ストーカー被害に遭うと「早く諦めて…」と、祈りたい気分になるでしょう。しかし、簡単に諦めるくらいならば、そもそもストーカーなどしません。
ストーカーのターゲットにされたら、諦めるのを待つのではなく、相手の心理を理解した上で、適切な対処が必要です。
そこで今回は、ストーカーの心理を解説し、諦めさせる具体的な方法を紹介します。
ストーカーの種類と心理
ストーカーは大きく4つのタイプに分けられます。
◯拒絶型
自分を拒否した相手に対して、「理解不能」「受け入れられない」と執着します。現実を直視できず、なかったことにするため、復縁を執拗に迫るのが特徴です。
◯親密追求型
ストーカー対象と親密になりたい気持ちが強く、相手の都合を考えずにズカズカと距離を詰めようとします。根底に「善意」「好意」があり、相手が拒否すると「こんなに好きなのにどうして?」と混乱。拒絶型や憎悪型に転じることもあります。
◯憎悪型
ストーカー対象が嫌い過ぎて、「また嫌なことをしているのでは?」と監視を続けます。そして、新たに嫌な部分を見つけて心を乱され、「あいつさえいなければ」と、憎悪を積み上げていきます。嫌いなのに距離を取れず、勝手に被害者意識を膨らませるのが特徴です。
◯無資格型
ストーカー対象より自分の方が格上だと思い込み、相手をコントロールしようとします。根拠なく偉そうで、高圧的な態度で相手に接するのが特徴です。そのため、相手が自分の要求に応えないと激しい怒りを覚え、何としても屈服させようとします。典型的なモラハラ気質です。
どのタイプも思いやりや想像力がなく自分勝手です。
ストーカーは結婚しても諦めない?
ストーカーの心理は自分本位。受け入れられない現実は、全て自分に都合良く塗り替えてしまいます。例えストーカー対象が誰かと結婚しても、「本当は自分と結婚したかったに違いない」「素直じゃないだけ」と、ありえないほどポジティブに考えたり、「あいつだけ幸せにはさせない」「家庭をぶち壊してやる」と憎悪からストーカー行為をエスカレートさせたりする可能性の方が高いです。
もちろん、中には結婚によって諦めるストーカーもいるでしょう。「もう100%自分と結婚する可能性はないのだ」と現実を受け入れれば、諦めるしかありません。
しかし、それができるストーカーなら、もっと前に諦めてくれるはずです。やはり、結婚すればストーカーは諦めるという考え方は、かなり楽観的でリスキーです。
ストーカーが諦めるとき3個
「結婚しても諦めないの!?じゃあ、いつ諦めるの!?」と、絶望したかもしれませんね。残念ながら、ストーカーが自ら諦めるのは非常に稀です。本当にわずかな可能性ではありますが、ストーカーが諦めるシチュエーションを解説します。
■1. 他にストーカー対象ができたとき
ストーカーは一点集中型。1人に対しての執着が強すぎるのが特徴です。そのため、基本的にストーカーの二股や三股は存在しません。標的を決めたら、いつまでもその人だけをストーカーします。
しかし、以下のように他のストーカー対象ができると、今までの対象からそちらに鞍替えとなります。
・自分を愛してくれる人ができてラブラブ
・今の対象者より支配しやすく絶対服従する相手を見つけた
・今の対象者以上に憎い相手ができてしまった
もしも、ストーカーが他の対象に移れば、これほどラッキーなことはありません。
■2. ストーカーしても意味がないと気付いたとき
ストーカーには「対象者と親密になりたい」「対象者を不幸にしたい」など、れっきとした目的があります。自分の希望を叶えるためのストーカー行為です。
そのため、「あれ?このままストーカー続けても、結局自分の希望はかなわないから意味ないのでは?」と気付けば、ストーカー行為は収まります。
しかし、ストーカー行為の無意味さに自ら気付くストーカーはゼロに近いでしょう。我に返るほどの冷静さがあれば、ストーカー行為はかなり初期で収まっているはずです。
■3. 自分の立場が危ういとわかったとき
ストーカーには妙に冷静な部分があり、「自分に危害を加えない弱者」を、実は無意識に選んでいます。「自分の方が強い(立場が上)だから、何をしても大丈夫」と思い込んでいるのです。
しかし、いざ対象者からのアクションがあり、「ヤバイ!このままじゃ自分の立場が危うい!」とわかると、意外な程の潔さで諦めてくれるケースがあります。
根本的に「自分が上」という自信があるため、「実は相手の方が一枚も二枚も上手」と気付いた瞬間、身を守るために撤退するストーカーは多いのです。
ストーカーへの準備と正しい対応
ストーカーされていると感じたら、1人で悩まず即座にできるだけ多くの人に相談しましょう。ストーカーにとって、あなたが被害を隠して1人で悩むほど好都合なことはありません。
一方、あなたが仲間を増やし、ストーカー行為を平然と言いふらすほど、「ヤバイ。自分の立場が悪くなる」と危機感を与えられます。軽いストーカーなら、この時点で身を引いてくれるかもしれません。
ストーカー行為が続く場合は、初期の内に然るべき機関への相談をしましょう。そのためには、ストーカーの情報と証拠集めが必要です。ストーカーの氏名や勤め先、住所などの基本情報と、ストーカー被害の記録や物的証拠(音声や動画、写真含む)をしっかり集めていきましょう。
