兄弟と仲が良い様子に、周囲の人から「仲良過ぎ!」「それってブラコンじゃないの?」と、ツッコミが入った経験はありませんか?兄弟姉妹の仲が良いのは美徳とされますが、無意識の内に人間関係、特に恋愛関係を拗らせてしまうことがあるのです。
今回は、ブラザーコンプレックスについて詳しく解説し、原因と対処法を紹介します。
ブラザーコンプレックスの意味・定義とは?
ブラザーコンプレックスとは、兄または弟に対して愛着以上の強い感情を持ち、執着することです。時には、兄弟に性的な愛情を求めるケースもあります。しかし、多くのブラザーコンプレックスは、自覚がない故に問題意識も持てず、本人は「ただ兄(弟)と仲が良いだけ。大好きなだけ」と思っています。
兄または弟に対して、以下のような感情を持っている場合、ブラザーコンプレックスの可能性があります。
・兄(弟)と子供の頃からずっと仲良し
・兄(弟)に良く悩みを相談する
・兄(弟)と頻繁に2人で出かける
・兄(弟)が大好きだと胸を張って言える
・兄(弟)も自分をとても大事に思ってくれている
・兄(弟)には妙な女と付き合って欲しくない
・彼氏よりも兄(弟)の方が頼れる
・彼氏から兄(弟)との仲の良さを嫉妬されたことがある
・血のつながりは揺るがないものだという自信がある
ブラザーコンプレックスの自覚がないと、人間関係に躓く原因にブラザーコンプレックスがあったとしても、それに気づくことができません。そして、解決策が見つからずに困難に陥ります。これが、ブラザーコンプレックスの大きな問題点です。
ブラザーコンプレックスの心理と性格の特徴11個
ブラザーコンプレックスを自覚している人は少数派です。なぜならば、兄弟と仲が良いことで、多くの恩恵を受けているからです。ブラザーコンプレックスには良い面と悪い面が混同しています。それ故に、「私はブラザーコンプレックスだ」と認識することが難しいのです。
そこで、ブラザーコンプレックスの心理と性格の特徴について解説します。あなたに当てはまる項目がないか、考えながら読んでみてくださいね。
■1. 異性慣れしている
兄弟がいると、幼少期から年の近い異性と生活することになります。日常から「この年齢の男子(男性)」の特徴を吸収し、適切な対応法を身につけていくのです。半裸、もしくは素っ裸の兄弟が家の中をウロウロすることもあるでしょう。そのため、異性への壁が低くなり、男性を強く意識することなく、自然に接することができます。
ブラザーコンプレックスの女性は、良い意味で、男性への幻想を抱いていないのです。男性への過度な期待をせず、「まぁ、男の人ってこういう感じよね」と、性差からくる様々なすれ違いを、大らかに受け止めることができます。
■2. 気持ちに余裕がある
兄弟との愛情関係がしっかり確立されているからこそ陥るのが、ブラザーコンプレックスです。ブラザーコンプレックスの女性は、兄弟から強い愛情を注がれていると自覚しています。また、兄弟だけではなく、家族全体が仲良しのケースも多いです。ブラザーコンプレックスの女性は、家族からの愛情をたっぷり注がれて育っています。だから、常に心が満たされていて、気持ちに余裕があります。
家の外で何か問題にぶつかった時も、「兄(弟)がいる。家族がいる」というのが心の支えになるため、ブラザーコンプレックスの女性は、精神力があり、挫折に強いのです。
■3. 甘え上手
ブラザーコンプレックスの女性は、とっても甘え上手。兄妹では、困った時には兄を頼りにし、当然のように兄に守ってもらいます。姉弟では、弟が穏やかで心優しく、姉の甘えや我儘も鷹揚に受け入れてくれます。家族ではありますが、男性に頼り、甘えることが日常なのです。
そのため、家の外でも要領良く人に甘えることができます。ブラザーコンプレックスの女性は、幼少期から家族に甘えることで愛されてきた経験を根拠に、「人に甘えることでより親しくなれる」と考えているのです。
■4. 世話好き
甘え上手な一面を持つブラザーコンプレックスの女性ですが、同時に世話好きでもあります。「結局男性はお世話されるのが好き」と、これも経験から理解しているのです。そのため、甘えて異性の気を引くと同時に、甲斐甲斐しくお世話をして気持ちをグッと掴むテクニックを持っています。
