実家が都心の場合、一人暮らしを迫られる機会に乏しくなります。そのため、何の疑問もなく実家に住み続ける人は多いですが、中年になっても未婚で実家に住み続ける男性を、「子供部屋おじさん」と呼んでは、「気持ち悪い…」と偏見の目を向ける人がいます。
しかし、子供おじさんの実態について、実はあまり知られていません。そのため、子供部屋おじさんの現実との間にギャップが生まれ、マイナスの意味で捉えられてしまいがちです。
そこで今回は、子供部屋おじさんの意味と特徴を徹底解説!メリット・デメリットも含めた子供おじさんのリアルに迫ります。
子供部屋おじさんの意味・定義とは?何歳から?元ネタは?
子供部屋おじさんの意味・定義とは、言葉の通り「大人になった今も(実家の)子供部屋に住み続ける独身のおじさん(中年)」のことです。
中年は青年と老年の間で、30代後半から40代くらいの年齢ですので、35歳以上の独身男性で実家暮らしなら、子供部屋おじさんに当てはまると言えるでしょう。同じような状況で実家に住み続ける女性を、子供部屋おばさんと呼びます。子供部屋おじさんの定義に、本人が子供部屋に住み続ける理由は関係ありません。
「子供部屋おじさん」という言葉の元ネタは、2chにある格闘ゲーム板のウメハラ総合スレだと言われています。ウメハラとは、プロゲーマー梅原大吾氏のこと。彼がテレビ出演して自室を公開した際に、ウメハラ総合スレで2ちゃんねらーたちが「子供部屋みたい」と、見下げた発言が発展し、子供部屋おじさんという言葉になったという説が有力です。
子供部屋おじさんの何が悪い?合理的?
前述したとおり、子供部屋おじさんの定義に、実家に住み続ける理由は関係ありません。求められて実家にとどまる場合も、ただ実家に甘えているだけの場合も、ひっくるめて子供部屋おじさんになります。
しかし、世間は子供部屋おじさんが実家に住み続ける理由関係なく「いい年をして、結婚もせずに実家住まいなんて気持ち悪い」と、偏見の目を向けます。生き方が多様化し、幸せの形も人それぞれなのに、未だに「結婚しないと半人前」という昭和の価値観は色濃く残っているのでしょう。そのため、子供部屋おじさんは差別用語的な使われ方をすることが多いです。
だからといって、子供部屋おじさんが悪いとは限りません。むしろ、職場に通える範囲に実家があるなら、無駄がない合理的な選択と言えるでしょう。一緒に住めば不要な出費を抑え、親子で防犯面を強化できます。「自立できない息子に親も困り果てている」というケースもありますが、少数派でしょう。
子供部屋おじさんとニートの違い
ニートとは、無職でかつ学生でもなく、就職活動もせず家の手伝いもしない15~34歳までの若者を意味します。子供部屋おじさんは35歳以上なので、まず年齢からして違います。ちなみに、35~44歳で同じ状態の人を「中年無業者」と呼びます。
子供部屋おじさんは職の有無を問わないので、中には中年無業者もいるでしょう。しかし、しっかりと仕事をして、家にお金を入れている人、実家の大黒柱となって働いている人もいます。子供部屋おじさんの語源が梅原氏だとすれば、彼は有職者ですから、働いている人の方が多いと考えるのが妥当でしょう。
むしろ、子供部屋おじさんはパラサイトシングルに近い存在と言えます。パラサイトシングルとは、実家住まいで生活(家事や食事等)を親に支えてもらい、給料は自分のために使う独身者です。親と生活を分けて、家事炊事全て自分でこなす子供部屋おじさんは少数派なので、生活だけではなく、心理状態も似ています。
子供部屋おじさんの特徴10個[性格・心理]
子供部屋おじさんの状況はさまざまで、一括りにできませんが、性格や心理に似たような点があります。まずは、子供部屋おじさんの性格や心理の特徴について解説していきましょう。
■1. 根は優しくて穏やか
