新潟県出雲崎町にある「良寛記念館(りょうかんきねんかん)」へ取材を⾏ってきました。「ホームページの情報だけではよく分からない」「インターネット上の⼝コミや評判だけではよく分からない」という⽅は、ぜひ参考にしてください。
取材先の記念館名:「良寛記念館」
Q. 施設の概要を教えてください。
良寛記念館は、新潟県長岡市から車で約40分、日本海とその遠くに佐渡島を望む高台に位置します。良寛は、江戸時代の書の名手でありながら、修行時代以降は生涯にわたって寺を持たず、貧しいながらも清らかな生き方をした僧侶です。子どもたちと毬つきをしたり、民衆と一緒に団らんを楽しんだり、「良寛さま」と親しまれた気取らない慈愛に満ちた人柄は、今でも昔話や民話などで語り伝えられています。
当館は、出雲崎に生まれた僧侶であり、江戸時代を代表する書家で歌人でもあった良寛を顕彰する美術館として、生誕200年にあたる1965年(昭和40年)に開館しました。近代日本建築の大家であり、東宮御所や東京国立博物館の建築を手がけた谷口吉郎による設計がなされています。
門を入るとすぐに左に、良寛が仏道修行につとめ、独自の芸術を大成させた「五合庵」を模した「耐雪庵」があります。庭園は、日本の石油王の中野貫一邸のものを移設しています。重厚な石燈籠や庭石が配され、桜や藤、むくげやくちなしなどの花々が四季折々の美しさを添えています。
良寛記念館は清楚で典雅なその造形と、50年以上にわたる文化活動が評価され、国登録有形文化財に指定されています。
Q. 展示物の構成を教えてください。
館内には、良寛の遺墨、遺品、文献などが展示されています。漢詩、和歌、仏語、手紙など、「日本書道の美の極致」とまで絶賛された、良寛の中年期から最晩年までの作品が、日本最多の規模で揃っています。
これらは、当館の創始者である佐藤耐雪が、開館に先立って寄贈した作品が多数です。また、佐藤耐雪を慕ってこの地にやってきた、良寛を敬慕する画家たちが寄贈した絵画も多く収蔵しています。川合玉堂、中村岳陵、山口逢春、棟方志功など、大正・昭和の巨匠が、良寛をテーマに描いた作品もご覧いただけます。
作品のなかでも、来館者様から人気が高いのは、良寛が修行先の玉島(現岡山県)から越後に帰ってきてからの心境を詠んだ『自辞白蓮精舎会』という作品です。双幅の大作で迫力を感じられ、じっくりご覧になる方が多いですね。そのほか、『中元歌』や『そめいろ』の俳句も、亡き父母に対する想いが胸に迫ることでしょう。一字一字がまるでほほえみかけているかのような優しい筆致の『般若心経』も是非ご覧になっていただきたいです。
Q. デートスポットとしての見どころを教えてください。
作品では、良寛が維馨尼(いきょうに)という尼僧に宛てた手紙は、「日本で最も美しい書のラブレター」と言われており、やはり人気がございます。「天寒自愛」(寒さのおりからご自愛ください)の言葉に、熱いいたわりの想いを読み取っていただけるかと思います。
展示館内での写真撮影もOKですので、是非記念写真を撮ってください。ただし、借用と寄託作品の撮影は、ご遠慮いただいております。また写真スポットとしては、当館展示館先の「良寛旅立ちの丘」と、当館から階段を上った「良寛と夕日の丘公園」は、非常に風景が美しくきれいな写真が撮れることと思います。
Q. 人気の企画やイベントはどんなものがありますか?
当館は年4回ほどの企画展を行っています。良寛の作品はもちろんのこと、良寛を敬慕する現代の書家や詩人、画家の企画展もあります。
たとえば、2021年2月から3月期には、星野富弘氏が自ら選んだ詩画作品30点を、良寛遺墨とともに展示する「花の詩画展」を開催。また、2019年には良寛を代表する「天上大風」の文字を、書家の金澤翔子氏が出雲崎町で揮毫した作品を擁した「金澤翔子展」を開催しました。
企画展の際には、学芸員が解説をしながら案内をするギャラリートークを実施しています。
Q. 併設施設について教えて下さい。
ミュージアムショップなどは特に設けていませんが、ロビーにて良寛に関する書籍や筆、記念ハガキなど販売しています。また、この地の特産品である「紙風船」など、出雲崎町のお土産なども販売しております。
Q. どんな利用者が多いですか?
良寛を敬慕する方をはじめ、書道や詩吟をされる方、また骨董を趣味とされる方のご来館が多いように思います。徐々にではありますが、お若い方の来館も増加していますね。皆さんそれぞれに楽しんでくださっています。
Q. 料金・予約について教えて下さい。
入館料は、一般が400円、高校生200円、小・中学生は100円です。
20名以上は団体割引が適用されます。予約は特に必要ありません。もし出雲崎町や良寛作品の解説を希望される場合は、1週間前までにご連絡いただければと思います。
春と秋期の特別展のギャラリートーク当日は混雑が予想されますが、その他の日は比較的落ち着いて鑑賞することができます。
Q. 付近のおすすめ観光スポットを教えてください。
良寛記念館から階段をのぼったところにある「良寛と夕日の丘公園」は、日本海を一望できる高台となっております。正面に佐渡島、右手には弥彦山が臨める雄大な景観は「にいがた景勝百選第一位当選の地」にも選ばれている絶景です。良寛が子どもたちと語らっている像があり、遠い昔のほのぼのとした光景が再現されています。
良寛記念館から車で5分ほどの海沿いを走ったところにある道の駅「越後出雲崎・天領の里」もおすすめです。新潟県の海岸線は全長330km。その中心に位置する道の駅であることから、県内外のドライブやツーリングを楽しむ方々の休憩所として賑わっています。誰が言ったのか分かりませんが今では「バイクの聖地」と呼ばれ、週末にはライダー自慢のバイクが列をつくります。出雲崎と周辺のお土産物の販売はもちろん、日本海の海の幸を味わえるレストランも。「良寛コーヒーソフトクリーム」も販売しています。またイベント広場から日本海に向かって伸びる全長102mの「夕凪の橋」もとってもロマンティックです。
Q. このインタビューを見た人への特典はありますか?
入館時に「Spicomiを見た」と受付スタッフにお申し出いただければ、良寛記念館オリジナルポストカードをプレゼントいたします。
Q. これから利用したい方へメッセージをお願いします。
書道や和歌、歴史に興味がある方はぜひおいでください。また良寛の清貧を貫いた生き方は「日本人が最後に望む人生観」と言われています。遺墨や遺品、関連作品などに触れ、楽しみながら良寛に親しみ、皆様で感想を語り合ってほしいですね。そして、来館者様それぞれの人生の楽しみを見つけていただけると嬉しいです。
良寛記念館の基本情報・営業時間・定休日
事業者名:良寛記念館
住所 :〒949-4342 新潟県三島郡出雲崎町米田1番地
電話番号:0258-78-2370
営業時間:9:00~17:00
定休日 :4月〜10月:休館日なし 11月〜3月:毎週水曜日は休館(祝日の場合は翌日)
年末年始:12月29日〜1月3日
URL: http://www.ryokan-kinenkan.jp/