怠惰(たいだ)とは、どのような意味がある言葉なのでしょうか。怠惰は七つの大罪の1つとも言われる言葉ですので、その言葉を見たり、聞いたりしたことがあるという人は多いでしょう。
しかし日常会話で頻繁に使われるような言葉ではないため、聞き覚えはあっても意味はわからないという人が多いです。
そこでこの記事では、怠惰の意味や類語、対義語、怠惰な人の特徴などについて解説していきます。この記事で怠惰という言葉の意味をしっかり理解していきましょう。
怠惰の意味とは?
怠惰とは、やらなければいけないことをやらず、怠けることを意味する言葉です。簡単に言えば、怠け者な人の様子や状態を怠惰というということになります。
あなたの周りにも怠惰な人がいれば、自分自身がそうだということもあるでしょう。やらなければいけない宿題があるのにやらない。仕事中なのにサボる。このような人の態度のことを怠惰と言います。
「怠」という漢字はそのまま、「怠(なま)ける」という意味があります。そして「惰」にも同じように「怠ける」「おこたる」「やる気がない」という意味があるため、この2つを組み合わせた怠惰という言葉は、誰がどう見ても怠けている人に使う言葉です。
日常会話で使うことは少ない難しい言葉ですが、小説やドラマ、漫画などで使われることもあるため、その意味も含めてしっかり覚えておきましょう。
怠惰のキリスト教の意味は?大罪?
怠惰という言葉はキリスト教と深い関わりがある言葉です。というのも、キリスト教で伝えられている七つの大罪の1つが怠惰とされているからです。
七つの大罪とは、人間を罪に導く可能性のある、七つの欲望のことを指します。その七つの大罪とは、「傲慢」「強欲」「嫉妬」「憤怒」「色欲」「暴食」、そして「怠惰」です。
七つの大罪は人間が生まれながらに持った罪だと解釈されることも多いですが、正しくはこれらの欲に身を任せてしまうと、罪を犯してしまうという戒めです。
そして怠惰という言葉の意味も、七つの大罪では意味が変わります。言葉の意味そのままで言えば、怠けることを戒めているということになってしまいますが、本来の意味は真逆です。
本来は、休日にしっかり休まずに働き続けてしまうことで、本来の自分を見失ってしまうことへの戒めとされています。そのため、七つの大罪における怠惰という罪の解釈を間違って覚えないように注意しておきましょう。
怠惰の類語・対義語
怠惰の類語には、「怠慢」「横着」「無精」などがあります。これらの類義語は基本的に同じ意味です。ただし、文章上での使いどころが違う部分があるため、注意しておきましょう。
怠惰の対義語は、「勤勉」です。怠惰は怠ける状態を指す言葉ですが、勤勉は仕事などに対して真面目な状態を指す言葉となっています。まさに真逆の状態ですので、「勤勉なあの人に比べて、あいつは怠惰な性格だ」と使うと正しい使い方となります。
怠惰の使い方・例文
怠惰という言葉は難しい言葉ですので、どのような使い方をすれば良いのかわからないという人も多いでしょう。そこで以下に、怠惰の例文を紹介していきます。
「コタツに入っていると、どうしても怠惰になってしまう」
「ひさしぶりの休日ということもあって、怠惰な生活を送ってしまった」
「入社した新人はまったく仕事をしない怠惰な性格だった」
「彼はいつも怠惰な態度なので、周りをイラつかせる」
このように怠ける人の性格を指すときに、怠惰という言葉を使います。また、「怠惰な生活」「怠惰な性格」というように使うことも多いです。
しかし日常会話の中で使うときは、主に「怠ける」「怠けた」という言葉を使います。普段の会話で「怠惰」という言葉を使うことは少ないです。
怠惰は文面上などで使われることが多い言葉ですので、使いどころを間違えないように注意しておきましょう。
怠惰の英語表現
怠惰の英語表現は「lazy」という単語を使います。「laziness」とも言いますが、日常会話で使う場合は「lazy」です。
「怠惰な人を見るとイライラする」という言葉であれば、「I get irritated when I see a lazy person」と表現します。
「slothful」という単語も同じく、怠惰という意味です。しかしこちらは古い言葉となるため、やはり使用するのであれば「lazy」が正しい表現となります。
怠惰な人の特徴10個
怠惰な人に出会ったことがあるという人も多いでしょう。できれば、そのような人とは一緒に仕事をしたくないものです。
そのためには怠惰な人を見分ける必要があります。では、怠惰な人にはどのような特徴があるのでしょうか。
■1. 「面倒くさい」が口癖
怠惰な人の特徴として、まず挙げられるのが「面倒くさい」という言葉が口癖だというものです。
