自宅警備員という職業を知っていますか?実は、日本ではかなり人気の仕事で、実に100万人以上が自宅警備員に従事しています。
今回は、自宅警備員の意味や仕事内容、給料、転職事情などを詳しく解説します。
自宅警備員の意味とは?語源は?
自宅警備員とは、自宅を警備する人を意味します。「警備員」と聞いて、「お金持ちの家を専門に警備する人かな?」と思う人もいるでしょう。しかし、自宅警備員は職業ではありません。ずっと自宅にいる、ほぼ引きこもりでニート状態の人を指します。
自宅警備員はインターネットの掲示板が発祥と言われています。2000年代にニートが注目され、「それは自分だ」と思った人たちが、「いや、自分たちは自宅を守っている!警護しているんだ!」と、自虐とユーモアを込めて「自宅警備員」と言い出し、いつしかネットスラングとして定着したという説が有力です。
本職の警備員が聞いたら怒られそうですが、「そこにいるだけで防犯効果がある」という意味で、語源とされています。
ネット上では、多数の自宅警備員が存在します。彼らは、「自分の仕事に誇りを持って、今日も1日頑張っています!」という姿勢をあえてとり、ポジティブになることで現実から目を背けています。
自宅警備員の使い方・例文
自宅警備員は自分を表現するとき、あるいは同類同士で励まし合ったり自虐し合ったりするときに使う言葉です。自宅警備員ではない社会に適応した人は、自宅警備員のことを「引きこもり」「ニート」とズバリ表現します。
具体的に、どのような使い方をするのか、いくつか例文を紹介します。
・私は自宅警備員だ。今日も家族の出発を確認し、留守になった家を守っている。
・自宅警備員は365日24時間稼働の過酷な職業だ。
・馴染みの掲示板が荒らされていないかのパトロールも、自宅警備員として重要な任務だ。
・ブラックな会社を辞めて、期間限定で自宅警備員の職に就いている。
・雇用主(親)から転職を促されているが、自宅警備員の仕事が忙しくてそれどころではない。
例文のように、如何に堕落した日常を仕事に見立てて表現するかが、自宅警備員の使い方のポイントです。
自宅警備員になりやすい人の特徴
自宅警備員になる人にはいくつかの特徴や共通点が見られます。
・人とのコミュニケーションが苦手
・インドア
・気持ちが折れやすい
・継続が苦手
・実家にお金がある
など。
元々性格的に内向的で人とのコミュニケーションを苦手とする人が多い傾向があります。また、何かで失敗したり、以前の職場環境が悪かったりしたことをきっかけに自宅警備員になります。
そして、実家にある程度お金があるため、自分で稼がなくても生活することができます。
自宅警備員の種類3個
自宅警備員の職種は、大きく3つに分けられます。自宅警備員の職種について、1つずつ解説していきましょう。
■1. 正社員
自宅警備員の中には、少数派ですが正社員が存在します。普段は正社員として社会に紛れ込んでいるのです。周囲の人は、自宅警備員とは全く気付きません。
しかし、正社員は仮の姿。自宅に帰ると、自宅警備員に変身します。本人にとっては、自宅警備員こそが本業で、正社員は自宅警備員を続けるために必要な財源確保の手段に過ぎません。正社員として外に出ているとき以外は殆ど自宅にいて、せっせと自宅警備員の仕事をこなします。
正社員の自宅警備員は、ほとんどが実家暮らしの独身者です。結婚すると、配偶者や子供からの理解が得られにくいので、自宅警備員を退職するケースが多くなります。
■2. アルバイト
アルバイトをしながら自宅警備員をしている人もいます。自宅警備員がアルバイトをする理由は2つあります。
・雇用主に「働け」と文句言われないためのカモフラージュ
・無理ない範囲で働いた収入で自宅警備員の設備投資
本心では、自宅警備員の仕事に専念したいのですが、さまざまな事情によりアルバイトをしているのです。フットワークの軽い自宅警備員は、昼夜問わずアルバイトに対応するので、実はかなり重宝されています。アルバイト型自宅警備員のおかげで、24時間営業が成り立っているお店は少なくありません。
■3. 無職
無職で一切外に出ない自宅警備員もいます。しかも多数派です。社会との交流はほぼゼロで、一時も家の外に出ず、24時間自宅警備をしています。
いわゆるニートと呼ばれる15~39歳の自宅警備員は、2018年では71万人!40歳以上の自宅警備員を含めると、軽く100万人を超えています。
自宅警備員の仕事内容
自宅警備員の仕事は、家に留まって警備するのが基本ですが、実は多岐に渡ります。以下のような作業も、自宅警備員には欠かせない重要な任務です。
・家族が無事出発するか確認する
・家族が全員無事帰宅するかを確認する
・インターネットをパトロールする
・書き込みをしてネット掲示板の人口を維持する
・ゲーム業界に貢献する
・Twitterを盛り上げて、トレンドを作る
・ウィキペディアやアンサイクロペディアの充実化を図る
・日本の文化である漫画を分析する
・特定の分野においての情報発信
自宅警備員の家での行動は、全て仕事内容に含まれます。特に、ゲームを含むインターネットへの貢献度は非常に高いです。もしも、自宅警備員が1人もいなくなってしまったら、ネットの延べ利用者数は激減してしまうでしょう。
また、芸術の分野において、秀でた才能を発揮する自宅警備員もいます。自分の趣味に没頭し、こだわりを持って作り上げた作品が、SNSでバズるケースもあります。成功すると転職する場合もありますが、自宅警備員は天職なので、完全には辞めずに副業として続けます。
自宅警備員の給料・年収
自宅警備員は基本的に無休で、年収もゼロになります。しかし、衣食住は完全に保証されているので、仕事環境は非常に恵まれています。年収0円でも、生活に困ることはありません。
例外として、自宅警備員は以下のような収入を得ている場合もあります。
・失業保険
・アフィリエイト
・ネットショップ
・ネットトレード
・懸賞サイトによる現物支給
・おこづかい
また、安定した収入はなくても、雇用主との交渉で臨時ボーナスを得られるケースもあります。自宅警備員の給料は、雇用主の資産状況や経営方針によって、大きな差が出るのが特徴です。
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自宅警備員の転職は?
