大阪市住之江区にある「大阪護國神社」へ取材に⾏ってきました。「ホームページの情報だけではよく分からない」「インターネット上の⼝コミや評判だけではよく分からない」という⽅は、ぜひ参考にしてください。
取材先の神社名:大阪護國神社(おおさかごこくじんじゃ)
取材する方:宮司 藤江正鎭さん
どのような神社ですか?
護國神社は昭和15年に創建された、国難に殉じて命を落とされた兵士の方々、いわゆる英霊をお祀りする神社です。英霊をお祀りする神社としては靖國神社が有名ですが、靖国神社は全国の戦歿者をお祀りする神社であるのに対し、護國神社はその土地土地に所縁のある方をお祀りしています。
そのため、大阪護國神社には大阪出身または大阪縁の戦歿者をお祀りし、明治維新の先駆けとなった天誅組の10柱を筆頭とした、105,665柱もの英霊がお祀りされているんです。国内でも比較的多くの英霊をお祀りしていることも当社の特徴となっており、その数は沖縄・福岡に次いで国内で3番目となっています。
ちなみに、当社のように英霊をお祀りする護國神社は、東京と神奈川を除き全国に52社ほどあります。都道府県数より多くなっているのは、地域ならではの地形や軍隊の管轄地域との兼ね合いから、なかには複数の護國神社をお祀りする県もあるからです。ご自身がお住いの地域にある護國神社だけでなく、全国の護國神社を順々に参拝される方もたくさんいらっしゃいます。
現在私たちが平和に暮らせているのも、国を守ってくださった先人たちのお陰です。戦争の神社だと誤解されることもありますが、英霊に感謝し、平和を祈り願う場所となっておりますので、ぜひ気軽にご参拝いただければと考えております。
神社の見どころを教えて下さい。
当社は大阪府下でも有数の広い境内を持つ神社です。元々、大阪には個別の戦歿者をお祀りする施設しかなかったため、大東亜戦争前にもかかわらず、戦歿者をお祀りしたいという多くの要望から昭和15年に創建された、府民の願いが結集した神社といえます。その想いや願いが、この境内の広さにも表れているのではないでしょうか。
創建時は現在よりもさらに広い敷地となっており、大阪府民の後押しもあって、住之江公園の一角に一万坪を越える境内地を割り当てられました。現在は創建時の3分の1に減っておりますが、それでも2000人もの遺族がお集まりいただくことができる広さとなっています。以前の行事の際には数千名もの参拝者でにぎわうことも、しばしばあったんですよ。
また、具体的な見どころとしては、当社入口にある大きな鳥居は大阪一の大きさのものです。そして御殿に祀られている神鏡も、創建当時の技術で研磨できるものでは、日本最大の鏡でした。社殿も実はとても大きく、祭典時には200人近い方を殿内に収用する事ができることもできるほどですので、ぜひ見ていただきたいです。
そのほか、境内には歩兵部隊や砲兵部隊などの部隊の方々が建てた慰霊碑が23基もあり、それぞれ形もさまざまですので、中にはプロペラや錨の形をした特徴的なものもあります。こちらを眺めながら英霊の想いに心を馳せ、歴史を感じながらご参拝いただくこともおすすめです。
季節になると境内に咲き誇る50本以上の桜が花開く、美しい桜を楽しむこともできます。隠れた名所としても知られるこの境内は元々が埋め立て地であり、桜が根付かずに大変苦労しました。土の入れ替えなどでようやく咲くようになった桜ですが、根が張りにくいためかあまり高く成長せず、枝が地表近くにあるため、目の高さに花が咲きます。
そのお陰で花見の際も間近でみることができ、桜とお子様の写真を撮られる際にも綺麗に撮影できますので、ご家族連れのご参拝者様にも大変好評です。街中にある当社ですが、境内は自然を感じられる場所となっておりますので、季節ごとの木々も楽しんでいただければと思います。
ご利益を教えて下さい。
当社は、命をかけて国を護った英霊に感謝し、平和を祈る神社です。英霊は家族や地域、そして国のために命をかけて戦われた皆さんですから、その方々の思いは”誰もが平和に過ごせる世の中であって欲しい”ということだと思います。
そのことから、災いを祓い、平和を守ってくださることが一番の御利益です。当社では結婚式も執り行っておりますが、英霊の中には、結婚すらできずに若くして亡くなった方も沢山いらっしゃいます。その様な方々は、きっと夫婦の誓いをたてられたお二人に対して、末永い幸せを見守ってくださるのだと考えています。
御朱印について教えて下さい。
近年では御朱印を求められる方も非常に多いですが、御朱印というのは、本来は寺院において写経したものを納めた際、その証しとして受け取る物でした。それが時代が下り、今では神社仏閣にお詣りした時にその参拝の証明として受ける物となってきています。
また、神社にお詣りした後に受けるのが正式な順序となっており、郵送で頼んだり、代理で受けるものではないのが本来となっています。さらに、神様の御印をいただきますので、記念スタンプとはまったくの別物。人によっては朱印帳を神棚に祀るなど、御札と同様に扱う方もいらしゃるんですよ。
御朱印帳に関しましては、当社には靖國神社・護國神社共通のものもあります。御朱印帳は2種類あり、見た目は一緒ですが、一つには全国の護國神社の名前が各ページに印刷されている、護國神社専用の御朱印帳です。この護國神社専用の御朱印帳は、求めらる方が非常に多い帳面となっていますので、参拝の際はぜひご覧ください。
御朱印はどうやってもらえばいいですか?