■5. 愛情深い
ブラザーコンプレックスの女性は、兄弟に強い愛情を持っています。ということは、元々愛情深い女性なのです。人との繋がりを大切にし、愛し愛される関係を望み、そのためには努力を惜しまない健気さがあります。ブラザーコンプレックスとは、この愛情が兄弟愛の枠を超えた時に起こる現象です。兄弟に、兄弟以上の愛情、特に女性が彼氏に望む感情を持ってしまった時、プラザーコンプレックスは恋愛への大きな障害になってしまいます。
■6. 依存心が強い
ただ兄や弟と仲が良いだけならば、ブラザーコンプレックスにはなりません。「困った時は兄弟がいる」「兄弟と一緒にいれば楽しい」と、過剰に寄りかかった状態になり、それが他者との関係を築く問題になった状態がブラザーコンプレックスです。
ブラザーコンプレックスの女性は、一見社交的。それでいて人間関係にはドライな一面を持っているように見えます。しかし、それは「兄弟がいる」という安心感があるからこそ。実は、兄弟に依存しているのです。そのため、兄弟が多忙になったり、彼女ができたり結婚したりと、自分から離れていこうとした時に、焦燥感や怒りの感情を持ちます。これは、依存相手が離れることを受け入れられないからです。
■7. 自分の話が多い
兄弟や家族からの愛情を一身に受けたブラザーコンプレックスの女性は、「私は愛されている」という自信に満ち溢れています。また、家では兄弟が自分の話を親身に聞いてくれます。
だから、他者と接した時、「聞いて聞いて」と無邪気に自分の話ができるのです。自分の話に夢中になり、その話題はしばしば兄弟自慢になります。「私の話を楽しんで聞いてくれているか」「相手にも話したいことがあるのではないか」ということには無頓着です。
■8. 他者への興味が薄い
ブラザーコンプレックスの女性には、モテる要素がたくさんあります。前述した通り、異性慣れしており、甘え上手で世話好き。自尊心が高いので、堂々と自分の意見を発言で、社交的です。だから、男性は「彼女と仲良くなれた」と実感でき、踏み込みやすくなります。
しかし、これはブラザーコンプレックスの外面です。ブラザーコンプレックスの女性の中心には、常に兄弟の存在があります。彼女らにとって最優先すべきは兄弟であり、他者への興味が実は薄いのです。それ故に、他者からの評価を気にせず、マイペースな言動ができます。臆面もなく、兄弟優先を実行できるのです。
■9. 視野が狭い
ブラザーコンプレックスとは、兄弟への一途な愛を貫いている状態と言えます。兄弟への愛情が、自分の世界を狭めているのです。幼少期から一緒に育った兄弟が、ブラザーコンプレックスの女性の軸となり、安心できる居場所です。
しかし、人は大人になれば、家族から外への世界へと目を向けるもの。それなのに、ブラザーコンプレックスの女性は、いつまでも兄弟から自立することができません。その理由は視野が狭いから。真っ直ぐに兄弟に目を向け、他の世界の素晴らしさに気付くことができないのです。
■10. 客観的思考力が弱い
ブラザーコンプレックスの女性は、兄弟仲について「それっておかしくない?」と指摘されると、強い拒否感を持ちます。兄弟姉妹の仲が良いことへの問題点が理解できず、日々メリットだけを感じているため、自分がブラザーコンプレックスだと認識できないのです。自分を客観的に見ることができません。なぜならば、「常に自分を褒めて愛してくれる兄弟からの評価=自分」だからです。
■11. 自己正当化しやすい
客観的思考力が弱いブラザーコンプレックスの女性は、問題を指摘された時、それに反発し、自己正当化することで、兄弟愛を貫こうとします。これは、兄弟に対してだけではなく、全般的に見られる傾向です。
幼少期から兄弟に甘やかされ、わがままを受け入れてもらった経験が、ブラザーコンプレックスの女性の思考を、自分の都合良く解釈させてしまいます。問題が発生した時、その原因から目を逸らし人のせいにして、自己正当化する特徴があるのです。
ブラザーコンプレックスの恋愛傾向
ブラザーコンプレックスの女性は、男性からモテる特徴を持ち合わせています。異性への壁が低いので、すぐに親しくなれるのです。だから、ブラザーコンプレックスは彼氏が途切れにくく、恋多き女性として見られます。