子供部屋おじさんは根が優しくて穏やかな人が多いのが特徴です。家の居心地が良いのは、親との関係が良好だから。反抗期も穏やかに過ぎ去ったので、「この家を出てやる!」と強く親に反発心を抱かないまま、ごく自然な流れで実家に住み続けています。
親も我が子の優しくて穏やかな長所を良く知っていて、かいがいしく世話をしつつも、「家にいてくれて嬉しい」と思っています。引きこもりなど自立困難で仕方なく実家にとどまるケースもありますが、多くは親子で需要と供給が一致し、お互い快適に暮らしているのです。
■2. 争いを好まない
争いを好まないのも、子供部屋おじさんの特徴です。根が優しいのもあり、家族仲良く暮らしています。親に少々の不満があっても、喧嘩をふっかけることはありません。「親にはいろいろしてもらっているし、まぁいっか」と、あまり気にせずに流します。
「子供といつまでも一緒に暮らしたい」という親の思いが強いと、子供部屋おじさんはその気持ちを察します。この場合、本当は自立して一人暮らしをしたくても、親と衝突し、反対を押し切って行動するのが嫌で、「まぁいっか」と、自分の希望を我慢します。子供部屋おじさんの全てが、自分の希望で実家に留まっているわけではありません。
■4. 趣味に没頭しやすい
子供部屋おじさんは趣味に没頭し、お金や時間をつぎ込むのが特徴です。仕事や友達付き合いよりも、趣味を優先させるタイプが多いのです。
趣味にはお金がかかります。一人暮らしをすると、収入の大半が生活費に消えるので、趣味に満足できるお金をかけられません。また、趣味の内容によっては、戸建ての環境が適しているケースもあります。趣味に没頭するには、実家の方が何かと都合が良いのです。子供部屋おじさんの部屋は、自分の趣味の物に溢れています。
■5. 面倒くさがり屋
子供部屋おじさんは面倒くさがり屋な性格をしています。好きなことには手間暇をかけますが、それ以外は「できればやりたくない」というのが本音です。
「一人暮らししたいな」という気持ちがあっても、「洗濯や掃除を自分でやらなきゃならないのか…」と思うと、面倒でたまりません。「やっぱり実家が一番」と思ってしまいます。また、途中まで一人暮らしに乗り気でも、準備や手続きが面倒で断念してしまいます。
■6. 一人が苦にならない
内向的で趣味に没頭しやすい子供部屋おじさんは、一人が全く苦になりません。自宅の部屋で1人のんびり過ごすのは、とっても快適です。
大人になれば子供部屋にきてまで口うるさく言う親は少数派になりますから、実家は1人の空間が確保でき、しかも清潔な住居と衣類、食事が自動的に与えられる最高な環境なのです。
■7. 自分に甘い
生活の全てを親に頼っていれば、子供部屋おじさんも「自分はこのままでいいんだろうか…」と、ふと疑問や不安に襲われるときがあります。だけど、それも一瞬のこと。子供部屋おじさんは自分に甘いので、「まぁいっか。そのときがきてから考えよう」と、すぐに思考を止めてしまいます。
子供部屋おじさんは自分に甘く、必要に迫られなければ重い腰を上げません。定職に就き、それなりの収入があり、生きていくのに不自由がない今の温い状態を、無理矢理変える気力も行動力もありません。
■8. 自立心が弱い
子供部屋おじさんが家を出る機会を逃すのは、自分に甘いだけではなく自立心が弱いのも大きな原因です。子供のころから親との関係は良好。衝突もなく親から「結婚するまでは家にいればいいじゃない」と言われ、その言葉を素直に受け取ります。「人生1度くらい、1人だけで生活してみたい」という気持ちが乏しいのです。
社会には問題なく適応していますが、それができるのも「親がいるから安心」と、実家に頼っているからです。子供部屋おじさんに一人暮らしの選択肢はありません。実家を出るのは、親の代わりに自分を世話してくれる妻が見つかったときです。
■9. 楽観的
子供部屋おじさんなら誰でも「え!?その年で実家に住んでるの!?」と、驚かれた経験があります。子供部屋おじさんに向けられる世間の冷たい偏見の目は感じているのです。ネットでは、子供部屋おじさんの悲惨な末路をネタにされることもあります。それを見て、気分が落ちるときもあります。
