一口に「名古屋弁」といってもいくつかの種類があります。実はなかなか奥が深く、語感がかわいいといわれる名古屋弁ですが、その理由についても詳しく解説いたします。
かわいい告白の言葉のバリエーションや早口言葉まで、独特の表現が多く、イントネーションに特徴がある名古屋弁について詳しくみていきましょう。
名古屋弁の種類
※愛知県全体の図で、名古屋市は色が塗られているところです。
名古屋弁は大きく分けて二種類あります。
「名古屋弁」とは正確には「尾張弁」ともいわれており、愛知県では「三河弁」と「尾張弁(名古屋弁)」の二種類が使われています。
愛知県の西部では「名古屋弁」が使われ、東部では「三河弁」が使われています。
名古屋弁の特徴と語尾
名古屋弁の特徴はいくつかあります。
そのなかでも、名古屋弁は「母音を伸ばす」ということが大きなポイントです。
「うみゃー」「どえりゃー」など、「~みゃー」「~りゃー」などの語尾が有名で、名古屋弁に精通していなくとも、この語尾だけは知っているという人も多いのではないでしょうか。
名古屋弁といえば「どえりゃー」と感じる人もいるかもしれませんが、実際には名古屋では同義語の「でら(でーら)」のほうが圧倒的によく使われているようです。
「みゃー」という語尾が「猫のようでかわいい」と人気を集めている名古屋弁ですが、言葉の語尾にイントネーションのアクセントが来るというのも特徴です。
「語尾を上げる」と表現されることもあります。イントネーションは関西弁によく似ているといわれています。
名古屋弁の告白する時の例文7個
1「好きだがや」
標準語「好きです」の名古屋弁バージョンです。
【告白の例文】
「でら好きだがや」
「でら」とは「すごく」とか「とっても」など、次に続く言葉を強調する言葉なので「とっても好き」「すごく好き」という熱烈な告白になります。
2「好きじゃんね」
標準語「好きだよ」の名古屋弁バージョンです。
「じゃんね」という言葉が疑問形、問いかけと勘違いされることがありますが、「~じゃんね」は「~だよ」という言い切りになります。
【告白の例文】
うち、あんたが好きじゃんね
3「付き合ってみゃー」
標準語「付き合って」の名古屋弁バージョンです。
【告白の例文】
「うちと付き合ってみゃー」
名古屋弁では、女の子が自分のことを「うち」と呼びます。人気の高いかわいい告白ワードです。
4「好きなんだがん」
標準語「好きなんだけど」の名古屋弁バージョンです。
【告白の例文】
「うち、あんたのこと好きなんだがん」
この告白ワードが、名古屋では定番のようです。
5「愛しとる」
標準語「愛してる」の名古屋弁バージョンです。
きゅんとくる響きで人気が高い、名古屋弁の告白ワードといえるでしょう。
【告白の例文】
「うち、あんたのこと愛しとる」
6「愛しとるに」
標準語「愛してる」の名古屋弁バージョンです。
語尾に「に」がつくのがかわいくて人気の告白ワードの一つ。
【告白の例文】
「でら愛しとるに」
7「愛しとるよ」
標準語「愛してる」の名古屋弁バージョンです。
語尾に「よ」がつくことできゅん度が上がる「かわいい告白ワード」として人気です。
【告白の例文】
「うち、愛しとるよ」
名古屋弁のかわいい方言20個
1「おみゃー」
標準語に変換すると「あなた」
「おまえ」に近い語感からわかる通り、使い方には若干の注意が必要です。
【例文】
おみゃーさん
2「かまう」
標準語に変換すると「面倒を見る」
標準語の「かまう」とは若干ニュアンスが違います。
【例文】
親をかまう
3「ちょこっと」
標準語に変換すると「少しだけ」
「ちょっと」という標準語に近いのでわかりやすいです。
【例文】
ちょこっと食べたい
4「こわける」
標準語に変換すると「壊れる」
「け」と「れ」の違いだけなので意味が通じやすい名古屋弁といえそうです。
【例文】
すぐにこわける
5「ちいとねゃあ」
標準語に変換すると「少しの間」
はじめて聞いてすぐに理解するのが難しそうな名古屋弁です。
【例文】
ちいとねゃあ出かける
6「いこみゃあ」
標準語に変換すると「行こう」
「行こ」+「みゃあ(みゃー)」なのでわかりやすいほうの名古屋弁です。
【例文】
一緒にいこみゃあ
7「いんちゃん」
標準語に変換すると「じゃんけん」
いんちゃんがじゃんけんだとわかる人は少ないかもしれません。