怠惰な人は何をやるにもとにかく面倒くさがります。少しでも体を動かすことが嫌なのです。そのため、少しでも周りから急かされると「面倒くさい」と言ってしまうのです。
怠惰な人はこのような態度でいつも周りと接するため、イライラされることが多いです。そして上司や先輩などに目をつけられやすいという特徴もあります。
■2. 身につけているものがだらしない
怠惰な人は普段の態度だけでなく、見た目も怠けています。身につけているものにそのだらしなさが出ていることが多いのです。
Yシャツなどがシワだらけであったり、汚れていたりするため、見た目で不潔な印象を持たれます。実際に何日も洗濯せずに、同じ服を着続けるため、臭うことも多いです。
怠惰な人がサービス業を行うと、お客さんからクレームが入ることもあります。しかし注意されても改善してこないため、そのようなことが原因でバイトをクビになってしまうことも多いです。
■3. すぐに休みたがる
怠惰な人はすぐに休みたがります。学校でも仕事でも、チャンスがあればすぐに休もうとするのです。
仕事中だとしてもトイレに行ったっきり、なかなか帰ってこないこともあれば、仕事をするフリをしてサボっていることもあります。
怠けることに対してだけは異常な執着と努力を見せるものですので、同じ職場に怠惰な人がいる場合は注意しておかなければなりません。
■4. すぐ人のせいにする
すぐに人のせいにするというのも、怠惰な人の特徴です。怠惰な人は責任を取りたがりません。自分のせいになってしまうと面倒なことになってしまうので、何としてでもそれを避けようとするのです。
明らかに自分の責任であることが起きたときでも、怠惰な人は他人のせいにします。特に後輩や弱い立場の人がターゲットにされやすいため、注意が必要です。
■5. 向上心がない
向上心がなく、自分を成長させる努力をしないというのも怠惰な人の特徴です。怠惰な人はとにかく楽したい人なので、努力が大嫌いです。
仕事ができなくても努力することはありませんし、そもそも成長したいという意欲がありません。なんとなく毎日を楽に過ごしていければそれでいいと考えているため、どれだけ周りに注意されても向上心を持つことはないのです。
■6. 楽観主義
怠惰な人には楽観主義という特徴もあります。何があっても「大丈夫でしょ」「なんとかなる」と気楽に構えているのです。
このような性格はときに、周りの人をリラックスさせてもくれます。周りがパニックになりそうなときでも、怠惰な人は気楽に構えているため、緊張がほどけることもあるのです。
しかし本当にピンチのときにも、怠惰な人は楽観的です。そしてその性格のままに、一生懸命になることもないため、周りに迷惑をかけてしまうこともあります。
■7. 自分に自信がない
自分に自信がないというのも怠惰な人の特徴です。実はだらけた態度を取ることや頑張らないことは、その自信の無さを隠すためのものでもあります。
「面倒くさい」と言って、物事に一生懸命にならないのは、失敗することを恐れているからなのです。面倒だと言えば、周りから「できない人」と思われることはないでしょう。また、失敗することもありません。
失敗を想定しているからこそ、怠惰な人間になりきり、いつしかそれが性格として定着してしまうのです。そのため、怠惰な人の根底には自信の無さがあることが多いです。
■8. 外食が多い
外食が多いというのも、怠惰な人の特徴です。怠惰な人は普段から怠惰ですので、できるだけ楽をしようとします。
家で自炊するのは手間がかかるため、基本的には外食です。コンビニや弁当屋を利用することも多くなるでしょう。
金銭的にそれが難しく、仕方なく自炊をする人もいますが、基本的に食事も楽に済ませようとする人が多いため外食が多くなります。
■9. ぽっちゃり体型
体質にもよりますが、怠惰な人はぽっちゃり体型であることも多いです。怠惰な人は普段からダラダラとした生活を送っているため、運動をすることがほとんどありません。面倒だからです。
そのような生活を送っていれば、自然と体重も増えていってしまうでしょう。また、怠惰な人は自制することもできないため、簡単に誘惑に負けてしまい食べ過ぎてしまいます。そのため、ぽっちゃり体型になることが多いのです。
■10. 本気にならない
怠惰な人は本気になることがありません。真面目に一生懸命やれば、それなりの能力を発揮するのですが、それよりも楽することを選んでしまうのです。
怠惰な人はとにかく楽をすることが最優先で、一生懸命な人を見下しているところさえあります。そのため、周囲の人を不快にしてしまうことも多く、仲間外れにされることも多いです。
怠惰な性格は治らない?
