奈良県磯城郡田原本町にある「村屋神社」へ取材に⾏ってきました。「ホームページの情報だけではよく分からない」「インターネット上の⼝コミや評判だけではよく分からない」という⽅は、ぜひ参考にしてください。
取材先の神社名:村屋坐彌冨都比賣神社(むらやにますみふつひめじんじゃ)
取材する方:宮司 守屋裕史さん
どんな神社ですか?
村屋神社は奈良県磯城郡田原本町にあります。村屋神社という呼び方は通称で、正式名称は「村屋坐彌冨都比賣神社(むらやにいますみふつひめじんじゃ)」という、実は非常に長い名前の神社なんです。
はっきりとした創立の年代は不明ですが、宮司家の古文書には「崇神7年創始」とあり、これが正しければ、2000年以上前からこの場所に神社があったことになります。邪馬台国畿内説の最有力候補地である「纏向遺跡」の間近にあることから、日本の始まりの地といえる特別な場所に位置する神社になります。
日本書紀には、673年の天武天皇元年に起きた壬申の乱の際、当社の神主におりてきた神のお告げを大海人皇子にお伝えしたことで勝利に導き、この功績により神社として初めて位階を皇室から賜ったと記されています。
「村屋」とは神社周辺の昔の地名で、今は「森屋」と呼ばれています。地元住民の皆さんは「もりやじんじゃ」と呼んでいます。
当社は大物主命(おおものぬしみこと)と三穂津姫(みほつひめ)の夫婦神を祀ることから、「縁結びの神」「内助の功の神」で知られています。
村屋神社の主祭神は妻の三穂津姫です。夫の大物主命は「大神神社(おおみわじんじゃ)」の主祭神です。そのことから村屋神社は「大神神社の別宮」とも称せられています。大神神社も一緒に参拝していただくと、さらにご利益が増すといわれているんですよ。
神社の見どころを教えてください。
見どころは、古い歴史を背景に建てられた建造物と森との融合ですね。境内には鳥居が2つあり、「一の鳥居」をくぐると両脇を青々とした木々に挟まれます。
「二の鳥居」をくぐると両脇の木々の前に石灯籠が均等に並べられ、少し薄暗い参道に木漏れ日が差し、真っ直ぐに拝殿へと続いています。
拝殿は昭和10年に再建されました。入母屋造桧皮葺平入で、四面は格子戸、廊下で囲まれています。この拝殿の後ろに赤い本殿がございます。
神社を守るように繁るイチイガシの森は、 奈良盆地の原始の森の生態系を唯一維持した森で、植物学上とても貴重だそうです。奈良県の天然記念物にも指定されました。参道周辺は古くからスギの補植が行われ、森林の高さはおよそ29mに達しています。この地域では稀に見る良好な林相を示しているそうです。
原始の森は清らかで神秘的な空気に満ちています。参拝にいらした皆さんに自然のエネルギーをもたらしてくれるパワースポットであり、癒やしの空間でもあります。
また、稲作や鉄工、商売、芸能など、色々な生業の始まりの地でもあります。ぜひ悠久の歴史を感じていただきたいですね。
ご利益を教えてください。
日本書記に記された神話によると、高皇産霊命(たかみむすびのみこと)は、大物主命から国譲りを受けた時、その功に報いるため、そして裏切られないために、娘である三穂津姫命を大物主命に贈られたそうです。
その際、三穂津姫命は神々が住んでいた場所といわれる高天原から3本の稲穂を持って降りられ、稲作を中津国に広めて国を豊かにしたとされています。そのため内助の功にあたる神とも言われています。
これらの故事から「縁結びの神」「家内安全の神」「商売繁盛の神」として信仰されております。
御朱印について教えてください。
私は社務所兼住居にスタジオを構え、現在も宮司とデザイナーを兼業しています。 令和2年5月から頒布を開始いたしました「アマビエ様の悪疫退散御朱印」が注目を集め、あらゆるメディアで取り上げられたことが、皆さまに知っていただくきっかけとなりました。
季節にちなんだ多種多様な御朱印もお渡ししています。以前は季節の花を添えた御朱印をメインに頒布しておりました。季節ごとに御朱印の模様は変わりますので、楽しみにされていらっしゃる方が年々増えているんですよ。
御朱印の初穂料は、1頁300円、見開き600円、A4サイズ1,000 円です。
朱印帳を持参いただきましたら、直書きさせていただきます。朱印帳をお求めの場合、私がデザインした「三穂津姫様」のイラスト入りのオリジナル朱印帳もございます(2,000円)。
御朱印はどうやってもらえばいいですか?