【例文】
いんちゃんで決めよみゃあ
8「さぶい」
標準語に変換すると「寒い」
「さむい」と「さぶい」は語感が似ているので比較的わかりやすい言葉といえるでしょう。
【例文】
もうさぶいね
9「ぬくとい」
標準語に変換すると「温かい」
比較的、全国的に知られている名古屋弁でしょう。
【例文】
ぬくといとこがいい
10「まあひゃあ」
標準語に変換すると「もうすぐ」
瀬戸弁などでも使われる言葉です。
【例文】
まあひゃあ準備できる
11「めちゃんこ」
標準語に変換すると「非常に」
めちゃんこは全国的に知られている名古屋弁といえるでしょう。
【例文】
めちゃんこかわいい
12「あんばよう」
標準語に変換すると「うまく」
「あんばいがいい」という言葉に近いのでわかりやすいかもしれません。
【例文】
あんばようできた
13「おぼこい」
標準語に変換すると「幼い」
「成熟しきっていない」などの意味をもつ方言として関西地方で使われています。
【例文】
まだおぼこい
14「かんかん」
標準語に変換すると「空き缶」
「缶缶」かんかん、なのでそのままわかりやすい名古屋弁といえます。
【例文】
かんかんをまとめて処分
15「しよみゃあ」
標準語に変換すると「しよう」
何か誘うときに使う名古屋弁です。
【例文】
ゲームしよみゃあ
16「行こみゃあ」
標準語に変換すると「行こう」
「行こ(う)」に名古屋弁の特徴「みゃあ」の語尾がついているのでわかりやすいでしょう。
【例文】
一緒に映画に行こみゃあ
17「きいない」
標準語に変換すると「黄色い」
「~ない」という語尾のため、何かがないのかと思いがちですが違います。
【例文】
信号がきいないからストップ
18「たんび」
標準語に変換すると「~するたび」
関東でも使う人がいる言葉なので意味がわかりやすい名古屋弁といえそうです。
【例文】
やるたんびにうまくなる
19「ちゃっと」
標準語に変換すると「さっさと」
この言葉も、比較的わかりやすい名古屋弁といえそうです。
【例文】
ちゃっとやりましょう
20「もうやーこ(もーやーこ)」
標準語に変換すると「共同して所有すること」
一緒に使う、二人のものにするなどを意味するわかりづらい名古屋弁です。
【例文】
もーやーこで使おめぁー
名古屋弁の面白い方言10個
1「やっとかめ」
標準語に変換すると「久しぶり」
「やっと」「亀」「噛め」?などと間違えやすいですが、違います。
【例文】
何年ぶり?やっとかめ
2「ひきずり」
標準語に変換すると「すき焼き」
ひきずることではありません。
【例文】
ひきずり食べたい
3「ほかる」
標準語に変換すると「捨てる」
「放る(ほうる)」に語感が近いのでわかる人にはわかるでしょう。
【例文】
そこにほかるな
4「ぼっさい」
標準語に変換すると「古い」
語感からは想像できないため、わかりづらい名古屋弁といえそうです。
【例文】
ぼっさい服
5「まわし」
標準語に変換すると「準備」
お相撲さんのまわしではなく、「回す」でもありません。
【例文】
明日のまわし
6「けった」
標準語に変換すると「自転車」
「蹴った(蹴る)」からの変形ともいわれています。
【例文】
学校にはけったで行く
7「こそばい」
標準語に変換すると「くすぐったい」
こそばゆいという言葉に近いので、意味がわかりやすい名古屋弁といえそうです。
【例文】
花粉で鼻がこそばい
8「すけない」
標準語に変換すると「少ない」
「好けない(好きになれない)」という漢字をイメージしやすいですが、まったく別です。
【例文】
食事がすけない
9「た~けっ」
標準語に変換すると「ばか・あほ」などに。
「たわけ」は岐阜由来の方言で、全国的にも知られています。
【例文】
このた~けっ
10「こっすい」
標準語に変換すると「ずるい」
「こすい」という方言は広範囲で使われていますので有名です。
【例文】
こっすいヤツだ
名古屋弁のかっこいい方言10個
1「いざらかす(いざる)」
標準語に変換すると「動かす」
語感から、ものを動かすだとわかる人は少ないかもしれません。
【例文】
荷物をいざらかす
2「いりゃあせ」
標準語に変換すると「いらっしゃい」
いらっしゃいませよりもかっこいい響きがある名古屋弁です。
【例文】
時間があるときにいりゃあせ
3「あらすか」
