日本で飼育されている犬は、7割以上が「小型犬」です。ところで、改めて考えてみると「小型犬」という呼び方は、なんだかフワっとしていますよね。
一般的に体重10kg未満の犬が「小型犬」とされていますが、体重3kgの犬と体重9kgの犬では、かなりの体格差がありますよね。
この記事では「超小型犬」について説明していきます。
超小型犬の基準・定義とは?大きさは?
犬の体格を表現する際に、私たちは何気なく「小型犬」「中型犬」「大型犬」といった分類分けをしています。しかし、これは正式な規定によるものではありません。
日本で最も権威ある血統書発行団体「ジャパンケネルクラブ(JKC)」の犬種規定においても、「大中小」の体格分けは一切されていないのです。
ではいったい何で体格を分けているのかといえば、実のところは「大きく見える」「小さく見える」といった、「だいたい」の感覚。
というわけで、小型犬の中でも小さい部類の超小型犬をあえて定義づけするとしたら、「完全に成長しきった成犬時の体重が4kg以下」といったところが妥当ではないでしょうか。
超小型犬の平均寿命
まずは、体格別に見た犬の平均寿命を確認しておきましょう。
●大型犬/10~12才
●中型犬/13~14才
●小型犬/13~15才
体格が小さいほど平均寿命が長くなる傾向にありますが、小型犬を体重別に分けると逆転しています。
●体重5~10kgの小型犬/14.2才
●体重4kg以下の超小型犬/13.8才
微々たる差ですが、小型犬は4kg以下の超小型犬より5kg以上ある方が、少し平均寿命が長いようです。
超小型犬の平均体重
4kg以下を超小型犬に分類してはいるものの、実際の平均体重は2~3kg。これは小型犬の体格が小さければ小さいほど好まれる、日本特有の傾向と考えられます。
超小型犬10種類!人気の犬種は?
■1. チワワ
体重1~3kg。超小型犬の代表格ともいえる犬種です。ウルウルした大きな瞳が庇護欲をかきたてる風貌ですが、性格は意外にも勇敢で怖いもの知らず。ライオンのオシッコの臭いをかがせる実験では、ひるむことなくオシッコの上書きをした逸話があります。
警戒心の高さから番犬としても大活躍。キャンキャン吠えたてて飼い主をうんざりさせることもありますが、基本的には活発で愛情深い犬種です。
■2. トイ・プードル
体重3~4kgですが、日本では3kg以下の極小タイプが人気です。テディベアそっくりのカットスタイルで人気が爆発し、10年以上犬種人気ランキングの1位を獲得し続けています。
見た目の可愛さからヌイグルミのようなイメージを持たれがちですが、鳥猟犬として活躍していた歴史を持ち、身体能力は抜群。さらに犬の知能テストでは第2位を獲得と、まさしく文武両道の犬種です。
■3. ポメラニアン
体重2~3kg。一時期人気が下火になったこともありますが、ここ数年はカットスタイルの多様化と極小化の定着により、人気が再燃しました。フワフワのゴージャスな被毛と生き生きとした瞳が魅力的な犬種です。
性格的には活発で遊び好きですが、やや興奮しやすい一面も。警戒心による無駄吠えの多さはスピッツを祖先にもつ犬種の特徴の一つですが、一昔前に比べると改善しつつあります。
■4. マルチーズ
体重2.5~3.2kg。なめらかでツヤツヤなシルクのような手触りの長い被毛が美しい犬種です。純白のイメージがありますが、「レモン」と呼ばれるベージュー味を帯びた毛色も公認されています。ただし、JKCは認めていますが、推奨していません。
おっとりとしたイメージを持たれがちですが、この犬の性格は意外なほど元気いっぱい。興奮すると手が付けられないくらい騒ぐこともありますが、飼いやすい犬種です。
■5. パピヨン
体重3~4.5kgですが、2~3kgの個体が多くみられるため、極小犬種の一つに数えられています。フワフワでシルキーな手触りのロングコートと、大きな耳から垂れ下がる飾り毛がゴージャスです。
骨格が華奢なため、一見すると弱そうに思われがちですが、意外なほど丈夫。好発種の病気も少なく、実はとても飼いやすい犬種です。人懐っこい性格ですが、まれに過剰なほど神経質な犬もいます。
■6. ヨークシャー・テリア(ヨーキー)
体重は3.2kg以下とされていますが、チワワに次いで小さいと言われているのがこの犬種です。7kgを超す大型のヨーキーがいる反面、成犬時の体重が2kg以下の個体も少なくありません。ギネス記録の最小犬はチワワですが、記録に残っている最小犬はヨーキーです。
