家を新築するときや引越しをするときに、鬼門である北東の方向にキッチンやバスルームなどの水回りがあるのはよくないとか、鬼門に玄関が向いている間取りは避けた方がよいという話を聞くことがあります。
しかし、玄関や水回りが鬼門の方角を向いた間取りは存在します。玄関が鬼門の方角にあると、一体どんな危険なことが起きるのでしょうか?
そして、鬼門というのはそもそも何なのでしょうか?まずは鬼門の意味と歴史について、簡単にご紹介します。
鬼門という風習の由来
そもそも、鬼門という言葉は一体どこからきたのでしょうか。調べると、鬼門の由来についていろいろな解説を読むことができます。
一般的には、鬼門の起源は数千年前の中国にさかのぼり、中国のとても古い書物の中で初めて鬼門という言葉が使われたといわれています。
ただし、そこで使われた鬼門という言葉は、現在使われている鬼門の意味とは異なります。「鬼」という言葉で表されていますが、実際は、「霊」を意味するのではないかと考えられています。
古来中国の東方の海上に度朔山(ドサクサン)が位置し、様々な鬼神が棲んでいるとされていた。度朔山に桃の大樹があり、樹上には金鶏が棲んでいた。桃の大樹の東北が鬼門であり、世の中の鬼神はこの鬼門を通過して人間界に出入りしていた。
「鬼門」は北東・「裏鬼門」が南西である理由
それにしても、なぜ北東が鬼門として恐れられているのでしょうか?
鬼門が北東の方角を指し、裏鬼門がその反対、南西の方角を指すという理由は諸説あり、はっきりとした理由は、実はわかっていません。
一般的によく知られているのは、古代中国の言い伝えで、度々襲ってくる騎馬民族が大変な脅威であり、その騎馬民族がやってくるのが北東の方角であったという説。
また、北東の方角から吹いてくる季節風が大きな被害をもたらしたことから、北東の方角を特に恐れるようになったという言い伝えもあります。
裏鬼門のルーツはとくになく、南西の方角が北東のちょうど反対側なので、鬼門の反対側ということで裏鬼門とされているようです。
「丑寅(うしとら)」や「未申(さるとり)」とは?
「丑寅(うしとら)」や「艮(ごん)」という呼び名を聞いたことはありませんか?
どちらも、鬼門を意味します。「丑寅(うしとら)」というのは、日本古来の方角の呼び名に、鬼門である北東の方角をあてはめたものです。
日本では古来、12支を360度の方位にあてはめて方角を表しました。
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥
これは、皆さんよくご存じの12支、生まれ年の干支(えと)です。
昔の日本では、この12種類の干支を方角の名前として使っていたのです。ちなみに、時間を表すのにも使われていました。
さて、12支による方角は北が「子」になります。そこから右回りに30度ずつ12支を割り振っていくと、東が「卯」、南が「午」、西が「酉」となるわけです。
鬼門と呼ばれる方位は北東なので、日本古来の方位の表現では北東は「丑寅」となります。裏鬼門は南西なので、「未申」になるのです。
また、易などで用いられる八卦(はっか、はっけ)では、
坎(かん)・艮(ごん)・震(しん)・巽(そん)・離(り)・坤(こん)・兌(だ)・乾(けん)
という8つの文字を360度の方位に45度ずつあてはめる八方位が使われました。
八方位では、鬼門である北東が「艮」、裏鬼門である南西は「坤」と呼ばれます。
自宅の玄関が鬼門に向いているとよくない?
