中国の神話で天を司る神様である4体の霊獣の四神獣(ししんじゅう)。東・南・西・北のそれぞれの方位を守護しています。四神獣の「青龍・朱雀・白虎・玄武」にはそれぞれの能力があります。
四神獣の意味と性格の特徴について詳しくご紹介します。
風水で四神獣の意味とは?
風水では、「青龍(せいりゅう)・朱雀(すざく)・白虎(びゃっこ)・玄武(げんぶ)」がそれぞれの方位を守護しているといわれています。
四神獣にはそれぞれ司る方位や季節とそれを象徴する色があります。「東=青龍(春)」「南=朱雀(夏)」「西=白虎(秋)」「北=玄武(冬)」を司っています。北に高くそびえる山があり、西に大きな道が続き、南に広く開けた湿地帯や海、東に清き流れの川がある都市は良い気が集まる最良の地とされ、繁栄するといわれています。
「四神相応の地」として有名なのが平安京です。平安京では青龍が賀茂川、朱雀が巨掠池(おぐらいけ)、白虎が山陰道、玄武が舟岡山とされています。
四神獣の属性・方角・色・季節・五行
陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)では、四神獣の青龍・朱雀・白虎・玄武に中央に座する四神獣の長とも言える存在である黄龍(おうりゅう)を加えて五獣と呼ばれます。
陰陽五行説の基本は、宇宙の全てを二つの陰陽と五つの元素(水・金・土・火・木)で成り立っているといわれています。中国で生まれた自然界の理を説く思想のひとつです。5要素にはそれぞれの色が割り当てられており、「水=黒」「金=白」「土=黄」「木=青」「火=赤」になります。
方角 | 色 | 季節 | 五行 | 意味 | |
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青龍 | 東 | 青 | 春 | 木 | 金運を呼び込んでくれる。商売繁盛。 |
朱雀 | 南 | 赤 | 夏 | 火 | 悪を祓い、平安をもたらしてくれる。 |
白虎 | 西 | 白 | 秋 | 金 | 邪悪な気運を遠ざけて、幸せを呼び込んでくれる。 |
玄武 | 北 | 黒 | 冬 | 水 | 繁栄と長寿をもたらしてくれる。 |
黄龍(麒麟) | 中央 | 黄 | 土用 | 土 | 中心を司り、古代中国では黄龍は皇帝の象徴。五行の土は金属を生むことから、金運アップをもたらしてくれる。 |
※土用は立夏、立秋、立冬、立春それぞれの直前にくる約18日間の期間のことを指します。
四神獣と黄龍(麒麟)の関係
四霊獣の四神「青龍・朱雀・白虎・玄武」に加えて、この世が5つの基本要素から成り立っているという陰陽五行説に対応した霊獣である「黄龍(麒麟)」の五霊の存在があります。
東西南北という四つの方位を司る神獣が四神であり、陰陽五行説の思想においては万物の中央に座する四神の長といえる存在の黄龍(麒麟)がいます。黄龍(麒麟)は、最も高貴な存在である皇帝の権威を象徴する神獣になります。
四神獣のご利益
天の四方の方角を司る霊獣「四神獣」のご利益は、悪霊や邪気を祓いさまざまな福徳を授けてくれるといわれています。東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武を四方位に置くことで、悪霊を祓うことができるといわれています。
四神獣 | ご利益 |
---|---|
青龍 | 太陽が昇ってくる方向「東」の方位を司り、発展、仕事運、金運を呼び込み商売繁盛をもたらしてくれます。 |
朱雀 | 太陽の光がたくさん入ってくる「南」の方位を司り、災難を祓い、平安と幸運をもたらしてくれます。 |
白虎 | 日が沈む「西」の方位を司り、邪気を遠ざけ、幸せを呼び込んでくれます。商売繁盛、金運を高めてくれます。 |
玄武 | 変わらない地位を象徴した「北」の方位を司り、繁栄と、健康や長寿をもたらしてくれます。 |
青龍の性格や能力
四神の中では東を護る神獣「青龍」。蒼竜(そうりゅう)とも呼ばれます。鹿の角と蛇の尾を持つ聖なる龍で、長い舌を出した竜の形で、足は4本・爪は3本で描かれています。
