※ブリーダーなどペット業界経験豊富なライターが書いています。
ラブラドゥードルは「ラブラドールレトリーバー」と「スタンダードプードル」のミックス犬と思われがち。しかし、本家本元のオーストラリアン・ラブラドゥードルは、二つの犬種を掛け合わせただけのミックス犬ではありません。
この記事では、ラブラドゥードルの正統派「オーストラリアン・ラブラドゥードル」について、詳しく解説しています。
オーストラリアンラブラドゥードルの犬種と特徴は?
大きなテディベアのような風貌で、スタンダードプードルにしてはちょっと線が太いと感じたら、それはオーストラリアン・ラブラドゥードルかもしれません。
似た犬種のゴールデンドゥードルは、ゴールデンレトリーバーとプードルを掛け合わせた一代限りのミックス犬。
しかし、ラブラドゥードルの作出には、6つの犬種が関わっています。
・ラブラドールレトリーバー
・プードル
・アイリッシュウォータースパニエル
・カーリーコーテッドレトリーバー
・アメリカンコッカースパニエル
・イングリッシュコッカースパニエル
ラブラドゥードルが他のミックス犬と大きく違う点は、「ラブラドゥードル」を純血種として固定するために、犬籍登録を管理してラブラドゥードル×ラブラドゥードルのブリーディングが進められていることです。
※ラブラドールレトリーバーとプードルを掛け合わせたミックス犬は、ラブラドゥードルと呼ばれていても、オーストラリアン・ラブラドゥードルではありません。
木村拓哉(キムタク)の愛犬はラブラドゥードル?
ここ数年、タレントの木村拓哉さんがSNSでプライベートを公開するようになりました。その中で愛犬が時々登場していますが、エトワールとアムールという名の2匹の犬は、まさしくオーストラリアン・ラブラドゥードルです。
インスタグラムを見た方はわかると思いますが、2匹はかなりサイズが違いますよね。画像を見る限り、大きいほうはスタンダードサイズ、小さいほうはミニチュアサイズのラブラドゥードルです。
どちらの犬もきれいにトリミングされた姿は、さすがキムタクの愛犬!といったところでしょうか。
ラブラドゥードルの歴史
ラブラドゥードルの歴史は、1970年代中ごろに、ハワイに住む盲目の女性が、アレルギーを悪化させない盲導犬を求めたことに端を発します。
当初はスタンダードプードルを盲導犬に育てようとしましたが、上手くいきませんでした。そこで、すでに盲導犬として活躍していたラブラドールレトリーバーとスタンダードプードルを交配させて、盲導犬としての優れた資質を持つ、抜け毛の少ない犬――ラブラドゥードルを誕生させたのです。
結論から言えば、ラブラドゥードルはアレルギーに配慮した盲導犬に向きませんでした。というのも、生まれてくる子犬の資質がバラバラで、アレルギーテストに合格する犬が期待したほど多くなかったからです。
ミックス犬であるがゆえに外観や資質も粒がそろわず、さらには遺伝的な異常やてんかんを持つ個体が多いことも判明。その結果、盲導犬としてではなく、ペットとしての改良が加えられ、今に至っています。
ラブラドゥードルの寿命
およそ10~15年と考えられますが、犬の寿命は総じて大型より小型のほうが長くなる傾向にあり、スタンダードよりミニチュアの方が長くなると予想されます。
ラブラドゥードル成犬の大きさ・体重
日本オーストラリアン・ラブラドゥ―ドル協会が定めるサイズ規定は以下の通りです。
◯スタンダード
体高/オス56~64cm、メス53~58cm
体重/23~30kg
◯ミディアム
体高/オス46~51cm、メス43~48cm
体重/13~20kg
◯ミニチュア
体高/35~42cm
体重/7~13kg
ラブラドゥードルの毛色
日本オーストラリアン・ラブラドゥ―ドル協会の規定では、すべての毛色が認められています。
チョーク、クリーム、ゴールド、キャラメル、レッド、ブラック、シルバー、ブルー、チョコレート、カフェ、ラベンダー、パーチメント、パーティ、ファントム、アブストラクト、セーブル、ブリンドル、マルチパターン
ラブラドゥードルの性格
ラブラドールレトリーバーとプードルを主軸としているだけあり、とても学習能力の高い犬です。子犬の頃から主従関係をベースにきちんとしつけることで、明るく活発で懐っこい理想的な家庭犬になるでしょう。
ただし、人懐っこいとはいっても、誰に対してもというわけではありません。見知らぬ人には警戒するところがありますが、攻撃的な態度をとることは稀です。
子どもや他の動物とも仲良くなれる性格は、大きさのわりに初めて犬を飼う人や、小さなお子さんがいる家庭にも向いています。体格は大きくても小型のテリア種より、ずっと飼いやすいのではないでしょうか。
性格的にはスタンダードが一番穏やかで、ミディアム、ミニチュアとサイズが小さくなるにつれて、家の中でも活発に走り回る傾向にあります。
ラブラドゥードルの子犬の販売価格・値段は?