鬼門の方角に玄関や水回りを置かないような間取りが推奨されることもありますが、最近では、鬼門を意識するよりも快適さを優先した間取りを選ぶ人が増えているようです。
どうしても鬼門が気になる場合は、風水を取り入れて悪い気を負い払うようにしたり、厄除け・魔除け効果のある植物などを使うことで、災難を避けることができます。
玄関の方角が鬼門になっている場合に効果的な対策をご紹介します。
鬼門への対策10個
■1. 鬼門の玄関には方位除けのお札が効果的
鬼門の玄関への対策で最も効果的な方法は、玄関に方位除けのお札を貼ることです。玄関の高い位置にお札を貼って結界を張ると、玄関から悪い気が家の中に入り込んでくるのを防いでくれます。
◯方位除けのお札は神社やネットで購入可能
写真は、陰陽師としても有名な安倍晴明を祀った晴明神社です。厄除けで有名な晴明神社では、方位除けのお札をはじめとしてさまざまな厄除けのお札を扱っており、希望に応じて分けていただくことができます。
初穂料は700円。遠方の場合は、郵送で送ってもらうこともできます。
方位除けのお札は、決まった神社のものでなくてもかまいません。それほど高額のものでなくても十分に効果があります。
晴明神社のほかにも多くの神社で取り扱っているので、地域の神社に問い合わせてみてはいかがでしょうか。鬼門除けとしてネットで販売されているものもあります。
■2. ヒイラギのとげとげが鬼を退治してくれる
葉の尖った植物を玄関に置いたり玄関の前に植えると、悪い気を追い払ってくれます。
おすすめは、葉が鋭くとがった柊(ヒイラギ)。チクチクした葉を嫌がって、鬼が逃げていってしまいます。幸運を呼ぶともいわれています。
緑色のつやつやの葉っぱにとげとげが可愛らしいヒイラギは、クリスマスの飾りとしてもおなじみですね。葉っぱの独特の形状がインテリアアイテムとしても人気です。
魔よけの効果だけでなく、防犯の目的で生垣として使われます。丈夫で手がかからないので庭木としてもおすすめです。
■3. 鬼門の玄関には南天を植えると魔除けになる
南天は「難を転じる」ことから縁起の良い植物とされ、昔から魔よけとしてつかわれてきました。鬼門を向いた玄関の前に植えると、悪い気を追い払ってくれます。
鮮やかな赤い実が成るので、玄関まわりを華やかに見せてくれるという効果もあり、庭木としても人気があります。
南天の魔よけの効果をより高めるためには、白い南天と赤い南天の両方を庭に植えます。
北東の鬼門には白い南天、南西の裏鬼門には赤い南天を植えると良いといわれています。
■4. 水晶、青龍、麒麟の置物を玄関に置いて気を浄化する
鬼門に向いた玄関には、悪い作用を鎮める効果のある置物を飾りましょう。
青い龍、麒麟は鬼門の方角からやってくる悪い影響を鎮める効果があるといわれ、鬼門に向いた玄関に飾ることで悪い気の働きを抑えてくれます。
水晶は集まってきた悪い気を浄化してくれます。
悪い気を浄化する働きのある丸い水晶には、実は特別な意味があります。
気を集めてしまう効果で、よい気だけでなく悪い気まで集めてしまうのです。あまり大きな水晶玉や、必要以上にたくさの水晶を飾ったり、家中あちこちに置くことはおすすめしません。
■5. 猿が災難から住居を守ってくれる
「申(さる)」は「災難が去る(サル)」ともいわれ、邪悪なものを追い払う効果があると考えられています。
また、南西の方角を意味する「申(さる)」は、鬼門である北東と正反対の方角にあたるので、鬼門の邪気を封じる効果があります。
鬼門の方角に向いた玄関の邪気払いには、猿の置物がおすすめです。
歴代皇族の住居であった京都御所。この有名な建物を取り囲む塀の北東の角に、木彫りの猿が飾られているのをご存じでしょうか。この猿は鬼門の邪気封じのために置かれ、今でも京都御所の平安を守り続けています。
ちなみに、猿の像が金網で覆われているのは、この猿が夜な夜なぬけだしては通行人にいたずらするため金網で封じ込められたのだと伝えられています。
■6. 玄関に盛り塩をして悪い気を抑える
塩には清めの効果があるので、鬼門に向いた玄関に置くと悪い作用を抑えてくれます。
