克己心という言葉を知っていますか?結果を出せる人は克己心が強いと言われています。特に、スポーツ選手の中には克己心を大切にしている人が多くいるのです。
今回は、克己心の意味と特徴を解説し、克己心を鍛える方法も紹介します。
克己心の意味・読み方とは?
克己心の読み方は「こっきしん」です。
克己心の克(こく)には、「がんばる」「打ち勝つ」「良くする」「充分にする」という意味があり、克己心は「己に打ち勝つ心」「欲望をおさえる心」を意味します。
人生にはさまざまな誘惑がありますが、それに流されず自分を高めようとする気持ちを表す際、克己心という言葉が使われます。
克己心の類義語
克己心の類義語は以下の通りです。
自制心、精神力、意志力、自己制御、自粛、我慢
克己心と自制心の違い
克己心の類義語に自制心がありますが、厳密に言えば少し意味が異なります。自制心は自分の感情をコントロールする精神力を意味し、克己心はその中でも特に欲望を抑える心を意味します。
例えば、ダイエット中食欲をがまんしたり、試験前に遊びたい欲望をおさえたりする場合、「自制心」でも間違いではありませんが「克己心」と表現した方が、より強い気持ちを表現できます。一方、怒りなど欲望ではなく感情を制する場合、「克己心」は適切ではなく「自制心」という言葉が選ばれます。
・自制心=感情や欲望など、自分の心の中にある全てをコントロールする心
・克己心=欲望や欲求に負けず打ち勝つ心
このように認識しておくと良いでしょう。
克己心が強い人の特徴・共通点13個
克己心が強い人には、行動や思考、性格に特徴や共通点があります。克己心が強い人の特徴を知って、自分を高める参考にしましょう。
■1. 規則正しい生活をしている
克己心が強い人は毎日規則正しい生活をしています。規則正しい生活は、良い体調をキープするのに大切だとわかっているからです。
リズムを崩さないように休日も寝坊せず、1日を計画的に過ごし、生産性を高めていきます。規則正しい生活を丁寧に続けているので、心身共に安定して滅多に体調を崩しません。
■2. 食事に気を使っている
生活リズムだけではなく、食事内容にも気を使っているのが、克己心が強い人の特徴です。食事と体の関係性を良く知っていて、自分に必要な栄養を考えながら、バランス良い食事を常に心がけています。
時には付き合いで羽目をはずして飲んだり食べたりするときもありますが、後日必ず調整して、体型や体調をいつも通りに戻します。
■3. 計画的に行動できる
克己心が強い人は自分の目的を達成するために、何が必要かをよく考えて計画を立てています。そして、きちんと行動を起こします。
できるだけムダを省き効率を高めるのも、目標達成に必要だとわかっているのです。計画通りに事を進めるのは簡単ではありませんが、克己心の強さを発揮し、すばらしい集中力で成し遂げていきます。
■4. 努力を継続できる
克己心が強い人の特徴は、何と言っても努力を継続できる精神力のたくましさです。物事の上達や、大きな仕事を成し遂げるには長い時間が必要で、その間努力し続けなければなりません。
当然疲労もストレスもたまりますから、「休みたい」「もうやりたくない」という気持ちが芽生えます。そんな誘惑に揺れる弱い心に打ち勝って、休まず気を緩めず努力を続けられるのが、克己心が強い人なのです。
努力できるのも才能の1つと言いますが、努力には我慢が付きまといます。一見サラッと継続しているように見えても、努力を続けられる人は葛藤し、その度に強い克己心で弱い自分を跳ね除けているのです。
■5. 困難に負けない根性がある
人生は時に壁が立ちはだかります。超えられない高い壁に感じることもあるでしょう。しかし、克己心が強い人は簡単に諦めません。「絶対にどうにかする!」と、強い精神力で困難に立ち向かいます。
立ち向かっても跳ね返されてしまう場合もあります。それでもあきらめず、ド根性で何度も何度も立ち向かうのが、克己心が強い人の特徴です。そして、ついには壁を越えてしまいます。
■6. 妥協しない
克己心の強い人が高い結果を出せるのは、妥協しない性格だからです。「こんなもんでいいか」と、適当に終わらせず、常に最高を求め続けます。
他にやりたいことがあると、程々で終わらせてしまいがちですが、克己心が強い人は誘惑に負けず成果を追求し、決して妥協せず最後まで全力を尽くすのです。
