「何年ですか?」社会人になると、生まれ年を聞かれることがあると思います。干支と聞いて思い浮かぶのは、動物ですよね。しかし、本来は動物ではないということを知っていますか?
話題のひとつとしても干支について知っておくと、話を広げる事ができるかもしれません。もちろん、干支についてちょっとした豆知識があると、年齢や性別を問わず話題作りになることもあります。
そもそも、どうして12種類の動物だけなのか?この動物たちがなぜ割り当てられたのかをまとめたので、参考にチェックしてください。
干支(十二支)の順番と読み方
干支(えと)・十二支(じゅうにし)は、“子(ね)→丑(うし)→寅(とら)→卯(うさぎ)→辰(たつ)→巳(み)→午(うま)→未(ひつじ)→申(さる)→酉(とり)→戌(いぬ)→亥(いのしし)”の順番と読み方です。書き方の漢字もここで示している通りです。干支と言えばこれらの動物が頭の中で連想されますよね。
ただ、庶民に分かりやすいように、後になって動物が割り当てられているので、本来の十二支といえば、子(シ)、丑(チュウ)、寅(イン)、卯(ボウ)、辰(シン)、巳(シ)、午(ゴ)、未(ビ)、申(シン)、酉(ユウ)、戌(ジュツ)、亥(ガイ)と読みます。
干支と十二支の違い
現代における干支は、十二支と同じで、子牛寅卯辰巳午未申酉戌亥のことを指すことがあります。しかし、干支とは本来、「十干十二支(じっかんじゅうにし)」のことを指し、60通りあります。後ほど表で紹介します。
干支(十二支)の順番の由来・理由は?
紀元前13~4世紀の頃、中国まで遡り、暦法で番号を表すのに用いられていたのが10種類の漢字となります。
それを「十干(じっかん)」と呼びます。十干の漢字は、「申(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)です。
十干(じっかん)と季節に従い、植物が変化していく様子を12段階に分け、それぞれに「滋(し)・紐(ちゅう)・演(えん)・茂(も)・伸(しん)・巳(し)・仵(ご)・味(び)・身(しん)・老(ろう)・脱(だつ)・核(かく)の文字をあてて十二支と組み合わせたのが「十干十二支」、略して「干支」です。
元々は、「日」を指していたのですが、いつの間にか「年」に適用されることになったのです。
十干と十二支を組み合わせた干支は、60通りもあります。このことから、還暦という言葉が伝わってきたとも言われています。
十二支は、お月さまの満ち欠けをみて決めたものだとされています。十干は、五行の5からきているものだとされています。中国では天の数が5、地の数が6とされています。
つまり、5の倍数が10になり、6の倍数が12になります。ですから、十干のことを天干(てんかん)といい、十二支のことを地支(ちし)ともいうのです。
※下の表はスマホからの場合、タッチして横スクロールができます。
五行 | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 | |||||
兄弟 (えと) | 兄 | 弟 | 兄 | 弟 | 兄 | 弟 | 兄 | 弟 | 兄 | 弟 |
十干 | 甲 (きのえ) | 乙 (きのと) | 丙 (ひのえ) | 丁 (ひのと) | 戊 (つちのえ) | 己 (つちのと) | 庚 (かのえ) | 辛 (かのと) | 壬 (みずのえ) | 癸 (みずのと) |
干支 | 1 甲子 きのえね | 2 乙丑 きのとうし | 3 丙寅 ひのえとら | 4 丁卯 ひのとう | 5 戊辰 つちのえたつ | 6 己巳 つちのとみ | 7 庚午 かのえうま | 8 辛未 かのとひつじ | 9 壬申 みずのえさる | 10 癸酉 みずのととり |
11 甲戌 きのえいぬ | 12 乙亥 きのとい | 13 丙子 ひのえね | 14 丁丑 ひのとうし | 15 戊寅 つちのえとら | 16 己卯 つちのとう | 17 庚辰 かのえたつ | 18 辛巳 かのとみ | 19 壬午 みずのえうま | 20 癸未 みずのとひつじ | |
21 甲申 きのえさる | 22 乙酉 きのととり | 23 丙戌 ひのえいぬ | 24 丁亥 ひのとい | 25 戊子 つちのえね | 26 己丑 つちのとうし | 27 庚寅 かのえとら | 28 辛卯 かのとう | 29 壬辰 みずのえたつ | 30 癸巳 みずのとみ | |
31 甲午 きのえうま | 32 乙未 きのとひつじ | 33 丙申 ひのえさる | 34 丁酉 ひのととり | 35 戊戌 つちのえいぬ | 36 己亥 つちのとい | 37 庚子 かのえね | 38 辛丑 かのとうし | 39 壬寅 みずのえとら | 40 癸卯 みずのとう | |
41 甲辰 きのえたつ | 42 乙巳 きのとみ | 43 丙午 ひのえうま | 44 丁未 ひのとひつじ | 45 戊申 つちのえさる | 46 己酉 つちのととり | 47 庚戌 かのえいぬ | 48 辛亥 かのとい | 49 壬子 みずのえね | 50 癸丑 みずのとうし | |