盛り塩は、10グラムほどの粗塩を白い小皿に盛って、玄関の高い位置に置きます。
できれば1週間に1回交換し、使い終わった塩は水に流して捨てます。盛り塩にした塩をほかの用途に使ったり食べたりするのは避けましょう。
また、盛り塩は、必要な箇所にだけ置きます。家の四方に置いたり、気になる箇所にあちこちに置くのはおすすめしません。どうしても必要な場合は、きちんと方角を調べて正しい場所に設置するようにしましょう。
■7. 玄関に観葉植物を置くと悪い気を浄化してくれる
観葉植物は周りに漂う悪い気を吸い込んで、気を浄化してくれます。運気アップアイテムとして、観葉植物はとてもおすすめです。
北東を向いた鬼門の玄関には、ぜひ観葉植物を飾ってみてください。玄関から入ってきた悪い気を浄化してくれます。また、観葉植物を飾ることで、暗くなりがちな玄関まわりが明るく華やかになります。
鬼門の玄関に飾るなら葉の大きな観葉植物を選びましょう。
観葉植物はどのようなタイプのものでも運気アップに効果がありますが、ツル系や葉の鋭くとがった観葉植物よりも、できるだけ葉の大きな観葉植物を選ぶと、悪い気を浄化してくれます。
<鬼門の玄関におすすめの観葉植物>
モンステラ、サンスベリア、万年青(おもと)
■8. 明るく清潔な玄関は悪い気を寄せつけない
なんだそんなこと?と思うかもしれませんが、掃除をして玄関回りを清潔に保つことは邪気払いにとても効果があります。
ごみやホコリが溜まっていると、それだけで悪い気を呼び寄せてしまうのです。こまめに掃き掃除や拭き掃除をして、玄関をぴかぴかにしておきましょう。
また、光の射す明るい玄関には悪い気が寄り付きません。
可能であれば、太陽の光が窓を通して玄関に射し込むようにすると、邪気払いに効果的です。太陽光の入らない間取りの場合は、真っ暗にならないように小さいランプを灯しておくと安心です。
■9. 良い香りで悪い気を追い払う
玄関の空気を清浄に保ち、良い香りを漂わせておくと、運気がアップします。好みの香りのお香をたいたり、アロマランプを使うのもおすすめです。
注意点としては、香りがきつくなりすぎないこと。また、香りが玄関にこもってしまったらドアを開けて換気をするようにしましょう。ほどよい香りが漂う程度にすることが大切です。
湿気が溜まる玄関は、靴やよごれの臭いがこもってしまいがちです。
履き古した靴や雑巾など、臭いのもとになるものは処分して、時間があるときは玄関のドアを開けて空気の入れ換えをしましょう。悪臭は悪い気を集めてしまいます。
■10. 明るい色の花を飾って玄関を華やかに
色とりどりの明るい色の花を飾ると、鬼門に向いた玄関の悪い気を浄化してくれます。
玄関の邪気払いに、生花よりも観葉植物をすすめている理由は、生花は傷みやすく花瓶の水を替える手間がかかるためです。
傷んだ花や汚れた花瓶の水をそのままにしておくと、かえって悪い気を集めてしまいます。こまめに水を入れ替えて、しおれた花は早めに片付けるようにしましょう。
鬼門を避けるのは日本独自の風習?
数千年前から中国で語り継がれてきた鬼門の伝説が、現代の日本でこれほどまでに人々の生活に影響を与えているというのは、本当にすごいことですね!
鬼門が本当に恐ろしいものなのかどうか、真実のほどはわかりません。ただ、これほど長く信じられ続けてきたということは、やはり、そこに何か重要な意味があるのかもしれません。
また、鬼門について覚えておいていただきたいことは、鬼門を避けたり恐れたりするのは日本独自の考え方、風習だということです。
鬼門の起源である中国では、鬼門という考え方は存在しますが、忌むべきものとされてはいません。
まとめ
鬼門どういうもので、どうして人々に恐れられているのか、そして、鬼門に対してどのように対処すればよいかを理解していただけましたか。
鬼門は決して恐ろしいものではありません。ただし、数千年に渡って人々の間に伝えられてきたということは、きっと何か大きな意味があるに違いありません。
鬼門を心配する必要は全くないという考え方もありますが、鬼門の意味を知り、鬼門に対して正しい対応をすることで、悪い作用を封じ込め、より快適な生活を手に入れることができます。