「部活を辞めたい」と言うと「甘えるな」という意見が必ず出るものです。しかし、辛い状況を続けることが、必ずしもあなたを成長させるとは限りません。むしろ、時間とエネルギーを無駄に消費し、残るのは疲労感だけという場合もあるのです。
そこで今回は、部活を辞める理由と切り出し方を解説します。
よくある部活を辞める理由8個
「こんな理由で部活を辞めたいなんて、やっぱり甘いかな?」と、自分の考えに自信を持てないと、辛い状況を受け入れて苦しみ続けることになります。あなたが思っている以上に、部活を辞めたいと思う人は多く、理由には共通点があります。
まずは、よくある部活を辞める理由を紹介します。
■1. 練習が厳しくて辛い
「入部したら想像以上に練習が厳しくて辛い」というのは、よくある部活を辞めたくなる理由です。体力や精神力には個人差があるため、「周りは平気そうだけど、自分はとてつもなく辛い」という状況は、意外とよく起こる事例です。
仲間たちが厳しい部活に耐えて頑張っていると、「ついていけない自分はダメなヤツなのかな…」「辛くて辞めたいなんて言い訳かな…」と悩むでしょう。悩みながら乗り越える人もいますが、無理してつぶれてしまう人もいます。
■2. 上達しないのが辛い
「一生懸命頑張っているのに、なかなか上達しない」というのも、部活を辞めたくなる理由になります。真剣に頑張っている人ほど、上達できないジレンマは大きいです。「自分には才能がないんだ…」と自信を失う原因にもなります。
しかし、努力が花開くタイミングにも個人差があります。部活を辞めたい理由が「上達しないから」のみで、部活そのものが好きならば、続ける選択肢も考えましょう。あと数か月後に、ついに自分なりのコツを見つけられるかもしれません。
■3. 怪我や病気で心が折れた
順調に部活を続けていたのに、突然の怪我や病気でしばらく休まなければならなくなった場合、復帰後に周囲との差を感じて心が折れるケースもあります。
休養が必要な程の体調不良や身体トラブルは、完全復活して前と同じ状況に戻るまで、かなりの時間と努力が必要です。
その過程で「前みたいにできないかも…」と弱気になって、部活を辞めたくなっても不思議はありません。
■4. 勉強に支障が出ている
部活で体力と時間を消耗し、勉強に支障が出ている状況も、部活を辞めたい大きな理由になります。「学校では部活も勉強も頑張りたい!」という思いが強い人ほど、辞めるか否か悩ましい問題です。
部活を辞めれば確実に勉強できる時間も余裕もできます。しかし、部活も続けたいとなると、両立のための工夫や努力が不可欠です。それでも、自分の能力には限界があるので、「どちらを優先させるか」を決断しなければならない時がくるかもしれません。
■5. 他にやりたいことができた
本当にやりたいことに出会うタイミングも個人差があります。最初は部活を頑張ろうと思って入部した後に、他にやりたいことができることもあるでしょう。誰が悪いわけでもなく、巡り合わせの問題です。
この時、「自分の意思で始めたことを、簡単に辞めるのは良くない」という価値観に縛られると、辞めたくても辞められないジレンマに陥ります。シンプルに「自分は何を優先したいのか」を考えた方が良いでしょう。
■6. 人間関係に疲れた
部活そのものは好きなのに、人間関係がうまくいかないのが理由で辞めたくなるのもあるあるです。人間関係トラブルもさまざまですが、良くあるのは以下のような問題です。
・自分は一生懸命やりたいのに、仲間たちが不真面目
・部活内でのいざこざが多い
・部長の方針についていけない
・先輩との関係がうまくいかない
・部活仲間の中に、酷く気が合わない人がいる
人間関係はとても重要です。部活が好きでも巡り合わせが悪いと辞めたくなります。
■7. 顧問の先生が恐い
顧問の先生との相性の悪さも、部活を辞めたいよくある理由です。特に、「顧問が恐い」というのは、大きなストレスになります。
顧問の機嫌や態度にビクビクしながら行う部活は、辛くてしんどいでしょう。しかし、顧問が恐いがゆえに、「部活を辞めます」と言い辛く、苦しみながら続ける人も少なくありません。
■8. 部活内でいじめがある
