パートナーや職場など、近しい人からの発言や態度に「傷ついた」「辛い」「恐い」と何度も感じるなら、モラハラの可能性があります。日常的に接しているからこそ、モラハラを自覚するのは意外と難しいのです。精神的暴力と言われるモラハラを我慢し続けると、強いストレスで心身に悪影響が出てしまうかもしれません。
そこで今回は、モラハラする人がよく使う発言や例えを集めて解説。モラハラされたときの対処法も教えます。
モラハラ発言の具体例7個【夫や彼氏】
夫や彼氏など、男性パートナーから女性へのモラハラは、自分が上位に立って相手を支配しようとしたり、威圧的な態度で見下したりするのが特徴です。具体的な発言例を挙げて、詳しく解説していきましょう。
■1. 君のためなのがわからないのか
モラハラ男性の多くは、歪んだ正義感や使命感から女性を支配しようとします。根底には自己中心的な思考があるのに、「君のため」と言って、横暴な言動を女性に認めさせようとするのが特徴です。嫌がっているのに「君のため」を理由に、自分を正当化しようとしています。
■2. 全く君は何もできないな
上から目線で妻や彼女を見下し、「君は何もできない」と繰り返すことで、相手を洗脳しようとします。女性の自己肯定感を下げ、自分を絶対的強者の位置付けにしたいのです。「何もできない」は全否定の言葉。常識と良心がある人は、滅多に発言しません。
■3. 俺の言うことを聞いていればいいんだ
「自分は正しい」と主張し、女性を屈服させようとするモラハラ発言です。多くは「君のため」「君は何もできない」とセットで使われます。「言うことを聞いていればいい」は、女性の思考力、判断力、行動力を奪うモラハラ発言です。
■4. 皆君のことを無能だと思っているよ
相手を孤立させようとするのも、モラハラの特徴です。特に男性は、妻や彼女が周囲に頼らないように、「皆が君のことを悪く言っている」と嘘をつきます。自分だけを頼るように仕向けた上で、支配したいのです。わざわざ告げ口をするような男性には注意しましょう。
■5. おまえが悪い
一方的に相手を悪者にする発言もモラハラです。モラハラ男は女性が何をしても「おまえが悪い」と断定し、罪悪感を植え付けます。女性が冷静に意見しても受け付けません。通らない道理で女性を悪者にして、「でも俺だけは味方だ」と訴え、精神的支配を試みます。
■6. 君は楽そうでいいな
大変な状況の時、「君は楽でいいね」と、つい愚痴が出ることもありますよね。しかし、口癖のように妻や彼女が楽だと決めつけ、嫌味を繰り返すならモラハラです。自分が上に立つのが目的なので、女性が「私も大変」と主張しても、受け入れてくれません。
■7. 俺と同じくらい稼いでから意見しろ
「誰のおかげで食えると思ってるんだ」など、自分の収入が高いのを理由に女性を見下すのは、モラハラ夫の代表的な発言です。「収入が高い方が偉い」という歪んだ価値観を持っています。万が一、妻が自分の収入を上回ると困るので、理由を付けて妻を家庭に縛り付けようとするのが特徴です。
モラハラ発言の具体例7個【妻や彼女】
女性から夫や彼氏にするモラハラは、男性とは逆で「なぜ大切にしないの?」「男ならもっとしっかりしてよ」と、弱者の自分を主張するのが特徴です。「酷い!」と男性を糾弾し、自分を被害者に仕立て上げ、「そんなことするなら、私生きていけないかも」と脅そうとします。具体例を挙げていきましょう。
■1. え?女性にお金を出せと言うの?
モラハラ女は「交際費は男性が出すべき」という歪んだ価値観を持っているケースが多いです。彼氏が割り勘を求めると、「そんなのおかしい」「女性にお金を出せなんてありえない」と全否定。価値観の偏りや強い固定概念は、モラハラ女の特徴と言えます。
■2. 私のことなんてどうでもいいんでしょう?
自分の要求が通らないとき、一方的に男性を悪者にして、「酷い扱いをされた」「私のことなんてどうでもいいんだ」と責め立て、無理を通そうとします。「友達の夫はこんなに優しい」など、誰かと比較して罪悪感を植え付けるのもあるあるです。
■3. その程度の稼ぎで恥ずかしいと思わないの?
夫や彼氏の収入額だけを見て、「稼ぎが低い」「恥ずかしい」と貶めるのも、モラハラ女がよくする発言です。実際に平均収入より低いかどうかは関係ありません。自分の要求を満たせていないのが不満で、八つ当たりをしているだけです。
■4. 私と仕事(友達)どっちが大事なの?
女性ならば「聞いてしまいたい」と思う質問ですが、頻繁に発言して夫や彼氏を追い詰めるならモラハラになります。「常に自分だけを優先しろ」という支配的な発言であり、夫や彼氏を社会から孤立させる原因にもなります。
■5. 男のくせに情けない!
