「生命の樹」というタロットの展開法(スプレッド)を知っていますか?
タロットには実にたくさんのスプレッドがあり、それぞれのスプレッドにおいて得意な分野があります。占う目的、対象の人物や時期、リーディングのしやすさなどで使い分ける必要があるので、スプレッドの種類はたくさん知っているほどいいのです。
タロットのスプレッドの中でも「生命の樹」はやや特殊なスプレッドで、自分自身(占う対象)について深く分析できるようになっています。10枚のカードを使って行い、カードの枚数が多めであることに加えてリーディングは少し難しく上級者向けの内容です。
これをうまく使いこなせるようになれば、人について普段は見えないような部分まで細かく見ることができます。自分自身や、特定の誰かについて深く知りたいという願いを持っている人におすすめ。
ここでは「生命の樹」スプレッドの意味、占い方、リーディングの仕方について紹介しています。
生命の樹スプレッドの意味とは?
「生命の樹」の図は非常に神秘的で不思議な様相ですが、これは2~6世紀に書かれたとされる著者不明の書物「形成の書」に記された図が最初です。その図が何を示すのかは、長い間完全に謎とされてきました。
その後の時代、西暦1000年頃の哲学者ソロモン・ベン・イェフダー・イブン・ガビーロールが自らの著書の中で「流出説」という哲学思想を提案しました。それによると、「全ての存在は、最高の原理である神の意志から、知性、世界精神、自然の順に流出してきた」とされています。
この思想がユダヤ教の神秘主義思想「カバラ」の中で、「形成の書」の謎の図(生命の樹)と合体し、生命の樹とは「神による人類創造の設計図である」とされ(これはセフィロトと呼ばれています)、一応それがこの図に対する一般的な解釈として定着しました。
この「生命の樹」はキリスト教にも影響を与えており、旧約聖書の創世記にエデンの園の中央に植えられている樹木の名が「生命の樹」です。タロットの「生命の樹」のスプレッドも、ここから着想を得たものです。セフィロトスプレッドとも呼ばれます。
カバラの中で「生命の樹は人間の設計図」とされているように、このスプレッドの結果は占う対象の設計図というべきものになっており、どのような要素でその人が構成されているのかを見ることができます。つまり、この結果を通して人間性の考察ができるというわけです。
自分の得意なことや苦手なことをはっきりさせるとか、どのように対人関係を進めていけばいいのかなども占えるようになっています。
生命の樹スプレッドの展開法[図解付き]
まずは、占う内容と占う対象(人物)を決めます。占う事柄について集中しながらカードをしっかりとシャッフル、カットします。
十分にシャッフル&カットできたら、カードを裏を向けたまま一山にまとめ、上から順番に
取って正しい位置にカードをレイアウトします。
<カードの配置方法>
・まず、机の上側の中央に1枚目を置きます。
・そのわずかに下の右に2枚目、左に3枚目を置き、2枚目の右下に4枚目、3枚目の左下に5枚目を置きます。
・4枚目と5枚目のやや下位置、かつ1枚目の真下に6枚目。
・4枚目の真下に7枚目、5枚目の真下に8枚目。
・7枚目と8枚目のやや下位置、かつ6枚目の真下に9枚目、その真下に10枚目を置きます。
生命の樹スプレッドの読み方・解釈
1枚目:ケテル(王冠)/目標。
自分(占う対象)の基本的なスピリット。理想、人生において向かうべき到達点を表す
2枚目:コクマ(知恵)/情熱。
その人物の男性的な一面。やる気やエネルギーの状態。または問題が発生した際の対処能力を表す
3枚目:ビナー(理解)/試練。
その人物の女性的な一面。問題が発生したときに他者に対してどのように理解や共感を示すか。またはこれから乗り越えなければならない障害や問題点を表す
4枚目:ケセド(慈悲)/武器。
自分の強みや有利に働いてくれるものごと、味方を表す
5枚目:ゲブラー(峻厳)/障害。
自分が手放すべきもの。不利に働いてしまうものごと、敵を表す
6枚目:ティファレト(美)/達成。
その人物の霊性。成し遂げることの出来る目標を表す
7枚目:ネツァク(勝利)/情熱。
その人物の自信のありか、勝利できる方向性。または周囲の人々との関係性の善し悪しを表す
8枚目:ホド(栄光)/その人物がまだ自信がないこと。
足りていないもの。仕事をするうえでの環境や出せる成果、技能や芸術性について
