宮城県気仙沼市にある「リアス・アーク美術館」へ取材を⾏ってきました。「ホームページの情報だけではよく分からない」「インターネット上の⼝コミや評判だけではよく分からない」という⽅は、ぜひ参考にしてください。
取材先の美術館名:リアス・アーク美術館
Q. 施設の概要を教えてください。
宮城県気仙沼市街から南西へ約2.5㎞、西部丘陵地の一角にある当館は、1994(平成6)年に開館いたしました。
設計は、早稲田大学理工学部建築学科の石山修武研究室。鉄骨・鉄筋造りの地上3階建てで屋上庭園を有し、総面積は4601.22㎡の広さがあります。非常に個性的な建築物で、平成7年度の「日本建築学会賞」を受賞しております。
管理運営は気仙沼市と南三陸町からなる「気仙沼・本吉地域広域行政事務組合教育委員会」が行っています。
Q. 展示物の構成を教えてください。
当館の展示物は、基本的に寄贈や寄託によるコレクションです。なかでも歴史・民俗資料は、地域の博物館としての役割が期待されたことから、開館前から継続的に収集されてきました。
美術作品は主に当館で開催した展覧会に出品された作品の寄贈品です。ジャンルは絵画をはじめ、彫刻、版画、写真、工芸品、書など、現代美術を中心に様々です。
ほかにも漁や養殖の道具などの民俗資料、化石や土器などの考古資料、写真や文書などの歴史資料など幅広い資料を展示しています。
とくにこういった歴史・民俗資料をもとにした展示は、「方舟(はこぶね)日記」として常設展にしております。手書きイラストや写真などを交え、「食」をキーワードにリアス海岸地域の文化を紹介しています。
内容は、縄文時代から現代までの漁撈(ぎょろう:魚介類や貝類、海藻類を捕獲、収集すること)を中心とする、リアス海岸地域の歴史や様々な習俗、生活文化を焦点とした展示です。
また、トピック展示「方舟漂流記」では、身近なイベント、年中行事などのルーツや豆知識を紹介するミニ展示を定期的に開催しています。
「収蔵美術作品展」もございます。当館にゆかりのあるの東北から北海道にかけての出身・在住作家の多様な作品(絵画・彫刻・工芸・現代美術など)約70点を作家の解説付きで常時展示・紹介しています。
また是非じっくり観ていただきたいのは「東日本大震災の記録と津波の災害史」です。
2011年3月11日の東日本大震災直後から2年間にわたり、当館学芸員が気仙沼市・南三陸町の被害記録調査を行いました。
平成25年より、「震災被害を後世へ伝え、通じて地域文化の再生に寄与する」という使命のもと、活動で得た資料を常設展として展示公開しています。
本展では写真や被災物とともに、ここ三陸地方における過去の津波災害の資料も展示しています。津波災害に関する知見を深め、津波と地域文化の関係、海とともに生きる地域の未来を考える場としています。本展は震災伝承施設に認定され、「3.11伝承ロード」の一つとして登録されています。
Q. デートスポットとしての見どころを教えて下さい。
展示物のなかで最も反響があるのは、荒井俊也作のブロンズ像「歩くサッポロ一番」です。タイトルからある程度推測できるかと思いますが、こちらはインスタントラーメンを型に鋳造されたブロンズ像で、足が生えています・・・!