普段であれば、朝9時から夕方5時まで社務所にて、朱印帳を持参のうえお声がけいただければ、手書きで記帳をしております。しかし、例祭やみたままつりの際は社務所が混雑しますので、書き置きのものをお渡しさせていただく事もありますので、ご了承ください。
朱印代は300円となります。靖國神社・護國神社共通の御朱印帳をお持ちいただいた方のみ、通常の御朱印に「大和魂」の文字を書き添えたものをお渡ししております。
お守りやお札はどんなものがありますか?
当社独自の御守りとしては、「大和魂守」があります。日の丸をイメージした御守りとなっており、英霊の御加護を祈ってお持ちいただければと思います。また、境内の末社に祀られている東郷元帥にあやかり、「必勝」の御守りをご準備しています。奇蹟の大勝利と言われる日本海海戦を勝利に導いた指揮官、東郷元帥の御加護をお受けいただる御守りです。
おすすめの行事やイベントはありますか?
年に2回、5月と10月には例祭を行っております。以前は、境内が一杯に大勢の方々がお詣りにお見えになることもあった、当社の代表的な行事です。また、8月15日の終戦記念日には英霊感謝祭を執り行いますが、こちらも一般の方々を中心に多くの方がお詣りになります。境内には多数の提灯を飾り英霊を慰める行事となっており、提灯が灯る幻想的な境内を歩きご参拝いただけます。
それ以外に、最近境内で開催しているのが、毎月骨董市とマルシェです。開催日には朝から家族連れなど、多くの御参拝者様で境内が賑わうこともあるなど、皆様にも知られるイベントとなってきています。どなたでもみていただけますので、タイミングが合えばぜひお楽しみください。
参拝時間と参拝料について教えて下さい。
境内は24時間いつでもお参りいただけますが、御殿の扉の解放は朝7時から17時までとなります。また、社務所の開設時間は朝9時から17時となりますので、ご祈祷や朱印、御守りを受けたい方は17時までにお越しください。
近くでおすすめの観光地や飲食店はありますか?
住宅街のようなところにありますので、近くに観光地はほとんどありません。しかし、最寄りからニュートラムの利用もできますので、天保山や海遊館にもアクセスしやすく、アジア太平洋トレードセンターやコスモタワーの展望台などがある南港エリアにも行きやすい場所です。
また、2025年と先の話ですが、大阪万博の開催も予定されている臨海エリアは、今後開発が期待されるスポットだと思います。遠方に行くのが叶わない方は、すぐ側に広大な敷地を持つ住之江公園がありますので、そちらでノンビリと過ごすのもおすすめです。ご家族などでお弁当を公園で食べられるのも、自然が感じられて良いのではないでしょうか。
これから拝観したい方へのメッセージをお願いします。
日本が戦争に負けてから76年もの月日が経ち、戦争に直接関わった方、体験をした方もすっかり減ってしまいました。戦後の日本がこれまで繁栄してこれたのは、身を粉にして復興に努めた先人はもちろん、何よりこの日本を護るために尊い命を捧げられた数多くの英霊によるものです。
今の時代から考えると、当時の戦争に否定的な考えを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、その当時を生きた方々が、自身の命を投げ出す覚悟で、国、地域、家族を護ろうとしてくださったことは紛れもない事実です。
その事実や想いをご参拝を通して受け止め直し、英霊に対する感謝を忘れること無く、若くして命を落とした先人の分まで、精一杯これからの日々を過ごすきっかけとしていただければと思います。広々とした境内となっておりますので、ぜひお気軽にご参拝ください。
神社名:大阪護國神社(おおさかごこくじんじゃ)
住所:大阪府大阪市住之江区南加賀屋1-1-77
電話番号:06-6681-2372
参拝時間:参拝は24時間可能。社務所は9:00~17:00まで。
URL:http://www.osakagokoku.or.jp/