自分が被害者の場合はもちろん、直接関係がなくても部活内でいじめがあると、精神的に非常に苦しくなります。
いじめられていれば部活を辞めたくなるのは当然ですし、傍観者的な立場でも苦しいでしょう。口を挟めば今度は自分がターゲットにされる恐怖と、何もできない罪悪感も、とても辛いものです。
部活を辞めるときに考えるべきこと3個
部活に限った話ではありませんが、安易な決断は後悔の原因になります。「部活を辞める」と決める前に、慎重に考えるべきことを教えます。
■1. 受験に影響がないか
あなたの進路によっては、部活動が受験に有利になる可能性があります。まずは、部活を辞めて受験に悪影響がないか調べましょう。その上で、部活を続ける辛さと受験のリスクを天秤にかけるのです。
「多少受験に影響するけど、部活を続けるよりマシ」と思うなら、辞める決断につながります。一方、部活が受験に有利に働く場合、「とりあえず引退まで頑張ろう」と考えが変わるかもしれません。冷静な判断をした方が、後悔は少ないでしょう。
⇒受験対策は一流講師の講義がリーズナブルに家で受けられるスタディサプリがおすすめです。多くの受験生が利用しています。
■2. 部活を辞めて本当に解決するか
「辞めたい!」と強烈に思うと、部活の全てが嫌になり、理由が後付けになってしまうことがあります。部活を辞めたい理由をもう一度整理し、本当に部活を辞めたら解決するのか、改めて考えましょう。自分の思考をまとめるために、以下の点を紙に書き出すと良いでしょう。
・部活を辞めたい理由
・部活の何が辛くて苦しいのか
・部活を辞めたら自分はどう変わるのか
・部活を辞めたい理由について、どのように解決するのか
部活を辞めただけで解決し、あなたが今よりもずっと楽になるなら良いのです。問題は部活を辞めても結局状況が変わらない場合です。「部活を辞めた」という事実に満足して考えるのを止めて、返って解決に時間がかかるかもしれません。
■3. 部活に未練がないか
部活を辞めた後に「やっぱり辞めなければ良かった」という後悔は、あなたが想像する以上に辛いです。もちろん、辞めた部活に復帰することは可能ですが、相当な勇気が必要です。周囲が暖かく受け入れてくれるとも限りません。
「辞めよう」と決めた後、もう1度だけ「本当に辞めていいのか」「部活に未練はないのか」を考えてみましょう。繰り返し自分と向き合えば、自分の決断に納得できます。
部活を辞める時の伝え方とタイミング
部活を辞めるタイミングは、あなたが迷いなく「辞めよう」と思ったときです。
ただし、チームで行動する部活の場合のみ、試合に影響のないタイミングを選んだ方がよいでしょう。できれば、あなたが抜けても充分調整が取れるタイミングがベストです。
伝え方は、「辞めたいです」ではなく「辞めます」と、事後報告のような言葉を選ぶのがポイントです。
「辞めたいです」と伝えると相談の形になり、先生や親は辞めずに済む方法を懸命に探してしまいます。無意味に話し合いが長引いてしまうので、辞める決意は揺るぎないとわかる、キッパリとした表現で伝えましょう。
辞める部活の顧問が怖い時の言い方・説得方法
大前提として、部活の顧問に「生徒が部活を辞めるのを止める権利」はありません。顧問は生徒に部活を強制できないので、本来は説得など不要なのです。
しかし、生徒の主張をそのまま受け入れてくれない顧問がいるのが現実です。顧問が厳しく生徒の声をはねつけるタイプの場合は、親を味方にするのが一番です。
と言っても、最初から親は登場させません。まずは、恐くても自分で伝えましょう。以下のようなステップを踏むと良いでしょう。
(1)顧問に話をするアポを取る
(2)「〇〇を理由に、部活を辞めさせていただきます」と伝える
(3)顧問が反対した場合も、「自分でしっかり考えました。止める決意は変わりません」と伝える
(4)それでも顧問が「ダメだ」と言った場合、「親にも相談済みで、了承を得ています」と伝える
(5)それでも認めてもらえない場合、親から顧問に連絡して伝えてもらう
(6)顧問が親の意見に反発したら、校長先生にアポを取る
段階を踏んで話を進めましょう。
部活を辞めたいけど辞めたくない時は後悔する?
