頑張っている人を「ストイックだよね」と表現することもありますが、詳しい意味を知っていますか?
今回は、ストイックの意味について、語源や類義語などと一緒に詳しく解説!ストイックに憧れる人が、ストイックな生き方をするための方法もお話しします。
ストイックの意味と語源とは?わかりやすく解説
ストイックという言葉は、「自分に対して非常に厳しく、且つ禁欲的な様子」を意味します。
わかりやすい例えとして筋トレを挙げると、毎日筋トレのためにスケジュールを組み、厳しい食事制限をして、睡眠時間を削ってでも肉体強化に勤しむような人を、ストイックと表現します。ストイックな人は、掲げた目標以外のことに気を散らせず、熱心に取り組むのが特徴です。
ストイックの語源は、古代ギリシャの禁欲主義の倫理観を唱えたストア哲学です。ストア哲学は、感情に流されず理性的に行動することを提唱しています。ストア哲学を創設したゼノンは、欲望に打ち勝ち禁欲的な生活をしながら、自分を鍛える大切さを説いています。
ストイックの意味は、ゼノンの思想を大きく反映しています。ただ禁欲的で厳しいのではなく、ストイックは自分の理想を叶える強い精神力を表す言葉でもあるのです。
ストイックの類語は?日本語表現は?
ストイックの類義語には、以下のような言葉があります。
・ピューリタン(己に対して厳しく潔癖な人)
・禁欲的(欲望欲求を理性で抑え込む様子)
・克己的(己に打ち勝つ様子、衝動や欲望をコントロールする様子)
また、「ストイックに取り組む」という使い方もしますが、日本語表現する場合は、以下のような言葉に置き換えられます。
・わき目も振らずに(周りの様子が全く気にならない程集中している様子)
・一心不乱に(1点に集中して、他のことに心が乱されない様子)
・身を粉にして(非常に苦労して取り組んでいる様子)
・無我夢中で(心を奪われて、ひたすら集中する様子)
・粉骨砕身して(力の限り尽くす様子)
・首尾一貫して(最初から最後まで1つのことを貫いて取り組む様子)
・没頭して(1つのことに集中する様子)
類義語からわかるように、ストイックには物事に集中して懸命に行うという意味があります。
ストイックの対義語・反対語
ストイックの対義語、反対語には以下のような言葉があります。
・エピキュリアン(快楽主義者)
・ヘドニズム(快楽を求めることが道徳の原理という思想)
日本語では、享楽主義などが対義語に相当します。また、非常に欲深い様子を表す「貪欲」「強欲」も、ストイックの反対を意味する言葉です。
自分の欲望のままに行動し、快楽をひたすら求める様子は、ストイックとは対極に位置します。
ストイックの英語表現
ストイックを英語表現すると「stoic」となります。カタカナ読みをすれば「ストイック」となりますが、日本で使われているストイックとは少し意味が変わるので注意が必要です。
英語の「stoic」には、「禁欲」「冷静」という意味があります。日本のストイックにある、1つのことに熱中した様子とは違い、むしろクールな印象です。
「stoic」を使った例文をいくつか紹介します。
・He is very stoic.(彼はとてもストイックだ)
・I want to do my best in stoic(何事もストイックに頑張りたい)
・Diet is painful, but do my best in stoic(ダイエットは辛いけど、ストイックにやってみせる)
また、「stoic」の形容詞として「stoical」という単語もあります。この場合、ストイックとは意味が変わり、「平然とした」「感情を顔に出さない」という意味になります。
ストイックの使い方・例文
ストイックを使った例文をいくつか紹介します。
・彼は本当にストイックで感心する。
・今までのだらけた自分を変えるべく、今日からストイックに頑張ろう。
・ストイックなのは良いけど、人に価値観を押し付けるのは止めてほしい。
前述したとおり、ストイックには「禁欲的で自分に厳しい」という意味があります。目標に向かって一生懸命取り組むときにも使われるので、基本的にはポジティブな印象です。しかし、中には「面白みのない人」「厳しすぎる人」とマイナスに受け取るケースもあるので、人を表す時に使う場合は注意が必要です。
例えば、自分がストイックだと自覚があり、それを励みに頑張っている人には、「あなたってストイックだね」と言えば褒め言葉として受け取ってくれます。一方、真面目で頑張りすぎてしまう自分を変えたいと思っている人に「ストイックだね」と言うと、「やっぱり自分はつまらない人間だ」と傷つく可能性があるのです。
ストイックな人の特徴