また、ストーカーにあなたの情報を与えないよう自衛も必要です。SNSは格好の情報収集ツールなので、発信には細心の注意を払わなければなりません。今までのアカウントは一時的に停止したり、利用サービスを限定したりすると良いでしょう。生活パターンも固定せず、ストーカーに行動を読まれないようにしましょう。
ストーカーを諦めさせる方法7個
ストーカーが勝手に諦めるのを待つのはリスクが高いです。諦めるような事態が起こるとは限りませんし、ストーカーが手間と時間をかけるほど、あなたへの執着は強くなります。
ストーカーは「諦めるのを待つ」ではなく「諦めさせる」が正解です。あなたがアクションを起こし、「ヤバイ。立場が危うい」と思わせましょう。ストーカーを諦めさせる具体的な方法を紹介します。
■1. 警察に相談する
ストーカー規制法という法律に則り、ストーカー被害への警察の介入が可能です。
ストーカー行為を処罰するなどストーカー行為について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的としています。
ストーカー規制法とは
以下に示す「つきまとい等」を繰り返すストーカー行為者に警告を与えたり、悪質な場合は逮捕することで被害を受けている方を守る法律です。
警察からストーカーへ口頭、あるいは書面でストーカー行為の禁止を警告します。また、違反すると罰則のある禁止命令を出すことも可能です。悪質な場合は、逮捕に至るケースもあります。
ストーカー被害に遭ったら、証拠を持って警察へ相談しましょう。証拠は少しでも多い方が、警察の介入がスムーズになるでしょう。
■2. 無料の相談機関に相談する
警察以外でも、ストーカーを相談できる以下のような機関があります。
・法テラス(国が設立した無料の相談機関。必要に応じて弁護士等への立て替えも実施)
・NPO法人よつば(特定非営利団体。電話だけではなくネットでの相談も可能)
いきなり警察への相談に敷居の高さを感じるならば、まずは無料相談機関に連絡するのも良いでしょう。ストーカー被害に対して、どのように行動を起こせば良いかなど、具体的なアドバイスをもらえます。また、警察に相談したけど、証拠がないなどで対応してもらえない場合の相談も受け付けています。
■3. 弁護士に相談する
有料になりますが、弁護士はストーカー被害の強い味方であり、抑止力でもあります。ストーカー被害について弁護士に相談すると、以下のような対応をしてくれます。
・ストーカー被害の証拠の集め方や対応等のアドバイス
・ストーカーとの交渉代理
・警察へ相談に行く際の同行、刑事事件取り扱いの交渉
・裁判所へ接近禁止の仮処分を提出する
弁護士に相談し間に入ってもらうことで、ストーカーに「立場がヤバい」と思わせる効果もあります。本気で関係を絶とういう強い意志も伝わるでしょう。
■4. 民間警備会社を利用する
ストーカーに特化したサービスを取り扱っている民間警備会社があります。有料ですが、例えば大手警備会社アルゾックでは、以下のようなストーカー対策サービスがあります。
・モバイルセキュリティで非常時にはどこからでも通報できる
・プロのガードマンを現場へ急行要請
・専門のコンシェルジュの相談対応
全力で警戒し、強い対策を打っているアピールになり、ストーカーを諦めさせる効果がかなり期待できるでしょう。
■5. ストーカーの家族に協力を仰ぐ
ストーカーとは元々親しい関係で、相手の家族とつながりがある場合に限りますが、本人ではなく家族に協力を仰ぎ説得してもらう方法もあります。ストーカーが親に頭が上がらないタイプならば、てきめんの効果を発揮するでしょう。
ただし、家族への協力を検討する際は、慎重にならなければなりません。場合によっては、相談した家族から「あなたが悪い」と責められたり、自分の家族を巻き込んだあなたへの憎悪から被害が拡大したりする恐れがあります。
■6. 引っ越しして物理的な距離を取る
既にストーカー行為がエスカレートしていて、身の危険を感じるようならば、引っ越しして物理的な距離をとりましょう。とにかく、ストーカーの前から姿をくらますのです。この時、住民票で引っ越し先がバレないよう、閲覧制限を忘れずに行ってください。
とりあえず引っ越しして身の安全を確保したら、警察や弁護士等に相談し、具体的解決につなげるのも重要です。引っ越しで諦めてくれれば良いのですが、逆に逃げられたことが受け入れられず、執着が強まるケースもあります。引っ越しは身の安全を守るための一時的な対応です。
■7. 第三者を挟んだ上できっぱり拒否の意思を伝える
話し合いで解決できそうな場合も、2人きりは避けましょう。1対1だとストーカーが突然逆上した場合、とても危険です。必ず第三者を挟み、人の目が多い場所を選ぶのが重要です。その上で、ストレートにわかりやすい言葉で、きっぱりと拒否の意思を伝えましょう。
この時、充分な話し合いの時間をとるのがポイントです。早く話を切り上げてしまうと、ストーカーは不完全燃焼してしまいます。
ストーカーをしても何の意味も得もないと納得してもらうためにも、相手の質問に答えられる充分な時間を用意しましょう。ただし、「2人だけで話をしたい」という要求には応じてはいけません。
まとめ
ストーカーは逮捕もできる犯罪行為です。「ストーカーくらいで…」と、被害を軽く見ると、ストーカーを助長させる恐れがあります。誰よりもあなたが危機感を持ち、早急に具体的な対策をとりましょう。