「女性が苦手だ…」と思っているあなたは、もしかしたらミソジニーかもしれません。女性が苦手な原因に、自分を大きく傷つけた経験の思い当たりはありませんか?
今回は、ミソジニーの意味について解説し、原因や克服方法を紹介します。
ミソジニーの意味とは?
ミソジニーとは、女性に対して嫌悪感や差別的思想を持っている人を意味します。ミソジニーは男女ともに存在し、男性と女性のミソジニーでは傾向が変わります。
男性のミソジニーの多くは、女性蔑視に偏っています。女性を軽んじ、女性から査収しても構わないという思いが根底にあるのが特徴です。
男尊女卑であり、自分は男性なのだから無条件に女性よりも上なのだという思いがあります。そのため、自分の要求に応じない女性、自分の思い描いている女性像からかけ離れている女性を嫌悪し、場合によっては攻撃します。
一方、女性のミソジニーは自分の女性性に嫌悪感を持っている人が多いです。男性から性的な対象として見られることに過剰な抵抗感があり、それでいて「従うべきだ」という抑圧を感じています。女性でありながら男尊女卑思想で、女性である自分に価値を見出せません。そのため自己肯定感が低く、精神的に病みやすくなります。
ミソジニーの逆・対義語・ミサンドリーとは?
ミソジニーの逆を意味する対義語として、ミサンドリーという言葉があります。ミサンドリーとは男性嫌悪、男性蔑視を意味します。
ミソジニーとの違いは、ミサンドリーはほとんどが女性であり、男性のミサンドリーは少ない点です。これには、日本社会の男尊女卑の歴史が影響を及ぼしていると考えられます。
世界的に見ても、古くから国を動かすものや社会のトップは男性が非常に多いです。そのため、男性は女性とは違い、「自分の性を卑下する」という機会が少なくなります。「男児、特に長男はそれだけで尊く偉い」という時代もありました。そのため、男性は自分の男性性を否定する原因が少ないのです。
また、ミサンドリーは実社会で自分の思想を隠す傾向があります。男性嫌悪や蔑視を表面化させると、男女双方から非難されやすいからです。ミソジニーが社会で当たり前のように女性蔑視をする点とは大きな違いになります。
ミソジニーとインセルの違い
インセルとは「不本意な禁欲主義者」「非自発的独身者」を意味します。わかりやすく説明すると、本当はモテたいのに異性からモテる魅力が欠けており、自分の要求を満たせず、結果的に禁欲主義、独身主義を強いられている人のことです。非モテ男子とも言います。
インセルは不本意にモテませんが、だからと言って必ずしも女性を憎んでいるわけではありません。非モテ街道を悟りの極致で歩み、自分なりの幸せを見つける平和なインセルは多いです。
その一方で、「オレの魅力がわからない女が憎い」「オレを笑う女はクズだ」と、女性への恨みや嫌悪を膨らませて、ミソジニー化するインセルもいます。インセル=ミソジニーではありませんが、インセルの中にミソジニーが一部存在するのです。
また、ミソジニーが非モテとも限りません。ミソジニーの中には多くの女性と同時に関係を持つ女好きタイプもいます。インセルはミソジニーの中の一部に過ぎないのです。
ミソジニーはモテる?オタクでモテない人が多い?
