初詣は、お正月に行なわれる日本人には馴染み深い風習です。晴れ着を着て有名なお寺や神社に行って、大勢の参拝者と一緒にお賽銭を投げることもあるでしょうし、普段着でふらりと近所のお寺や神社にお参りすることもあるでしょう。
多くの人々が堅苦しく考えずに、気軽に行っています。
初詣の意味や由来は何なのでしょうか。初詣のことを詳しく知っておくと、ありがたみが増して、御利益も強まるかもしれませんよ。
初詣の意味とは?初詣に行く意味は?
初詣は、年が明けて最初に神社やお寺にお参りすることを意味します。
神様や仏様に、旧年中の感謝や、新しい年も無事に過ごせますようにとお願いをしに行くという意味があります。
「詣」という漢字は、神社やお寺にお参りするという意味です。年が明けて最初にすることを「初○○」「○○初め」ということがありますが、初詣も同じです。
神様や仏様への感謝なら、家でもできる、と思うかもしれません。しかし、実は各家庭にやって来る神様と、神社やお寺にやって来る神様は別なのです。
毎年暮れになると、日本の家庭では鏡餅や門松、しめ飾りなどの正月飾りを用意します。正月飾りに宿るとされている神様は「歳神様」です。歳神様はそれぞれの家の1年を守る神様です。
これに対して、神社の神様は「氏神様」です。氏神様は、各家庭の神様ではなく、その地域の守り神です。同じ地域に住む人々が共同でお祭りする神様なのです。お寺なら仏様ですが、基本的には初詣の意味は同じです。
初詣はいつからいつまで?時期は?
初詣にいつからいつまでという期限はありません。それを規定するような、組織や権威も存在しません。地域や宗派ごと、神社やお寺ごとの決まりや習慣がある場合は、それに従えば良いでしょう。
多くの神社やお寺で、大みそかの夜から参拝者が集まって、新年を待ちますから、それに参加するのも良いでしょう。
一般的には、正月三が日に行くのが初詣、というイメージが強いようです。関東は1月7日まで、関西は1月15日までを「松の内」と呼び、その間は神様仏様が神社やお寺にいらっしゃるとも言われるので、その期間に行けば御利益があるという考え方もあります。
回数にも既定はないので、多くの神社やお寺にお参りしていろいろの御利益を得ようとする欲張りな人もいます。
初詣の由来・歴史は?昔からの風習?
初詣という言葉が生まれたのは、大正時代になってからです。意外と新しい感じがしませんか?鉄道が整備されて、遠い神社やお寺にも気軽にお参りできるようになったことが、全国的な行事となるひとつのきっかけだったようです。
それ以前は、それぞれの土地の風習として、さまざまな年越しの行事が行なわれていました。初詣のもとになったと考えられている行事に「歳籠り」があります。
これは、その地域や家の長が、地域の氏神様が祭られている神社やお寺に、大みそかの夜から元日の朝まで寝ずに籠る、という行事です。籠った村長や家長たちは、不眠不休で祈り続ける決まりでした。
歳籠りはやがて、大みそかの夜と元日の朝の2回、神社やお寺をお参りする行事に分かれました。徹夜でお祈りするのは辛かったのかもしれませんね。
大みそかの夜のお参りを「除夜詣」、元日朝のお参りを「元日詣」といいます。元日詣がのちの初詣となります。
元日詣は、地域の氏神様が祭られている神社やお寺、あるいは家から見てその年の恵方にある神社やお寺に参拝しました。恵方というのは、年ごとに変わる縁起が良いとされる方角のことです。今でも節分の恵方巻にその名が残っています。
その後、前述したように鉄道の発展などで、恵方に限らず、いろいろな神社やお寺に自由にお参りする、という形が定着していったのです。
初詣のやり方
初詣のやり方に決まりはありません。自由にお参りして、お祈りしましょう。
一般的には、初詣では神様や仏様に感謝や祈りを捧げたあと、お守り、破魔矢、風車、熊手などを買ったり、絵馬に願い事を書いたりして、今年一年が良い年であるよう祈ります。このときに、去年のお守りや破魔矢などを納めて焼いてもらいます。
去年と同じ神社やお寺にお参りしても良いし、毎年違うところにお参りしてもかまいません。去年引いたおみくじを、ちがうところに納めても良いようです。
今の自分に合った神社やお寺を選ぶ方法もあります。例えば、受験生なら学問の神様のいるところ、妊婦さんなら安産祈願で有名なところなどです。
もちろん、自分が住んでいる地域の神社やお寺に行くのも良いことです。ところによっては、甘酒やお神酒が振る舞われることもありますよ。
二年参りとは?初詣との違いは?
二年参りとは、大みそかの夜から元旦の朝にかけて、年をまたいでお参りすることを意味します。初詣のやり方のひとつです。
テレビ中継で、大きな神社やお寺で大勢の参拝客が新年のカウントダウンをしていたりしますが、あれも二年参りの一種といえます。
また、地域によっては、大みそかに1度お参りをしたあといったん家に戻り、年が明けてからもう1度お参りするという形式を取るところもあります。これは、前に述べた除夜詣と元日詣の形式がそのまま残ったものでしょう。
二年参りと言っても、多くの地域では説明しないとわからないでしょうが、新潟県と長野県ではこの言い方が普通に使われていて、二年参りと言えば何も説明しなくても「ああ初詣のことね」とわかるそうです。
初詣の宗教的意味は?神道・仏教との関係は?
初詣が、普段のお参りと違うところはやはり1年の区切りであるという点でしょう。お祈りの内容が、旧年の感謝、新年の願いという1年の期間を意識したものであるという点です。
たくさんある年中行事はどれも、1年という周期で繰り返すことで時間の永遠性を確認して祝うという性質がありますが、年末年始の行事は特に、古い年が終わり新たな年が始まるという、死と再生のテーマが込められています。お正月の歌にもあるように「終わりなき世のめでたさ」を祝うのです。
初詣の行き先が神社でもお寺でもかまわないのは、昔から日本では神道と仏教を一体化させた、神仏習合の伝統があるからと考えられます。
明治時代の初期には、神道と仏教を厳しく分離する政策が取られましたが、それ以前は、宗教家でない庶民にとって神道と仏教の区別はあまりなかったと思われるのです。
まとめ
初詣は、年の初めに、旧年の感謝と新年の願いを祈るために、神社やお寺にお参りする行事です。昔は地域の行事でしたが、鉄道の発達とともに遠くの神社やお寺にもお参りするようになり、全国的な行事になりました。
昔の人や田舎の人は、生活の中に宗教性が強く結び付いています。若い人でも、年寄りが迷信じみたことやおまじないのようなことを言うの聞いたことがあるでしょう。
「バチが当たるぞ」なんて叱られた人もいるかもしれませんね。しかし、現代の都会人は、そういう宗教性とは無縁です。
にもかかわらず、クリスマスや初詣のような、宗教に起源を持つ行事にとても熱心です。年中行事は、宗教を持たない人に、祈る機会を与えてくれるからかもしれません。人間は「祈りたい」生き物なのでしょう。
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