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シュナプーは純血のシュナウザーと純血のプードルを親犬にもつミックス犬です。欧米などではシュヌードル(Schnoodle)という名前で呼ばれていますが、日本ではこの呼び名だとなんだか熱湯を注いで3分待つと食べられるアレを想像してしまいそうですね!
その他にプーシュナと呼ばれることもありますが、日本ではなぜか「シュナプー」が浸透しています。この記事ではそんなシュナプーについて詳しく解説します。
シュナプー(シュヌードル)とはどんな犬種?特徴は?
日本のシュナプーといえば、ミニチュアシュナウザーとトイプードルの組み合わせで生まれたミックス犬。しかし欧米ではその他にミニチュアシュナウザー×ミニチュアプードルの組み合わせと、スタンダードシュナウザー×スタンダードプードルを掛け合わせた中型・大型のシュナプーもいます。
シュナウザーといえば仙人のような眉毛と長く伸ばした口ひげがトレードマークの、ちょっとずんぐりしたボディの持ち主。それに対してプードルはクルクルの巻き毛が特徴のすらりとしたボディをしていますよね。
シュナプーのおもしろいところは、トリミングでシュナウザーカットにすれば純血のシュナウザーに見えますし、プードルカットにすると純血のプードルに見えるところ。よほどの直毛でもない限りは、パット見でシュナプーだと判断するのはけっこう難しかったりします。
これには理由があるのですが、それは次の章で詳しく解説します。
シュナプーの歴史
シュナプーの正確な起源については不明ですが、アメリカでミックス犬がブームになるずっと前から、シュナウザー×プードルの交配はかけられていたようです。
実はシュナウザー×プードルは、数あるミックス犬の組み合わせの中でも無理のない良い選択。というのも、シュナウザーを小型化する歴史の中で、すでにプードルが使われているからです。
そのおかげでシュナウザーとプードルを掛け合わせても、容姿が大幅に崩れることがありません。トリミング次第でどちらの犬種にも寄れてしまうのは、そもそもが共通の特質をすでに持っているからなのでしょう。
どちらの犬種も毛質に違いはあってもシングルコートと共通なので、共に抜け毛は多くありません。となると、シュナプーを生み出した理由は、他のミックス犬のようにダブルコートの抜け毛をなんとかしたかったわけではなさそうです。単にかわいい見た目になりそうだったからでしょうか。
シュナプー成犬の寿命・大きさ・体重・毛色
シュナプー、ミニチュアシュナウザー、トイプードルの平均寿命と大きさは以下の通りです。
◆シュナプー
体重/4~7kg
体高/30~38cm
寿命/12~15才
◆ミニチュアシュナウザー
体重/4~8kg
体高/30~35cm
寿命/12~14才
◆トイプードル
体重/3~4kg
体高/26~28cm
寿命/14~16才
シュナプーはトイプードルより大きくなりますが、シュナウザーほどボディががっしりしていません。そのため、細めのシュナウザーという雰囲気の体型になることが多いようです。シュナプーの寿命は平均的な小型犬といったところでしょうか。
◆シュナプーの毛色
白、黒、黒に白のまだら模様、シルバー、アプリコット、ブラウン、セーブル(黄・黒・灰などの地色の先端に黒毛混じり)などなど、かなりのバリエーションがあります。
シュナプーの毛質は緩やかなカール、あるいは緩やかなウェーブで、ふわふわと柔らかな手触りをしています。
シュナプーの性格
シュナプーは人や犬とフレンドリーに接することができる犬ですが、シュナウザーの気質が強く出ると、少々頑固な面も。
活発で遊び好きなところは、両親であるシュナウザーとプードルから受け継いだ性格ですが、甘やかすと我がままになるのは両親犬の両方に共通した気質。シュナプーもそのあたりはしっかりと踏まえたうえでしつけなければなりません。
とはいえ、しつけそのものは難しくないでしょう。親犬の片方であるトイプードルは犬の知能テストで常に上位。シュナウザーもベスト12に入ってくる犬種ということもあり、シュナプーはとても賢い犬です。
性格の明るさと物覚えの良さを考えると、シュナプーは初めて犬を飼う人にもおすすめの犬種といえるでしょう。
シュナプーの子犬の販売価格・値段は?
