愛する我が子に親が最初にプレゼントするもの、それが「名前」です。
最近では、インターネットなどで誰でも簡単に占うことができるため、自分の吉凶を占ったり、赤ちゃんの名付けに活用したことのある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
ですが一方では、「姓名判断は当たらない」と思われている方も多いと思います。
その理由として、例えば占うサイトにより吉凶が異なったり、画数が違う場合があることが挙げられるかと思います。
Aのサイトを見て吉数をつけたのに、Bのサイトでは凶数になってしまった、という場合もあると思います。
姓名判断の流派はいくつある?
姓名判断にはおよそ300以上の流派が存在すると言われています。流派により、画数の算定方法が異なるため、全ての流派で吉数になる名前は存在しないといってもいいのです。
ではその流派の違いとは、具体的にどのようなものなのでしょうか?
なぜそれほど多くの流派が存在しているのでしょうか?
それを知るには、姓名判断の歴史にまでさかのぼる必要があります。
姓名判断の歴史
姓名判断の歴史は、古代中国の五行説および陰陽説にあると言われています。
五行説とは、「木、火、水、土、金」の五元素によってこの世の全てを解釈しようとする思想であり、陰陽説とは、森羅万象全ての物事を「陰」と「陽」であらわそうとする理論のこと。
姓名判断は、姓名の字の画数から五行の対立、陰陽のバランスを見て吉凶を判断していたのが、始まりと考えられています。一方、姓名判断の日本での歴史はもっと浅く、日本人が名字を名乗るようになった明治時代以降です。
運命学者の熊崎健翁によって、「姓名判断の神秘」が発表され、大ベストセラーとなりました。これまで難解で理解しづらかった姓名学が、一気に世に広まっていくのです。
姓名判断の流派にはどんなものがある?
■旧字体を活用する流派
熊崎氏が提唱した「熊崎式姓名判断」では、中国の漢字辞典、「康煕字典」に基づく旧字体を使用します。
旧字体や新字体というと、もしかすると何のことやら思い浮かばない方もいるかもしれませんね。
新字体では「渡辺」が旧字体なら「渡邊」であるとか、「浜田」が「濱田」にというように、旧字体と言えど、今でも漢字によっては日常的に目にする機会の多いものもあります。
ちなみに漢数字の画数は数字の意味そのものになるので、「四」は4画、「五」は5画、「六」は6画、「七」は7画、「八」8画、「九」は9画、「十」は10画と数えられます。
ならば、百や千や万はどうなるのか?と疑問を持たれた方、ご安心ください。百や千や万は例外で本来の画数が使われます。
また、部首にも注意が必要です。例えばさんずいは水の意で4画、りっしんべんは心の意で5画、にくづきは肉の意で6画、というように文字の起源や意味などから画数が決められている場合があるのです。
一方で、このような旧字体を元にした画数の算出方法ではなく、実際の画数を重視するべきだという考えも広まって来ました。
■新字体を活用する流派
それが新字体派の姓名判断で、代表的なのが「桑野式姓名判断」でしょう。
桑野式姓名判断では、五格に加え、社会運・家庭運・内運A・内運Bの独自の四運を採用しています。
近年では、同格同数理論という、画数の吉凶だけでなく働きが同じである数字の縦・横・ななめの位置関係に、カバラを加えて判断する、「吉元式姓名判断」もあります。
以上を表にまとめますと、
旧字体派、新字体派にほぼ共通するのは、天格・人格・地格・総格・外格の五格によって運勢を見ることであり、そこにさらに五行のバランスや三才(天格・人格・地格)の配置、生年月日、一字姓、一字名の場合に足す霊数の有無などが加わります。
どの流派が正しいということではなく、どの流派も占い師たちの経験により、進化・発展させてきた形であることは間違いありません。
現在、最もポピュラーで主流な流派は、やはり姓名判断の始祖である、熊崎健翁が提唱した熊崎式ですが、それも占者の経験により様々にアレンジされているのが実情で、そういう意味では、流派は今現在も増え続けているといって良いでしょう。
一方で最近では、インターネットで無料で気軽に姓名判断が占える時代となり、画数のみで占うようないい加減な姓名判断が多いのも事実。
ネットの無料の姓名判断を安易に信用し、後から後悔するなんてことにならないよう、自身の改名はもとより、赤ちゃんの名付けなどは慎重にするべきだと言えるでしょう。
姓名判断は本当に当たるのか?
