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いまやミックス犬は純血種をしのぐほど人気になりました。その中でもポメラニアンとトイプードルを組み合わせたポメプーは人気上位のミックス犬。
両親犬が揃いも揃ってかわいいので、その両方の血を引くポメプーがかわいくないわけがありませんよね。この記事ではそんなポメプーについて解説します。
ポメプーとはどんな犬種?特徴は?
純血のポメラニアンと純血のトイプードルを親にもつポメプー。なんとなくこの呼び名で浸透していまいましたが、欧米では「プーラニアン」と呼ばれています。また、プーポメと呼ぶことも。
英語圏では、Pomeranian and Poodleから、「POMAPOO」と呼ばれています。
いずれの名前で呼ぶにしろ、ポメプーに血統書はありません。他のミックス犬と同様に、あくまでの雑種の扱いになります。
さて、そんなポメプー一番の注目ポイントは、なんといっても小さくてかわいいところではないでしょうか。フワフワの毛がチョコマカと歩いている姿は、まさに生きたヌイグルミです。
毛色にはびっくりするぐらいのバリエーションがあり、トリミング次第では同じポメプーでもまったく別の犬に見えるほどの変身ぶりを見せてくれることも。
現在いろいろな組み合わせのミックス犬が大人気ですが、ポメプーの愛らしい姿を見ていると、なるほど、これなら人気が出るわけだと納得してしまいます。
ポメプーの歴史
ポメプーがいつ頃から登場したのか詳細は不明ですが、他の人気ミックス犬と同様に、やはり発祥の地はアメリカではないかと考えられています。
2000年代に入ってからアメリカではいろいろな純血種同士の組み合わせでミックス犬が作られましたが、ポメプーもその中の一つだったのではないでしょうか。
そして日本でもミックス犬の人気が高まるにつれて、そもそも小型犬が人気だったこともあり、ポメプーは一気に注目が集まったと考えられます。
ミックス犬の人気が出始めた頃、いろいろな種類の犬がトイプードルと組み合わされました。ダブルコートの犬の抜け毛問題を解消したいという目的があったかもしれませんが、ことポメプーに関しては、純粋にかわいい犬を生み出したかったのではないでしょうか。
ポメプー成犬の寿命・大きさ・体重・毛色
ポメプーの親犬であるポメラニアンとトイプードルの大きさや寿命は以下の通りです。
◆ポメラニアン
体重/1.8~3.5kg
体高/18~22cm
寿命/12~16才
◆トイプードル
体重/3~4kg
体高/26~28cm
寿命/14~16才
ここから予想されるポメプーの体格や寿命を導き出してみましょう。
◆ポメプー
体重/2~3kg
体高/20~28cm
寿命/12~15才
ポメプーのおもしろいところは、パッと見では本来の体重や体高より大きく見えることです。これは被毛がフサフサしているせいで、本当の体格より一回り大きく見えているからではないでしょうか。軽いだろうと思わずに抱き上げると、意外な軽さにびっくりすることがあります。
◆ポメプーの毛色
ポメプーにはいろいろな毛色がありますが、比較的よく見られるのはレッド、クリーム、ブラック、アプリコット、ホワイト、白地やクリーム地に黒や茶の斑入りなどです。
ポメプーの性格
ポメプーの親犬であるポメラニアンとトイプードルは、どちらも明るく活発で飼い主への愛情が深い犬です。ポメプーもそういった気質を持って生まれてくることは予想できますが、性質がきれいに半分ずつということはまずありません。
ポメラニアンに寄った性質を持つと、明るい反面興奮しやすいところがあり、無駄吠えしやすくなる可能性が考えられます。トイプードルに寄った気質を持つと、嬉しくなったときにはしゃぎ過ぎてしまう傾向が考えられるでしょうか。
とは言え、どちらに寄ったとしてもポメプーの気質が飼いにくいものになるわけではありません。大切なのはかわいいからと甘やかさずに、きちんとしつけをすることです。
ポメプーの片方の親であるトイプードルは、犬の知能テストで毎年上位。ポメプーもきちんと教えればしっかりと応えてくれる賢い犬です。
ポメプーの子犬の販売価格・値段は?
一昔前だったら10万円前後で購入できたポメプー。しかしミックス犬の人気が純血種を上回ることも珍しくなくなったいま、やはり販売価格は高騰しています。
予想されるサイズや毛色によるところが大きいので、ブリーダー直販でも15万円~40万円程度とかなりの幅があるようです。
特に人気が高い毛色はアプリコットやレッド。これはトイプードルの人気がある毛色と一致しています。混じりけのないブラックも人気が高いですが、ブラックに茶や黄褐色が混ざったブリンドルという毛色あたりはソリット(単色)に比べると販売価格はおさえめです。
ポメプーに限らず、ミックス犬の毛色は成長とともにどんどん変化することは珍しくありません。せっかく理想的なレッドを手に入れたと思ったのに、成長したら薄茶色になってしまうこともあります。
どんな毛色でもポメプーは確実にかわいい犬。あまり人気のない色を選ぶのも一つの方法かもしれませんね。
ポメプーの飼い方・しつけ・育て方
ポメプーを外飼いしようと考える人はまずいないと思いますが、ポメプーは空調のきいた室内飼育が絶対です。
また、元気良く走り回る性質がありますので、室内は安全に整えましょう。特にトイプードルの気質が強く出ると、ピョンピョンと飛び跳ねることがありますので要注意!
