※ブリーダーなどペット業界経験豊富なライターが書いています。
「ポメチワ」は、「ポメラニアン」と「チワワ」を掛け合わせたミックス犬です。
ポメチワの他にも「ポメチー」「チワラニアン」「チワポメ」などの名前で呼ばれていますが、いずれも両親犬種の組み合わせは同じ。ミックス犬の呼び名は言葉遊びのようで面白いですね。
この記事では、ポメチワの特徴や飼い方について解説しています。
ポメチワとはどんな犬種?特徴は?
ポメチワ一番の特徴は、豊かな被毛です。チワワにはロングとスムース2種類のコートタイプがありますが、ポメチワをブリーディングする際に選ばれるのはロングコートがほとんど。両親犬ともにゴージャスなコートが美しいからこそ、ポメチワも美しいコートの犬が多いのです。
また、ポメチワにはヌイグルミにしか見えない、かわいい容姿の犬がたくさんいます。これはチワワ譲りの丸みを帯びた額と、ウルウルの大きな瞳、さらにはポメラニアンなどスピッツ系特有の笑っているように見える口角が加わるからです。
つぶらな瞳でニッコリ笑った顔の犬は、かわいいに決まっていますよね。ただし、ミックス犬である以上、ポメチワのすべてが完璧な容姿を獲得するとは限りません。
ポメチワの歴史
ミックス犬の人気が高まるにつれて、様々な組み合わせのブリーディングが行われるようになりました。ポメチワもまた、そのうちの一種です。使役的な目的のために作り出されたミックス犬ではありません。
数あるミックス犬には、抜け毛を減らす目的で、シングルコートのトイプードルと掛け合わせた組み合わせが多くみられます。
しかしポメチワは「ダブルコート×ダブルコート」の組み合わせ。抜け毛問題の解決より、ゴージャスな被毛とかわいらしい容姿を最優先にしたブリーディングといえるでしょう。
ポメチワ成犬の寿命・大きさ・体重
ポメチワが成犬になった時のサイズや寿命は、親犬であるポメラニアンとチワワから推測するしかありません。ポメラニアンとさほど体格差はありませんが、中にはかなり体の大きいポメチワもいます。
◆ポメラニアン
寿命/12~16才
体高/20~22cm
体重/1.9~3.5kg
◆チワワ
寿命/12~16才
体高/15~22cm
体重/1~3kg
◆ポメチワ
寿命/12~16才
体高/20cm程度
体重/3kg前後
ポメチワの毛色
チワワとポメラニアンは、ともにカラーバリエーションが豊富な犬種です。そのため、ポメチワの毛色はかなり多彩。
ブラック・ブラウン・チョコ・グレー・ブルー・ホワイト・クリーム・グレー・レッド・オレンジなどの単色系から、セーブル・ブラック&タン・パーティーカラーなど、豊富な色味もポメチワの魅力の一つといえるでしょう。
ポメチワの性格
ポメラニアンとチワワに共通しているのは、ちょこまかと動き回るエネルギッシュなところです。そのため、両方の血を受け継ぐポメチワも、かなり活発な犬になると予想されます。
また、警戒心が強いわりに無鉄砲なところも、2つの犬種に共通する性質。ポメチワはどちらの犬種に寄っても、警戒心が強めの犬になる要素が強く、小さいわりに番犬として優秀な犬になるでしょう。
とは言え、両親犬のどちらも飼い主家族に対する愛情は深く、ポメチワも甘えん坊で懐っこい犬に育ちそうです。
ただし、他人や他の犬に対して同じ態度がとれるとは限りません。社交性を身につけさせるためにも、子犬の頃からきちんと社会化を促し、誰からも可愛がられる犬に育てることが望まれます。
ポメチワの子犬の販売価格・値段は?