「部活を辞めたい」「やっぱり辞めたくない」と、あなたの中に迷いがあるなら、答えを急がない方が良いでしょう。後悔しないためにも、部活を辞めたい原因について、もっと掘り下げて考えるべきです。
また、周囲への相談も必要です。多くの人の意見を聞けば、部活を辞めずに原因を取り除く方法が見つかるかもしれません。
信頼できる友達や先生、家族に、あなたの正直な気持ちを聞いてもらいましょう。あなたが思っている以上に問題が大きいかもしれません。逆に、あなたが思っているよりもずっと、簡単に解決する可能性もあります。
部活を辞めることを親が反対する時の対処方法
真剣に考えて答えを出したあなたの意思を無視し、部活を辞めることを親が反対する場合、事後報告が最も確実です。辞めようが辞めまいが、親の反対が猛烈なのは変わりません。
顧問があなたの意思を尊重してくれるなら、親の了承がなくてもスムーズに辞められます。順番としては、以下のようになります。
(1)親に部活を辞める旨を伝える(当然反対されるが聞き流す)
(2)顧問に伝えて部活を辞める
(3)「部活辞めたよ」と親に事後報告する
事後報告の際、再度部活を辞めた理由、自分で一生懸命考えて答えを出したこと、自分の意思を尊重してもらえないのが悲しかったことを親に伝えましょう。
中学生で部活を辞めたい時の対処方法
部活を辞める際、多くの中学校では「退部届」を書いて提出する流れになります。大まかな流れは以下の通りです。
(1)部活の顧問に辞める旨を伝える
(2)退部届をもらえるので、必要項目を埋める(保護者の署名欄あり)
(3)顧問に退部届を提出
退部届が受理されれば、担任に連絡がいく流れになります。なお、反対されない限り、親には辞めることを伝えてから行動に移すのが基本です。
部活の仲間に対しては、いつ伝えるかはケースバイケースです。人間関係に問題がなければ、事前に伝えた方がスムーズでしょう。しかし、人間関係に問題を抱えている場合は、必ずしも伝える必要はありません。
高校生で部活を辞めたい時の対処方法
高校生の場合、大学の推薦を狙っているなら、部活を辞めた時の影響を考えるべきです。進路指導の先生に、部活と推薦の関連性について、ストレートに聞くのも良いでしょう。大学入試は情報戦でもあります。
特に影響がないなら、中学生と対処法は同じです。ただし、高校生は中学生よりも友達関係の影響力が大きいため、仲間への伝え方には注意が必要です。
チームで活動する部活ならば、先に辞める旨を伝え、「迷惑をかけることになって申し訳ない」と、タテマエでも頭を下げておくと良いでしょう。部活を辞めた後にあなたが悪く言われないように、防御線を張っておきましょう。
大学生で部活を辞めたい時の対処方法
大学生は選択肢がたくさんあります。「部活を辞めたい」という気持ちが強いなら、ためらいなく辞めて良いでしょう。
小中学校とは規模が違うので、部活に囚われない人間関係が築けます。「部活は苦痛。別のことに時間を費やしたい」と思うなら、一刻も早く辞めるのが賢明です。
ただし、就職活動のアピールに部活を使うつもりだった場合は、別の対策が必要です。また、希望する就職先に部活OBがいる場合も、慎重になった方が良いでしょう。
ほとんどの就職活動では、特に部活が有利になるわけではありませんが、念のため自分が例外ではないか考えましょう。
まとめ
「自分で決めて始めたのだから、簡単に辞めずに最後まで続けなさい」と大人は言うかもしれません。特に日本は努力と忍耐を美徳とする価値観があるため、一生懸命説明しても「言い訳は聞きたくない」と、怒り出す大人もいるでしょう。
確かに、辛くても続けた結果、「あの時辞めなくて良かった」と思えるかもしれません。しかし、辛い状況を続けるデメリットもたくさんあります。最後はあなたの気持ちを大切にしてくださいね。