一昔前は純血種より安いことがミックス犬の特徴でしたが、人気が高騰しているいま、販売価格は高めで推移しています。
シュナプーの販売価格は15万円~35万円。これは生体そのものの価格なので、そこに諸費用が加算されると50万円を超えることもあります。
子犬の販売価格は展示販売されているペットショップに比べると、ブリーダー直販は価格が抑えられているイメージがありますよね。しかし、シュナプーに関しては、そのような差はあまりなさそうです。
基本的に子犬の販売価格は両親犬の血統に左右される面があるものですが、ミックス犬であるシュナプーの場合は、容姿の良さがそのまま値段に反映している印象があります。
シュナプーの飼い方
シュナプーを飼うなら完全に室内飼育です。外飼いはまったく向いていません。シングルコートのため暑さ寒さに対応するのがあまり上手ではない、というのも理由の一つですが、一番は甘えん坊で寂しがり屋な性格です。
特にシュナウザーは家族の真ん中にいたがる性格をしていますので、飼い主家族が集まる場所にいられないと、精神的に不安定になることも。シュナプーは必ず空調のきいた室内で飼育してください。
また、床は滑りにくい素材がベストです。シュナプーは活発な犬なので、部屋の中を走り回っている最中にスリップして転倒すると思わぬ大ケガにつながることも。元気いっぱいの犬なので、毎日しっかり散歩時間を確保してストレスを発散させてあげましょう。
シュナプーのしつけ
シュナウザーとプードルのどちらに似ても活発な犬になりますが、プードルに気質が寄ったシュナプーは興奮するとぴょんぴょん飛び跳ねることがあります。
あまり飛び跳ねると足腰に負担を書けてしまい。椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼の原因になることも。
興奮してもすぐにおさまるよう、日頃から「待て」「伏せ」「来い」など基本のトレーニングを徹底させましょう。
シュナプーの病気・健康管理は?
F1のミックス犬であるシュナプーは病気にかかりにくいと思われていますが、実はそんなことはありません。親犬であるミニチュアシュナウザーとトイプードルがかかりやすい病気を発症するリスクはけっこう高いのです。
シュナプーが気をつけるべき病気は以下の5つです。
・膝蓋骨脱臼
後ろ足の膝のお皿が正常な位置から外れる病気
・股関節形成不全
股関節が発育の段階で形態的な異常を起こし、関節の緩みが様々な症状を引き起こす病気
・レッグ・ペルテス
後ろ足にある大腿骨頭への血流が悪くなり、必要な血液が行き届かなくなることで関節の細胞が壊死する病気
・糖尿病
インスリンの作用が不足することにより、持続的に血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなる病気
・外耳炎
耳の穴に急性または慢性の炎症が起こる状態
これらは親犬であるシュナウザーとプードルに多くみられる病気です。また、どちらの犬種も食物をアレルゲンとした食物アレルギーの症状がみられることがありますので、何かおかしいと感じたら、早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
シュナプーのトリミング・カット・抜け毛
親犬が両方ともシングルコートのシュナプーもまたシングルコートの犬。抜け毛は少ないものの、コートの伸びは早いため、定期的なトリミングが必要です。1~2ヶ月に1回のペースでトリミングをしてすっきりさせてあげましょう。
抜け毛は少ないのでブラッシングは大変ではありませんが、だからといって放っておくと、被毛が絡まりあって毛玉だらけになることも。そのまま放置すると、いざトリミングをしようにも、まずは毛玉取りから始めなければいけないためとても非効率です。
また、毛玉ができるほど被毛のからまりを放置していると、通気性が悪くなるので皮膚に炎症を起こしやすくなります。
頻繁にトリミングサロンでカットしてもらうのが難しい場合は、自宅で伸びすぎた毛をカットするだけでも、かなりボリュームが落とせますよ!
特に顔回りの毛を伸び放題にしていると、眼球に毛が入って余計な刺激になることも。口まわりの毛が食事のたびに汚れるのも不衛生ですし、耳の中の毛が外耳炎を誘発することもあります。
体臭は少ない犬なので、伸びすぎたコートをこまめにカットしていれば、シュナプーをきれいに保つのは難しくありません。
シュナプーの探し方は?ブリーダー・里親
近頃はペットショップでシュナプーを見かけることもありますが、健康で健全な子犬を迎えるにはブリーダーを探すのが一番です。
インターネットを利用して日本全国をあたり、子犬の出産情報を見つけたら必ず以下のことを確認しましょう。
1.ブリーディングのこだわり
2.親犬の情報(遺伝子検査、血統など)
3.親犬が飼育されている環境
4.生まれた子犬が育つ環境
5.子犬の引き渡し方法
自治体の動物保護センターや保健所、NPOなどが主催する動物愛護団体にシュナプーが保護されているかもしれません。なんらかの理由で新たな家族を探さなければいけなくなった犬を引き取るのはとても意義のあることです。選択肢の一つに入れられるようならぜひ検討してください。
ただし、里親になるには一定の条件をクリアしなければなりません。諸々をきちんと確認したうえで、里親に立候補することが大切です。
まとめ
別々の純血種をあえて交配することに批判的な意見がされることもあるミックス犬。しかし、ミニチュアシュナウザーとトイプードルの組み合わせは、遺伝的な面からみても実は無理のない組み合わせです。
しかし、だからと言ってシュナプーの性質や特徴がすべて「いいとこどり」になるとは限りません。本当に良い犬に育てるには、飼い主さんが愛情深くしっかりしつけることがなによりも大切です。