■7. 先延ばしにしない
やれば終わるものについては、克己心が強い人は先延ばしにしません。即座に片付けてしまいます。忙しくても疲れていても、休息を優先せずにやるべきことには黙々と取り組みます。だから、克己心が強い人は仕事が早く、クリエイティブな仕事に注力して大きな結果を出せるのです。
■8. 向上心が強い
強い克己心をキープできるのは、強い向上心を持っているからです。「もっと上にいきたい」という気持ちがなければ、高いモチベーションは保てません。
克己心が強い人は「上達したい」「出世したい」「もっと極めたい」という向上心が強いのが特徴で、夢物語で終わらぬように、日々懸命に努力を続けています。
■9. 約束はきちんと守る
約束はきちんと守る律儀な性格も、克己心が強い人の特徴です。約束は他者とはもちろん、自分との約束も守ります。
だから、目標を達成すべく立てた計画を、きちんと段階を踏んで消化できるのです。人との約束も自分に課した約束も守って行動に表すので、克己心が強い人は周囲からの信頼が厚くなります。
■10. 素直な性格をしている
きっちりかっちりしていますが、克己心が強い人は決して頑固ではありません。人のアドバイスに耳を傾ける素直な性格をしています。人からの意見はとても貴重です。
多くの人からたくさんの価値観を学んだ方が、人間が豊かになります。克己心が強い人は自分を高めるためにも、色々な人とコミュニケーションをして話を聞きます。そして、視野を広くしていくのです。
■11. 取捨選択ができる
克己心が強い人は人の話に耳を傾けますが、決して流されはしません。自分をしっかり持っているので、人を通じて得た情報が自分に当てはまるのかを冷静に考えます。そして、必要かどうかを見極めて、取捨選択していくのです。
取捨選択能力は時間を有効活用して結果を出すために重要です。何でも取り入れれば良いわけではありません。膨大な情報の中から、本当に必要なものを選ばなければ時間をロスします。克己心が強い人は競争に勝ち抜くために、慎重に取捨選択をしています。
■12. チャレンジ精神たっぷり
克己心が強い人はチャレンジャーでもあります。旺盛なチャレンジ精神で新しい取り組みに挑んでいきます。未知な世界へ飛び込むには、度胸と勇気、そして準備が必要です。それでも、自分を高めるためにチャレンジし、成長し続けようという強い気持ちを持っています。
■13. 自己肯定感が高い
辛くてもしんどくても努力し続けられるのは、克己心が強い人は自己肯定感が高いからです。「がんばればできる」「自分なら大丈夫」と、自分を信じる気持ちがあるからこそ、大変な苦労も乗り越えるパワーが湧いてきます。克己心を保つために、自己肯定感はとても大切なのです。
克己心が弱い人の特徴・共通点13個
克己心が弱い人は楽な方へ流されやすく、目標を持っても結局成し遂げられずに終わるケースが多いです。生活や行動、性格にも克己心の弱さは表れます。どんな特徴や共通点があるのかを解説していきましょう。
■1. 時間にルーズ
克己心が弱い人は全般的にだらしないですが、特に時間にルーズです。仕事でもプライベートでも遅刻ギリギリ、もしくは遅刻常習犯。時間の読みが甘く、「これくらいで終わるだろう」という目測は大抵外れて、いつも相手を待たせてしまいます。
しかし、自分が時間に大らかなので、他人を待たせても罪悪感がありません。そのため、いつまで経っても時間にルーズなままです。
■2. 喜怒哀楽が激しい
克己心と自制心は通じるところがあり、克己心が弱い人は自制心も弱い傾向があります。そのため、感情のコントロールが苦手で喜怒哀楽が激しいです。楽しかったり嬉しかったり、プラスの感情を思いっきり表に出すのは良いのですが、怒りや悲しみもそのまま顔に出してしまいます。本人は平静を保とうと思っている場合もあるのですが、隠し事が下手なので感情ダダ洩れです。
喜怒哀楽が激しいのは裏表がないからで、気持ちを汲み取りやすく付き合う上では気楽ですが、本人が望む望まない関係なく思っている事が周囲にバレバレなので、策を練って秘密裏に行うのは苦手です。
■3. 気分で行動する