対応カラーは「青」。木の属性であり、さまざまな生命が活動を始める春と対応しています。また太陽が昇る東を守ることから、新しいスタートを意味しています。青龍は川の流れを象徴し、富の象徴とも呼ばれ、成功と出世、富を導くといわれます。
ご利益は、開運、立身出世、金運、人脈、運気上昇をもたせしてくれるといわれています。
朱雀の性格や能力
四神の中では南を護る神獣「朱雀」。鶏の頭に燕のあご、首は蛇で尾は魚のよう。五色に彩られた羽があるといわれています。
対応カラーは「赤」。気温も高くなった夏に対応しています。火の属性であり、火を操る美しい神聖な霊獣です。美しい羽根は美と知性の象徴でもあり、炎で邪悪なものを焼き尽くします。悪霊を祓い、幸福と家運繁栄を招くといわれています。
ご利益は、災難除け、悪霊祓い、家運繁栄、起死回生、信頼回復、社交運、対人運です。
白虎の性格や能力
四神の中では西を護る神獣「白虎」。天上界で天帝に仕えている龍で、白い鱗(うろこ)でおおわれています。白虎は月の女神の化身という説もあります。
対応カラーは「白」。秋に対応しています。金の属性であり、豊穣の象徴とされています。運気を逃さぬよう睨みをきかせ、邪気を祓ってくれます。
ご利益は、商売繁盛、子宝祈願、安産祈願です。
玄武の性格や能力
四神の中では北を護る神獣「玄武」。亀と蛇が合体した姿をしており、亀は長寿と不死の象徴とされています。
対応カラーは「黒」で、冥界や冥途を表していています。陰陽五行説では水の属性です。2匹で1つの姿であることから、対人関係を改善し良好にしてくれるといわれています。
ご利益は、健康運、長寿祈願、対人運です。
四神獣の最強は?強さランキング
四神獣の中では、それぞれの方位を司っている霊神なので上下はありません。ご社殿などに飾る場合は青龍→朱雀→白虎→玄武の順に並べられています。
陰陽五行説に対応した霊獣である「黄龍(麒麟)」の五霊とした場合は、一番強いのは四神の長といえる存在で中央に鎮座している黄龍(麒麟)になります。
四神獣の日本文化の歴史
※キトラ古墳
7世紀末~8世紀初頭頃に造られたと考えられている、キトラ古墳の壁画には東西南北の各壁に四神獣が描かれています。キトラ古墳は、奈良県明日香村にある古墳終末期の古墳です。
それから後の、平城京や平安京でも都の守り神として四神獣が四方に配置されています。京都観光では「京都五社めぐり」というのが有名です。
京都の四神相応
平安京が四神相応の地として造られています。四神相応の地は風水において好適地といわれており、北に高い山があり、西に大きな道、南に大池や海、東に川があるという条件を満たす土地は繁栄すると考えられていました。
平安京では、北の玄武に位置するのが「船岡山」、東の青龍に位置するのが「鴨川」、南の朱雀に位置するのが「巨椋池(おぐらいけ)」、西の白虎に位置するのが「山陰道」といわれています。
平安京と深い関係にある神社を巡る「京都五社めぐり」というのがあります。東の青龍は「八坂神社」、南の朱雀は「城南宮」、中央を守護する「平安神宮」、西の白虎は「松尾大社」、北の玄武は「上賀茂神社」になります。五社めぐりは特に順番はなくどこから参拝してもよいとされています。
四神 | 方角 | 神社 | ご利益 |
---|---|---|---|
青龍 | 東 | 八坂神社 | 商売繁盛、縁結び、厄除け |
朱雀 | 南 | 城南宮 | 方除け、厄除け |
黄龍 | 中央 | 平安神宮 | 開運招福、厄除け |
白虎 | 西 | 松尾大社 | 交通安全、厄除け |
玄武 | 北 | 上賀茂神社(賀茂別雷神社) | 家内安全、交通安全、災難除け |
まとめ
四神獣の「青龍・朱雀・白虎・玄武」は陰陽五行説」いう考えに基づいて配置され、東、南、西、北を守護してくれる存在です。「四神相応の地」は、風水では最も良い地形とされており、繁栄、発展するといわれています。