51 甲寅 きのえとら | 52 乙卯 きのとう | 53 丙辰 ひのえたつ | 54 丁巳 ひのとみ | 55 戊午 つちのえうま | 56 己未 つちのとひつじ | 57 庚申 かのえさる | 58 辛酉 かのととり | 59 壬戌 みずのえいぬ | 60 癸亥 みずのとい |
中国では、昔から十干十二支を天体の運行と関係させていたという説もあります。他にも、方位を表すものや時刻としても、用いられてきました。北に子、南に午、東に卯、西に酉を充てて、東西南北との関係を示したものもあります。
このように複雑でイマイチ分かりにくいという印象を持つのが一般人の捉え方です。そこで、分かり易く音や韻によって、私たちの馴染みのある動物にあてたのが干支となったのです。北を12にして、時計回りに1~24まで刻まれると、丑のエリアがちょうど「丑三つ」とか、「子の刻」など時間としても使われていたので、さらに複雑ではありますよね。
■干支の順番の由来の別説
干支には、もう一説あります。その物語は、神様が動物の中から12匹をその年のリーダーにすると言いだし、レースをすることになりました。ねずみは、うしの頭にのり、ゴール目前で飛び降りて、1位を獲得したという説が残っています。
だから、年のはじめにねずみから始まるのだとか。こうして12年という周期に動物が割り当てられたという説も残っています。ねずみの天敵である猫がいないのは、ねずみがレースの日を伝えなかったからだそうです。
干支(十二支)の覚え方
干支に関しては教育番組などで、干支の唄があったのをご存知の方もいると思います。干支を歌で覚える方法は、♬ねー、うし、とら、うー、たつ、みー、うま、ひつじ、さる、とり、いぬ、いー、ところで君は何年ですか?♬という唄があったのですが、歌になると覚えられるということもありますね。
さらに、うさぎと、へびと、いのししの部分は、伸ばしながらリズム感を持たせると、とても覚えやすいです。さらに、ねずみと、うさぎとへびといのししに関しては、略されているのです。へびはへみのみーとされています。
歌が苦手ない人は、時計の文字盤を思い浮かべて、12時の位置が「ねずみ」1時の位置は、「うし」2時の位置は、「とら」3時の位置に「うさぎ」4時の位置に「たつ」5時の位置に「へび」6時の位置に「うま」8時の位置に、「ひつじ」9時の位置に「とり」10時の位置に「いぬ」11時の位置に「いのしし」として覚えておく方法があります。普段から見ている時計の数字に動物を充てはめるというシンプルな覚え方もあります。
干支(十二支)の各動物の意味・特徴
十二支は、全ての季節に従い春から冬にかけて植物が、変化する様子を表しています。そこに音や韻により動物が割り当てられましたが、そこにも意味があるようです。単純に漢字を動物に当てはめたとされているものから、動物の特徴やその背景が後付けされたように思います。
つまり、動物の順番に優劣があったのではなく、元々決まっていたところに当てはめたとされています。では、干支と十二支の持つ意味をみていきましょう。
■①子年の意味・特徴
・干支は、子(ね)年
・十二支は、(滋)し
植物の例えとして、万物の滋る芽生えがあることとされてきました。そこに生き物の「ねずみ」が割り当てられたのは、繁殖能力が高い生き物として割り当てられたという説もあります。子孫繁栄や拡大していくなどの意味を持っています。
日本では、子年のとしに、開業や新事業を行うなどして、事業の拡大のゲン担ぎとしてもあやかっているのです。
■②丑年の意味・特徴
・干支は、丑(うし)年
・十二支は、紐(ちゅう)
植物の例えとして、ひもで、せっかく芽生えたものを、ひもで縛れていてまだ十分に芽生えていないこととされていますが、ウシが人類との関係が深く、人間にとって有益の高い動物だったことから割り当てられたという説があります。
ウシは粘り強さを誠実の象徴という意味を持っています。辛抱の年とも言われ、この年を過ぎれば道は開けるとしても知られてきました。
■③寅年の意味・特徴
・干支は、寅(とら)年
・十二支は、演(えん)
植物の例えとして、万物が演然として、初めて地上に生ずることとされていますが、地上という弱肉強食の中で勇ましく生きる動物が割り当てられたとされています。とらは、決断力の象徴という意味を持っています。
置物をしても集めているかたがいるとされる寅は、縁起物としても親しまれています。やはり強さの象徴であり、大胆に展開できる年としてもあやかられています。
■④卯年の意味・特徴
・干支は、卯(うさぎ)年
・十二支は、茂(も)
植物の例えとして、万物がしげることとされていますが、うさぎは跳ねる動物であることから、農作物が跳ね上がる程の豊作という意味として、うさぎが割り当てられたとされています。穏やかで家内安全を象徴という意味を持っています。
新しいことを始める年にも最適だとされるのが、ウサギ年ですね。何をやっても跳ね上がるという意味があり、仕事を始め賭け事なども親しまれたりする特徴があります。
