合、「この言葉は聞いたことがない」「どういう意味なんだろう」と感じることはないでしょうか?
この記事では「耳年増」という日本語について、意味や使い方などさまざまな情報をご紹介します。聞いたことはあるが意味が分からない、どんなときに使うのかがわからないという方はぜひ参考にしてください。
耳年増の意味とは?死語?読み方・類語・対義語
耳年増の読み方は、「みみどしま」もしくは「みみとしま」です。耳という単語と年増という単語がくっついてできた言葉です。最近はなかなか使われないため、死語と言えるかもしれませんね。
耳年増は、本来「少し年を取った女性」という意味の「年増」に「耳」という単語が付くことで、「年齢は若いのに性的知識に詳しい女性」という意味を持ちます。
実際にあまり経験がないのに、内容は年齢を重ねた女性のような話をする若い女性を指しているのです。
若い世代の方はあまりなじみがないかもしれませんが、1980年代に大ヒットした「セーラー服を脱がさないで」(おニャン子クラブ)の歌詞には“MI-MI-DO-SHI-MA”
という言葉が含まれています。
前後の歌詞を見ると、性に関する勉強はしているけれど、臆病になってしまう女の子の気持ちが描かれているのです。
<類義語>
耳年増に似たような意味を持つ類義語としては、以下の3つが代表的な言葉です。
● 半可通(はんかつう)
● 耳学問(みみがくもん)
● 聞きかじり・なまかじり
どの言葉も「実際の体験があるわけではないのに、さも自分が経験しているかのような知ったかぶりをする」という意味を持っています。
半可通は女性よりも男性に使われることが多い言葉ですが、持つ意味合いは同じで、女遊びに慣れていないのに、さも遊んでいるかのようなことを話す人を指します。「聞くだけ」という意味を表している言葉だといえるでしょう。
<対義語>
耳年増の対義語に見当たるものはありません。
耳年増の良い意味・悪い意味
本来「耳年増」という言葉には、良い意味は含まれていないことの方が多いです。
自分で経験もしていないことをさも経験したかのような話をするのですから、近年の言葉でいえば「盛っている」ことになります。
耳だけ年を重ねたようなという意味を持ちますので、ある種の軽蔑を込めて使う言葉なのです。耳年増という言葉を知らないと、他人から「耳年増だね」と言われても、自分がけなされているということに気付くことができません。
話を合わせる・知ったかぶりをするなども同じ意味を持ちますが、共通していることは体験をしていないため話は非常に薄っぺらな内容になるということです。「耳年増」という言葉はあまり良い意味で使われることはないと覚えておきたいものです。
耳年増の英語表現
耳年増を英単語で表現するのであれば、一番近い意味を持つのは「wiseacre」でしょう。
「wiseacre」とは「賢そうにふるまう・知者ぶる人」という意味があります。
また更に正確な意味を持たせるには、文章として表現をすると良いかもしれません。
● young woman with a lot of superficial knowledge about sex, etc.
