栃木県日光市にある「日光山中禅寺」へ取材に行ってきました。「ホームページの情報だけではよく分からない」「インターネット上の⼝コミや評判だけではよく分からない」という⽅は、ぜひ参考にしてください。
取材先の寺名:日光山中禅寺
取材する方:執行 畠山慈朋さん
どんなお寺ですか?
日光山中禅寺は聖地日光の中でも秘境、奥日光に位置する世界遺産「日光山輪王寺(にっこうざんりんのうじ)」の別院です。
創建は784(延暦3)年、日光開山の祖「勝道上人(しょうどうしょうにん)」によって建立された天台宗のお寺です。国重要文化財の御本尊「十一面千手観世音菩薩」は、勝道上人が中禅寺湖上からご覧になり、その御姿を桂の立木にそのまま彫ったと伝えられているんですよ。
別名立木観音様は現在も地に根をはり、お参りされる方全員を穏やかな表情で迎えます。また、坂東三十三観音霊場巡礼第18番札所として、多くの観音巡礼の方たちもご参拝になります。
お寺の見どころを教えて下さい。
何といっても今から約1200年前に、勝道上人様によって彫り上げられた立木観音様のお姿と穏やかな表情に心を奪われます。ノミをいれる度にお経を三回読む「一刀三禮彫り」によって彫られたと言われている、日光山最古の仏像です。
また、五大堂から中禅寺湖を望む景色は、まさに観音様の住む聖地「補陀落(ふだらく)浄土」を思わせる絶景をご覧いただけます。
さらに、デートにおすすめなのが、良縁成就の愛染明王様が祀られた「愛染堂」です。愛染堂の前にそびえる桂(かつら)の木は、松竹映画「愛染かつら」のモデルになったという話もあります。桂の葉はハート型をしているため、持ち帰って押し花にする方もいらっしゃいますよ。
おすすめの行事やイベントはありますか?
例年6月18日に供養のための「観音講」、8月4日には勝道上人ゆかりの古跡を巡礼する「船禅頂」が盛大に行われます。いずれも大法要の後、中禅寺湖を遊覧船でめぐる伝統行事です。
大勢の信者や講員が集まる中禅寺最大の行事ですが、もちろん一般の方も参加できます(要予約)。※今年はコロナ禍の影響のため、法要のみの執行となっております。
また、坂東霊場会特別記念事業の一環として『光のお手綱』を開催しています。千手観音様の42本の手からつながれた結縁綱を、五色の光に変換し手にかざすことで、慈悲にあふれた観音様のご功徳を頂戴する参拝方法で、今年末の12月31日までの開催となっています。
さらに、11月中旬から下旬にかけてはライトアップが行われます。寒い中での参拝となりますが、恋愛成就の愛染明王様もライトアップされます。良縁絵馬をお受けになった方には、僧侶によるお清め「体加持」を行っています。
境内ではホッと温まる食事を提供する出店もあり(週末限定)、日中とは違った幻想的な世界を味わうことができますので、夜のドライブデートには最適ですよ。
ご利益を教えて下さい。
千手観音様は諸願成就の仏様と言われ、各々に応じた願い事を一心に念じることで成就してくださいます。そのほか、境内には良縁成就・縁結びの愛染明王様や、病気の身代わりとなってくれる「身代わり瘤」などがあります。
御朱印について教えて下さい。
御朱印は本堂の「立木大悲殿」、大黒天堂の「波之利大黒天」、五大堂の「金剛閣」の3種類を授けております(朱印帳ご持参の方300円、紙でのお渡し400円)。そのほか、写経・写仏体験者(別料金)には、それぞれ金紙・白金紙の特別御朱印をお渡しいたします。
御朱印帳は全部で5種類用意しております。坂東三十三観音霊場を巡礼される方用の御朱印帳が2種類と、無地が1種類です。オリジナルの御朱印帳は2種類あり、鎹(かすがい)山の紋が施されております。
この紋が使えるのは比叡山延暦寺と東叡山寛永寺、そして日光山輪王寺だけで、とても格式の高い寺院の証となっております。
御朱印はどうやってもらえばいいですか?
本堂手前にある「札所」にて受け付けております。本堂ご参拝前に番号札と引き換えに朱印帳をお預かりし、お帰り際に交換してお受け取りください。
お守りやお札はどんなものがありますか?
一番人気があるのは「諸願守」です。立木観音様の御利益である諸願成就のお守りで、梵字の部分に触れ、願い事を授けることでさまざまな色に変化します。受替えるものではなく、一生涯お持ちいただけます。
また、『光のお手綱』の開催中は、丑年結縁特別守として「五縁珠(ごえんじゅ)」守りを授けております。五色の珠がついたブレスレットになるお守りで、この期間だけの限定です。
さらに、中禅寺の祈願道場である五大堂では、大黒天様の小槌である「宝槌」を授けております。お受けいただいた期間(御一代・十ヶ年、五ヶ年、一ヶ年)、毎朝名前を読み上げて御祈願しております。
どうしても願い事を成就させたいという方に、ぜひ一度、受けていただきたいのが「護摩祈祷」です。1200年間秘仏である『波之利大黒天』様は、神秘と威厳に満ちており、いまだかつてそのお姿を見た者はおりません。
その秘仏前で高々と上がる炎を前にすると、仏と一体になった気持ちとなります。直接炎にかざした箱入りのお札を持ち帰り、祀っていただきます。日光国立公園内のため、午前中しか焚くことを許されておらず、完全予約制となっております。
拝観時間と拝観料について教えて下さい。
拝観時間について、4月~10月は8:00~17:00、3月・11月は8:00~16:00、12月~2月は8:30~15:30と、季節によって異なりますのでご注意ください。
拝観料は大人500円、子ども(4歳から小学生まで)200円です。
近くでおすすめの観光地や飲食店はありますか?
中禅寺がある歌ヶ浜の先には、英国大使館別荘記念公園やイタリア大使館別荘記念公園があり、静寂な湖畔から中禅寺湖と男体山の景色を満喫できます。
これから夏本番に向けては、下野國一之宮「二荒山神社中宮祠(ふたらさんじんじゃちゅうぐうし)」や日本三名瀑のひとつ「華厳ノ滝」、「竜頭ノ滝」「湯滝」なども涼しげでおすすめです。
また、門前にはそば、定食などをいただける飲食店が何店舗かございます。
これから拝観したい方へのメッセージをお願いします。
日光山は開山以降、多くの修験者が観音様のご功徳を授かる修験の山として栄えた場所です。そのため、奥日光は明治期になるまで、女性の方はいろは坂を越えられない女人禁制の御山でした。
性別を問わずお参りできるこの時代に生まれたことに感謝の気持ちを忘れず、ぜひ、カップルやお友だちと一緒に、天空の湖「中禅寺湖」に足をお運びください。
標高1277mの奥日光、とにかく大自然を満喫できる場所です。春は新緑、夏は避暑、秋は紅葉、冬は雪景色。四季折々に合わせて中禅寺湖に映し出される鏡のような景色は、それは見事です。
その景色を一望できるここ日光山中禅寺では、やさしく温かい表情の立木観音様が皆様をお待ちしております。奥日光の歴史と文化が凝縮された中禅寺に、ぜひご参拝ください。
日光山中禅寺の基本情報
寺名:日光山中禅寺
住所:栃木県日光市中宮祠2578
電話番号:0288-55-0013
拝観時間:4月~10月/8:00~17:00 3月・11月/8:00~16:00 12月~2月/8:30~15:30
URL:https://www.rinnoji.or.jp/