9枚目:イェソド(基礎)/潜在意識、本能。
その人物の魂の性質。心の底で恐れているものや気付いていない要素を表す
10枚目:マルクト(王国)/現状と結果。
その人物の肉体の性質。全体的な現在の状況や最終的な答えを表す
生命の樹のタロット占いのやり方5ステップ
①タロットカードを裏向きにしてよくシャッフルします。
②質問内容を心の中で唱えます。(想像しにくいと感じる場合は、紙に書き出しても大丈夫です。)
③好きなカードを10枚引き、レイアウトします。
まず、机の上側の中央に1枚目を置きます。
そのわずかに下の右に2枚目、左に3枚目を置き、2枚目の右下に4枚目、3枚目の左下に5枚目を置きます。
4枚目と5枚目のやや下位置、かつ1枚目の真下に6枚目。
4枚目の真下に7枚目、5枚目の真下に8枚目。
7枚目と8枚目のやや下位置、かつ6枚目の真下に9枚目、その真下に10枚目を置きます。
④それぞれの位置のカードが表している事柄は次の通りです。
詳しい解説は上記を参照して下さい。
1枚目:ケテル/目標
2枚目:コクマ/情熱
3枚目:ビナー/試練
4枚目:ケセド/武器
5枚目:ゲブラー/手放すべきもの
6枚目:ティファレト/達成
7枚目:ネツァク/対人関係
8枚目:ホド/仕事
9枚目:イェソド/潜在意識
10枚目:マルクト/現状と結果
⑤カードを表向きにして、そのカードから感じることを読み解いていきます。
生命の樹で占うおすすめの内容
「生命の樹」のスプレッドが向いているのは、恋愛運・結婚運・仕事運・自己分析・人生についての占いです。
結果を通して人間性の考察ができます。つまり性格診断をするのにぴったりのスプレッドであり、特に自己分析を行いたい時にはうってつけです。全体を通して「自分はどんな人間であるか」ということが見えてくるので、一枚一枚の結果を見て関係性を考察し、じっくりとリーディングを行ってみましょう。
ネツァクで対人関係、ホドで仕事での結果やコミュニケーション環境を見ることが出来るので、恋愛・仕事における人間関係の悩みにもうまく対応できているといえます。悩みが限定されているので、恋愛・仕事を占う場合のリーディングは比較的容易です。
先に挙げたネツァク、ホドの他にコクマ(情熱)やケセド(強み)などから自分の動きやすい状況を作り出せるヒントがないかを探りましょう。
結婚運や人生についても同じようにして占い、考察することができますが、あまり先を見ることができないスプレッドですので、現状把握や自分の傾向を知ることにとどまるということを頭に置いておく必要があるでしょう。
ビナーで試練(これから乗り越えるべき障害)について知ることができますが、それでも3ヶ月以上未来は読めないので注意しましょう。
生命の樹でタロット占いをするときの注意点
「生命の樹」はその発想の起源も複雑ですが、実際非常に奥の深いスプレッドです。解釈の仕方が諸説あり、リーディングは難しい部類に入ります。
たとえば、6枚目のティファレトはその人物の霊性(スピリットが肉体に入る以前の段階)を表している、9枚目のイェソドはその人物の魂(スピリットが肉体に入った段階)を表しているのですが、霊性やら魂やらと言われても、そういった思想を勉強していないと全くピンと来ないですよね。
そこでこの記事では、「性格診断」「自分のことをよく知る手段」としての「生命の樹」の解釈に絞って紹介しています。まずはこのシンプルな解釈で練習し、興味があれば他の解釈も見ていくといいでしょう。
また、このスプレッドは占う人物の心の動きを知りたい時にぴったりなのですが、自分に都合の良いように結果を解釈してしまうことがあります。自分で自分を占う経験が不足していると感じる時は、客観的な視点から意見をくれる誰かに占ってもらった方がいいかもしれません。
まとめ
「生命の樹」は10枚のカードで占う、上級者向けのスプレッドです。解釈が複雑で、様々なパターンがあることもあり、最初はどのようにリーディングすれば良いか分からない場面もあるかもしれません。
しかし、占う人物の心の動き、本質的な性格について深く読み取ることができるので、うまくリーディングすることができれば自分自身についてとても理解が深まるでしょう。
そして占い師としてのレベルも確実にアップします。是非何度もトライして、「生命の樹」スプレッドを使いこなしてみて下さい。