参考までに、私事で恐縮ですが、筆者は自分の結婚式の二次会で、友人の熊崎式姓名判断の鑑定士に、列席者全員の姓名判断をしてもらったことがあります。
「仕事ができる人」「お金持ちになれる人」「幸せな結婚ができる人」など、ランキング形式で1位から3位まで発表するという内容でしたが、とても盛り上がりました。
ですが本当は、披露宴の余興の一つとして行う予定でしたが、二次会になった理由はなぜかわかりますか?
それは、「当たりすぎていた」からです。
例えば後家運の強い女性が、夫に先に亡くしていたり、息子に先立たれていたり。何をやっても運がない友人の画数が、やはりそのような暗示の強い名前だったりして、なまじっか相手の状況が分かってしまう親しさの間柄であるばかりに、軽く扱うことはできませんでした。
もちろん、「全く当たっていない人」もいました。名前はとても良いのに、はたから見ると、そうは思えない。逆に名前はとても悪いのに、とても幸せそうだ、など。
実際は、「幸せ」とか「ツイている」というのは、本人の価値観や感じ方次第ですから、一概に決めつけられないものです。ですがその時に、姓名判断の神秘を強く感じずにはいられなかったのも事実なのです。
それは、生まれてくる我が子には、必ず姓名判断を元に名づけようと決意した瞬間でもありました。名前が全てではありません。一方で、名前は、その人の人生を映し出す一側面になり得るのです。
名前に良い誘導があれば良い方へ、悪い誘導があれば悪い方へ、引っ張られるのです。姓名判断は、正確な理論に基づき、正しく理解をしている人が占えば、かなりの確率で当たります。
どの流派を信じるべき?
先ほども申し上げたように、流派により姓名判断の吉凶が大きく変わる可能性があります。
姓名判断はもとより姓が二文字、名が二文字を基本形としていますので、それ以外のパターン、例えば一文字の姓名である場合、三文字の姓名である場合において、流派により画数が変わるのです。
基本的な数の吉凶はどの姓名判断においてもほぼ変わりはありませんが、数字が一つ異なるだけで数意の持つ意味や吉凶は大きく異なります。どれを信じるかは、占ってくれる人となりやその流派の成り立ちを参考にピンと来たものを選んでみてください。
赤ちゃんの名付けの考え方
赤ちゃんの名付け、あるいは改名の場合などには、専門家に依頼するのが無難ではありますが、自分でも調べてみたい場合は、流派の異なる姓名判断のサイトで、自分の姓名はもとより、身近な人、または芸能人などを簡易鑑定し、当たっていると思えるかどうかを判断材料にしても良いでしょう。
それは一見すると、ロジックを無視し、主観的に判断しているようですが、日本における姓名判断は、突き詰めれば占者の知見と経験によって、多様な形に分化をしていったことを考えれば、自分の「当たっている」という感覚を信じることは間違いではありません。
まとめ:良い名前をつけたのだから大丈夫と思えるか
ちなみに、筆者は二人の息子がいますが、五格すべて同じ画数になるように名前をつけましたが、当たり前ではありますが、性格はまるで異なります。
ですが、良い名前をつけてあげたという自負があり、子育てにおいて悩む時も、「良い名前をつけてあげたのだから大丈夫」という思いもあるのです。
その意味においては、名づけや改名においては流派というよりも、「良い名前だ」と自分自身が自信を持てる名前であることも、姓名判断の吉凶と同じ位に大きな意味を持つのかもしれません。