これは「性に関する多くの表面的な知識などを持つ若い女性」という意味を持つ文章になります。この文章では「superficial knowledge」という表現が、耳年増という言葉の意味と非常に合致しています。
表面的な知識=知ったかぶりで実体験が伴っていないと訳せますので、文章で表現する方がより耳年増に近い意味を持たせることができるといえるでしょう。
耳年増の使い方・例文
耳年増という言葉の使い方を間違えてしまうと、非常に失礼なことを言ってしまったり、反対に自分の言動を改めるきっかけを失ったりすることになります。
ここでは耳年増の使い方について例文でご紹介していきます。
◯「君って耳年増だね」
自分の経験していないことをさも経験したように話すことは、相手にとってあまり良い印象ではありません。話を盛り上げるために知ったかぶりをしても、内容の薄さや整合性のなさは露呈してしまうものです。
本当に体験した人にとっては、「知りもしないくせに」という軽蔑を込める意味合いで使う例文です。
◯「彼女はただの耳年増」
経験していないことを得意気に話す人を見て、中には「すごいな」と思ってしまう人もいます。しかし何らかのきっかけで、経験がないことが分かってしまった場合は、「ただの耳年増」ということになります。
自分がよく知らなかったことを後から気づかされた場合などに、呆れたという意味合いで使う例文です。
耳年増の人の特徴10個
耳年増になってしまう人には、特徴があります。1つ1つご紹介しますので、あてはまることがないか確かめてみてください。
■1. 年齢が若い
耳年増という言葉は、基本的に若い世代の女性に使われる言葉です。本来の年増という意味は、ある程度年齢を重ねた女性のことですが、耳年増という言葉は年齢のいった女性には使われません。
「耳」だけ「年増」=「話だけは年齢を重ねた人のようなこと」という意味なので、まずは年齢が若いということが最大の特徴といえるでしょう。
■2. 目立ちたがり
友達のグループの中に必ずといっていいほど存在するのが、目立ちたがり屋な人です。
目立ちたがり屋な人は、自分の話を聞いてもらうこと・自分に注目してもらうことを重要視します。
自分だけが分からない・話の輪に入れないという状況をとても嫌うため、周囲よりも自分は経験しているような話をしてしまう傾向があるといえるでしょう。みんなから注目されたいが故に、耳年増にならざるを得ないのです。
■3. 知ったかぶる
知らないことをさも知っているかのように話す「知ったかぶり」も耳年増の特徴です。自分だけ仲間外れになりたくない、自分が中心になって話を進めたい、友達にすごいと思われたいという気持ちの強い人は、耳年増になりやすい要素を持っています。
中には知ったかぶることで自分の価値を勝手に上げている感覚になる人もいます。「知らない」「わからない」と正直に言えない・バカにされたくないため、ついつい知ったかぶりをし続けて、結果的に耳年増になってしまうのです。
■4. 噂好き
噂好きの女性は多いものですが、過度に噂好きな人は耳年増になりやすい特徴があります。
それは、噂には尾ひれがつくものだからです。
女性の噂話、特にセクシャルな話題は何かと面白がられる話題ですので、話を伝聞しているうちに耳年増になってしまう可能性があります。
噂話は不確定な要素が大きい上に精度も曖昧なため、本来であれば多少差っ引いて聞かなければいけないもの。
さまざまな噂話を聞いているだけで、なんとなく自分が経験したかのような気持ちになってしまうことも多く、知らないうちに耳年増になっていた…なんていうこともあるのです。
■5. 好奇心が旺盛
好奇心が旺盛な人は、人よりも多くの情報を収集します。インターネット・テレビ・雑誌・SNS…セクシャルな情報は、あちこちで見聞きすることができる世の中です。
「知りたい」という気持ちが強いと、どうしても深掘りしてしまいがち。自分の好奇心を満たすために多くの情報に触れ、自分が体験したかのような気持ちになってしまうことは少なくありません。
あまりにも好奇心が旺盛だと、自分で経験する前にわかったような気になってしまい、耳年増一直線になってしまいます。
■6. 自分がない
相手に話を合わせてしまう・素の自分に自信がないというタイプの人は、耳年増になりがちです。
ガールズトークで盛り上がっているときに、「知らない」「わからない」と場を白けさせてしまうのが怖くて、「私も」「知ってる」「そうそう!」などと同調してしまうと、話はどんどん盛り上がっていきます。
