近年の日本では小型犬の人気が依然と高いですが、グレートデーン(グレートデン)のような大型犬の人気も根強いものがあります。
アメリカでは小型犬よりも大型犬が人気があり、今回はその中のグレートデンについて詳しく解説いたします。
グレートデーンの特徴とは?どんな超大型犬?
大型犬の中でも、ペット事業者やペットショップなどで、”ハウンド系”と呼ばれる、特に体格の大きな犬種の一つで、体型は狩猟に特化したような、頑丈な足腰、獲物を確実に噛み付いて捕らえる丈夫な顎を持つのが最大の特徴です。
耳は垂れており、後ろ足を突っ張るような凛々しい立ち姿が理想とされ、ドックショーでも人気の犬種の一つです。
体型は痩せ型で、成長して2歳以上は、やや腹部が引っ込んだような体つきです。寡黙でほとんど吠えません。
米国では特に男性の威厳とステイタスを象徴するような、人気のある超大型犬です。国内では、あまり見かけませんが、動画サイトの動物系の投稿では、比較的よく見る愛嬌ある大型犬として人気があります。
顔つきが似ているためか、日本ではボクサーという犬種と間違えられることがありますが、それより成犬は遥かに大きく、子供であれば犬の顔を見上げるほどの超大型犬です。
グレートデーンの歴史
部族間紛争の決着など、闘犬としての歴史があるマスティフと呼ばれた古い犬種の「西洋の闘犬」の種類の顔つきと、がっしりした体格を持ち、それにギリシャの警備犬、すでに絶滅したスーリオ(ボア)・ハウンドの原種との交配で、ドイツで人為的に作られたと推測されています。
ただし、400年以上も前の歴史の古い伝承で、交配はドイツで行われた以外は、専門家でも確固たる資料はほとんどありません。
ちなみに、グレートデンとは、デンマークの大型犬を意味するもので、それはドイツ人がデンマークに多く住んでいた事から、そこで交配されたのではと推測されているのです。そのため、ドイツ軍のプロパガンダ映画に度々出てくることがあります。
世界中では、その大きな体と力強さから、アメリカでは番犬として人気が高く、比較的、ポピュラーな犬種として知られています。400年前ドイツ人によって交配され、海を渡ってアメリカで多く飼われてきた歴史が長いです。
グレートデーンの寿命・大きさ・体重・毛色
平均寿命:約7〜8年
大きさ:体高1メートル前後
体重:約70~90キロ前後
毛色:イエローゴールド、スチールグレー(金属のような灰色)、黒、黒い大きな斑点模様の白、胸と肩と足先が白い黒っぽい茶色、茶色と黒の縦じま模様
◯平均寿命:約7~8年
世界一の超大型犬としてギネスブックに載るほどの巨体ですが、寿命は短く、日本のような四季のある湿度の高いところでは、長くて8年、欧米では平均寿命はそれでも10年未満です。これは、犬の交配種は、原種の内臓、特に心臓と循環器系は自然の進化で順応しているわけではないので、どうしても体格的に心臓に負担がかかりやすいためと言われています。
◯大きさ:成犬体高1メートル前後
普通に四足で立っている状態で、2歳未満なら約80センチ、オスで2歳以上の骨格が出来上がった後は、高さが1メートル以上になる場合もあります。
◯体重:約70~90キロ前後
メスの方が体重がオスより5、6キロ軽く、2歳でほぼ最大の体重になります。
◯毛色:イエローゴールド、スチールグレー(金属のような灰色)、黒、黒い大きな斑点模様の白、胸と肩と足先が白い黒っぽい茶色、茶色と黒の縦じま模様
犬の毛色は、独特の呼び方をしますが、グレートデーンで最も多い毛色は、フォーンと呼ばれるイエローゴールドという明るい茶色で、次に多いのがスチール・ブルーという光沢あるスチールグレーです。
グレートデーンの性格は?優しい?
ヨーロッパで交配された大型犬の特徴と同じく、人懐っこく、性格は活発で明るいとされますが、これは言い換えると運動量が他の犬種よりも激しいことを物語ります。
そのため、じゃれていても、大変な力で人を押し倒すことも度々あり、優しいけれど、相手の事を思いやってあげられるというより、大人になっても、まるで子供のような、無邪気さにパワーが加わっているイメージです。
それでも愛くるしい、大きな丸い愛くるしい眼は、人を観察し、ジッとこちらを見てくるので、愛犬家の方でもよく愛される犬種です。
吠えたときは太い、お腹に響く声で、犬からかなり離れていてもハッキリと居場所が正確にわかるほどです。
一方、闘犬のような敵と戦うような喧嘩のシーンでは、一歩も譲らない交配種の特徴を備えています。怒るときは大きな目で相手を威嚇し、自分の背丈を利用しての、大変な迫力で迫ってくるため、かなり大きな体格の人でもひるむほど怖いです。
また、猟犬として相手をいたわり、癒やしをくれるというより、競争が好きな一面もあるので、興奮する時と、静かな時の差が、非常にハッキリしているのも特徴です。
グレートデーンの子犬の値段・価格相場
国内繁殖が大変少なく、また近年、犬の人気種がほとんど小型犬に移行しているため、グレートデーンのような超大型犬は販売数が極端に少ないです。
販売価格は20万円台の中盤から後半、つまり24万円以上、高い場合で30万円前後となることが多いです。
またブリーダーから直接購入するケースも少なく、飼育家で生まれた幼犬を、どこかで情報を得たブリーダーがそれを譲ってもらって販売する場合もあります。
また一般的なペットショップ・チェーンなどの、犬の展示販売の場合は、グレートデーンが入荷する頻度は数年に1度あるかどうかで、事前に店側にブリーダーを探してもらうなど、購入には相当の時間がかかることが多いです。
ただ、反対に日本では犬種として知名度が低いため、アフガンハウンドやボルゾイ、スタンダード・プードル程は、価格が上がることは考えにくいです。入手自体は一般の方でも、多少の出費を覚悟して時間をかければ、ペットショップからでも入手が可能となります。
グレートデーンの飼い方は?日本で飼える?