また、食品パッケージを余すところなく使い、緻密な作品を制作する高橋和真作「リプトンミツバチ」や、拾得物を用いた表現で活躍している青野文昭の立体作品など、種々多様な作品がたくさんあります。
地元の作家という観点からは、気仙沼出身の画家・本田鼎雪(ていせつ)が描いた日本画「鰹」は、漁港で水揚げされる魚を描いた地元ならではのモチーフといえます。新鮮なカツオが見事にとらえられています。
また、特徴的な建築にも、見どころがたくさんあります。鉄骨、アルミ合金パネル、鉄板、コンクリート、漆喰などを様々な素材を用いて、造形には造船技術を取り入れるなど、ユニークな建築です。
ピンク色の屋上タワーを筆頭に、東側の浮き構造、すり鉢状の中庭、アルミ合金パネルとコンクリートに覆われた外壁など、他にあまり類を見ない奇抜な外観が目を引きます。建築そのものが巨大な作品だと言えますね。
内部も高天井の展示室をはじめ、開放感あふれるエントランスホールや大型船内を思わせる低天井のコモンホール、建物から突き出たガラス張りの展望室など、見どころが満載。さらに、各所には様々な表情の“隠し”造形がたくさんあり、足を運ぶたびに発見があるでしょう。
Q. 人気の企画やイベントはどんなものがありますか?
毎年春には地域の食文化や生活文化を紹介する 「食と地域の暮らし展」や、変わりゆく東北・北海道の風景を描いた絵画公募展 「LANDSCAPE(ランドスケープ)of N.E.」を隔年で交互に実施しています。
夏には規模の大きな特別企画展を開催することになっています。
毎年秋には「方舟祭(はこぶねさい)」を開催しています。本展は市民参加型文化祭で、参加者による絵画・写真・手工芸等の各種展示を無料で行います。
冬には「リアス・ジュニア絵画コンクール展」。圏域内小学生を対象とした公募絵画展で、応募作品すべてを展示し、秀作を表彰しています。
さらに、毎年継続開催しているのは、精力的に制作や発表を行っている東北・北海道在住若手作家を紹介するシリーズ企画「N.E.blood 21」。5月~6月、2月~3月の前後期2期に分けて個展をレギュラーで開催しています。
作品のジャンルは絵画から版画、彫刻、インスタレーション、工芸など幅広く、いずれも若い感性が輝く素敵な作品ばかりです。2002年からこれまでにおよそ80名の作家を紹介してきました。作家の皆さんは現在、各方面で大活躍されています。
Q. 併設施設やレストランについて教えて下さい。
ミュージアムショップ「ARKSHOP」では、過去に「N.E.blood 21」で紹介したガラス作家・菊田佳代のアクセサリーや、陶芸作家・根本裕子が主宰する陶器ブランド「sanzoku」の手びねりならではのユニークな形状の陶器などが人気です。
(2021年4月10日現在、新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環として、ショップ販売を一時的に休止中です。)
また、レストランとしては、大きなガラス張りで抜群の眺望が楽しめる本館3階の最東端に、NPO法人リアスの丘グループが運営する「レストラン 夢の舎」があります。
地元食材を中心とした創作料理や日替わりランチ、カレー、パスタや焼きそばといった麺類、汁物、デザート、ドリンク類など豊富なメニューを取り揃えています。ぜひランチ休憩にご利用ください。
地元産の魚介などを用いた日替わりランチは600円とリーズナブルで地元の方にも大人気です。また、海産物を用いた「牡蠣パスタ」、「まいたけとメカジキのパスタ」、「かにみそパスタ」「スープチャーハン」(各900円)が大人気です!