■⑤辰年の意味・特徴
・干支は、辰(たつ)年
・十二支は、伸(しん)
植物の例えとして、万物がのびることとされていますが、龍は、十二支の中でも幻の生き物です。神話でも、龍が天に向かってのぼる姿を連想されて、辰が割り当てられたとされています。権力の象徴という意味を持っています。
また、神様の化身や守り神としての象徴されている龍は、中国においては、門に龍をあしらわれているものが多くあります。さらに、日本では一家に辰年生まれの人が3代いると、家系が途絶えないともいう迷信もあります。
■⑥巳年の意味・特徴
・干支は、巳(へび)年
・十二支は、巳(し)
植物の例えとして、万物がすでに盛りを極めて、これから結ぶ時期に移るということとされていますが、へびは良くも悪くも広がるという意味があります。このことから、へびが割り当てられたとされています。脱皮をすることから、死と再生の象徴という意味を持っています。
さらに、へび柄のお財布などは、金運アップすると言われて、へび柄を好んでいる人もいますよね。これも、万物が盛りを極めるということに関連ついているのかもしれません。
■⑦午年の意味・特徴
・干支は、午(うま)
・十二支は、仵(ご)
植物の例えとして、陽気と相さからい交わることとされていますが、天を行くのは龍、地を行くのは馬とされていたことから、動物の馬が割り当てられとされています。人間の生活に欠かせない生き物の象徴という意味を持っています。
馬は、昔から人間や荷物をのせてきた重要な生き物でした。さらに、愛馬としても大事に育てられてきて、人間と同様に歴史を刻む生き物としても、身近な動物であるとされています。
■⑧未年の意味・特徴
・干支は、未(ひつじ)年
・十二支は、味(び)
植物の例えとして、万物ができあがって滋味の生ずることとされていますが、「心足りれば身貧に非ず」という歌があるように未の物語から割り当てられたとされています。ひつじは、群れで行動をするので、家族安泰の象徴という意味を持っています。
日本にはなじみの薄い、ひつじですが、その性格は温厚で、平和を好む生きものでもあります。ひつじ年のとしは、穏やかな1年になるという迷信もあります。
■⑨申年の意味・特徴
・干支は、申(さる)年
・十二支は、身(しん)
植物の例えとして、万物の体ができあがることとされています。猿は、神様の使いとしてもしられており、出来上がった万物の例えにふさわしいのが申として割り当てられという説もあります。山の神の使いの象徴という意味を持っています。
さる年のとしは、「去る」にちなんで、厄が去るなどにかけて、願掛けをする年としても広く伝えわっています。日本人がさる年のとしに、富士山の登頂を目指すのも、色々な願掛けをしているという説があるようです。
■⑩酉年の意味・特徴
・干支は、酉(とり)年
・十二支は、老(ろう)
植物の例えとして、万物が十分にできあがり、老いることとされています。十二支はいずれも天との繋がりをもっているとされています。天に飛ぶ鳥がふさわしいとして、にわとりが割り当てられとされています。とりこむにちなんで、商売繁盛の象徴という意味があります。
さらに、親切で世話好きという意味も含まれているそうです。にわとりは、人に時を知らせる生き物としても、特別な生き物となっているのです。
■⑪戌年の意味・特徴
・干支は、戌(いぬ)年
・十二支は、脱(だつ)
植物の例えとして、万物が脱落することとされています。神社などの守り神としても狛犬がいるように、いぬは人間を守る生き物としてしられています。犬という当て字から割り充てられたとされています。忠誠心と安全と安心の象徴という意味があります。
人類との付き合いも長く、忠誠心と勤勉家で賢い動物ということもあり、いぬ年の年は、何か新しい分野において発見があるという説もあるようです。もちろん、迷信ではありますが、これも信じている人が多いのです。
■⑫亥年の意味・特徴
・干支は、亥(いのしし)年
・十二支は、核(かく)
植物の例えとして、万物が次の種になることとされています。中国の書籍にあるものでは豚という字に似ていますが、日本では、いのししが割り当てられたとされています。万病を防ぎ、無病の象徴という意味を持っています。猪突猛進ということばがあるように、まっすぐな年になるという説もあります。
また、いのししの肉は万病を防ぐ効果が期待できるとあって、人間に欠かせない生き物となっているようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。干支は、一見、関係がなさそうに思えますが、こじつけのように何かしらが結びついているようです。これまで、単に干支だけの知識がおありだった方も、干支の奥の深さに驚いたことでしょう。
干支が日本に伝わってきたのは、奈良時代より前だったとも言われています。日本で、漢字の当て字となった干支ですが、全く関係がないとは言い切れない部分も見えてきますよね。