猟犬時代の名残から初心者にはとっつきにくいテリア種ですが、ヨーキーは飼いやすい部類。堂々とした立ち姿と聡明な瞳が人気の秘訣です。
■7. ブリュッセル・グリフォン
体重3~6kgとされていますが、日本国内では3kg台の小さな個体が数多くみられます。犬種名を言われてもどんな風貌かピンとこないかもしれませんが、スターウォーズのチューバッカはこの犬がモデル。まさしくチューバッカ顔のこの犬は、アンダーショットが正常な噛み合わせです。
無駄吠えが少なく穏やかな性格の持ち主で、必要な運動量も少なめ。まさしく室内飼育にぴったりの超小型犬です。
■8. カニンヘン・ダックスフンド
体重3kg前後。ミニチュア・ダックスフンドよりさらに小さな体格ですが、かわいい見た目とは裏腹に、かなり活発な性格の持ち主です。狩猟犬時代の名残を強く残した気質は元気いっぱいで好奇心旺盛。時にやんちゃな性質が暴走し、やや手を焼くことも。
我の強い部分はあるものの、明るく賢く活動的な性格は家庭犬にぴったりです。きちんとしつけることで、良好な主従関係を築くのも難しくありません。
■9. トイ・マンチェスター・テリア
体重2.8~4kg。ドーベルマンをギュっと縮めたような精悍な風貌の持ち主です。ミニチュア・ピンシャーと間違われやすいですが、ルーツからしてまったくの別犬種。頬・下あご・喉・足まわりのタンマーキングが特徴です。
テリア種らしく猟犬の名残はあるものの、攻撃性の少ない性格は家庭犬向きといえるでしょう。飼い主と一緒にいたがる甘えん坊な性格ですが、警戒心が強く番犬としても優秀です。
■10. ボロニーズ
体重2.5~4kg。フワフワの白い巻き毛とつぶらな黒い瞳はまるでヌイグルミ。トイプードル、ビションフリーゼ、マルプーに間違われやすいですが、11世紀には存在していた歴史あるイタリア原産の犬種です。
見た目が可愛いのは間違いありませんが、特筆すべきはこの犬種の性格。人懐っこく穏やかで振る舞いがとても上品。初心者にも飼いやすい犬で、日本でも人気が高まってほしい犬種の一つです。
超小型犬の飼い方
狭い室内でも飼いやすいと人気の超小型犬。しかし体格が小さいからこそ、飼い方には気をつけるべきことがあります。
●ソファなど室内にあって当たり前の家具も、超小型犬にとってはかなりの高さがあり、落下すると危険です。
●小さな子どもがいる家庭では、はしゃいだ子どもが転倒した際に超小型犬が下敷きになることがあります。また癇癪を起こした子どもが超小型犬を放り投げ、ケガさせたケースも。超小型犬と幼児だけで過ごさせるのはNGです。
●超小型犬が階段から転落した場合、障害が残る大ケガをする可能性があります。
●フローリング等滑りやすい床で転倒すると、骨格が華奢な超小型犬は骨折・脱臼などの大ケガをする危険性があります。
超小型犬の餌の量・ご飯の回数
成犬になった犬の食事の回数は、最低でも朝晩の2回には分けたいところです。3回、4回と回数を多くできるなら、それに越したことはありません。
特に超小型犬は胃腸のサイズも小さく、少量を回数多く食べさせた方が、胃腸への負担が減らせて安心です。
ただし、1日に食べさせる総量を超えないよう注意が必要。総摂取カロリーを考えずに回数だけ増やしてしまうと、肥満の原因になるからです。
例)チワワ3kg/3才
運動量:普通
チワワ専用フード(成犬用)1日の給餌量60g程度
2回に分けるなら1回の食事は30gずつ
3回に分けるなら1回の食事は20gずつ
(※オヤツを与える場合は、その分食事の量を減らす必要があります)
超小型犬の散歩時間と距離
超小型犬のお散歩は、1日2回、1回の散歩時間は20分程度が目安です。お散歩に連れ出すと喜ぶからといって、あまりにも長い時間・長い距離を歩かせると関節を傷めてしまうことも。
とは言え、どの程度の散歩時間が適当かは、犬によって個体差があります。まずはしっかり愛犬にとってちょうど良い散歩時間を見極めましょう。
長い距離を歩かせる場合は、ペットカートがおすすめ。愛犬が疲れたらカートに乗せて移動でき、犬の体に負担をかけることなくお散歩を楽しめます。お散歩グッズなども積めるので、飼い主にとってもかなりの便利アイテムですよ。
まとめ
超小型犬は小さくて飼いやすいですが、だからといって甘やかしは禁物。きちんとしつけやトレーニングをしないと、無駄吠えや噛みつきに悩まされるかもしれません。超小型犬は体格が小さいだけで、大型犬と同じように牙の生えた生き物です。