克己心が弱い人は気分優先。先の予定は決めず、その時の気分で行動するのが特徴です。仕事でもプライベートでも、やるべきことに対して「最終的に終われば何でも良い」と思っています。
効率を考えず、計画は立てたとしてもかなりザックリとしていて、しかも特にその通りにしようとがんばる気持ちも弱いです。気が乗らなければギリギリまでやろうとしません。
■4. ダラダラと夜更かしする
仕事が終わると、開放感で自分のやりたいことをやりたくなりますよね。だけど、明日のことを考えたら、ある程度の時間で就寝して、しっかり体力を回復させておくべきです。それがわかっていても、克己心が弱い人はダラダラと夜更かししてしまいます。
しかも、すごくやりたいことがあって夜更かしするわけではなく、何となくスマホをいじっている内に、気が付いたら日付が変わっている状態です。インターネットの世界は終わりがありません。克己心が弱い人はスマホの誘惑に勝てず、止め時を逃して毎日夜更かしをし、慢性的な睡眠不足になっている人が多いのです。
■5. 不健康な体型が多い
克己心が弱い人は、あらゆる誘惑に負けてしまいます。食欲も例外ではありません。食べることが大好きで克己心が弱い人は、好きな物を好きなタイミングで食べてしまいます。
逆に、食に興味がなく克己心が弱い人は、別の欲求を優先して最低限の食事しかしません。しかも、運動嫌いだと全く運動しないので、決定的な体力不足、筋力不足になります。そのため、克己心が弱い人には、肥満や不健康に痩せた人が多いのが特徴です。
■6. 三日坊主を繰り返す
克己心が弱い人でも「やってみよう」と、何かにチャレンジする時もあります。しかし、克己心が弱いので「休みたい」「別のことがしたい」という誘惑に負けて、チャレンジは長続きせず三日坊主に終わります。しかも、三日坊主を反省しないので、また同じことを繰り返します。
■7. 苦しいことが嫌い
克己心が弱い人は苦しいことが大嫌いです。向上心がゼロではないのですが、苦しいこと、しんどいことに直面すると、「やりたくない!」という気持ちが勝ってしまい、努力を継続できません。結果が出る前に逃げ出してしまいます。
■8. 娯楽最優先
苦しいことは嫌いだけど楽しいことは大好きなのが、克己心が弱い人の特徴です。娯楽最優先で、仕事や勉強を平気で後回しにします。世の中にはイヤでもやらなければならないことが多いですが、克己心が弱い人は「できたら遊んで暮らしたい」と本気で思っています。
■9. お金の計算が苦手
克己心が弱い人はその場しのぎの精神なので、計画や計算が苦手です。特にお金の計算が苦手で、将来の展望を考えながら貯蓄する計画を立てられず、お財布の中は自転車操業状態になります。
■10. 衝動買いするクセがある
克己心が弱い人は欲求のままに行動してしまいます。その上お金の計算が苦手なので、「欲しい!」と思ったものを衝動買いするクセがあります。目の前の商品が欲しくなったら、気持ちを抑えられないのです。
しかし、衝動買いには失敗が多く、結局ほとんど使わずに終わるケースも少なくありません。それでも、欲しい物を買った満足感が強く印象に残っているので、再び衝動買いをしてしまいます。
■11. 危機感がない
気分で行動し、時間にもお金にもルーズでいられるのは、克己心が弱い人には危機感がないからです。「みんなだって、自分と同じようなものだ」と、自分を平均値だと思っています。根拠なく楽観的で、「なんとかなるでしょ」と物事を深く考えません。
■12. 想像力がない
危機感がないのは、克己心が弱い人は想像力も弱いからです。「サボっていたら、周囲との差が開いてしまうのでは?」「ここでお金を使ったら来週の生活が厳しいかも?」と、ちょっと先の状況を想像できません。今しか見ていないのです。
■13. 他力本願
今まで努力をせず、欲求を優先できたのは、自分の力で何とかしようとせず周囲に頼ってきたからです。克己心が弱い人は他力本願なのです。
陽気で正直、甘え上手なので、周囲もつい手を差し伸べてしまいます。人間関係が円滑なら他力本願は悪いことではありません。しかし、何でも周囲に頼ってしまうので、自分を高められません。
克己心を鍛える・養う方法11個
自分を高めて結果を出すには、克己心を鍛えて楽な方に流されない強い精神力が必要です。しかし、欲望を抑えるのは簡単ではありません。そこで、克己心を鍛える方法を紹介します。