それでも実家に住み続けるのは、子供部屋おじさんが楽観的だからです。「確かに未来に不安がないとは言わないけど、きっと大丈夫だろう」と、根拠なくポジティブに考えます。また、偏見の目を向けられても「自分を理解してくれる人もいる」と楽観的です。だから、「何が何でも実家を出なければ」という思考にはならず、ご機嫌に実家ライフを送ります。
■10. 問題解決力がない
危機感には欠けますが、楽観的なのは子供部屋おじさんの長所です。しかし、楽観的過ぎて問題解決力がありません。問題が小さな内は、「きっと大丈夫」と放置し、問題が大きくなると「どうして良いのかわからない」と、結局何もできなくなってしまいます。
子供部屋おじさんが優雅に実家ライフを送れるのは、問題が起きていない、もしくはまだ問題が小さいからです。今後、親が年老いたり、実家に金銭的危機が訪れたりするような大きな問題に直面した場合、何も対処できず発狂してしまうリスクがあります。
子供部屋おじさんの特徴6個[恋愛・結婚]
如何にも彼女がいないイメージの子供部屋おじさんですが、恋愛や結婚にはどんな特徴があるのでしょうか。
■1. 結婚願望がないわけではない
実家ライフを満喫する子供部屋おじさんは、周囲から見ると独身貴族で、結婚願望などまるでないように見えますが、それは誤解です。子供部屋おじさんも、人並みに結婚願望があります。特に兄弟姉妹がいないタイプは、親の老後に不安を感じ、「親亡き後一緒に人生を楽しめる伴侶が欲しい」と、結婚願望が強くなります。
しかし、結婚願望の有無と恋愛への行動力は必ずしも比例しません。子供部屋おじさんの場合、「結婚はしたいけど、婚活が面倒」「まだ先でいいだろう」と、結婚のための努力を先延ばしする傾向が強いです。
■2. 結婚にステージアップを求める
結婚願望はありますが、「今の生活レベルを下げたくない」というのが、子供部屋おじさんの本音です。
・家事炊事はやりたくない
・今と同じ位趣味にお金をかけたい
・快適な1人の空間を確保したい
・自由時間も減らしたくない
上記が満たされないなら、無理に結婚する必要はないと考えています。一昔前、「結婚したら私は働かなくなるから、その分の年収を補える収入がない男性とは結婚できない」と言っていた女性と似たような思想です。
■3. 女性に求める理想が高い
実家で親に甲斐甲斐しくお世話されている子供部屋おじさんは、女性に求める理想が高くなります。前述した本音を満たす女性じゃないと、結婚する価値がないとすら思っている人もいるくらいです。
少なくとも「口うるさくない女性がいい」と思っています。共働きなら家事は仕方ないと割り切れるけど、自由を奪われるのは嫌なのです。もちろん、条件を満たすだけでは足りません。既に充分理想が高いのに、更に自分が相手に女性としての魅力を感じるという条件も加わります。
■4. ガツガツしない
自分の理想通りの女性と出会うには、努力するしかありません。しかし、子供部屋おじさんは恋愛に情熱がなく、結婚願望はあっても、ガツガツしてまで恋愛したいとは思っていません。恋愛よりも趣味の方が大切です。
中にはイケメンでガツガツしなくてもモテる子供部屋おじさんもいるでしょうが、絶対的少数派。子供部屋おじさんの多くはモテるタイプではありません。それなのに、ガツガツしないので恋愛の機会も少なく、恋人いない歴を更新し続けます。
■5. 異性の気持ちがわからない
自分の最大の理解者である親と暮らしている子供部屋おじさんは、相手の気持ちを頑張って察っしなければならない状況が少ないです。仕事ではそれなりに合わせますが、仕事という共通の目的があるので、お互い感情的にならず冷静でいられます。家と職場の往復をする分には、子供部屋おじさんは特に苦労を感じません。