ミソジニーにもさまざまなタイプがいます。前述したインセルタイプのミソジニーは当然モテないので、結果的にオタクの道に走るミソジニーは少なくありません。しかし、中には複数の女性からモテモテのミソジニーもいるのです。
ミソジニーの女性蔑視、男尊女卑思想は、オラオラ系に近い存在です。自信のない男性よりも、強引で自分勝手でも力強く引率力のある男性に魅力を感じる女性は少なくないので、女性蔑視をしながらも、それを上手に隠せる器用なミソジニーは、女性からモテるタイプが多いのです。
モテるミソジニーは女性を嫌悪や蔑視しながら、なぜ複数の女性と関係を持つのでしょうか。それは、「自分の要求に応える女性」には寛大だからです。
ミソジニーが許せないのは、女のくせに男に歯向かう、男より上位に立とうとする女性です。モテるミソジニーは自分をチヤホヤする女性を自分の思い通りに扱うことで、男性上位を噛みしめているのです。
ミソジニー・女性嫌悪の原因5個
ミソジニーになってしまう原因の多くは環境にあります。男性がミソジニー、女性嫌悪になる原因について解説していきましょう。
■1. 女性からモテない
男性が女性を意識するようになり、「モテたい!」という思いが芽生えたのに、その願いが叶わないと、ミソジニーの原因になります。と言っても、モテたいのにモテない男性全てがミソジニーになるわけではありません。
モテないショックでミソジニーになるのは、根底に男尊女卑があり「男である自分の要求に応えない女」を許せない男性に限ります。非モテの原因が自分にあるのではなく、「自分を受け入れない女が悪い」と考えてしまうのです。
これは、自尊心を守る防衛本能でもあります。競争社会ではさまざまな能力で優越が付けられますが、モテ度も例外ではありません。そのため、モテないのは自分に非があるからだと認めると、「モテない自分→ダメ男」となってしまいます。
もちろん、モテは魅力能力の一部であり、モテなくても素晴らしい人はいるのですが、ミソジニーは思考が極端なのでポジティブになれないのです。だから、自分を浮上させるために「ダメなのは自分ではなく、自分を受け入れない女だ」と考えてしまいます。
■2. 非モテからモテになった
非モテの自分を受け止め、努力を重ねてモテを手に入れてもミソジニーになる男性がいます。モテたい一心で努力を重ねる、あるいはモテから離れて自分の能力を磨くことで、女性にとって魅力的な男性になれたのです。
しかし、「モテたい」という自分の希望が叶ったのに、まるで手のひらを返すような女性の態度の変化に戸惑います。「見た目」「財力」「知力」「名声」など、自分の能力が上がっても、根底にある自分の本質は変わらないと思っているのです。
彼らにとって、能力値は自分の周りの付随物であり、本質はそのままなのに、女性が本質ではなく付随物に目を輝かせて自分に近づくことに対して不信感を募らせます。
そして、「女は権力と金に弱い」と極論に達し、女性を信用できずに嫌悪するミソジニーになるのです。
■3. 女性から裏切られた
女性に対して一般的な価値観と感情を抱いていた普通の男性が、ある日を境にミソジニーになるケースもあります。女性から酷い裏切られ方をすると、あまりのショックに女性全般を嫌悪するようになってしまうのです。
特に、心から信じていた女性の裏切りは、男性の心に大きな傷を残します。例えば、最愛の彼女に浮気された、信じていた仲間の女性がお金を持ち逃げしたなど、信頼を女性から壊されると、「二度と同じ思いをしたくない」という心理から、女性不信に陥ります。裏切ったのはその人であり、女性だから裏切るわけではないのに、「女性」という記号に囚われてしまうのです。
■4. 理想が高すぎる
あまりにも女性に対する理想が高すぎると、大半の女性は自分の理想像からかけ離れた存在になります。そのため、大半の女性を軽蔑するミソジニーになってしまいます。
このタイプのミソジニーは、モテと非モテが混在しています。モテる男性の場合、「女性はしとやかであるべき」「自分から何も欲しがらないべき」「選ぶのは男の役目」という価値観が染みついています。
