「パチもん」という言葉を聞いたことがありますか?通販などでブランド品が極端に安く売られていると、「それはパチもんじゃないの?」と疑いを持ちます。
ブランド品の偽物の多くが海外から輸入されています。横浜税関では、大麻などの麻薬関係の他にブランド品の偽物の輸入の摘発が増えています。大阪税関でも、東京五輪・パラリンピックのレプリカメダルの模造品が発見され没収されました。
日本の関税法では、「輸入してはならない貨物」に偽ブランド品が含まれています。知らずに購入したりすると大変なことになります。
「パチもん」とは、いったいどんなものなのか、本記事では、「パチもん」を詳しく解説致します。
パチもんの意味とは?
「パチもん」の意味は、偽物という意味です。
有名なブランド品やロングセラー商品などに似せた商品などを指します。デッドコピー(Dead Copy)、やノックオフ(knock-off)とも呼ばれています。
よく出回る商品には、有名ブランドのハンドバッグや財布、サングラス、帽子、鞄、高級時計、スポーツ用品、楽器などがあります。
また、CDやDVDなどの海賊版は、著作権、商標権、意匠権などを無視して無断で発売している非合法商品です。
■「パチもん」を購入した場合
東南アジアなどの夜の繁華街を歩いていると、露店商の男が声をかけてきます。彼はロレックスの腕時計を見せて、「偽物だが買わないか」と言います。
その時計の値段は10分の1という安さです。法律的な問題としては、当然、売り手は商標権の侵害にあたります。
購入した場合は、個人で使用している場合は罪に問われることはありませんが、その腕時計を偽物であることを隠して、他人に売った場合は、罪になります。
パチもんの由来・語源は?方言?
語源は、大阪弁のパチる(盗む)とか、パチったもん(物)から「パチもん」になったという説があります。
「パチる」は若者用語で、比較的新しい言葉です。大阪弁ですので、標準語ではなく方言ですが、若者の間では、すでに共通語になっています。
◯「パクる」との違い
同じような意味で、「パクる」という言葉があります。他人のアイデアや物などを盗むことを意味しています。「パチる」は、「パクる」に比べると、若い世代に使われる若者用語です。「パクる」の語源は、「縛」から来ています。警察が犯人を捕縛するという意味です。「犯人がパクられた」というように使います。
◯「レプリカ」との違い
「レプリカ」も模造品を意味していますが、用途が違います。美術館などで展示される美術品の多くは、「レプリカ」です。特殊技術を用い、本物そっくりの形や材質を再現したものです。オリジナル作品の保護のために造られます。
パチもんとバッタもんの違い
バッタもんとは、正規の流通ルートで仕入れたものではない正規品を言います。期限切れや包装などが劣化したB級商品なども含まれます。語源は、不況などでバタバタと倒産した会社の商品というところから「バッタもん」と言います。
「パチもん」との違いは、「バッタもん」は品物が正規品であることです。
◯不景気の時代に人気のバッタ屋
不景気の時代に、数人のグループで行うバッタ商法がありました。ある男が、箱の前に座り、周りに「さくら」となる数人の男女が取り囲みます。箱の中に焼け焦げた紙に包まれた万年筆が入っています。
人だかりができると商売の開始です。「さくら」の一人が、「どうしたんだ」と聞くと男は、「工場が火事に遭い商品の万年筆が焼け残った」と言います。
「一本いくらだ」と聞くと、千円だと言います。「さくら」のメンバーが、「安い、安い」と言って買っていきます。つられて一般の人も買い求めると商売成功です。
パチもんの類語・同義語
「パチもん」の類語・同義語としては、模造品、贋作、リプリケーション、複製品、レプリカ、偽物などの言葉があります。
◯1980年代世間を騒がせた「パチもん」事件
有名デパートの三越で、創業310年を記念して、「古代ペルシア秘宝展」が開催されました。出品された47点の総額は21億円という巨額のものでした。
ところが販売された作品のほとんどが贋作であったことから、デパートの社長と愛人関係にあったデザイナーの女性の二人は解任され、東京地方検察庁特別捜査部によって逮捕されました。
元社長には東京高裁で、懲役3年の実刑判決が下りましたが、上告中に死去したため、公訴は棄却されました。女性の方は、最高裁まで争いましたが、懲役2年6月、罰金6000万円の実刑判決が下りました。出所後、病気になり東京都内の病院で死去しました。
この話は、小説にもなりました。作家・高杉良氏の「王国の崩壊」(新潮文庫)は、元社長をモデルにした経済小説です。
パチもんの使い方・例文
「パチもん」の使い方には、次のようなものがあります。
①「北朝鮮製のこの100ドル札は、パチもんだけど、本物よりよくできている」
<解説>
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が関与している100ドル紙幣の超精密な偽札は、本物よりも精巧にできていると言われています。
②「最近は通販でもスーパーコピーといわれるパチもんの人気が高い」
<解説>
コピー商品には、合法のものと違法のものがあります。無許可であっても合法のものとしては、国による知的財産権制度の違いや保護期間の期限切れが関係しています。一方、オリジナル作品と酷似している無許可のものは、知的財産権を侵害しています。
③「この毛皮のコートは、パチもんだけど動物保護に役立っている」
<解説>
動物の乱獲から絶滅危機にあるものとして、虎、豹、狐などその他の動物の毛皮が、服に使用されることから救うために、工業的にそっくりな製品を作ることができます。
パチもんの英語表現
偽物は、英語で表すと次の言葉があります。
Bootleg:海賊版
Counterfeit:模造品
Dead Copy:既存の工業製品などの仕様を完全に模造したもの。
Forgery:偽造されたもの、贋造されたもの
Fake:模造品、まやかしもの
Imitation:模倣されたもの
Knockoff:安価なコピー商品
Humanoid robot:ヒューマノイド・ロボット(解説)
<解説>
Humanoid robot (ヒューマノイド・ロボット)は人間そっくりのロボットです。人間と同じように質問に答えることや、表情を作ることもできます。人工知能を持ち、視覚データ処理、顔認識もできます。用途によって、人間が近づけない危険な場所での作業が可能です。未来は人間に代わって働くことも期待されています。科学者の中には、これを危険視する人もいます。
まとめ
「パチもんの意味」は、如何でしたでしょうか?現代は本物と偽物の区別がつかない時代になってきました。ヒューマノイド・ロボットのように、本物の人間ができないことを偽物がすることで、人類に利益となることが期待されています。
戦争も人間が戦うのではなく、ロボットが敵を倒す時代になってきています。人工知能(Artificial Intelligence)は、人類の発展にも寄与する代わりに、人工知能が人間を必要としない時代がくることを心配する科学者もいます。
亡くなったスティーヴン・ホーキング博士は、「私はAIが人間を超える可能性を恐れている」と言っています。人間が主体性を持って、偽物の便利性や効果に頼りすぎないようにしたいものです。