日本では、動物愛護法により、愛玩動物の規制は海外よりも緩やかですが、茨城県などで、秋田犬、土佐犬、セントバーナードなどの大型犬は、「特定犬種」として、規制の対象としていることがあります。
特にそういった種類を特定していない自治体でも、かなり大きな犬種は、指定された飼育・管理を市役所などに申し出る場合もあるようです。
大型犬の判断は、おおむね犬が四足で立っている場合の背丈が60センチを超える場合か、頭から尾の付け根までが70センチ以上の場合です。ペットショップなどの区別と多少違うこともあります。
また規制があっても、罰則があるというより、犬によるトラブルで他人に危害を加えた場合に、自治体が警察署やしかるべき保護施設と相談して対処するといった、事前に通報時の流れを把握する意味で施行しているのがほとんどです。
したがってグレートデンを日本国内で飼育する場合で、ハードルがあるとすれば、一部の自治体に限られていると言えるでしょう。
加えて、日本の場合は狂犬病ワクチン投与が飼い主に義務付けられているので、特定の犬種だけが飼うことが出来ない例はほとんどありません。時々ですが、国内の大きな庭のある家庭で、飼われている例があります。
グレートデーンの注意したい病気
目の病気と関節や足に関する障害を負うことがあります。眼の病気は眼球が飛び出したような症状が見られる場合などで、かかる頻度は少ないです。 涙管異常による眼の乾燥なども、非常に稀ですが、あるようです。
また関節の病気は非常に頻度が高く、ハウンド系の犬種の宿命とも言われています。「股関節形成不全」はその典型的例で、生まれつきに後ろ足の関節がしっかりしておらず、歩く際にふらつきがあり、走ると転倒したりしてケガをする場合もあります。また足が体格の割には先細りの傾向があるので、段差を飛び越す際などに、骨折する場合もたまにあります。
短毛種なので皮膚病はありませんが、野外で草むらに寝転んだりして寄生虫や細菌が付着し、それを痒がって掻いたことによる皮膚炎には注意してほしいところです。
また幼犬から成長する際に、運動不足や飼育環境が極端に狭く、普段の犬の行動を制限していた場合には、足を折り曲げた時の関節への負担で、そこに良性の腫瘍のようなものが出来る場合があります。それは炎症によるもので、関節内に膿などがたまり、成長と共に関節形成不全となる恐れがあります。
グレートデーンで死亡事故も発生?子供・赤ちゃんを殺す?
2020年3月の富山県での、グレートデンに襲われて乳児が死亡した件に加えて、その前の2017年に八王子でゴールデンレトリバーによる乳児が噛まれて死亡した件は、愛犬家にも衝撃を与えたニュースでした。
この事件の特徴は、どちらも幼い、まだ言葉もおぼつかない子供が大型犬に襲われた点で共通しています。
様々な憶測が飛び交う中で、あまり取り上げられないのが、日本での犬との関係性です。この点では海外と日本では、犬と人間との間柄が、多少違うことも事件の背景にはあります。
まずグレートデンも含めた大型犬は、特に同じ犬種と協調して仲良くする傾向が強いのですが、一方、自分より小さい相手には、遊び相手としても、飼い主としても、相手にしていない特徴があるのです。
これは犬の視線と関係があり、特に猟犬、闘犬の血筋が交配種にある場合、自分よりも小さい相手が目の前でじゃれついてくると、思わず食らいつくような習性を受け継いでいる場合があります。猟犬は目の前で暴れる小動物を捕らえる習慣があり、闘犬は相手が怖がると余計に興奮する特徴があります。
この2つの事件も、犬が悪いというより、たまたま相手にしたのが人間の大人ではなく、犬より小さな相手だったのが不運だったという他は無いでしょう。
グレートデーンは飼い主に噛み付く?
2019年11月1日にアメリカフロリダ州で、グレートデンの飼い主の女性が2匹に噛まれて死亡するという、痛ましい事件が報道され、話題となりました。
襲われたのが犬好きで、その2匹は保護され、飼い始めから成犬だったのが、この事件の概要です。
この事件の詳細を調べると、この女性は日頃からお酒に依存しがちなアルコール依存症で、それによる家庭でのトラブルも多少見られていたようです。ある日、同じようにお酒に酔った状態で、2匹のグレートデンと自宅の部屋で遊んでいる中で事故は起きました。
実際は犬と遊んでいるつもりの、酩酊した飼い主を不審がる犬が噛みつき、女性はそれを咎め、犬を叱責して更に攻撃され死に至ったようです。
テレビニュースを概要で知った視聴者の中には、グレートデンは危険な犬として誤解されるケースも多々あったようですが、飼い主さんが平常心を失っていたことが、結果的に不幸を招いたとしか言いようがありません。
まとめ
大型犬は怖い、飼いづらいといったというイメージが巷には多いですが、人の大きさに近いということは、グレートデンも含めて大型犬の個性や性格を尊重すれば、非常に仲の良いパートナーになりやすいのです。人の友だちとしてグレートデンも、印象を変えても良いかも知れません。