Q. 利用者さまはどんな人が多いですか?
地元の方をはじめ、ご家族連れやカップル、大学生やご婦人などのご友人グループ、学校の団体利用など幅広くご利用いただいています。
近年は震災について学びたいという方々が、多く来館されています。
Q. 入館料について教えて下さい。
料金体系は2021年4月から改定されています。
入館は無料です。常設展をご覧になる方はチケットをお求めください。
常設展の観覧料は、一般700円、大学・短大専門学校生は600円、高校生500円、小・中学生350円、それぞれ20名以上の団体の場合割引があります。
企画展は展覧会ごとに設定があり、共催展等は基本無料(一部有料)です。
タクシーでご来館の方は、「タクシー割引券」と「当館常設展観覧券引換券」のセットクーポン券をお買い求めいただくと、とてもお得です。気仙沼駅前観光案内所、気仙沼観光コンベンション協会※で販売しておりますので、ご利用ください。
また、JAF会員証や日専連カードをお持ちの方、宮城マスター検定をお持ちの方、気仙沼ファンクラブ会員の方もカード等のご提示で団体料金でご利用いただけます。その他割引が数種ありますので、受付でお確かめください。
※気仙沼観光コンベンション協会:0226-22-4560
予約は、個人でのご利用の場合は特に必要ありません。当館は月・火曜日/土日を除く祝日の翌日が休館日です。できるだけ事前に開館日をチェック願います。
普段はそんなに混雑するようなことははありませんが、ゴールデンウィークなどの連休やお盆休み、地元夏祭りの開催時期などは来館される方が増える傾向にありますね。
Q. 付近のおすすめ観光スポットを教えて下さい。
気仙沼市街地には、新鮮な魚介をふんだんに使った美味しいお食事屋さんがたくさんあります。やはり気仙沼市、南三陸町は海・港・魚のまちですので、海辺に観光スポットが数多くあります。内湾にズラリと並ぶ大型漁船の勇壮な姿は一見の価値ありです。
また、東日本大震災で被災した気仙沼向洋高校校舎がそのままご覧になれる遺構・施設一体型の「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」も多くの方が訪れています。
デートに雰囲気のいいところでしたら、「緑の真珠」と称される気仙沼大島に近年橋が架かり、車での往来が可能となりました。天気の良い日の亀山山頂からの眺めは言葉にならないほど美しいです。お車でお越しの方はぜひお出かけください。
さらに港付近の観光施設「海の市」でのお買い物や、堂内の「氷の水族館」、「リアスシャーク・ミュージアム」もデートにオススメです!
Q. これから利用したい方へ一言メッセージをお願いします。
気仙沼市街地や内湾を望むロケーションの当館では、眺望を楽しむと同時に、ユニークな建築も楽しめます。さらに展示では「現代アートと漁具、工芸作品と地元食材のレシピ、リアリズム絵画と囲炉裏の空間」のようにジャンルを超越した鑑賞ができるのも特徴です。
「民俗・歴史」常設展示では、学芸員の手書きイラストや手書き文字を多用し、飽きのこない内容としてご好評をいただいています。「震災」常設展示では、東日本大震災の被災現場写真や被災物、その他歴史資料などを展示し、当地の津波災害史を学ぶことができます。
当館学芸員による手書きイラストや解説によって、皆様の観賞のために工夫をしていますので、美術や歴史に馴染みのない方でもお楽しみいただけると思います。
是非、当館へお気軽にお越しください。
※2021年4月現在、リアス・アーク美術館では、皆様にご安心してご利用いただけるように以下のようなコロナ対策を実施しています。
• 発熱や風邪などの感冒症状がある方の入館をご遠慮いただく
• 会場へのご入場の際は検温(非接触式)を実施
• 館内ではマスク着用を義務
• 飛沫の拡散を防止する咳エチケットの遵守を呼びかけ
• 入館口付近やトイレなどに手指消毒用のアルコール消毒液ポンプを設置
• 飛沫拡散防止のため、他者との間隔をあける(約2メートル)
• 大声や近接での会話を控えていただく
• 会場では密接を避けるため入場者数の制限を行う場合もあり
• チケットカウンターおよび各室の受付にはシールドを設置
• スタッフの手袋着用
• コイントレーを用いた金銭の受け渡し
どうぞご安心してご来館ください。ご来館の際はマスクの着用をお願いします。
リアス・アーク美術館の情報・営業時間・定休日
事業者名:リアス・アーク美術館
住所:〒988-0171 宮城県気仙沼市赤岩牧沢138-5
電話番号:0226-24-1611
Eメール:riasark.m@nifty.com
営業時間:9:30~17:00 (入館は16:30まで)
休館日:月・火・祝日の翌日(土日を除く)
URL: http://rias-ark.sakura.ne.jp/2/