御朱印は授与所、または社務所で授与いたしております。受付時間は9時から16時までです。時間外でも宮司がいれば対応いたします。時間内でも不在の場合は対応できません。
自粛期間が続き、なかなかお参りに来られない方のために、郵送での頒布もいたしております。
お守りやお札はどんなものがありますか?
お神札やお守り・根付など、社殿の近くで多種授与させていただいております。いま人気なのは、アマビエ様関係の授与品になります。
「アマビエ様お守りストラップ」には、ご祈祷して御朱印も入れております。田原本町出身の造形作家で、筑波大学講師の織田隆治先生とのコラボレーションです。コンパクトで常に身につけておけますので、お出かけの時にも手軽に持ち歩けます。1体500円です。
そのほかアマビエ様の「竹うちわ」(500円)、スマホなどに貼れるアマビエ様の「貼って剥がせるお神札」(500円)、宮司デザインの「ご祭神絵馬」(700円)などをお求めいただけます。
おすすめの行事やイベントはありますか?
2月11日には、「祈年祭」と「御田祭(御田植祭)」を斎行し、年頭の初めに一年の五穀豊穣とあらゆる生業の繁栄をお祈りします。「御田祭」は餅まきも行いますので、大変な賑わいになります。
6月30日には「夏越大祓」を斎行します。いわゆる茅の輪くぐり神事です。半年間の罪穢れを祓い落とし、残りの半年の無事をお祈りするお祭りです。
10月9日に「宵宮祭」、翌10日に「本宮祭」を斎行します。秋の実りを祝う一年で最大のお祭りです。本宮祭の午後、一年に一度、この時だけ宮司家に伝わる代々神楽を奉納する行事を斎行します。主な行事はこの3つです。
拝観時間と拝観料について教えてください。
拝観時間は基本的に年中無休で24時間大丈夫です。拝観料は不要です。
近くでおすすめの観光地や飲食店はありますか?
令和2年夏、村屋神社から徒歩3分のところに、ホテル「NIPPONIA 田原本マルト醤油」が開業しました。築130〜140年の江戸時代の醤油蔵ををリノベーションし、当時の空気感を残した癒しのホテルに生まれ変わりました。レストランでは、周辺の農園で採れた新鮮な農作物を使ったお料理をいただけます。
こちらに宿泊して参拝に来ていただくと近いので、便利かと思いますよ。
また、弊社と夫婦関係にある「大神神社」にも、ぜひお詣りに行っていただきたいですね。 縁結びの神様をお祀りしていますので、どちらにいつ来ていただいてもご利益がありますが、大神神社と両参り(夫婦参り)することでご利益も増しますのでおすすめです。
これから拝観したい方へのメッセージをお願いします。
最寄駅は近鉄田原本駅、JR 巻向駅、JR 柳本駅になりますが、いずれも2キロ以上あり、徒歩では厳しい距離になります。電車で来られる際は近鉄田原本駅前にある観光ステーションから、レンタサイクルを利用して来られることをおすすめします。
お車の場合、幹線道路から離れた非常にわかりにくい場所にあるため、カーナビ付きの車でも迷われることが多いようです。事前に地図やインターネットなどをご利用いただき、下調べされてからいらっしゃるとよろしいかと思います。
お気をつけてお越しください。
村屋坐彌冨都比賣神社の基本情報
神社名:村屋坐彌冨都比賣神社(むらやにますみふつひめじんじゃ)
住所:奈良県磯城郡田原本町大字蔵堂423番地
電話番号:0744-32-3308
拝観時間:24時間 ※御朱印の対応は基本9時〜16時ですが、宮司不在の時は対応しておりません。
URL:http://murayajinja.com/