親しい間柄であっても、人から馬鹿にされたら、決して気分の良いものではありません。
ある調査機関の報告では、日本の4割近い職場で、ハラスメントがあるという結果が出ています。その中でも上司からの暴言、侮辱がもっとも多く、被害者の4割が女性です。労働人口の男女の比率は6割が男性であり、4割が女性です。統計から分かることは、ほとんどの女性が被害を受けていることになります。
本記事では、馬鹿にするの意味と馬鹿にする人の心理や特徴・対処方法を分かりやすく説明いたします。
馬鹿にするの意味とは?
「馬鹿にする」という意味は、「人を軽視する」とか「相手を侮辱する」というような行為を言います。相手が自分より劣る場合、「相手を見下したりすること」や、「軽んじたりすること」です。
◯「馬鹿」の語源はサンスクリット語
「馬鹿」の語源には、仏教のサンスクリット語に由来すると言われています。サンスクリット語で、「baka」、「moha」の音写が、「莫迦」(ばくか)や「募何」(ぼか)が転じたものとされています。
◯中国の故事「鹿を馬と言う」
中国の故事の中に、「馬鹿」という言葉についての由来があります。秦の始皇帝の側近として権勢を誇った宦官の趙高(ちょうこう)が、二世皇帝の扶蘇(ふそ)に、鹿を「馬である」と言って献じた時に、群臣は趙高の仕返しを恐れて、鹿を「馬です」と答えたことに由来するとも言われています。
小馬鹿にするの意味とは?
「小馬鹿にする」という言葉は、軽いあざけりの意味を持つ言葉です。少しだけ馬鹿にするとか、ちょっと馬鹿にするというような振る舞いを意味します。
◯若い上司が古い社員を小馬鹿にする
どの企業でもグローバル化を進めています。若手社員の海外研修を積極的に行い、研修後は各組織のリーダーとして活躍しています。若い上司は、古い社員に遠慮のない言葉を浴びせることもあります。古い社員は、「自分たちを小馬鹿にしている」と感じてしまいます。
馬鹿にするの類語・言い換え
「馬鹿にする」の類語・言い換えについては、次の言葉などがあります。
からかう、茶化す、冷やかす、揶揄(やゆ)する、皮肉る、いたぶる、軽んじる、見くびる、高を括る(くくる)、なめてかかる、見下す、過小評価する、侮辱する
◯強力なライバルほど馬鹿にしてはいけません
現代のコンピュータ時代の英雄であるスティーブ・ジョブズ(1955~2011)とビル・ゲイツ(1955~)は対照的です。
スティーブ・ジョブズは、アップル社の共同設立者の一人です。ビル・ゲイツはマイクロソフトの共同創業者兼会長です。スティーブ・ジョブズが若い頃、ビル・ゲイツに対して、「馬鹿にした」態度をとっていたことは有名です。
マイクロソフトの創業時のビル・ゲイツの仕事の仕方はとても地味でした。ジョブズはそれを馬鹿にしていましたが、その後、ゲイツは大成功します。ジョブズは、その失敗から多くを学びました。
馬鹿にするの英語表現
「馬鹿にする」の英語表現には、次のようなものがあります。
①French people don’t like to be made fun of. They like to make fun of other people.
<語句>
to be made fun of 馬鹿にされること
<日本語訳>
フランス人は馬鹿にされたくないが、他人をバカにするのは好きだ。
②Why do some Americans look down on and make fun of France?
<語句>
looks down on 馬鹿にする
<日本語訳>
なぜアメリカ人はフランス人をばかにする人たちがいるのでしょう?
③If someone humiliates you, don’t let him win by getting caught into it.
<語句>
humiliate 馬鹿にする
by getting caught into it それに巻き込まれる
<日本語訳>
もし誰かがあなたを馬鹿にしたら、それに気を取られて、彼の勝手にさせてはいけません。
④I got very angry at her patronizing attitude.
<語句>
got very angry 怒り心頭に達した
patronize 馬鹿にする
attitude 態度
<日本語訳>
私は彼女の馬鹿にした態度に怒り心頭に達しました。
⑤President Donald Trump buried a climate change report because “I don’t believe it.”