しかし、心の中には常に兄弟がいます。そして、男性と兄弟を比べているのです。彼氏ができても、常に「彼氏<兄弟」という力関係です。そのため、以下のような現象が起こります。
・彼氏より兄弟との予定を優先する
・彼氏と兄弟を比較し、彼氏の欠点に目が行く
・寂しい思いから彼氏が束縛、もしくは離れていく
・彼氏と親密な関係を築けず短い期間で別れる
兄弟への強い愛情が、恋愛を破たんさせる原因になることこそ、ブラザーコンプレックス最大の問題点です。更には、ブラザーコンプレックスの女性は自分の恋愛が躓くだけではなく、兄弟の恋愛にまで干渉しようと試みます。兄弟の彼女を酷評し、別れるように誘導することもあるのです。
また、兄弟とは分かち合えない肉体的快楽を、他の男性で補う行動に出る女性も一定数います。ブラザーコンプレックスの女性は、兄弟を性的対象から外すため、性に奔放になってしまうケースもあるのです。
ブラザーコンプレックスの原因
ブラザーコンプレックスの原因は諸説紛々です。家庭の数だけ兄弟姉妹の関係があると考えると、明確な原因を挙げるのは困難と言えるでしょう。そこで、いくつかの説を紹介します。
こんな一説があります。長子は弟や妹が生まれた際、今まで独占していた親の愛情が二分化されることに葛藤します。この時、弟や妹を支配したり、強く愛着を持ったりすることで心の平常を守ろうとし、これがブラザーコンプレックスの原因になり得るという説です。これは、長子に限らず自分が弟や妹の立場だったとしても、親の愛情に満たされず、兄や姉にその代わりを求めた時も同様に起こり得ます。ブラザーコンプレックスは兄弟姉妹間の過剰なまでの愛着心が様々な問題を起こすことを指しますが、そのような状態に陥る原因の1つに、親の放任や、長子を一方的に頼り負担を課す家庭環境にあると考えられているのです。
もちろん、家庭が円満だけどブラザーコンプレックスに陥る女性も存在します。この場合は、家庭の居心地が良く、男性としても魅力的な兄や弟をステイタスに感じている時、「妹、もしくは姉」という不動の立場から退きたくないという心理が働き、兄弟に強い執着を持ってブラザーコンプレックスになってしまうのです。
ブラザーコンプレックスは、「兄に守られたい。甘えたい」「弟を守って、いつまでも必要だと思われたい」と兄弟に依存し、精神的自立ができないのが大きな原因なのかもしれません。
ブラザーコンプレックスを改善に導く対処方法4つ
「兄弟に深い情愛を持つ」というのは、決して悪いことではありません。それどころか、家族の愛情をしっかり感じているのは幸せです。しかし、その弊害があるなら話は別。あなたが人生に躓く原因にブラザーコンプレックスがあるならば、やはり改善した方が良いのです。とは言え、家族である兄弟への愛情を希薄にするのは困難です。そこで、ブラザーコンプレックスを改善に導く対処法をお話します。
■1. まずはブラザーコンプレックスを自覚する
何事も問題を解決するためには、しっかりと原因を突き止めることが必要です。あなたは今、何かしら自分の兄弟に向ける愛情に違和感を持ったからこそ、この記事を読んでいるのだと思います。しかし、まだ「私はブラザーコンプレックスだ」という核心には至らないかもしれません。でも、それでは現状を改善することができないのです。
ブラザーコンプレックスを改善するためには、自分がブラザーコンプレックスだと自覚することが不可欠です。あなたの言動に大きな影響を及ぼしている兄弟の存在を、改めて考えてください。「あれ?もしかして、私はかなり兄弟を優先しているのかもしれない」「目の前の男性と兄弟を、つい比較している」という事実に気付き、1つずつその現実を受け止めていきましょう。それが、ブラザーコンプレックスを自覚することに繋がります。
■2. 兄弟には自分とは違う人生があることを認める
次にあなたがするべきことは、「私と兄弟は違う人間だ」と認めることです。「そんなの当然わかっている」と思うかもしれませんね。でも、同じ家庭で育った兄弟姉妹は、時に繋がりが強すぎてしまい、然るべき時に自立のタイミングを逃し、依存してしまうケースがあるのです。そして、それがブラザーコンプレックスです。