ポメチワがペットショップで展示販売される場合、価格は概ね22万~35万円といったところです。ブリーダーの直販の場合は、親犬のサイズや毛色によって価格にはかなり幅があります。
ポメラニアンで比較的よく見かけるレッドやフォーンのポメチワは28万円前後ですが、人気のクリームやオレンジは32~38万円程度と、価格は高め。同様に、毛吹きが豊かな両親犬との間に生まれたポメチワも、比較的価格は高めに推移しています。
ポメチワの飼い方・しつけ・育て方
ポメチワは好奇心旺盛で活動的な犬ですが、警戒心の強い資質も持ち合わせています。また、頑固で我が強い部分も出やすいため、子犬の頃からしっかりとしたしつけが必要です。
ただし、ただ厳しくするような教え方をしても、ポメチワは反発するばかりで、おおらかな性格に育ちません。根気よくポメチワと向き合い、上手に出来たときはしっかり褒めるといった地道な教え方が、遠回りなようでもポメチワの良い部分を引き出します。
また、小柄でも優秀な番犬になる素質を持つポメチワは、きちんと社会化させないと、他の犬や知らない人を過度に警戒する犬になるかもしれません。
周囲を警戒している状態は、常に精神的に強いストレスを抱えているのと同じ。ポメチワをかわいい容姿の通りに「かわいい犬」として育てるには、社交性を磨くことが必須です。
ポメチワの餌の量
ポメチワの片方の親であるポメラニアンは、食欲旺盛なことで知られる犬種。一方、もう片方の親犬チワワは、食べムラがあることで知られています。
正反対の資質を受け継ぐポメチワは、両親どちらの性質に寄るかわかりません。そのため、食欲旺盛な犬だと判明したら、肥満を防ぐためにも、食べる餌の量は飼い主がしっかり管理しましょう。
反対に、食べムラがある犬だった場合は、偏食で栄養バランスを崩さないよう、食べるものの種類と量を飼い主がしっかり把握しなければなりません。食べたがるものだけを食べさせていると、栄養不良が体に深刻な悪影響を与えるので、注意が必要です。
ポメチワは吠える・噛む・うるさい?
頑固でやや気難しいところのあるポメチワは、正しく叱らないと無駄吠えや、噛み癖が出ることがあります。ポメチワとしては飼い主に何かを訴えたくて吠えていますが、飼い主側が正しく思いをくみ取れないと、「うるさい」と感じるだけに終わってしまうことも。
ポメチワを無駄吠えや噛み癖のある犬にしないためにも、なぜ吠えるのか、なぜ噛みつくのかをしっかり見極めたうえで、「やっていいこと」と「やってはいけないこと」を根気よく教えてあげましょう。ポメチワは本来利発な犬。きちんと教えればちゃんと理解できるはずです。
ポメチワの病気・健康管理は?
ポメチワがかかりやすい病気の中で、特に気をつけるべきは次の2つです。
◯膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝蓋骨――いわゆる膝のお皿が本来あるべき位置から内側、あるいは外側へとずれてしまった状態です。膝蓋骨脱臼はポメラニアン・チワワともに発症しやすい病気。
ポメチワも膝蓋骨がずれやすい骨格を受け継いでいる可能性が高いため、歩き方がおかしいと感じたら、早めにかかりつけの動物病院で診察してもらいましょう。
◯水頭症
水頭症もまた、両親犬の両方がかかりやすい病気です。水頭症とは、先天的または後天的な原因によって脳脊髄液の量が増加し、脳室が拡大することで脳が圧迫される病気です。
水頭症を早期に発見できれば、投薬による内科療法や、脳脊髄液を抜き取る外科療法で延命は可能。しかし完治は期待できないため、治療していても徐々に病気が進行し、最終的には死に至ることを覚悟しなければなりません。
これらの病気は、先天性の場合は予防が困難です。しかし早期に発見して早期に治療を開始することで、生活の質を落とさずに済みます。日頃からしっかり犬の様子を観察し、何かおかしいと感じたときは、速やかに動物病院を受診することが大切です。
ポメチワの抜け毛
ポメチワの両親犬は、ともにダブルコート。ポメチワもダブルコートを受け継ぐため、トリミングは特に必要ありません。ただし、抜け毛はかなり多いので、こまめなブラッシングが必要です。
特に春と秋の換毛期は、とんでもない量の抜け毛を覚悟しなければなりません。小型犬の抜け毛なんてたいしたことない、などと甘く見ていると、部屋の中が抜け毛だらけになりますよ。
ポメチワのトリミング・カット
近年はポメラニアンやチワワのような毛質の犬を、短くカットするスタイルが流行しています。しかし、安易に短くするのはNGです。
ダブルコートの犬の被毛を短くしすぎると、直射日光が皮膚に届きやすくなり、炎症を起こすことがあります。
また、ポメラニアンやロングコートチワワの被毛は、あまり早く伸びません。そのため、短くすると元の長さに戻るまでには時間がかかります。
また、カットしたことで毛質が変化することも。最悪は毛が生えにくくなることもありますので、どうしても短くしたい場合は、プロのトリマーにきちんと相談してからにしましょう。
ポメチワの探し方は?ブリーダー・里親
健康な子犬を探すなら、優良なブリーダーから迎えるのが一番です。きちんと両親犬の情報を確認したうえで、子犬を選ぶようにしましょう。
また、保健所や動物愛護団体でポメチワが保護されることもあります。成犬を迎えることに抵抗がないなら、ぜひ保護犬の引き取りを検討してください。里親にはいくつかクリアすべき条件がありますので、事前に確認してから立候補しましょう。
まとめ
ポメチワは抜け毛の多いミックス犬です。しかし、だからこそゴージャスな被毛が美しい犬でもあります。せっかくポメチワを迎えるなら、フサフサのコートを楽しまないともったいないですよ。