<語句>
buried 埋める、葬る、無視する
climate change report 気候変動報告書
<日本語訳>
ドナルド・トランプ大統領は、気候変動報告を無視しました。なぜなら「私はそれを信じない」と言っているからです。
馬鹿にする人の心理
馬鹿にする人の心理には様々な思いがあります。次のような心理が代表的なものです。
◯優越感を持ちたい
自尊心の強い人は、相手の意見を無視し、優位に立とうとします。
◯コンプレックスを隠したい
劣等感が強い人が、他人を徹底的に虐めることで精神的にダメージを与え、仲間外れにしたり、追い出したり、会社を辞めさせたりします。
◯嫉妬心や妬み
相手に対し嫉妬心が強い人は、羨むだけでは気持ちがおさまりません。他の人を扇動し、馬鹿にして、孤立させ追い出そうとします。
◯孤独で注目されたい
周りの人たちから無視されがちな自己愛の強い人が、一番弱そうな人をスケープゴートにして、周りの人の関心を誘い率先して馬鹿にします。
◯ストレスをぶつける
立場の弱い人に対しては、反抗しないことを確認して、過酷なほど馬鹿にすることで自分のストレスの発散を行います。
人を馬鹿にする人の特徴5個[性格]
人を馬鹿にする人の性格にはどんな特徴があるでしょうか。5つの代表的な特徴をご説明いたします。
①攻撃的で優越感にひたりたい
自己顕示欲が強く、自分を優位に見せたい人、人よりも優位なことを示したい人、或いは反対に劣等感を隠し、優越感に浸りたい人は、相手よりも優れているように見せかけます。
そのことを悟られまいとして、相手に対して過剰なまでに攻撃的です。馬鹿にして相手にダメージを与え、優位に立とうとします。
②負けず嫌い
負けず嫌いな性格の人は、プライドも高く、相手に負けまいと、些細な事でも対抗心が強くなります。心理的には、他人に誇れる自信がないことが原因です。そのため、負けることに対して極度に恐れています。常に相手の弱点を探し出し、わざと馬鹿にします。
③独占欲や支配欲が強い
独占欲や支配欲が強く相手の優位性を認めません。心理的には、幼い頃の親の愛情の欠落があります。特に母親の愛情を十分に受けていないと欲求不満が原因となり、独占欲が強くなります。
裕福な家庭なのに、自由のない厳しい躾(しつけ)の中で育った場合でも、潜在意識の中に欲求不満が溜まってしまいます。そういう人が社会に出ると、全てを独占したいという支配欲が強くなります。
④自分の権威にこだわる頑固者
相手が自分より若いと、先輩として自分の意見を曲げたくない人もいます。長年のキャリアが自慢となり、仕事の仕方も自分流になっています。若い上司の意見は、世間知らずの机上の空論だと言って馬鹿にします。
⑤あまのじゃく
相手の意見に対して、真っ向から否定し、馬鹿にします。我儘だけでなく、ひねくれた性格です。黒いものも白だと主張します。間違っていても謝るのが悔しいという思いが強く、素直になりません。それ以上に相手の人間性まで否定しようとします。
人を馬鹿にする人の特徴5個[態度・行動]
人を馬鹿にする人の態度や行動にはどんな特徴があるでしょうか。5つの代表的な特徴をご説明いたします。
①上から目線でものを言う
常に他人を低く見て、誰の意見といえども認めません。自分の意見は常に正しいと思っています。それだけでなく、相手にそれを強引に認めさせようとします。
②皮肉屋で嫌味な事ばかり言う
他人が正しいことを言っても、頭ごなしにそれを崩してしまいます。重箱の隅をつつくように追求し、言葉の揚げ足をとって、恥をかかそうとします。
③人の言うことをへらへらした態度で聞く
聞く耳を持たないという態度は、人の話を真面目に聞きません。いつでも馬鹿にしたような態度でへらへらと笑いながら聞き、たしなめると逆上して怒りにまかせて怒鳴り散らします。
④お世辞を言わない人間にはつらく当たる