■1. 目標を持つ
まずは自分の目標を持ちましょう。あなたはどんな人になりたいですか?将来どんな結果を残したいですか?じっくり考えて、未来のビジョンを作ってください。「こうなりたい!」という明確な目標を持つと、達成すべくモチベーションが上がります。克己心を鍛えるには、自ら気持ちを高めて「がんばるぞ!」とポジティブになることが必要です。
ここで掲げるのは最終目標です。今の段階では、達成の見込みがない夢物語でも構いません。理想と現実のギャップが激しく、目標に到達するイメージが持てないかもしれませんが、それくらい高い目標の方がやり甲斐がでるものです。
■2. 目標を達成するために細かく計画を立てる
目標を掲げたら、次は達成するために細かな計画を立てていきましょう。計画は3段階に分けると良いでしょう。
(1)最終目標をトップに掲げる
(2)最終目標を達成するための条件を洗い出して列挙し細分化する
(3)細部化した目標を達成するために必要なことを挙げる
項目は多くなっても構いません。むしろ、小さい目標を多く設定して、1つのハードルを低くした方が着実に目標に近づけます。大きなハードルは乗り越えるのが難しく、「やっぱりだめだ」と、途中で放棄したくなってしまいます。弱い克己心をいきなり強靭にするのは無理があるのです。
ここで大切なのは、今は遠い最終目標への道のりを調べ上げ、何となくても良いので「どうにかなるかもしれない」と、自分に可能性を感じることです。
■3. 小さな成功を積み重ねる
細かな計画を立てたら、さっそく実行です。あなたが乗り越えられそうな目標から、手を付けていきましょう。どんなに小さな目標でも、達成できれば成功です。
克己心が弱い人は努力して成功した経験が少ないため、「どうせやってもムダだから、楽な方を選ぼう」という思考をしています。だから、どんなに小さくても「がんばったらできた」という成功体験を積み重ねるのが重要になります。
より達成感を味わい、がんばる喜びを感じるためには、毎日の小さな目標を文字に起こして、達成したらチェックを入れると良いでしょう。心の中でも充分できることではありますが、目に見えた方が「努力が形になっている」「どんどん計画が進んでいる」という気持ちを強く実感できます。
■4. 厳選したルールを作って守る
筋肉と同じで、克己心もいきなり鍛えようとすると反動がきます。克己心が弱い自覚があるなら、いきなりあれもこれもとがんばらず、あなたが耐えられるラインから始めるのが鉄則です。
目標と計画が立ったら実行に移しますが、その際今までとは違う生活になるでしょう。達成に近づくには闇雲にするのではなく、あなたがやりやすいようにルールを作るのがおすすめです。ただし、ルールが多過ぎると守るのがしんどくなってしまいます。克己心が弱いのに無理をすると「やっぱりダメだ」と、途中でポッキリ心が折れてしまいます。だから、ルールは厳選すべき。「これだけは絶対に守ろう」という鉄則をあなたの中に作ってください。
厳選したルールを守れば、規則正しいリズムで生活ができるようになります。今までダラダラと過ごしていた時間が短くなり、以前よりも物事がはかどるようになるでしょう。すると、生活が楽になり、最初はしんどかったルールが当たり前の状態になります。ここでまた、新たなルールを追加していきましょう。回り道のように感じるかもしれませんが、少しずつできることを増やすのが、結果的には近道になるのです。
■5. 人間関係を広げてさまざまな価値観に触れる
「類は友を呼ぶ」ということわざがありますが、克己心が弱い人は同じタイプの人間関係を無意識に選びがちです。なぜならば、克己心が強い人と付き合うのがしんどいからです。しかし、自分と似た人ばかりと付き合っていると視野が狭まり「今のままでいいかな」と、高い意識を持つのが難しくなります。
だから、人間関係をどんどん広げていきましょう。克己心が強い人ばかりと付き合う必要はありません。積極的に人と関わって、いろいろな価値観に触れてください。あらゆるタイプの人とコミュニケーションをとれば、あなたの中の弱点や長所が見えてきます。たくさんの情報が入ってくるので、あなたに合った克己心の高め方もわかるようになるでしょう。
■6. 目標となる人物を身近で探す