しかし、恋愛は感情のぶつかり合いです。日頃から人の気持ちを理解する努力を怠っている子供部屋おじさんは、異性の気持ちが全く分かりません。わからないので、恋愛も上手くいかずに片思いで終わります。なんとか交際に至っても、彼女が何を求めるのかわからず、女性にとって「ひどい!」と思う行動を悪気なくとり、長く続きません。
■6. どこかで諦めている
子供部屋おじさんにとって女性は難解な存在です。結婚願望があり、恋愛するために一歩踏み出しても、上手くいかず辛い目に合ってしまいます。その内に、「自分は女心がわからないんだ…」と悟り、「こんな自分が恋愛できるはずがない」と、どこかで諦めてしまうのです。
しかし、子供部屋おじさんにもプライドや希望があります。「きっと今後彼女はできないだろう」と諦めつつ、「でも、もしかしたら奇跡が起こるかも…」と期待を捨てきれません。恋活や婚活を諦めているのに、棚から牡丹餅が落ちてくるのを待ってしまいます。
子供部屋おじさんの特徴5個[生活・部屋]
子供部屋おじさんという名前がつくくらいですので、その部屋にはわかりやすい特徴があります。子供部屋おじさんの生活と合わせて、特徴を解説していきましょう。
■1. 子供時代から使っている家具を未だに愛用している
子供部屋おじさんの部屋には、子供時代から使っている家具があります。しかも、あるだけではなく今も愛用しているのが特徴です。
以下の家具は、子供部屋おじさんの三種の神器になります。
・学習机
・子供時代に購入したベッド
・子供時代に購入した本棚
もちろん、そこに置かれている内容は変わります。しかし、部屋の大半を占める大きな家具が、子供時代に購入したものなので、部屋の雰囲気がどうしても子供っぽくなってしまいます。
■2. 趣味の物に溢れている
実家住まいは生活費が格安なので、趣味にお金を使えます。そのため、子供部屋おじさんの部屋は、趣味の物に溢れています。
子供部屋おじさんの趣味は多様ですが、例えば音楽機材が所狭しに置かれていたり、ビッシリと本棚に漫画本が収納されていたり、一目見て「これが趣味なんだな」とわかる状態です。
■3. 家事(炊事、洗濯、掃除など)は親がやってくれる
子供部屋おじさんの生活は、親に支えられています。経済的な援助がなかった場合も、家事炊事はほぼ親任せです。
・食事は毎食親の手料理
・脱衣所に脱ぎ捨てた服は親が洗濯する
・リビングなどの部屋はもちろん、風呂やトイレも親が掃除して自分は手を出さない
・消耗品は親がなくなる前に補充してくれる
・必要なものは頼んでおけば親が買ってきてくれる
小学生の子供でもできる手伝いを、子供部屋おじさんは全くしません。また、親も息子に手伝いを頼もうとしません。親としては、息子が家にいてくれるだけでありがたいのです。
■4. 夕食は家で食べる派
家に帰れば美味しくて栄養バランスの良い食事が用意されているので、子供部屋おじさんはあまり外食をしません。出費を抑えるためにも、夕食は家で食べる派です。仕事が遅くなった流れで食事に誘われても、「家に夕食あるんで」と悪びれず断ります。
■5. 生活費がかからないので意外と貯金が多い場合も…
子供部屋おじさんのイメージはニート寄りで、生活の自立はもちろん、経済的自立も難しそうに見えます。しかし、子供部屋おじさんは有職者が多く、中には平均より高い収入の人もいます。
「有り金全て趣味に注ぎ込む!」というタイプは別ですが、生活費がかからないのはとても大きく、子供部屋おじさんは意外と貯金が多い場合もあります。
子供部屋おじさんの特徴4個[仕事]
子供部屋おじさんが実家に住み続ける理由はさまざまですが、仕事が大きく関わってきます。子供部屋おじさんの仕事にどのような特徴があるのでしょうか。
■1. 収入が低い
子供部屋おじさんは収入が低い仕事についているケースが多いです。真面目に働いても収入が伴わないワーキングプア状態。実家に住み続ける大きな理由は、一人暮らしするとカツカツな生活になってしまうからです。
