※愛犬雑誌で編集者をしていたライターが書いています。
犬の聴覚は人間のおよそ4~5倍といわれています。耳に届く音が大きい分、じつはとっても音に敏感。
日々の生活の中に何気なくある音が、犬にとっては怖い音・いやな音だったということもあります。
愛犬が怖がったりいやがったりする音をチェックしておきましょう。また怖い音を聞いてパニック状態になった場合のサインと対処方法を確認しておいてくださいね。
犬が怖がる音6個
犬が「怖い!」と思う音にはどんなものがあるのでしょうか?ここでは6個のパターンをご紹介します。
■1. 掃除機の吸い込み音
何気なく掃除機のスイッチをONにした……その瞬間、愛犬が走り出したり、逆に動かなくなったり、という経験はありませんか?
掃除機が思いもよらない動きをすることも関係ありそうですが、掃除機が発するキーン!という高い音が怖いのだといわれています。
確かに高い周波数の音を聞き続けていると耳が痛くなりますよね。空気を吸い込む音、掃除機の中でファンがまわる音など、さまざまな音が混ざり合って、犬にとってより不快な音になっているそうです。
■2. ドライヤーの送風音
強風や弱風が出るドライヤーも、怖がる犬が多いといわれています。近年は速乾ドライヤーも数多く発売されており、実際に使っている飼い主さんも多いのではないでしょうか?
風が出る音は70dB(デシベル)とかなり大きな音。たまにその風が自分に当たったりして、いやな記憶がよみがえってくる犬もいるのかもしれません。
■3. バイクや車のエンジン音
大きな走行音にびっくりしてしまう犬が多いのが、大型のバイクや車のエンジン音です。地鳴りのような音と振動に恐怖を感じるといわれており、多くの犬がニガテとする音です。
しかもバイクや車は移動して、まるで自分を追ってくるかのようにあとをついてくることもあります。日々のお散歩で怖い思いをしている子もいるかもしれません。
■4. 雷のゴロゴロ音
地鳴りのような不規則な雷がニガテという犬はとても多いです。遠くからゴロゴロ……と聞こえ、だんだんと近くなってくる雷。
神経質な犬ほど雷恐怖症になりやすいともいわれています。なぜなら雷が発生するときの気圧や静電気などに反応してしまうからです。
そのほかにも、加齢や精神的な影響によって体の器官がいつもより敏感になってしまうケースもあるといわれています。
■5. 花火などの爆音
雷と同様に、耳にドーン!と届く花火。花火大会などに連れていきたくなりますが、パニックになっていきなり走り出したり、逃走したり……という犬がとても多いのも事実なのです。
日常にあふれている音と違い、「慣れる」ことができない音なので、注意が必要です。
人間にとっては綺麗で楽しいものであっても、犬にとっては苦痛だったり恐怖だったり。花火大会に連れていくのは考えたほうがいいかもしれません。
■6. インターホンのチャイム音
「だれかが家に侵入しようとしている!」「外敵がきた!」とばかりにワンワン吠える犬が結構多いのが、来客を知らせるチャイムの音。
警戒心が強い犬、臆病な犬ほどチャイムの音を怖がります。こちらは日常生活の中の音なので、慣れさせていくことをオススメします。
犬が怖がるときの仕草
犬が恐怖を覚えたとき、どのような行動をとるのでしょうか。ここでは、飼い主さんが見てすぐわかる“ボディランゲージ”をご紹介します。犬の気持ちはしっぽやからだ全体の動きや姿勢から読み取ることができますので、チェックしてみてくださいね。
◯しっぽが下がって、足のあいだに入っている
恐怖心がMAXの状態で、「これ以上近づかないで。近づいたら攻撃するよ!」と伝えています。
◯耳をうしろに倒している
警戒心を強く出している証拠です。まわりの環境や変化にかなり気をつかっているときです。
◯マズルにしわが寄っている
鼻にしわが寄るほど歯をむき出しにし、攻撃する姿勢を見せています。
◯背中の毛が逆立つ
体毛が一気に逆立ちます。極度の緊張や急なストレスを感じている証拠です。
◯目が充血しはじめる