新しい人間関係ができたら、その中で目標となる人物を探してみましょう。できれば、身近な人物が理想です。「心から尊敬するすばらしい人」よりも「ちょっとタイプが似ていて共感できるのに、自分よりも結果を出している人」の方が良いでしょう。なぜならば、近しい人の方が、あなたが参考にできるヒントをたくさん持っているからです。
目標の人物が見つかったら、普段から観察したりコミュニケーションしたりして、その人がなぜ成功しているのか分析してください。そして、良い所はどんどん取り入れていきましょう。何事も真似から入ると上達が早いです。克己心が強い人を真似するだけで、たくさんの気づきがあるのです。
■7. 新しい取り組みにチャレンジする
人間関係を広げると同時に、新しい取り組みにもチャレンジしていきましょう。楽な状況に身を置かず、一歩外に踏み出してください。新しい取り組みは緊張と不安がつきまとい、場合によっては失敗してしまうかもしれません。それでも、楽な状況から飛び出してチャレンジする行動に意味があります。あなたの意志で、過酷な経験を選ぶことで、自然と克己心が鍛えられていくのです。
それに、新しい取り組みはしんどいだけではありません。もしかしたら、今まで知らなかった楽しい世界に出会えるかもしれません。経験しなければ、自分に合うかどうかは意外とわからないものです。失敗を恐れずチャレンジして、新しい自分を発見してください。
■8. すぐやるクセをつける
克己心が弱い人は、何でも先延ばしにするクセがあります。目の前の誘惑に乗ってしまい、やるべきことはギリギリまでやりません。これでは、常にギリギリ状態で、休んでいるくせに何かしら常に追われている状態で、自分を高めて目標を達成するのは難しくなります。克己心を鍛えるには、すぐやるクセをつけなければなりません。
まずは、最低限やらなければならないことからとりかかりましょう。「後でもいいや」は封印し、今できるならすぐやるのです。すると、やるべきことが先に終了します。「休憩中だけど、後でやらなければならないことがある」という状況が打開し、まっさらな時間ができます。克己心が強い人は、この時間を自分のために有効活用しているのです。
■9. やるべきことは無心で取り組む
克己心が弱い人は「めんどくさい」という気持ちにすぐ負けてしまいます。やるべきことも「めんどくさい」「イヤだ」と負の感情に支配され、集中力が持ちません。イヤだからすぐに休憩し、取り組んでも「めんどくさい」と気が散り、1つのことに時間がかかってしまいます。すなわち「イヤだイヤだ」とマイナス感情に囚われる時間が多いのです。
マイナス感情はモチベーションを低くしてしまいます。イヤでもやらなければならないならば、余計な思考を停止するのが一番です。無心になって体と頭を動かしましょう。その方が早く終わります。行動が早くなる上に、マイナス感情でいる時間も激減するので一石二鳥です。
■10. アナウンスして周囲を巻き込む
克己心の弱い人が、たった1人で自分を鍛えるのは自信がないかもしれません。ならば、周囲の力を借りましょう。「自分はこれから変わる!欲望に打ち勝って上を目指す!」と、親しい友人や同僚、家族などにアナウンスしてください。「でも、まだまだ弱いから、ついサボるかもしれない。その時は遠慮なく指摘して欲しい」と、一緒に伝えましょう。
「克己心を鍛える!」とアナウンスして、周囲にあなたを監視してもらうのです。「言ったからにはやらないと恥ずかしい」と、自分を追い込む目的もあります。無限実行の方がかっこいいですが、克己心が弱いと難しいものです。あなたは有言実行を目指してください。
■11. 誘惑の対象を遠ざける
最後に肝心なのが、誘惑の対象を可能な限り遠ざけることです。すぐ手が届くところに誘惑があれば、つい負けてしまうのが人間というもの。逆に、誘惑が遠ければ遠いほど、負けずに自分の意志を通しやすくなります。
極端な例ですが、スマホのやりすぎを何とかしたい場合、電波の届かない山奥に行けば良いのです。強制的に使えない状態になりますよね。欲望の対象がないのですから、必然的に打ち勝ててしまいます。あなたの身の回りを整理して、できるだけ誘惑の対象物を遠ざけることに成功すれば、欲望のコントロールも容易くなるのです。
克己心はスポーツでも重要?