盛り上がった話の中で、つい知ったようなことを言ってしまったり、みんなに合わせるのに必死になってしまったりすると、いつの間にか耳年増に…。自分がなさすぎるのも少々考えものですが、知らないものを知らないと言えるぐらいの強さは持っていたいものです。
■7. 臆病・慎重
若いうちはセクシャルな話に興味はあっても、実際体験するには不安や戸惑いが付きまとうものです。特に慎重な人や臆病な人は、周囲の話を聞いていても、実際に自分で体験することに怖気づいてしまう傾向が見られます。
話ばかりを聞いて頭でっかちになってしまい、どんどん自分の中で落とし込んでしまうことによって、かなりの耳年増になってしまうのが特徴。
興味はあるので話はたくさん聞いてしまいますが、慎重であるが故に実際に行動を起こせないのは、まさに耳年増の典型といえるでしょう。
■8. 責任転嫁する
彼氏ができない・性体験が少ないということに対して負い目がある場合、何かと周りのせいにしたがる人がいます。
責任を何かに転嫁するタイプの人は、本来の原因に目を向けることができないので、自分の経験の少なさを露呈することを嫌がります。
会話の中に入っていけないのは自分が原因であることが多いのですが、その原因に蓋をして、知識ばかりを収集しようとするのです。
実体験が伴うことはなく、ただひたすら情報を集め、不確かな内容にも乗っかってしまう…これはもう立派な耳年増と言わざるを得ません。
■9. 上から目線
女性の中には、いつも自分が優位に立っていたい・人よりも劣りたくないという気持ちの強い人がいます。
近年の言葉では「上から目線」ともいいますが、このタイプの人は他人にアドバイスをしたり、自慢をしたりするのが好きなのが大きな特徴。
「知らないの?」くらいの勢いで話をしたがりますし、相手が知らないとなれば意気揚々と自慢話のように体験談を話します。セクシャルな話も例外ではありません。
自分が優位に立つために、必要な情報を入手しているうちに、耳年増にならざるを得なくなってしまうのです。
■10. 性に関心がある
もともと性に関心のある人は、セクシャルな話題を好んで話します。性に関心があるからこそ、情報を集め、いろいろな話題を知ろうとします。
女性の話は男性のセクシャルなトークよりもきわどい話をするなどといわれますが、関心があればあるほど、話題はディープなものになっていきます。その過程で自分自身に体験が伴えば良いのですが、話だけで終わってしまうと、耳年増になりやすい状況といえるでしょう。
思春期であれば女性も性について関心を持つことが多くなります。ただし耳年増になる人は、正しい知識ではなく、ネットで見た・〇〇から聞いたなど、不確定な情報が多いことも特徴の1つ。関心ばかりが高まって、いつのまにか耳年増になっていた…なんていうことも考えられます。
耳年増のアニメキャラクター
空前のアニメブームともいわれている昨今、アニメのキャラクターの中にも耳年増な女子たちが登場します。
◯武部沙織(ガールズ&パンツァー)
アニメ「ガールズ&パンツァー」の主人公。とにかく恋愛・結婚願望が強く、何でも恋愛ごとに例える癖があります。ただ実際にはほとんど恋愛体験はなく、夢見る乙女状態です。
◯沙英(ひだまりスケッチ)
ひだまりスケッチに登場する人物。サバサバとしたボーイッシュなイメージなのですが、小説を書いています。異性との恋愛経験はないのに、恋愛の達人を目指し、捏造の体験談などを語ってしまうことがあるのです。
◯倉橋莉子(恋愛ラボ)
恋愛ラボに登場する中学校2年生の女の子。女子校に在学中で、恋愛経験はゼロ。見栄っ張りで意地っ張りな性格で、恋愛に関しても見栄を張ってしまいます。
まとめ
耳年増という言葉は、あまり良い意味では使われません。性的なことに関して、なかなかオープンにできない風潮が強い日本では、情報ばかりが先走ってしまうことがあります。思春期の女の子たちの話題は、セクシャルなものが多いのも特徴です。
ただし、知りもしないことを知っていると言ったり、さも自分が体験したかのように第三者の話をしたりすると、立派な耳年増になってしまいます。
年相応に経験を重ねていけば、耳年増になってしまっても、自然と卒業できるものです。
噂話に夢中になったり、根拠のない話題を好んだりするのではなく、正確な情報をきちんと得て、素敵な恋愛体験を積んでいくようにしましょう。