そのため、自分にアプローチをする女性は破廉恥であり、理想から遠ざかるため、自分の欲望を満たす存在として割り切った関係を築きつつ、心の底で蔑みます。モテることを望んでおきながら、自分に魅かれる女性を嫌悪する矛盾を抱えているのです。
一方、非モテはモテない自分を慰めるために、どこまでも理想を高く保ちます。「自分がモテないのではない。自分の理想通りの女がいないだけ」と、屁理屈で自分の自尊心を守っているのです。もちろん非モテなので、理想の女性が仮に表れたとしても、恋が成就する可能性は限りなく低くなります。
どちらにしても、理想の高いミソジニーは女好きと女性嫌悪を両立しているのです。
■5. 母親との関係が悪い
子供にとって母親の存在は絶大です。男性にとって母親は最初に出会う女性であり、自分の中の女性の常識ラインになります。そのため、母親との関係が悪いと、女性を見ると母親を連想させて嫌な気持ちになってしまい、女性全般を嫌悪するようになります。
・母親がネグレクト気味
・母親が過干渉
・母親が不倫していた
・母親が非常識で子供のころから何度も恥をかかされている
・母親から虐待を受けていた
これらは全てミソジニーの原因になり得る事例です。特に具体的なトラブルがなくても、親子の相性が悪く愛情を感じられずに育った場合も、ミソジニーの原因になります。
女性がミソジニーになる理由
女性がミソジニーになるのは、家庭環境が大きな要因です。男性のミソジニーと同じく、母親との関係が悪いと、「あんなに大嫌いな母親と自分が同じ性」ということに耐えられず、女性全般に嫌悪を持つようになります。
また、親が性に対して非常に潔癖で、過剰に娘を性から遠ざけて育てたり、男女交際について「汚らわしい」「いやらしい」と極端に否定したりするのも、女性がミソジニーになる理由です。
子供にとって親の存在は絶大です。その親が娘の貞操観念に執着し、結婚以外の男性との交流を否定すると、恋心を抱く自分、男性から性的視線を受ける自分に嫌悪感や罪悪感を持つようになってしまいます。
その他、女性の複雑な友達関係に悩んだり、女性から強い嫉妬を受けていじめられたりすると、自分以外の女性嫌いのミソジニーになります。男友達が多くモテる女性ミソジニーに多いケースです。
ミソジニー・女性嫌悪になる人の心理
男性のミソジニーの心理は「女性が嫌いなのに好き」という矛盾です。女性が嫌いで軽蔑しているのに、それでも女性に構ってほしい、自分を特別に扱ってほしい、女性から奉仕されたいという気持ちがあります。
女性が嫌いならば、完全に切り離して男性だけの世界で生きれば良いのに、ミソジニーはそれができないのです。なぜならば、女性の上に立たなければ自尊心が満たされないからです。
一方、女性のミソジニーは自分の女性性に嫌悪を持つタイプと、女性性を最大限利用して得しようとするタイプに分かれます。
前者は周囲からなるべく女性らしいという認識をされないように努めています。それでも女性である限り女性として見られるため、自己嫌悪に陥り精神的に病みやすい傾向が強くなります。後者は「男性を立てるのが当たり前」と考えるので、自立心が高く男性と対等な女性に強い嫌悪を示します。「女の敵は女」の構図を自ら作り上げるのが特徴です。
ミソジニーの具体例3個
ミソジニーは実際にどのような言動をするのでしょうか。ミソジニーに良くある具体例を紹介します。
■1. 徹底的に男尊女卑する
ミソジニーの大きな特徴は男尊女卑です。男性ミソジニーも女性ミソジニーも、共通して男尊女卑を行います。
男性の場合、女性を下僕のように使います。ギブアンドテイクではなく、男性は一方的に女性に奉仕されて当然な存在だと考えているのです。そのため、男性と対等に働く女性を「生意気」と言ったり、自分に反発する相手が女性だと言うだけでキレたりします。その反面、男性に尽くす女性、家事育児を完璧にこなす女性を絶賛します。