床をすべりにくくする、階段には滑り止めをつける、玄関に飛び出し防止の柵を取り付けるなどしておくと、室内でケガをするリスクがかなり軽減できるはずです。
■ポメプーの運動・散歩時間
小型犬ということで室内だけでも充分な運動量が確保できそうですが、ポメプーはとても活発な犬。毎日きちんと散歩時間を確保して外に連れ出しましょう。
わざわざハードな運動をする必要はありませんが、30分程度はしっかり歩かせてストレスを発散させてあげたいところです。
■ポメプーの食事・餌の量
ポメラニアンは食欲旺盛で肥満になりやすい犬種。一方トイプードルは食べムラのあるタイプです。ポメプーがどちらの気質に寄るかはわかりませんが、基本的に餌の量はしっかり管理しておきましょう。
喜ぶからとおやつなどをあげ過ぎてしまうと、あっという間に適正体重をオーバーして肥満一直線になってしまうかもしれません。
ポメプーは吠える・噛む・無駄吠え?
ポメプーの親犬であるポメラニアンには少し神経質なところがあります。警戒心の強さや自信家の部分が仇となり、噛み癖が出てしまうことも…。
ポメプーの無駄吠えや噛み癖を防止するためにも、しっかりとしつけをしましょう。子犬のときの甘噛みをきちんとなおしておかないと、成犬になってからも興奮したときに噛み癖が出てしまうかもしれません。
見た目がどんなにヌイグルミのようにかわいくても、噛まれればかなり痛いですし、流血することも珍しくありません。飼い主家族だけが被害にあうならまだしも、万が一他所の人に噛みついてしまったら、それこそ一大事です。
ポメプーを飼ったら、無駄吠えや噛みつきがあるという前提で、子犬の頃からきちんとしつけに取り組みましょう。
ポメプーの病気・健康管理は?
ポメプーの親犬であるポメラニアンとトイプードルがかかりやすい病気は次の3つです。
・膝蓋骨脱臼
後ろ足の膝のお皿が正常な位置から外れて脱臼してしまう病気
・白内障
目の中の水晶体の一部や全体が白く濁った状態で、症状が進行すると失明することもある
・てんかん
なにがしかの原因によって発作的に繰り返される、全身性のけいれんや意識障害を主な症状とする脳疾患
これらの病気はポメプーもかかる可能性が高い病気です。膝蓋骨脱臼には先天性と後天性がありますが、室内を滑りにくくするだけでも、発症を防げるかもしれません。
白内障とてんかんを予防するのは難しいですが、早く症状に気が付けばそれだけ早く治療を開始することができます。
完治は難しくても症状の進行を遅らせたり、症状を軽くできる場合がありますので、いつもと変わった様子に気がついたら、すぐにかかりつけの動物病院を受診しましょう。
また、小柄なポメプーが高いところから落下すると、かなりの確率で骨折してしまいます。小さなお子さんが抱っこをするときは、必ず大人がそばで見守ってあげましょう。
ポメプーのトリミング・カット・抜け毛
ポメラニアンはダブルコートの犬。一方トイプードルはシングルコートの犬。どちらのコートを引き継ぐかで、ポメプーの毛質には違いが生じます。
ポメラニアンに寄るとフワフワのコートがかわいいですが、ダブルコートゆえの抜け毛は避けられません。日常的に抜け毛を取り除く必要があります。
ただし、被毛の伸びが早いわけではないので、トリミングでカットスタイルを作らないのであれば、トリミングは頻繁でなくてもOKです。ボサボサにならない程度にボリュームを調節するだけで、ポメラニアンに近いスタイルを維持できるでしょう。
一方、トイプードル寄りのシングルコートの場合は、定期的なトリミングが必要。コートの伸びの速さに合わせて1~2ヶ月おきにトリミングをすると、モコモコになり過ぎず、すっきりしたスタイルを維持することができます。
気をつけたいのは毛質の変化です。当初はポメラニアン寄りのコートだったのに、経年とともにトイプードル寄りに変化していることがあります。もちろんその反対も同じ。
日頃からブラシをかけていると毛質の変化に気づきやすいので、こまめにブラッシングをする習慣をつけておきましょう。
ポメプーの探し方は?ブリーダー・里親
ミックス犬の中でも人気のポメプーは、ペットショップでも比較的よく見かけます。しかし、やはりブリーダーから直接迎えるのが安心ではないでしょうか。
ブリーダーの直販なら、親犬の性格やサイズがわかるので、子犬が将来成長したときの様子が想像しやすいはずです。ポメプーのブリーダーは日本全国にいますので、まずはインターネットでブリーダーの情報を検索し、子犬の出産状況を確認しましょう。
また、自治体の動物保愛護センターや保健所、NPOなどが主催する動物愛護団体にポメプーが保護されている場合があります。保護犬という選択肢が候補に入るのであれば、ぜひ選択肢の一つに加えてください。
ただし、里親になるには一定の条件をクリアする必要があります。諸々をきちんと確認したうえで、里親に立候補するか決めるのが一番です。
まとめ
ポメプーは小さくてかわいい犬ですが、中には5kg以上に成長する子もいます。大きく成長する子は毛吹きが良くなる傾向にありますので、予想より大きくなってしまったとがっかりすることはありません。
コートが豊かなポメプーはカットスタイルを自由自在に楽しむことができますので、それはそれで楽しんでしまいましょう。