自分が思っている男性性を押し付け、本人の性格や特性に全く理解を示さず、「男のくせに情けない!」と糾弾するのもモラハラ発言です。モラハラ女は「あなたは男だからやるべき。私は女だからやらなくていい」と、よくわからない主張をします。単なる感情論なので、男性が冷静に意見しても聞き入れません。
■6. あなたの家族(友達)にはロクな人がいないのね
本人ではなく、その家族や友人など大切な人を貶す発言もモラハラになります。モラハラ女はパートナーと関係者をセットで侮辱し、自分の正当性を強く主張しようとします。「非常識なのはあなたと周囲で、私は正しい」と言いたいのです。
■7. パパみたいな人になったらダメよ
子供を味方に抱え込み、「パパみたいになったらダメ」と間接的な嫌味を言うのは、妻から夫へのモラハラ発言です。また、「あなたはママの言うことだけを信じなさい」という、子供へのハラスメントになるケースもあります。
モラハラ発言の具体例7個【職場】
職場のモラハラの多くは、立場が上の人が下の人に向けてするパワハラのケースが多いです。「上司と部下」「先輩と後輩」など、最初から上下関係があるため、高圧的だったり侮辱したりなどの傾向が強くなります。具体例を挙げていきましょう。
■1. 使えないやつだな
小さなミスでも、吐き捨てるように「使えない」「クズ」「無能」と一方的に侮辱するのは、職場のモラハラの特徴です。標的になると、平均的な仕事をしていても、揚げ足をとって酷い発言をぶつけてきます。
■2. 考えればわかるだろう
「見て学べ」「技を盗め」という考え方もありますが、仕事を一切教えず「考えればわかるだろう」と突き放すのは、モラハラ発言になります。しかも、職場のモラハラは見て学んだり盗んだりするチャンスがない状態を作り「考えればわかる」と相手を追い詰める陰湿さがあります。
■3. 君の仕事だからやるのは当然だ
職場ではチームを組んで協力しながら仕事をするものですが、モラハラする人は一方的に仕事を割り振り、「君の仕事だからやるのは当然」「終わるまで帰るな」と、無理難題を押し付けます。
■4. このようなミスは皆くれぐれもしないように
仕事でミスをすれば、注意をして同じミスを繰り返さないようにするのが上司の務めです。しかし、職場の人に「彼のようなミスは、皆くれぐれもしないように」と、晒上げる行為をするならモラハラになります。
■5. 説明しても理解できないだろう
職場では仕事を与えないのもモラハラ行為です。モラハラする人は「説明しても理解できないだろう」と、仕事内容を教えず、自分や仲間だけで仕事を抱えこみます。ターゲットから働く意欲を奪い、あわよくば辞めさせようと圧をかけるのが目的のケースもあります。
■6. その趣味は引くわ
職場では雑談としてプライベートが話題になることもあるでしょう。仕事とは全く関係のない話ですが、「そんな趣味持ってるの?引くわ~」と、単なる好き嫌いでプライベートを侮辱する発言も、職場でのモラハラ行為です。恋愛や性差別ならばセクハラ、結婚についてならマリハラなど、プライベートを標的にしたハラスメントは数多く存在します。
■7. 人をイライラさせるな
特に理由がないのに、「人をイライラさせるな」と、感情的に相手をなじる発言もモラハラ。職場でモラハラをする人は、感情の起伏が激しく、コントロールが下手で、平然と八つ当たりするタイプが多いです。自分より立場が弱く、反論してこない人を狙って、ストレス解消の道具にします。
モラハラになる判断基準
モラハラは「モラルハラスメント」を略した言葉で、精神的に相手を傷つける行為。身体的な暴力はありませんが、言葉や態度で心にダメージを与えるのが特徴です。ハラスメントには「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」など、複数の種類がありますが、精神的DVは全てモラハラに当てはまり、以下のような特徴があります。
・相手を見下し人格否定する
・無視を決め込む
・威圧的態度で接する
・相手にさまざまなことを強制する
・相手の訴えを受け入れない
・脅す
加害者の多くは、モラハラの自覚がありません。しかも、相手を精神的にコントロールしたり、孤立させたりするので、被害者側も「自分が悪い」と思い込み、モラハラをされている自覚がないケースは多々あります。「何かおかしい」「恐い」「辛い」と感じたら、自分の気持ちと向き合いましょう。
モラハラされた時の対処法
密室であればある程、モラハラはひどくなります。モラハラ解決には、客観的視点で解決してくれる第三者の存在が欠かせません。「自分でなんとかしよう」と思わず、速やかに相談しましょう。
相談する上で重要なのが、モラハラの証拠です。以下の方法で、あなたがモラハラを受けている証拠を集めましょう。
・音声や動画をこっそり記録する
・日記などでモラハラの記録をつける
・LINEやメール、SNSなどのデジタルな証拠は画像保存もする
・物的証拠はしっかり保管する
身近で力になってくれる人がいるなら、大いに頼ってください。DV相談を行っている自治体もあります。内閣府の男女共同参画局による「DVナビ」に相談するのも良いでしょう。その他相談先として、弁護士やカウンセラーなどもあります。身の危険を感じるなら、加害者と距離をとることも必要です。
まとめ
余裕がないとき、うっかり相手に酷い言葉をぶつけてしまった経験は、誰にでもあるものです。しかし、相手を限定し、継続的に見下したり攻撃的な発言をしたりするならモラハラになります。関係が近いほど、モラハラを認めるのは辛いものです。それでも、自分を守るために、然るべき行動をとることが大切です。