■2. 仕事ができないわけではない
収入が低い職種だからといって、子供部屋おじさんが大した職についていないとは限りません。社会に不可欠で、しかも知識と技術が必要でも、収入が低い職業はいくつもあります。
例えば、次のような職業は、平均収入が低いことで有名です。
・介護職
・保育士
・販売業
・事務職
・清掃業
・調理師
特に、新人の頃の収入はかなり低く、地価の高い都心で一人暮らししようとすると、かなり切り詰めなければなりません。このように、きちんとした職種についていても、実家を出るハードルが高いので、子供部屋おじさんは実家に住み続ける選択をするのです。
■3. 超多忙
超多忙な職に就いている子供部屋おじさんも多いです。早朝出勤し、帰宅は深夜。実家には寝に帰るような生活です。だから、親が家事炊事をしてくれると、とても助かります。子供部屋おじさんが実家に住み続けるのは、仕事に集中するため、あるいは自分を守るためでもあるのです。
■4. 転職を繰り返すことも
子供部屋おじさんの中には、社会との折り合いが悪いタイプもいます。この場合、就職しても仕事や人間関係でトラブルを起こしたり、ストレスでつぶされそうになったりして、転職を繰り返してしまいます。すると、収入が安定しません。
子供が苦しんでいれば助けたくなるのが親心。経済的にも精神的にも支えたいと思うので、「実家にいればいいじゃない」と、子供を温かく見守ります。子供部屋おじさんが親の愛情を無下にする理由もないため、実家に住み続けることになります。
弱っている時、親に頼るのは良いことです。しかし、ここで親が支え方を間違うと、子供部屋おじさんは転職を繰り返した末に、社会不適合者になってしまうこともあります。
子供部屋おじさんのメリット
子供部屋おじさんは合理的で、多くのメリットがあります。
・実家住まいなので生活費が少なくて済む(賃料がかからない)
・親に家事や炊事を頼めるので仕事や趣味に没頭できる
・一緒に住むことで防犯面が強化される
・お互い万が一の事態(急病など)に1人じゃないので助け合える
・地元に住めるので居心地が良い
親と子供、お互い同意の上での同居はメリットだらけです。特に都心の場合、「進学や就職のため否応なく一人暮らし」という状況になりにくく、実家を出なければならない理由はありません。「結婚すれば実家を出るし、それまでは一緒に暮らそう」と考えるのは自然です。
世間では子供部屋おじさんに偏見を向ける人もいますが、家族が一緒に暮らすのは、ごく当たり前のことなのです。
子供部屋おじさんのデメリット
子供部屋おじさんのデメリットは、「独身で実家暮らしなんて、何か問題があるのでは…」と偏見を持たれてしまうこと。婚活をしていても、実家暮らしだと腰が引ける女性は少なくありません。
また、普段から家事炊事を親がしているため、生活力が育たないのも大きなデメリットです。「必要に迫られれば、いつでもできる」と思うでしょうが、基礎が備わっていないため、必要に迫られても、結局やらずに済む選択をしてしまいがちです。
更には、生活力だけではなく自立心も育ちません。「最終的には実家があるから大丈夫」という安心感が向上心を欠落させ、人によっては仕事への真剣度が下がり、転職を繰り返すようになります。
最も恐ろしいのは、生活力と自立心の足りなさに無自覚なこと。根拠なく「やるときになればできる」と自信があるため、人のアドバイスにも耳を貸さなくなります。世間の感覚とのズレも大きなデメリットです。
子供部屋おじさんの婚活事情
子供部屋おじさんは、自分が最も過ごしやすい実家が生活の基準になるため、普通のハードルが高くなり、結婚相手への理想も同時に上がります。
子供部屋おじさんにとって、「妻(=母親)が夫と子供(自分)のために、快適な家を保つのは当たり前」です。自分の親の介護まで妻に任せようと考えているケースも少なくありません。
