岐阜県岐阜市にある「三甲美術館」へ取材を⾏ってきました。「ホームページの情報だけではよく分からない」「インターネット上の⼝コミや評判だけではよく分からない」という⽅は、ぜひ参考にしてください。
取材先の博物館名:公益財団法人 三甲美術館
Q. 施設の概要を教えてください。
三甲美術館は、岐阜駅から車で約20分、岐阜市北部の閑静な住宅地の中にあります。高台に位置することから、かつて岐阜城の戦いの舞台となった金華山を遠くに望むロケーションです。
建物は1973年(昭和48年)に竣工、寝殿造りを基調とした日本の伝統的な様式で建てられました。当初は「三法荘」として三甲株式会社の迎賓館および福利厚生施設として利用されていましたが、1988年(昭和63年)開設15周年を期に、「美術館 三法荘」として一般公開されました。財団法人化して現在の「三甲美術館」となったのは2002年(平成14年)のことです。
三甲美術館は、物流資材メーカーの三甲株式会社の歴代社長が収集した絵画や茶道具、彫塑など約500点の美術品を所蔵しています。もともと美術館として建築されたものではありませんが、初代会長・丹羽治助の「個人法人を問わず、美術品は全て国家社会の宝物である。私するべきではない。お金を出して預からせていただいているのである」との言葉と、また多くの来荘者のすすめにより、美術館として一般公開されることとなりました。
Q. 展示物の構成を教えてください。
初代会長・丹羽治助は書画骨董などの茶道具を、2代目会長の後藤甲子男は絵画や彫塑などを主に収集しました。ピカソやルノワール、シャガールといった誰もが名前を知る世界的な巨匠をはじめ、日本の洋画家の梅原龍三郎や岸田劉生、日本画の横山大観などの作品も所蔵しています。幅広いジャンルの芸術に触れていただくことができます。
展示作品のなかでも、ルノワールの「坐せる浴女」は反響が大きい作品です。こちらは常設展で見ることができます。油彩画で描かれた自然の中の裸婦像は、生命と官能への賛歌に満ち溢れています。是非カップルで本物を見て、感想を語り合ってみてください。
Q. デートスポットとしての見どころを教えてください。
展示室の絵画や工芸品はもちろんのことですが、カップルや仲間うちで語り合うなら、2階にございます和紙彫塑の展示「革命者 信長」はいかがでしょうか。和紙彫塑家・内海晴美の織田信長をテーマとした作品で、インモーションで表現した空間ごとひとつの作品となっています。皆さんで色々な角度から鑑賞して、迫力のあるストーリーを楽しんでいただければと思います。
また、茶室「甲子庵」のあるお庭を縁側からゆっくり鑑賞するもおすすめです。庭園は、自然の野山をモチーフにし、春夏秋冬の季節の移ろいを感じさせるつくりです。
また当館には、沙羅双樹の樹が敷地内に約200本植えられています。沙羅の樹がひとつの場所にこれだけ植わっているのは珍しいそうで、お花好きの方々の中ではちょっとした有名スポットです。沙羅の花は毎年6月中旬~下旬にかけて見頃をむかえます。花は咲いてから1日程で落ちてしまい、その儚さから「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす」と、平家物語の冒頭にも詠まれています。庭園の写真撮影もしていただけますので、ぜひ記念写真を撮ってくださいね。
Q. 人気の企画やイベントはどんなものがありますか?
当館では常設展のほかに、年に数回の企画展を行っています。またそれとは別に、地域の方から作品を募集する公募展があります。9月には「暑中見舞いコンクール」、1月には「年賀状コンクール」、2月には「長良川川柳」といった様々な公募展を行っています。
また、年に数回のペースで、大広間にて演奏会を行っています。普段作品を鑑賞する広間に会場を設置しますので、美術品に囲まれながら演奏を聴くことができます。ピアニストの横山幸雄さんやフルート奏者の山形由美さんなど音楽界の第一線で活躍されているアーティストの演奏を間近で楽しむことができますよ。
「沙羅双樹の館」とも呼ばれる当館では、開花時期の6月には、琵琶の弾き語りが行われます。白く可憐な沙羅双樹の花のもと、琵琶の音色に合わせ「平家物語」を鑑賞することができます。
Q. 併設施設について教えて下さい。
ミュージアムショップがあり、ここでは図録やポストカード、沙羅双樹をモチーフにした美術館のオリジナルグッズなど購入していただけます。
レストランはありませんが、入館料にお飲み物代が含まれており、作品の鑑賞を終えられた方には、休憩室でお飲み物をお出ししています。コーヒーや紅茶、オレンジジュースなどからお好きなものを選ぶことができます。なかでも一番人気のメニューはお抹茶です。
Q. どんな利用者が多いですか?
ご家族やご友人同士などグループでご来館される方が多いです。カップルやおひとりの方もいらっしゃいます。年齢層は大学生~70歳以上まで幅広い世代の方にご利用いただいております。
Q. 料金・予約について教えて下さい。
一般:1,200円、高校・大学生:800円、小・中学生:600円です。20名以上は団体割引が適用されます。そのほかに各種割引もございますのでホームページをご覧ください。
予約は特に必要ありませんが、団体でご来館される場合は事前にご連絡ください。催事日は催し物に予約された方のみ入館可能です。
平日よりも土日のほうが来館者様は多めですが、全体的にゆったりと静かな時間を過ごしていただけると思います。
Q. 付近のおすすめ観光スポットを教えてください。
やはり金華山の上にある岐阜城でしょう。天気がいい日には当館の庭から見ることができます。戦国時代には斎藤道三の居城となり、稲葉山城(岐阜城)の戦いの後は、織田信長がこの城を本拠地としたことから、今でも多くの歴史ファンの方が訪れる人気観光スポットとなっています。標高329メートルの金華山山頂にそびえる天守閣の最上階からは、鵜飼で有名な清流長良川をはじめ、日本アルプスの山々や広大な濃尾平野などを一望することができますよ。
また、岐阜城のふもとに川原町という昔ながらの町家の風情が残る散策スポットがあります。飲食店やカフェがあるので休憩にもぴったり。そぞろ歩き用のレンタル着物や伝統工芸品店、お土産屋さんなどもあるので様々な楽しみ方ができます。長良川の鵜飼の乗船場にも近いので、鵜飼シーズンのときは見学してみるのも手です。
Q. これから利用したい方へメッセージをお願いします。
当館では、街の喧騒から離れ、落ち着いた空間で穏やかでゆったりとした2人の時間を過ごしていただけると思います。幅広いジャンルの美術品を収蔵しておりますので、好みの作品を探しやすいかもしれません。作品を鑑賞しながら感想を話し合うことで、お互いの感性や考え方に触れることもでき、大切な関係がより深まるのではないでしょうか。
皆様のご来館をお待ちしております。
三甲美術館の基本情報・営業時間・定休日
事業者名:三甲美術館
住所 :住所 〒502-0071岐阜県岐阜市長良福土山3535
電話番号:058-295-3535
営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日 :火曜日(祝日等の場合は開館し、翌日休館)
URL :https://sanko-museum.or.jp/