異なる純血種を掛け合わせた「ミックス犬」は、ここ数年人気が急騰中です。かつては純血種の陰に隠れていた感もありますが、いまや人気犬種ランキング(2021年上半期)の第2位を獲得するまでに躍進しました。
12連覇中の絶対王者トイ・プードルを追い越す日も、案外遠くはないかもしれません。小型や極小サイズと言われるようなミックス犬を紹介します。
小型犬のミックス犬10種類
■1. マルプー
・マルチーズ/シングルコート・トリミング必要
・トイ・プードル/シングルコート・トリミング必要
両親ともにヌイグルミのような見た目のマルプーは、ある意味可愛さ最強のミックス犬です。フワフワのコートはシングルコートで、抜け毛に悩まされる心配はまずありません。
定期的なトリミングは必要ですが、いろいろなスタイルが楽しめるのはむしろマルプーの魅力。カット次第でマルチーズにもプードルにも寄せられる面白い犬種です。
明るく活発な性格になりやすいマルプーですが、マルチーズが強く出ると少々気の強い犬になることもあります。
■2. チワプー
・チワワ/ダブルコート・トリミング不要
・トイ・プードル/シングルコート・トリミング必要
被毛がプードル寄りの巻き毛になるか、あるいはチワワ寄りのふわっとした直毛寄りになるかで、見た目の雰囲気がかなり変わります。
チワワ寄りのダブルコートを受け継ぐと、多少の抜け毛は覚悟しなければなりません。その代わり、定期的なトリミングをしなくてもスタイルを保ちやすくなります。
性格に関しては、どちらに似ても元気いっぱいで活動的。ただしチワワに寄ると飼い主に対しては愛情深くても、警戒心そのものは強くなりそうです。
■3. チワマル
・チワワ/ダブルコート・トリミング不要
・マルチーズ/シングルコート・トリミング必要
マルチーズから純白のコートを受け継ぐと、チワマルの見た目はほぼマルチーズ。しかしチワワからホワイト以外の毛色を受け継いだとたん、一気に個性的になるのがチワマルの面白いところです。
チワワとマルチーズのどちらに似ても、飼い主に対しては愛情たっぷり。しかし誰に対しても懐っこいわけではありません。見た目の可愛さでつい甘やかしてしまいがちですが、人にも犬にも社交的に振る舞えるよう、きちんとした社会化が必要です。
■4. チワックス
・チワワ/ダブルコート・トリミング不要
・ミニチュア・ダックスフンド/ダブルコート・トリミング不要
足の短いチワワかと思いきや、長めの胴体が意表を突く不思議な容姿が魅力です。毛質はどちらに似てもダブルコート。かなりの抜け毛を覚悟しなければなりません。
両親犬のどちらに似ても、チワックスは元気いっぱいの活動的な犬になるでしょう。しかし、気をつけるべきは骨格の弱さ。
胴長の体に華奢な骨を受け継ぐ可能性が高く、足腰にかなりの負担がかかるからです。性格的には飼いやすい犬ですが、飼い主には運動量と体型のコントロールが求められます。
■5. ポメプー
・ポメラニアン/ダブルコート・トリミング不要
・トイ・プードル/シングルコート・トリミング必要
見た目の雰囲気がトイ・プードルに寄った犬を多く見かけます。これはひとえにカットスタイルと巻き毛が大きく影響しているのでしょう。
性質的にはどちらに似ても活発で遊び好きになりますが、ポメラニアンの気質が強く出ると興奮しやすいことがあり、時には大騒ぎすることも。プードルに寄ると必要以上にピョンピョン飛び跳ねるかもしれません。
ポメラニアンは食いしん坊で、プードルは食べムラのあることで知られている犬。どちらに似たかをしっかり把握したうえで、適切な食事管理が必要です。
■6. ポメチワ
・ポメラニアン/ダブルコート・トリミング不要
・チワワ/ダブルコート・トリミング不要
親犬はサイズ感が近く、コートの種類も同じです。そのため、ポメチワは数あるミックス犬の中でも、無理のない良い組み合わせの一つと言えるでしょう。ポメラニアンのゴージャスなコートにチワワの大きな目を獲得した、愛らしくはつらつとした容姿が人気です。
性格的にはどちらの親犬も遊び好きで活発ですが、興奮すると大騒ぎするところまでそっくり。神経質になり過ぎたり無駄吠えの多い犬にしないためにも、幼い頃からきちんと社会化させ、ダメなものはダメと教えることが求められます。
■7. ポメマル
・ポメラニアン/ダブルコート・トリミング不要
・マルチーズ/シングルコート・トリミング必要
ダブルコートとシングルコートの組み合わせですが、どちらもあまり癖のない直毛。そのためポメマルのコートはどちら寄りでもあまり違和感がありません。
ただし立ち耳と垂れ耳の組み合わせがどう作用するかで、見た目の雰囲気は変わることに。場合によってはバランスの悪い耳のマルチーズに見えることがあります。