怠惰な人の性格はなかなか治らないものです。しかし絶対になおらないというわけでもありません。ときに誰に言われることもなく、怠惰な性格がなおることもあります。
怠惰な人の性格がなおるのは、楽すること以上の欲求を見つけたときです。例えば好きな人と付き合いたいという欲求であったり、好きなことを仕事にしたいという気持ちであったりがその代表となります。
つまり、本当に好きなもののためであれば、怠惰な人も一生懸命になるということです。
しかし周囲の人が注意したり、なんとか性格を変えようとしたりしても、なかなか性格はなおらないでしょう。その人の前ではしっかりしているフリをしますが、根本から性格が改善されることはありません。
そのため、怠惰な人の性格を改善させるために周りが頑張っても、あまり意味はないのです。
怠惰な人の原因
怠惰な人になってしまうのは、自信の無さが原因であることが多いです。自信が無い人は何事も「失敗してしまうかもしれない」と思い込んでいます。そのため、だらけたフリをして物事を実行せず、失敗するかもしれないというリスクから逃げるのです。
また、プライドが高いことが原因であることも多いです。この場合、できないことで周りから見下されるのを嫌うため、怠惰になってやらないという選択をします。
つまり、怠惰な性格の人は本当はやりたくないわけではなく、見下されたくない、失敗したくないという弱さを隠したいだけなのです。
これ以外の原因としては、病気の可能性もあります。うつ病などの精神疾患の場合、それが原因で物事へのやる気がなくなってしまうものです。
そのため、突然怠惰な性格になってしまった人がいたら、一度心療内科を受診してみましょう。
怠惰な生活を抜け出す方法3個
自分自身が怠惰な性格だという人の中には、それを改善したいと思う人もいるでしょう。そこで、ここからは、怠惰な生活から抜け出すための方法について解説していきます。
■1. 計画を立てる
怠惰な生活から抜け出す方法として、まず挙げられるのが計画を立てるというものです。休日であろうが平日であろうが、一日の過ごし方を計画し、それに沿って行動してみましょう。
怠惰な人はすぐに「面倒くさい」と思ってしまうため、何も考えずに過ごしていると、結局何もせずに一日を終えてしまいます。
しかし計画を立てておけば、何時までにあれをしなければいけないと常に思うようになるものです。それにより、行動できるようになっていくためオススメです。
■2. 過去を振り返る
怠惰な生活を改善したい場合、実際に怠惰な生活を送った日のことを振り返ってみましょう。そうすると、なかなか思い出せず、一日何をしていたのかわからないものです。
思い出せるのはダラダラしていた記憶や、なんとなくテレビなどを観ていた様子でしょう。しかしその観ていたテレビの記憶も曖昧なものです。
そのようなことを思い出すと、怠惰な生活がどれだけ無駄なものだったかを実感することができます。それにより次は有意義な一日を過ごしたいと思えるようになるため、自然と怠惰な性格も改善できるのです。
■3. 好きなものを見つける
怠惰な生活から抜け出したい人は、好きなものを1つ見つけてみましょう。それは好きな人でもいいですし、趣味でもいいです。とにかく誰よりも自分はこれが好きだというものを見つけてください。
好きなものが見つかれば、どれだけ怠惰でも一生懸命にそれに打ち込むようになります。面倒という感情よりも、楽しいという感情が勝つからです。
そして1つのことを一生懸命に行えば、その経験により、他のことも頑張れるようになります。一度でも精一杯努力するという経験が怠惰な人には必要ですので、まずは何か1つ好きなものを見つけてみましょう。
まとめ
怠惰の意味や怠惰な人の特徴について紹介してきましたが、どこにでも怠惰な人はいますし、ある部分では自分は怠惰だなと思うこともあるものです。
それを考えれば、全ての人に怠惰は関わりがあることですので、それとしっかり向き合うことが大切なこととなります。
怠惰な部分を改善することで、今の生活をもっと豊かにすることができるため、この記事で紹介した怠惰な生活を抜け出す方法を試してみてください。