しかし、今どきは専業主婦より共働き世帯が多い時代です。「家事育児を1人で担い、しかも働いてお金まで稼いでくれる」なんて女性はなかなかいません。働く妻が、夫に家事育児能力を求めるのは自然の摂理。生活力も自立心も低い子供部屋おじさんが、女性から選ばれるためには、際立って収入が高かったり、魅力的だったりしなければ困難です。
そのため、子供部屋おじさんの婚活事情は過酷になります。それでも、「実家があるからいいや」と危機感がないため、子供部屋おじさんの婚期は送れる一方です。
子供部屋おじさんと親の介護
子供部屋おじさんが独身を貫くと、親の介護問題に必ず直面します。親との関係が良好で、親子で介護問題について資金や支援など早い内から準備していれば、大きな問題にはなりません。「親の介護は嫁がやる」というのは、とっくに廃れた価値観。「今こそ親孝行のとき」と、率先して親の介護をする子供部屋おじさんは珍しくありません。
しかし、何も考えずに親に依存し、年老いて力を失っていく親に直面した子供部屋おじさんは、どうしたら良いのかわからなくなります。「息子のために」と、親が自分の老後の準備をしていれば良いですが、そうではない場合、家庭のバランスが一気に崩壊します。子供部屋おじさんが対応できなければ、親子で悲惨な状態に陥ります。
子供部屋おじさんが、本当は親を支えていた存在なのか、それとも世間の偏見通り親に依存するダメ男なのか、介護に直面したときにわかります。
子供部屋おじさんはコスパ最強?貯金が貯まる?
子供部屋おじさんは実家住まいなので、次の出費が抑えられます。
・家賃
・水道光熱費
・食費
・その他消耗品費(シャンプー類、ティッシュペーパー等)
一人暮らしにかかる生活費(家賃を除く)は、約10万円弱と言われています。毎月家にお金を入れている子供部屋おじさんもいますが、一人暮らしに比べれば、圧倒的に生活費がかかりません。実家暮らしは一人暮らしよりもずっと、コスパが高いのです。
だからと言って、貯金が貯まるとは限りません。どれだけ貯金するかは、本人の金銭感覚によって左右されます。生活費がかからない分、趣味が貯金で節約好きの子供部屋おじさんなら、ものすごい高額な貯金を持っています。一方、趣味や交際費に使えば、子供部屋おじさんでも貯金は貯まりません。
子供部屋おじさんの末路
子供部屋おじさんの末路は、家族の将来について真剣に考えているか否かで分かれます。中身まで子供のまま、すべて親に依存して、自分のことは何もできず、お金や手続きについても無知ならば、親亡き後八方ふさがりになります。ギリギリになっても本気を出せない人は、危機が訪れても自分で対処できません。人生詰んで終了です。
しかし、今親に頼っていたとしても、今後について考えて対処すれば、徐々に親に支えられる立場から親を支える立場になれます。1つずつ問題を解決し、親を看取った後、悠々自適な独身ライフを楽しめるでしょう。
結婚して実家を離れて子供が生まれても、親に依存している大人はいます。しかし、親はいつか必ず年老いて力を失います。その現実を直視し、早め早めに対策をとることが重要です。子供部屋おじさんに限らず、親から自立できない大人は、親亡き後の依存先が見つからなければ、人生路頭に迷うのです。
まとめ
子供部屋おじさんの状況は多種多様です。それでも子供部屋おじさんが差別用語として使われるのは、「実家でいい思いをしやがって…」という嫉妬が含まれているからです。
幸せな家庭で育てば、誰だって実家の居心地は最高です。それでも、自立のために家を出ます。その自負が自分を支えているため、いい年になっても実家住まいの人を見ると、見下げたくなってしまうのです。
だから、子供部屋おじさんである自分を、深く気にする必要はありません。大切なのは、実家に住むか否かではなく、自立ができているかどうかです。経済的にも精神的にも自立していれば、子供部屋おじさんでも良いのです。今の自分に自信を持てる生き方をしてくださいね。