標準語に変換すると「ない(無い)」
アラスカ州ではありません。響きがかっこいいです。
【例文】
そんなわけあらすか
4「ござる」
標準語に変換すると「いらっしゃる」
侍のようでかっこいい名古屋弁です。
【例文】
先輩がござる
5「ごぶれいします」
標準語に変換すると「失礼します」
礼儀正しく敬意があるかっこいい名古屋弁といえそうです。
【例文】
お先にごぶれいします
6「とろくせゃあ」
標準語に変換すると「アホらしい、バカバカしい」
江戸っ子のような響きをもつ名古屋弁です。
【例文】
とろくせゃあこといってるな
7「ちょーらかす」
標準語に変換すると「ごまかす」
「超(ちょー)」とは意味が違います。
【例文】
あの人はちょーらかすのがうまい
8「だましかる」
標準語に変換すると「黙っている」
「だます」と間違えやすいですが、意味は違います。
【例文】
何を聞いてもだましかる
9「やりゃあ」
標準語に変換すると「しなさい」
「やり」が入っているので、何かをやるという意味はつかみやすいでしょう。
【例文】
すぐやりゃあ
10「いごく(いのく)」
標準語に変換すると「動く」「動かす」
「い」と「う」の違いですが、「すごく」という言葉とも語感が似ているのでわかりづらいかもしれません。
【例文】
すぐいごく
名古屋弁のその他の方言11個
1「えらい」
標準語に変換すると「きつい」「だるい」「疲れる」
「偉い」ではありませんのでお間違いなく。
【例文】
走るのえらい
2「おそがい」
標準語に変換すると「恐ろしい、怖い」
何かの貝と勘違いしますが、怖いときに使う名古屋弁です。
【例文】
地震はおそがい
3「かう」
標準語に変換すると「(鍵を)かける」
「買う」「飼う」と漢字変換されやすいですが、(鍵を)かけるという名古屋弁です。
【例文】
鍵をかう
4「かんこーする」
標準語に変換すると「じっくり考える」「工夫する」
「観光」や「慣行」「刊行」ではありませんので注意。
【例文】
よくかんこーする
5「けなるい」
標準語に変換すると「うらやましい」
「けだるい」と語感が似ていますが意味はまったく違います。
【例文】
あの子がけなるい
6「ざいしょ」
標準語に変換すると「実家」
「在所(ざいしょ)」という漢字が「郷里」を意味するので、比較的わかりやすい名古屋弁です。
【例文】
お盆、ざいしょに帰った
7「じべた」
標準語に変換すると「土地」
「地面」をじべたということがありますが、名古屋弁では土地を指します。
【例文】
じべたを売る
8「(して)ちょう」
標準語に変換すると「してほしい」
人に何かをお願いしたいときに使います。
【例文】
そのみかん、とってちょう
9「ちょーだゃあ」
標準語に変換すると「ください」
「ちょうだい」と語感が似ていますので、比較的わかりやすい名古屋弁でしょう。
【例文】
食べないならちょーだゃあ
10「つる」
標準語に変換すると「運ぶ」
「(魚を)釣る」と間違えやすいですが、吊り上げるに近いのかもしれません。
【例文】
この荷物つってりゃあ
11「ばんげ」
標準語に変換すると「夕方から夜にかけた時間帯」
「晩」という言葉が入っていますので比較的わかりやすい名古屋弁かもしれません。
【例文】
ばんげまでに戻る
名古屋弁の早口言葉
その土地の方言を知らないと「何を言っているのかわからない」ものであったり、その土地の人でないと、舌がもつれて言いづらい言葉などを利用した早口言葉があります。
名古屋弁の早口言葉で有名なものを紹介します。
≪キットカット買っとかんといかんかったのに、あんたが買っとかんかったでいかんかったんだわ。≫
【意味】
キットカット買わないといけなかったのに、あなたが買っておかなかったのがいけなかったんだよ。
名古屋出身の芸能人・有名人
寺田心、戸田恵子、河本準一、平野紫耀、松下由樹、森下千里、後藤久美子、須田亜香里、遠藤さくら、えなこ、田口淳之介、武井咲、竹下景子、武田久美子、舘ひろし、山田裕貴、呂布カルマ
まとめ
当記事では名古屋弁についてご紹介してきました。名古屋弁の魅力について少しでもお伝えできたら嬉しいです。
名古屋弁のかわいさ、イントネーションなどの特徴、方言の一覧など、比較的日常で使いやすい言葉をまとめてみました。告白のかわいい例文なども、アレンジしながらぜひ使ってみてください。