常に自分の意見が正しいと思い、間違った事を言っても訂正はしません。また間違ったことを指摘されても、謝ることもありません。常に相手にはへりくだった態度を望み、お世辞をいう者を優遇しますが、敵対するような者に対しては、馬鹿にして排除します。
⑤自分中心主義
世界は自分を中心に回っていると考えています。自分が中心になっていないと、話が進みません。たとえ、他人が合理的な意見を述べても無視します。文句を言えば言うほど、馬鹿にして取り合おうとはしません。
相手を馬鹿にする男性の特徴
◯自分中心主義で不公平
いつも自分を中心に考えているので、平等や公平さに欠けています。
◯自分の尺度で判断する
格式や伝統、権威を重んじ、他人の価値観は認めようとはしません。
◯他人が失敗すると嬉しくなる
他人の間違いや失敗を喜び、嬉しそうに他人の失敗を発表し恥をかかそうとします。
◯知識やノウハウを教えようとしない
自分の知識やノウハウは、簡単には出さず、他人が困ったり、悩んだりするのを楽しんでいます。
◯自分より優れている人に嫉妬心が強い
相手の欠点や落ち度を徹底的に追求し、相手の意見をつぶすことに腐心します。
相手を馬鹿にする女性の特徴
◯女王のように振舞いたがる性格
現代は西太后のような女性が政治を行うチャンスがなかなかありません。しかし、日本は男女雇用機会均等法が施行され、平等な社会になりつつあります。今後は女性の中から西太后のような女王的な人物が出て来るかもしれません。
◯自尊心が高い、虚栄心が強い
高い地位を獲得した女性は自尊心が高く、虚栄心も強い傾向があります。
◯わがまま
政策や人事に細かい事にまで自分の意見を徹底させます。完璧な配慮、手配ができていないと烈火のごとく怒り狂う性格です。
◯自分の権威を他人に見せつける
自分が支配している様を、世界の人々などに見せつけようとします。
学歴を馬鹿にする人の特徴
低い学歴の人は価値がないという勝手な価値観を持っている人たちがいます。
◯自分の学歴が優れていることを自慢したい
他の人の学歴を調べ、自分の学歴よりも低いことが分かると、その人と話をする時は、学歴の話を持ち出します。
◯他人の失敗の原因を学歴のせいにする
他人が失敗すると、能力が無いことを学歴のせいにします。自分はそんな失敗はしないと公然と言い放ちます。
◯学歴の無い人の意見に従おうとしない
自分の学歴を自慢にして、他人の意見を聞きません。その理由として他人の学歴の問題を取り上げて、能力がないという主張をします。
◯他人の学歴を比較し勝手に評価する
部下の学歴を比較して、A君は○○大学だから、△△大学のB君より劣るなどと言って、日ごろの努力や成果を無視します。
◯社内で同じ学歴の者同士が派閥を形成する
社内でも同じ学歴同士で派閥を形成して、他の大学の出身者の出世を妨害します。
職業を馬鹿にする人の特徴
人の本当の価値を見ないで、その人の職業でもって人間性を判断する人たちがいます。
◯職業に優劣をつけたがる
自分の職業を他人に自慢し、他人の職業を馬鹿にします。
◯自分より下の職業と思う人間に偉そうにする
自分より下の職業と思う人には、上から目線でものを言います。自分の会社の取引先が下請け企業であれば、命令口調になります。
◯自分の職業が勝っていると考えたがる
自分の職業を常に勝負感で考えます。競争相手の会社の業績には特に関心を示します。
◯自分より大きな会社の人間に嫉妬心を持つ
無理やり自分の会社を誇りに思いたいことで、自分より大きな会社の人間に対し、嫉妬心や妬みから、相手の欠点を洗い出し、吹聴します。
◯職業で人間の評価をします
人間の正しい評価をせずに、職業で人間性を判断します。職業に貴賤の区別がないにもかかわらず、賤しい職業と判断すると馬鹿にします。
馬鹿にする人への対処方法5個
馬鹿にしてくるような人がいたら何とかしたいと思いますよね。そのような場合の主な対処方法をご説明いたします。
■①なるべく関わらない