ストイックな人はとにかくブレません。自分の信念の元、周囲の目を気にせず、ひたすら禁欲的に自分に厳しく目標に向かって取り組みます。周囲から魅力的な誘いがあっても、目標達成のためにグッと我慢。「1日くらい大丈夫だよ」と言われても、自分の道を外れることはありません。
その様子は、場合によっては頑なな印象になります。ストイックな人はマナーとルールを守りますが、信念を曲げてまで空気を読んで周囲に自分が合わせない人が多いです。例えば、流れで皆とランチに行っても、食事制限期間ならば自分はコーヒーだけを頼みます。少しの妥協もしない様子は、臨機応変さや柔軟さに欠けていると受け取られるケースがあるのです。
とは言え、ストイックな人はきちんと結果を出すので、信頼は厚いです。ストイックすぎて少々困ったところもあるけど、周囲は大らかに受け止めてくれます。ただし、ストイックを押し付けるタイプは皆から煙たがられます。
自分にストイックな人の心理・性格
ストイックな人は基本的に真面目で努力家です。また、計画的でルーティーンを好むのも特徴です。とても真面目で、自分が定めた目標に向かってひたすら努力します。
ストイックな人が「そこまでやらなくても…」と心配になるほど頑張るのは、「やらなければ達成できない」という危機感があるからです。また、できない自分が許せないからでもあります。ストイックすぎる人は、誰よりも自分に厳しく、目標達成できなければ、周囲がどんなに高く評価しても納得できません。できなかった自分を責め、「もっと頑張らなければ」と、益々ストイックになります。
ストイックな人は理想が高いのも特徴です。常に高い目標を持ち、1つ達成したら、更に高い目標を新しく作ります。向上心が高く、常に努力を続けて結果を出しますが、「努力しなければキープできない」という危機感があるので、能力が高くても謙虚な性格をしています。
ストイックな男性の特徴は?かっこいい?
ストイックで自分に厳しく、それでいて謙虚な男性はかっこいいですよね。男性からも女性からも憧れの存在です。しかし、ストイックな男性は根本的にマイペース。自分を高めるためる努力の優先順位が高いため、仕事など決定的な理由がない限り、ペースを崩されるのを非常に嫌がります。
仕事を通してならば、ストイックな男性はとてもコミュニケーションがとりやすいです。時間を効率的に使い、合理的なので話も早くなります。「仕事相手」という前提で接するので、自分のマイペースを押し付けることはありません。
しかし、プライベートではマイペースを爆走させるのがストイックな男性の特徴です。自分を高める邪魔をされるのは耐えられません。例え恋人でも急な誘いはNG。会うのは予約制になります。また、近しい人ほどお互い高め合える関係を求めます。自分のストイックさに賛同し、合わせてくれる相手でなければ、プライベートな付き合いは続きません。
ストイックな女性の特徴は?
ストイックな女性は、男性と比較して周囲に優しいのが特徴です。女性の場合、高める目標が肉体的能力的なものだけにとどまらず、人としてのすばらしさを追求します。そのため、ストイックな女性は空気を読み、非常に細やかな気遣いができるのです。
女性と男性では、求めるストイックな方向性が違います。自分とどこまでも向き合い、ある意味周囲の目を気にしない男性とは違い、女性は周囲の評価をとても重要視しています。自分が目指す目標の中に、「他人に優しく、お手本にされる自分」があり、承認欲求が強い特徴があります。
人から好かれたい気持ちが強いので、ストイックな女性はプライベートな付き合いも大切にしています。社交的で付き合いも良く、自分が努力している姿をひけらかしません。常に笑顔で頑張っている姿を見せないのが、ストイックな女性にとっての美徳なのです。
ストイックのメリット
ストイックには、以下のようなメリットがあります。
・自分の求める姿に近づける
・目標達成率が高まる
・努力の成果を実感できる
・成功体験を積んで自己肯定感が高まる
・自分に自信が持てる
・世界が広がる
ストイックになるメリットは、何と言っても努力を続けて目標を達成できる点です。禁欲的になり、自分に厳しくあることで、必要な努力を続けやすくなります。達成するまで頑張り続けるので、自分の能力が高まる実感を持てます。また、成功体験が増えるので、自己肯定感が高まり、自分に自信を持てるようになります。
努力を続けた先の世界は、実際に努力を続けた人にしか見られません。ストイックに自分を追い込むことでしか見られない世界に到達できるのも、大きなメリットです。ストイックになれば、自分の世界が広がります。
ストイックのデメリット
ストイックには、以下のようなデメリットもあります。
・目標を追い続けるあまり視野が狭くなる
・融通が利かなくなる
・上から目線になる
・頑張りすぎて心身が疲弊する