女性の場合、過剰なまでに「女性は謙虚であるべき」「男性に守ってもらえるかわいい女性であるべき」という思想にこだわります。いつでも笑顔で、自己犠牲精神を持ち、常に男性を持ち上げる女性こそ価値があると考え、偉ぶる男性を援護射撃します。同じタイプの女性で塊り、自分の常識を逸脱する女性をよってたかって攻撃して邪魔をするのが特徴です。
■2. 複数の女性と同時に関係を持つ
男性のミソジニーの中には、性欲旺盛で見境なく複数の女性と同時に関係を持つタイプがいます。「浮気は男の甲斐性」「男は種をまく性」を公言し、1人の女性に愛情を注ぎません。それだけではなく、それぞれの女性を粗末に扱うのも特徴です。
自分がモテるのを良いことに、女性が傷つくとわかっていながら体の関係だけを結びます。傷つきながらも自分と関係を持つ女性を軽蔑し、更に傷つけることに喜びを感じているのです。
■3. 女性全般を恨みSNSでストレス発散する
実社会では自分の思想を隠しているミソジニーもいます。リアルでは周囲に合わせて穏やかに振る舞いますが、匿名性の高いSNSでは女性全般への恨みを発露し、外で溜めたストレスを発散するのが特徴です。
女性が自分とは違う思想の声をSNSで上げると、ミソジニーはいそいそと撃退しに行きます。悪口雑言をコメントして、対象の女性を徹底的に叩くのです。SNSではミソジニーVSミサンドリーの図式が良く見られます。
ミソジニー・女性嫌悪の克服方法3個
ミソジニーは深層心理と深く結びついているため、「ミソジニーを克服したい」「女性嫌悪から抜け出したい」と自発的に思うことが重要です。あなたが治したいと思うなら、自分を変えられる可能性は高いです。そこで、ミソジニーの克服方法を紹介します。
■1. 人を性別ではなく1人の人間として認識する
強烈なトラウマや環境によって、あなたは自分が嫌悪する対象が女性だったというだけで、全ての女性に拒否反応を起こしています。しかし、女性だからと言って、全てが同じ性格や特性を持っているわけではありません。
男性に善人と悪人両方いるように、女性にもさまざまなタイプが存在します。ミソジニーを克服するには、「女性とは〇〇」という固定概念を払しょくしなければなりません。
まずは、人を性別ではなく1人の人間として意識的に認識していきましょう。「女性」「男性」という記号に惑わされず、「この人はどのような性格で、何を考えているのか」に注目するのです。すると、相手の本質が徐々にわかるようになり、女性だから統一された嫌悪を抱く必要性がないと気付けます。
■2. 幸福な交際や結婚をしている人の話を聞く
あなたやあなたの周囲は、女性と関わって不幸になった人が多いのでしょう。しかし、女性と一緒に幸せになった人はたくさんいます。女性との関りの失敗例ではなく、成功例に目を向けることが大切です。
女性と幸福な交際や結婚している人の話に耳を傾けましょう。実際に話を聞くのも良し、ブログやSNSののろけ話を読むも良しです。「女性と幸せになった例」をたくさん読んで、女性=不幸という情報の偏りを修正していきましょう。
■3. カウンセリングを受ける
自分だけではなかなか女性への嫌悪が払しょくできないのであれば、カウンセリングを受けるのも1つの克服方法です。
話を聞き、悩みに寄り添うプロであるカウンセラーの力を借りれば、あなたが気付かないミソジニーの原因を見つけて対策を立てられるでしょう。
まとめ
男女平等が謳われる日本ですが、まだまだ男尊女卑の思想は色濃く残っています。そのため、ミソジニーであっても適度に自分の言動を調整すれば、社会に出ても不都合は起こりません。
しかし、当然ですが人口の約半分は女性です。ミソジニーのままでいると、2分の1の対象に対して憎悪し続けなければなりません。これは非常にストレスです。
また、女性も十人十色で、もしかしたらあなたと相性が良く強い信頼関係を結べる女性がいるかもしれないのに、ミソジニーであるがゆえに大切な人間関係を見過ごすのは非常にもったいないです。
あなたの幸せのためにも、ミソジニーを自覚し、視野を広げましょう。性別ではなく、同じ人として接すれば、今までとは違う世界が見られるでしょう。