性格的にはどちらが強く出ても元気いっぱいですが、気を付けるべきは両親に共通する興奮癖。待て・伏せなどの基本的なトレーニングをしっかり入れないと、無駄吠えの多い犬になるかもしれません。
■8. ダップー
・ミニチュア・ダックスフンド/ダブルコート・トリミング不要
・トイ・プードル/シングルコート・トリミング必要
やや胴長のトイプードル、あるいは足の短いトイプードルといった容姿が多くみられます。これはひとえに巻き毛によるパワーでしょう。毛質がダックス寄りになったとたん、プードルカットがしにくいためか、一気にダックス寄りになる面白いミックス犬です。
性格に関しては、どちらに似てもかなり飼いやすそう。両親ともに社交的な犬が多く、社会化に失敗しなければ人にも犬にも友好的に振る舞えます。ただしトイプードルが強く出ると、家族は好きでも他人は嫌いとはっきり示すかもしれません。
■9. マルックス
・マルチーズ/シングルコート・トリミング必要
・ミニチュア・ダックスフンド/ダブルコート・トリミング不要
マルチーズから純白の被毛を受け継ぐと、胴長のマルチーズのような容姿になります。ところがミニチュアダックスから白以外の毛色を受け継いだとたん、一気にダックスらしさが前面に。特にダーク系のコートカラーが発現すると、なぜかプードルが混ざっていそうな容姿になるのが不思議です。
性格的にはどちらに似ても飼いにくさの少ない犬ですが、気を付けるべきは胴長体型を受け継いだ場合の椎間板ヘルニアと心疾患。特に僧帽弁閉鎖不全症はどちらの犬も好発種です。
■10. シュナプー
・ミニチュア・シュナウザー/シングルコート・トリミング必要
・トイ・プードル/シングルコート・トリミング必要
「シングルコート」「垂れ耳」「スクエアタイプのボディバンラス」と両親犬には共通項が多く、数あるミックス犬の中でも1、2を争う無理のない組み合わせです。そのためどちらに似ても容姿が崩れにくく、カットスタイルを変えるだけでプードル・シュナウザーのどちらにも寄せられます。
両親ともに知能が高く、教えたことはすぐに覚えるでしょう。ただし賢いがゆえにきちんとしつけができないと、なめられるかもしれません。ワガママな性格に育つとこの犬の良さが消えてしまうので、注意が必要です。
小型ミックス犬で人気の種類は?
小型ミックス犬の中で人気が高いのは、親犬のどちらかに「トイ・プードル」「チワワ」「ポメラニアン」「マルチーズ」が入った組み合わせです。
その理由は…
●トイプードル・マルチーズ ⇒ シングルコートで抜け毛が少ない
●チワワ・ポメラニアン ⇒ サイズが小さい
もちろん、どの犬種も見た目が可愛いのは言うまでもありません。しかし、チワワとポメラニアンに関して言えば、サイズの小ささがミックス犬の組み合わせに選ばれる理由の一つではないでしょうか。
ダブルコートで抜け毛はかなり多くても、小さければ小さいほど高価値になりがちな日本人特有の好みが強く影響していると考えられます。
小型ミックス犬の平均寿命
「ミックス犬は寿命が長い」と言われることがありますが、これは実のところ正しくありません。種類を特定せずランダムな交配が続いた「雑種」は、強い遺伝子を持つ個体がより多く生き残ることで長寿命になると考えられます。しかし、「ミックス犬」は「雑種」とはまったくの別物です。
ミックス犬は、異なる純血種同士を掛け合わせた一代交配種(F1)。そのため、平均寿命は親犬である純血犬種とさほど変わりません。
実際に、ペット保険を扱う損害保険会社の調査でも、小型ミックス犬の平均寿命は14.3才程度と、純血種の小型犬とほぼ同じという結果が出ています。
小型ミックス犬のメリット
平均寿命は純血種の小型犬とさほど変わらない小型ミックス犬ですが、ミックス犬だからこそのメリットはあります。
一番にあげられるのは、劣性遺伝が発現しにくいことではないでしょうか。その結果、なんらかの病気や体の不具合がF1のミックス犬には出にくいことが期待されます。
ただし、F1だからといって必ずしも劣性遺伝が発現しないわけではありません。異なる純血種の両親犬がともにある種の劣性遺伝を持っていた場合、ミックス犬に発現することはありえることです。
ややこしい話を除くなら、小型ミックス犬最大のメリットは、やはり個性的な姿を獲得しやすいことではないでしょうか。可愛い容姿も奇妙な見た目も、すべてがオンリーワンです。
まとめ
ミックス犬の魅力の一つは、成長とともに姿が変わりやすいことです。もしかしたら期待した通りの見た目に育たなかったとしても、それがその子の個性。可愛くても可愛くなくても、世界に1匹しかいないオリジナルです。