ストイックになり過ぎると、「目標達成するためなら何でもする」という心理に陥ります。未達が許せず、頑張らなければと自分を追い込み、視野が狭くなってしまうのです。すると、突発的な予定や横やりへの順応力がなくなり、小さな変化が大きなストレスになります。
また、自信が持てるようになるのは大きなメリットですが、方向性を間違えると、「なんでみんなはこんなことができないんだ」「遊んでばっかりでバカみたいだ」と、いつの間にか上から目線になってしまいます。自分を基準に考え、自分よりストイックじゃない人を「努力不足」と一刀両断してしまうのです。
その他、ストイックになり過ぎて自分の限界を超えると、心身が疲弊して、体を壊したり心身を病んだりしてしまいます。
ストイックに人生を生きるための方法5個
「ストイックに生きたい!」「もっと上を目指したい!」と思ったとき、何から始めれば良いのでしょうか。ストイックに人生を生きるための方法を教えます。
■1. まずは目標を設定する
ストイックに生きたいなら、まずは目標を設定しましょう。ストイックな人が常に努力を続けられるのは、明確な目標があるからです。ゴールがあるから、そこを目指して走り続けられます。
どんな自分になりたいのか、どんな人生を歩みたいのか、高い理想を持って、最終目標を掲げます。具体的な目標が思い浮かばないなら、憧れの人を目標にするのもおすすめです。
■2. 目標達成のためにやるべきことを調べる
目標を設定したら、次はどうすればそこに到達できるのか、あなたがやるべきことを調べましょう。高い目標への道のりは長いです。一足飛びに目標達成するのではなく、着実に近づけるよう、念入りに計画を立てるのがポイントになります。
持久力を要する努力に自信がないなら、やるべきことを調べて、最終目標に辿りつく前に、段階を踏んで小さな目標をいくつか立てると良いでしょう。
どんなにささやかでも、目標を達成すると、努力の成果を実感できてモチベーションが上がります。長くストイックな人生を続けたいなら、息切れしないように自分の気持ちを盛り上げる工夫をしましょう。
■3. 自分にルールを課す
ストイックな努力を闇雲に続けると、負担ばかりが大きくなってしまいます。効率良く努力を続けるために、自分にいくつかのルールを課しましょう。ルールの設定は、目標達成に何が必要かを基準に考えると良いでしょう。
まずは、少ないルールから始めましょう。いきなりルールで自分をがんじがらめにすると、ストレスが大きく挫折しやすくなります。
ストイックな人生は強靭な精神力が必要なので、少しずつ自分を鍛えるのが続けるコツになります。自分に課したルールが意識せず守れるようになったら、新たなルールを課して高みを目指してください。
■4. 禁止事項を作る
世の中は誘惑に溢れています。ストイックに生きようとするあなたは、毎日甘い誘惑と戦わなければなりません。しかし、「今日からストイックに生きるんだ!」と、徹底的な禁欲生活をすると、反動は大きくなります。しばらくは持ちこたえるでしょうが、ある日「少しくらいはいいか…」と気を緩めたとたんに、楽な方へドッと流れる危険性が高いです。
ですので、全てを禁止するのではなく、「これだけは我慢しよう」と禁止事項を絞って作りましょう。「Aは禁止だけどBはOK」と、無理ない範囲での禁欲生活から始めるのです。前述したルールと同じように、禁止事項が当たり前になったら、目標達成に必要な禁止事項を徐々に増やしていきましょう。
■5. 毎日をルーティーン化する
ストイックな生き方は多忙です。目標達成のために、たくさんの課題をこなさなければなりません。しかし、人には1日24時間しか与えられていません。健康を保つために削れない時間を考えると、効率良く合理的に物事を進めなければなりません。そのために必要なのがルーティーン化です。
目標を達成するために毎日やるべきことをリストアップし、生活をルーティーン化しましょう。決まった時間に決まった課題をこなせば、「いつ何をやるか」を考える時間が削減できます。また、生活リズムも整えやすいので、体への負担も軽減でき、ストイックな生き方を継続しやすくなります。
まとめ
ストイックの意味は、自分に厳しく禁欲的な行動をすることです。ストイックな人は、自分の目標を目指して、自分を追い込み誘惑に負けないようにがんばっています。ストイックな生き方は大変ではありますが、その分目標を達成したときに喜びは大きいです。
しかし、ストイックな生き方にはデメリットもあります。また、ストイックな生き方には適性もあります。努力はとても素晴らしいですが、頑張りすぎて倒れたら、それこそ本末転倒です。自分を追い込むのがストイックな生き方ではありますが、反動でつぶれないように、様子を見ながら少しずつレベルを上げていきましょう。