人は、生まれる前は母親の胎内にいます。そして、外の世界へ生まれてしばらく、赤ちゃんは自分と母親を同じ個体だと認識しているのです。だから、母親が離れると不安になり泣き出します。しかし、成長するにつれ、徐々に「自分と母親は別の個体だ」と理解します。それでも、まだまだ精神的には一心同体のようなもの。母親の庇護のもとに育ちます。そして、次第に父親を認識し、家族という社会にいる自分の存在を理解します。更に年齢を重ねる内に、徐々に家族から友人との繋がりを大切にするようになり、段階を踏んで社会の一員となり家族から自立していくのです。
しかし、ブラザーコンプレックスの女性は「兄弟は常に一緒にいる」という想いがあります。時に兄弟の意見に従い自分の人生を決め、時に兄弟が自分から離れないよう支配しようと画策し、それが社会との関係を希薄にする原因になってしまうのです。見方を変えると、ブラザーコンプレックスの女性は、人が成長の過程で家族から自立するプロセスに躓いていると言えます。
だからこそ、改めて「私と兄弟は別の人格」と心得て、兄弟があなたとは全く別の人生を送る現実を認めることが重要なのです。兄弟の人生は兄弟のものであり、あなたの人生はあなただけのもの。自分を幸せにする方法は、あなた自身で選択し、決断するしかありません。
■3. 兄弟に求められない恋愛感情について見つめる
兄弟姉妹間の愛情は、大きな安心感と心地良さを与えてくれます。しかし、兄弟では満たされないものがあります。それが恋愛です。ブラザーコンプレックスの女性は、兄弟に対して恋愛感情に酷似した感情を抱いています。しかし、「兄弟とは恋人になれない」と理解しているため、別の方法で兄弟との絆を深めようとするのです。これが、男性との恋愛を拗れさせてしまう原因になります。
そこで、逆の発想をしてみましょう。兄弟に求めることはできない恋愛感情を、外の男性に求めるのです。ブラザーコンプレックスの女性は、つい男性と兄弟を比較し「これなら兄弟の方がずっと良い」と思いがちです。だから、目の前の男性に対して意識的に「兄弟にはない長所や一緒にいる事のメリット」を考えてください。そこには多くの発見があるはずです。
・兄弟にはない特技や感性
・お互い良く知らないからこそ抱ける未来へのワクワク感
・良くも悪くも自分を裏切る男性からの刺激
・恋愛感情がもたらす甘く切ない気持ち
・恋人同士だからこそできるスキンシップ
兄弟姉妹とは違い、他人同士が愛を深めて初めて成立する恋人とは、そこに至るまで時間と手間が必要です。そして、その面倒な過程こそが、恋愛の醍醐味でもあります。兄弟から安易に得られる幸福感とは全く別物なのです。
■4. 自分が異性に何を求めているのか考える
ブラザーコンプレックスを改善するために最後に行うべきは、あなたが異性に対して何を求めているのかを深く考えることです。そして、それを叶えてくれるのは兄弟ではないと理解することです。
今、あなたの心の中にある一番大切な場所には兄弟が存在しています。今まで兄弟からたくさんの恩恵を受けてきたことでしょう。でも、今あなたは兄弟愛が自分の人生に過剰な影響を与えていると感じていますよね。これは、一番大切な場所にいるべき人は、兄弟ではないと気付いたからです。それでも、大好きな兄弟と離れがたく、あなたは「まだそこにいて欲しい」と葛藤しています。しかし、思い切ってその場所を空席にするべきなのです。それが、兄弟から精神的自立をする第一歩となります。
あなたが最も大切な人にいて欲しい場所が空っぽになるのは、大きな不安を感じるでしょう。だけど、寂しさや不安があるからこそ、人は人と繋がろうと懸命になるのです。そうして家族から飛び立ち、新しい自分の社会を築くのが大人になるということ。自立を早急に行う必要はありません。少しずつ兄弟から巣立つ準備をして、あなたのタイミングで飛び立ってください。
まとめ
兄弟が好きで仲が良いのは素晴らしいことです。だから、その感情を否定する必要はありません。でも、兄弟への愛情があなたの人生の足かせになるようならば、距離感を見直してみましょう。兄弟への愛情を捨てなくても、ブラザーコンプレックスを改善させることはできます。
今は少し近過ぎる兄弟との関係を、少し離れた角度から見てください。近過ぎて見えなかったものが、きっと見えることでしょう。