緊張すると呼吸が荒くなり、目が血走ることも。目が充血するとびっくりしてしまいますが、一時的なものなので安心してOK。
◯肉球がしっとり濡れている
人間でもストレスを感じると手のひらに汗をかいたりしますよね。犬も同じように肉球(パッド)に汗をかきます。肉球がしっとり濡れていたらストレスを感じているサインです。
怖がる犬を落ち着かせる対策方法5個
愛犬が怖がっているとき、緊張しているときに飼い主さんはどのようにすればいいのでしょうか。ここでは簡単にできる5つの方法をピックアップしていきます。
■1. 恐怖の音の出どころから離れる
花火の音やバイクの音が怖いという場合は、すぐにその場所から離れることをおすすめします。緊張を与え続けてしまうと、犬は多大なストレスを受けてしまいます。
お散歩の途中であればルートを変える、花火の音がするときは外に出ないなど、基本的な対策をしっかりしてあげれば大丈夫です。
■2. 生活音には少しずつ慣れるトレーニングをする
掃除機やチャイムが怖い……という犬は、ぜひおうちでできるトレーニングで改善をしましょう。
まずは犬がいない部屋で掃除機をかけ、少しずつ犬がいる部屋に近づいていき慣れさせる、という方法もあります。
チャイムを怖がる場合は、何回かチャイムを鳴らし飼い主さんが登場する、という行動を繰り返して「チャイムが鳴っても怖い人やモノは現れない」ということを教えていくといいでしょう。獣医さんやトレーナーさんに相談してみるのもおすすめですよ。
■3. マッサージをする
犬の緊張をほぐすのに最適なのは“さわってあげること”。体を全体的にさわってあげるのもよし、顔まわりをナデナデしてあげるのもよし。愛犬が喜んでくれることがいちばんの緊張をほぐす方法なのです。
ちなみに、前肢の付け根(鎖骨のような部分)にある丸い骨のあたりを、指でくるくるっとやさしくまわしてあげてみてください。犬にとって気持ちいいポイントなのだそうです。
■4. 運動をさせてみる
気分転換も兼ねてちょっとお散歩にでかけてみるのもいいでしょう。お散歩が難しい場合は、お部屋のなかでできる遊びを。おもちゃを使って「もってこい」遊びをしたり、引っ張り合いをしたりするのもおすすめです。
ネガティブな気持ちを忘れさせて、楽しいことに転嫁してあげるのは飼い主さんにしかできないこと。ぜひいっぱい遊んであげてくださいね。
■5. 飼い主さん自身が落ち着く
犬は、人が思っているよりもよ~く飼い主さんを観察しているもの。いちばん信頼している飼い主さんが焦ったり狼狽したりしているのを見ると、犬もなんとなくソワソワしてしまうのです。「いつもと違うことが起こるのかな?」と、愛犬もドキドキ。
まずは飼い主さんが落ち着いて(落ち着いたフリでもOK!)みて。深呼吸して、愛犬を安心させてあげましょう。
犬が怖い音に慣れることはある?
ズバリ、犬は音に慣れます。怖い音であってもちゃんと慣れていきます。ただし、これは日常で聞こえる音だけ。
予測できないような音(たとえば花火など)に慣れさせるのは難しいかもしれません。花火の音がする場合は、部屋の窓を閉め、防音対策を万全に。あらかじめ対策をとることが大切です。
掃除機やドライヤーを使うときは小さい音からはじめたり、愛犬を違う部屋にうつしたりという対策をとっていきましょう。掃除機の音などを録音しておいて、それを流して慣れさせていくのもOKです。
そのときは愛犬が大好きなオヤツをあげたりして、「好きなものがもらえる!」というポジティブな思考に持っていくことが大事です。好きなものに集中することで、音に慣れやすくなります。
まとめ
犬がニガテな音は日常生活の中にもたくさんあふれています。しかし人間と犬がいっしょに暮らしていく以上、犬にも慣れてもらわなければなりません。そのためのトレーニング方法はたくさんありますし、困ったらプロの手を借りるのも手です。
「いやな音が聞こえたあとはいいことが起きる」とポジティブに考えていけるように、飼い主さんと家族が手助けをしてあげていきましょう。