日本オーストラリアン・ラブラドゥ―ドル協会の認定ブリーダーから子犬を迎える場合、子犬の価格は約35万~50万円(ワクチン代・マイクロチップ代別)です。
犬籍登録に基づいた交配がされるため、健康面や遺伝的要因に問題のないオーストラリアン・ラブラドゥードルの子犬が生まれる確率が高くなります。FCIなどの国際的畜犬団体に公認されているわけではありませんが、協会独自の血統書が発行されるので安心です。
協会とは関連しないブリーダーが販売しているラブラドゥードル子犬の相場は、およそ30万~40万程度。こちらはラブラドールレトリーバーとプードルを掛け合わせたF1:一代交雑種で、オーストラリアン・ラブラドゥードルではなく、ラブラドゥードルと呼ばれるミックス犬です。
ラブラドゥードルの飼い方
ラブラドゥードルはサイズに関係なく、室内飼育がおすすめです。屋外飼育ができないわけではありませんが、性格的な面を考えると向いていません。人と触れ合ってこそ、ラブラドゥードルは性質の良さを発揮する犬。抜け毛が少なく体臭もあまりないので、室内飼いがベストです。
ラブラドゥードルを含むレトリーバー系の犬は、股関節の病気に要注意!室内がフローリングなどスリップしやすい床の場合は、必ず滑りにくい準備をすることが健康長寿につながります。
ラブラドゥードルのしつけと育て方
しつけやトレーニングに関しては、訓練性能の良さから苦労することはまずありません。ただし、とても賢い犬なので、中途半端なしつけは逆効果。飼い主の甘さを見破られてしまいます。
ラブラドゥードルを飼うなら、賢い犬のリーダーになる自覚を持たなければなりません。良いことは良い、悪いことは悪いとしっかり教えれば、ラブラドゥードルの持つ素晴らしい性質が引き出せるはずです。
ラブラドゥードルの餌の量
ラブラドゥードルは胃腸や皮膚が敏感になりやすいため、食べさせる餌は消化がしやすいことを念頭に置いて選ぶと安心です。また、適正な体重や体型をしっかり見極めながら、食事の量を管理する必要があります。ラブラドールレトリーバーの体質が強く出ると、食いしん坊になりやすく、その結果肥満になりやすいからです。
反対にプードルの体質が強く出た場合、食べムラが強くなることもあります。そういう犬はオヤツにつられにくいので、しつけやトレーニングの際、食に対してどのような反応を示すか確認しておきましょう。
ラブラドゥードルは吠える・噛む・無駄吠え?
ラブラドゥードルは基本的にあまり無駄吠えのない犬種です。しかし、飼い主に遊んでほしい時や、オヤツを要求する時などに吠えることも。
吠えるたびに要求に応じていると、頭の良いラブラドゥードルはあっという間に「吠える=思い通りになる」と学習します。
子犬の頃からきちんとした主従関係が築けていれば、ラブラドゥードルが無駄吠えや噛みつきで飼い主を困らせることはありません。
ラブラドゥードルの病気・健康管理は?
オーストラリアン・ラブラドゥードルとF1のラブラドゥードルが気をつける病気は、以下の通りです。
◯股関節形成不全
レトリーバー系に多くみられる、遺伝的要因が深く関わった病気です。成長途中で股関節に形態的な異常が起こり、骨盤のくぼんだ部分と大腿骨の先端が正常にかみあわなくなります。初期段階では腰を振って歩く程度ですが、症状が進んでくると痛みが出るようになり、歩行や運動に問題が生じることも。歩き方がおかしいと感じたら、すぐに動物病院を受診する必要があります。
◯進行性網膜萎縮症
遺伝性疾患の一つで、網膜が少しずつ薄くなり、最終的には失明する病気です。ラブラドールレトリーバーとプードルの両犬種ともにかかりやすい病気のため、ラブラドゥードルも気をつけなければなりません。物にぶつかるようになったり、動作に変化が出たときは、早めに動物病院を受診しましょう。
ラブラドゥードルのトリミング・カット・抜け毛
ラブラドゥードルは抜け毛の少ない犬種です。だからといってお手入れをさぼると、柔らかな被毛はあっという間に絡まりあい、毛玉だらけに。被毛をもつれさせないためにも、週に3~4日はブラッシングが必要です。
体臭は少ないのでシャンプーは月に1回程度で充分。トリミングは月に1回、最低でも2ヶ月に1回はしておかないと、全身ボサボサになります。
こまめなトリミングが難しい場合は、顔回りや肉球の間の毛をお家でセルフカットするだけでも、サロンに行く頻度を減らせます。トリミング用のハサミとバリカンがあれば、思いのほかきれいにできますよ。
ラブラドゥードルの探し方は?ブリーダー・里親
日本オーストラリアン・ラブラドゥ―ドル協会の犬籍管理された子犬を迎えるには、認定ブリーダーの「レイクウッズ・ラブラドゥードルズ」に申し込む必要があります。
ラブラドールレトリーバーとプードルを掛け合わせたF1の子犬を探すなら、ブリーダーから直接迎えるのが一番。親犬が遺伝子検査を受けているか、サイズはどの程度かをきちんと確認したうえで、子犬を迎えることをおすすめします。
認定ブリーダーの「レイクウッズ・ラブラドゥードルズ」には、FGHシステムという里親制度があります。また、ふれあい広場で活躍していた犬の引退に伴って里親を募集することもありますので、気になるかたは検索してください。
まとめ
ラブラドゥードルは抜け毛が少なく、アレルギーの原因になりにくい犬とされていますが、絶対ではありません。
血統を管理されたオーストラリアン・ラブラドゥードルでさえ、いまだ性質にはバラつきがあります。迎えたラブラドゥードルに抜け毛が多かったとしても、それがその犬の愛すべき個性です。