自宅警備員は特殊スキルなので、他業種への応用が難しくなります。単発の自宅警備員ならば、他の業種と条件はほとんど変わりませんが、勤続年数が長ければ長いほど、転職は厳しいのが現状です。
アルバイト自宅警備員の場合は、副収入を得るためのバイトから正社員になれるケースもあります。しかし、自宅警備員への未練が捨てきれないと、ダラダラとアルバイトしている内に年齢を重ねてしまい、正社員になるタイミングを逃してしまいます。
結局、自宅警備員は職場環境が非常に快適なので、本人が「転職するぞ!」と決意し、自宅警備員への未練を捨てなければ転職は困難です。社会の荒波に揉まれてもへこたれない強い精神力がなければ、転職活動中に挫折し、自宅警備員に舞い戻るのがオチです。
それでも転職したいなら、転職支援やニート支援のサービスを活用すると良いでしょう。持ち前のネット情報収集力で、自分に有意な道を見つけることが、転職成功の秘訣です。
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自宅警備員になるには?なる方法
自宅警備員になるには、雇用主を見つけなければなりません。多くは自分の親が雇用主になるのですが、自宅警備員を募集していない家庭が多数派になります。自宅警備員は狭き門なのです。
自宅警備員になりたいなら、まずは雇用主との交渉から始めなければなりません。終身雇用制度のある職場を望んでいる場合でも、短期限定での雇用を求めることから始めましょう。「1ヵ月だけ!」「雇用保険が切れるまで!」と、限定的な条件でハードルを低くすれば、雇用主が受け入れてくれる可能性は高まります。
短期での雇用が獲得できたら、後はなし崩し的に長期雇用に持って行くのみ。雇用期間が近づいたら、「仕事を探しているけど、良い条件が見つからない」と言って、期間延長を求めましょう。契約期間の更新を繰り返しながら、なし崩し的に終身雇用へと持ち込むのです。
自宅警備品におすすめの装備・グッズ
自宅警備員に必要不可欠な装備はパソコンです。スマホだけでは眼精疲労が激しく、また、膨大な情報を管理できません。持ち歩き可能なノートパソコンは、必ず装備しましょう。
その他、自分の任務に合わせて、以下のような装備を揃えると良いでしょう。
・ゲーム機
・高機能パソコン用デスクセット
・電気ポット
・ミニ冷蔵庫
・コロコロ
・マッサージ器具
自宅警備員は自室での仕事がほとんどなので、職場を快適にする装備はあるに越したことはありません。また、肩こりは職業病なので、マッサージ器具も必需品となります。
ユニフォームを着て士気を高めたいなら、N.E.E.T.の自宅警備員公式頒布物を入手すると良いでしょう。黒を基調としたTシャツやパーカー、靴下など多数のグッズが販売されています。
自宅警備員の末路
自宅警備員の多くは、雇用主の経営状況が悪化すると、苦しい立場になってしまいます。しかし、自宅警備員を続けられるか否かギリギリ状態になったときに、自分の人生について真剣に考えて転職できたなら、かなりラッキーです。自活できる力が手に入れられれば、裕福な暮らしは無理でも、食べるものに困ることはないでしょう。
一方、雇用主の寿命が尽きるまで自宅警備員を続けてしまった場合、膨大な退職金(遺産)がなければ、悲惨な末路が待っています。住む場所もなくなり、生活保護の申請をしなければ生きていけないかもしれません。それでも、福祉につながれたなら不幸中の幸いです。
最も不幸なのは、親の死がひきがねとなり、セルフネグレクトになってしまうこと。元々社会とのつながりがないため、完全な孤独に陥ると、すべてにおいて投げやりになってしまいます。健康を維持する努力をする気も起きず、ひっそりと孤独死してしまうかもしれません。
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まとめ
自宅警備員は24時間365日の過酷な労働です。しかし、福利厚生はかなり充実していて、衣食住には困りません。素質のある人が自宅警備員になると、抜け出せなくなるので注意が必要です。
また、自宅警備員は雇用主と一蓮托生。親に万が一のことがあった場合、今の環境を維持できなくなります。人生の危機管理能力がなければ、自宅警備員の末路は悲惨です。長期間自宅警備員をする場合は、リスクについて十分に考えるべきです。「こんなはずじゃなかった」と人生の幕を閉じないよう、現実を直視しましょう。