スポーツの上達は、毎日の練習はもちろん、食事量や内容を工夫して体型をコントロールしなければなりません。そのため、克己心は必要不可欠となります。
例えば、ボクシング選手は試合に合わせて減量しますが、克己心が弱ければ我慢できずに飲み食いしてしまうでしょう。逆に、体を作ることが目的で、食が細くてもたくさん食べなければならないスポーツもあります。スポーツと食事は切っても切れない関係なので、食欲を制御するためにも克己心は重要なのです。
もちろん、日々欠かさずトレーニングを続けるのも克己心が関係してきます。「眠いから起きたくない」「疲れたからダラダラしたい」「友達と遊びに行きたい」という欲望に負けて「ちょっとくらいサボっても大丈夫だろう」と楽な方に流れると、本気でがんばっている人にいつのまにか差をつけられてしまいます。この場合、ライバルに負けたのではなく、自分の弱さに負けたことになるのです。
克己心を座右の銘とする有名人5人
座右の銘に「克己心」を掲げる有名人を紹介します。
・大谷翔平(プロ野球選手)
・奥原希望(バドミントン選手)
・下柳剛(プロ野球選手)
・中田翔(プロ野球選手)
・山本彩(元NMB48)
座右の銘が克己心のスポーツ選手が多いなか注目すべきは、元NMB48の山本彩さんです。高校生の現代文で出会った「克己心」という言葉に感銘を受け、東洋経済ONLINEでは「さや姉の克己心」というタイトルで記事を連載。インタビューでは「自分の目標に向かうには、最終的に自分に負けず、自分を味方にすることが大切」と答えています。
克己心と関係する名言11個
克己心と関係する名言を集めました。克己心についてシンプルに語られたものが多いです。ぜひ参考にしてください。
・「独立心と克己心の強弱が人の貧富の岐路となる」安田善次郎
・「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」井上靖
・「どれだけ自分を律し、どれだけ辛抱して頑張れるか。意志の強さは、必ず結果に表れる」上原浩治
・「努力を癖にしてし前ば苦労せずに成功できるだろう」流音弥
・「進む勇気と退く勇気があってこそ真実の勇気」新渡戸稲造
・「平凡なことを毎日平凡な気持ちで実行することが、すなわち非凡なのである」アンドレ・ジッド
・「苦しいから逃げるのではない。逃げるから苦しくなるのだ」ウィリアム・ジェームズ
・「志を守り抜く工夫は、日常茶飯の自己規律にある」 ピーター・ドラッカー
・「自制心のない者に、自由はない」ピタゴラス
・「行動を言葉に移すよりも、言葉を行動に移す方がずっと難しい」マクシム・ゴーリキー
・「達成しない計画は車輪のない車である」ローガウ
克己心について書かれたおすすめの本
克己心がテーマのおすすめの書籍をいくつか紹介します。もっと克己心について深く知りたいなら必読です。
・不可能を可能にする 大谷翔平120の思考(著:大谷翔平)
・克己心(著:宇津井 健)
・克己心 一歩を踏み出す勇気と挑戦(著:來間 克己)
・克己心で勝つ!―真のエリート育成をめざす希学園の挑戦(著:鶴蒔 靖夫)
・自分との約束を守れる自分を作る方法(著:なかった崎てつを、著・編集:ビジネス研究班)
まとめ
克己心について、理解していただけたでしょうか。「克己心」という短い言葉の中には、多くの意味が込められています。欲求に打ち勝ち、自分を高め続けるのは大変ですが、克己心を持って努力を続ければ、今よりも大きな結果を出せるようになるでしょう。
とは言え、欲求に負けてしまうのも人間性の1つです。自分を追い詰めた結果、ストレスにつぶれてしまっては本末転倒になります。大きな目標を持つのはすばらしいことですが、焦らずゆっくり一歩ずつ進んでくださいね。