自分を馬鹿にするような人とは、なるべく関わらないようにすることです。そうは言っても、同じ部内や同じ課であれば、会話をしないわけにもいきません。会話を最小限にするようにしないといけません。余計なことは一切話さないことです。
■②聞くだけ聞いて忘れる
上司に馬鹿にされても、そこでは「そうですか、気が付きませんでした。今度から気を付けます」と言って機械的に受け流すことです。
◆感情を持つからストレスが生まれる
悔しいとか辛いと感じるのは、人間の感情です。ロボットには感情がありません。ストレスも感じません。その職場の中では、ロボットに徹することです。自分の感情で反応することは、もったいないと思うことです。悔しいと思ってやるなんて、価値のない人間にはバカバカしいと思うことです。そこで逆らうことは時間の無駄です。絶対にしてはいけません。
■③馬鹿にされたら言い返す
馬鹿にされたら、言い返すという方法があります。しかし、絶対に負けてはいけません。口論する限りは、十分に準備をして負けないようにしましょう。いわゆる理論武装をしっかりとして臨みましょう。けっして感情的になってはいけません。冷静な態度が必要です。
職場の場合、その職場でずっとそのような時間を過ごすのが無駄なように思える時は、転職も考えても良いでしょう。新しい職場を探すときは、職場環境を大切にしている会社を選びましょう。
■④人事部や総合労働相談コーナーに相談する
職場であまりにも馬鹿にすることが酷い場合には、パワハラやモラハラで人事部に相談すべきです。部下のすることに、何に付けても馬鹿にする上司は、誰からも文句を言われないことを良いことに、増長しているかもしれません。
◆人事部や総合労働相談コーナーには専門家がいます
そういう時には、思い切って人事部に相談してみることです。最近の会社では、パワハラやモラハラに対処するところも増えてきましたので、就職する前に、そういうシステムがあるかどうか確認しておくのも大切です。人事部でも解決がつかなければ、各都道府県に「総合労働相談コーナー」があります。そこでは、いじめや嫌がらせ、パワハラなどのあらゆる労働問題の相談を受けています。
■⑤徹底的に許す
パワハラや嫌がらせを受けた人々の全てに、一度はお勧めしたいのが、「許す」という行為です。イエスキリストのように、「右の頬を打たれたら、左の頬をも差し出しなさい」(マタイの福音書5:39)聖書を読むことが好きな方は、この言葉に親しみがあるかもしれません。
馬鹿にされている時は、精神的に惨めな思いをします。悔しさや情けなさで、自己嫌悪に陥ることもあります。聖書の言葉を実践するのは大変なことですが、神の愛の支えがあることを信じてみるのも良いことです。
禅の修行も厳しくて、修行の途中で逃げ出す人もいます。修行に耐えられない人は、世間に戻っても一人前にはなりません。
若い時には、人生修行の意味で、馬鹿にされることも有り難い修行のひとつと考えて、耐えることも必要なことです。
馬鹿にする人の末路
他人を馬鹿にし続けていれば、孤独な存在となります。
例えば、会社の中で組織の上に立ち、いくら威張っていたとしても、いつかは辞めなければなりません。権勢をふるった人であっても、組織から離れた人に対して、誰も声をかけてくれる人はいません。寂しい人生となります。
まとめ
人を馬鹿にする行為は善い行いではありません。自業自得という言葉の通り、人生は、自分で蒔いた種は自分で刈り取らなければなりません。他人に与えた苦しみは、自分に返ってきます。
しかし、日常の生活の中で、馬鹿にされたら悔しい思いをします。怒りが爆発しそうになるのをグッとこらえてばかりいては、ストレスが溜まるばかりです。どこかで発散しないと病気になるかもしれません。
気持ちの切り替えが大切です。幸せホルモン「オキシトシン」は、軽い運動や散歩などでも分泌されます。簡単な方法で「オキシトシン」は、分泌されストレス解消に効果的です。